■原將人『父と子の長い旅』
原 将人『父と子の長い旅』(Amazon)
映画と音楽に自由を求めて家庭を捨てた父と、いまは別々に暮らす中学3年生になった息子が辿った夏の旅。 その二人の心の交流と信頼の回復を描く感動のオフロード・ノンフィクション。映画「百代の過客」ができるまでの記録。
原監督のインディーズドキュメンタリーフィルム『百代の過客』の制作日記というか、息子「まるじゅ」くんとの芭蕉『奥の細道』をたどる旅日記。
「伝説の自主映画監督」ゆえ、その作品は手軽に観られる状況ではない。僕のような『20世紀ノスタルジア』で原将人を知ったファンは、新作も観えないし、欲求不満がつのるつのる。『百代の過客』も5万円ほどでビデオは出ているらしいのであるが、、、。しかたなく本やCDを購入するわけである。
でもこの本、正解。
原監督の映画への視線、人となり、そして『20世紀ノスタルジー』の原型である『夢の彼方の旅』の構想についても語られる。
『夢の彼方の旅』は、事故で死んでしまった男の子が残した膨大なテープを、好きだった女の子が、カメラで再生して見ながら旅をする話である。
この父と子の夏休みの旅の中で、『百代の過客』が撮られ、そして次の初商業映画の企画が立ち上がってくる。『20世紀』の「遠山杏」のカメラワークは、この旅でまるじゅが撮ったDVカメラの映像が参考にされている。そしてまるじゅの感性の一部がきっと「片岡徹」へ移植されている。
「うん、だから、俳句っていうのが映像的だから、すごく人気があったんじゃないの。今のコンパクトカメラだよ。今の人たちがカメラを持って楽しむように、俳句を楽しんでたんじゃないの。江戸の人たちは。」P140原監督のコメント
徹底して映像作家である原將人氏のこんな分析がここちいい。
◆関連リンク
・山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー
YIDFF 貸出作品リスト 百代の過客
The Eternal Traveller
1995/16mm/219分/英語字幕あり/山形県内貸出
(県外上映についてはお問い合せください)
・講演講師: 原 將人 講師紹介なら講演依頼.com
・本書に登場する「まるじゅ」こと原丸珠氏は、その後、下記のような映画の製作をされていました。
日本心中 針生一郎・日本を丸ごと抱え込んでしまった男 (公式HP)
スタッフ詳細 ポスター
制作・原 丸珠(はら まるじゅ)
1978年東京生まれ。10代より、作曲などの音楽活動を開始する。
12才の時、父 原将人監督の「百代の過客」に出演し、親子共演を
果たす。近年は音楽活動と共に、映画制作にも携わる。
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