■小松左京 『SF魂』
タイトルに惹かれて買った本書。小松左京のいまだ衰えぬ若いSFへの想いに、こちらの目頭が熱くなります。本書は小松左京の半生記であるとともに、そのジャンルの可能性の虜になりSFを創り上げてきた博覧強記のSFブルドーザー小松左京のSFエッセンスを凝縮した本。
自分の話で申し訳ないけど、考えたら僕は中学高校時代が一番小松左京を読んでいた時期で、大人になってからは、ほんの2,3冊しか小松本を読んでいない。本格的な小松SFの出版が減っていたこともあるし、自分がどっかで小松左京を卒業してしまった錯覚を持っていたからのように思う。
でも本書でそのエッセンスが紹介された小松哲学・人類学を読みながら、その全貌はまだまだ自分には全然理解できていないような壮大なものだと感じた。でもそれらのエッセンスは、確実に自分の中のSFコア部分に染みこんでいるのもまざまざと実感。体の中にSFを読み始めた頃のエキサイティングな熱さが蘇ってきた。
そんな大げさなと思った元小松ファンのそこの貴方、だまされたと思って読んでみてください。最終ページのラストセンテンスに涙することは間違いないから。
本書前半はいろいろなエッセイで読んだエピソードが多いのだけれど、後半の80年代以降が僕には新鮮だった。そして忍び寄る「老い」。心がこれだけ若々しくかつての熱い想いを継続して宿されているのに、体がゆうことを効かなくなっていることの残酷さを少しだけ文面から感じた。
ご自愛されて、これからもこんな熱いSFコアを、世界のSFファンに注ぎ込んでいただきたいものである。
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