■西澤 丞写真集『Deep Inside』
コッククロフト・ウォルトン静電型加速器
人目をはばかるように存在する日本の先端技術。地下トンネル、原発、清掃工場…。
「立入禁止」の扉の向こうに広がる空間は私たちの想像をはるかに超えた世界です。
見る事を意識されずに作られたそれらの空間は、時に、幼い頃に思い描いていたSF映画の未来都市のような顔を見せます。
本書は、そんな先端技術の現場を、新進フォトグラファー西澤丞が撮り下ろした渾身の写真集です。
本屋で見かけた素晴らしい写真集。
ハイテクをアートへと昇華させた着眼と手腕が見事です。
感動の右の写真は、筑波のKEK:高エネルギー加速器研究機構の設備。なんともSF心をくすぐられるセンス・オブ・ワンダーが溢れかえっています。
この装置、コッククロフト高圧発生装置(Cockroft-Walton preaccelerator for the KEK 12GeV Proton Synchrotron complex.)というもののようです。詳細はこんなふうになっています→コッククロフト。
4.1.1 直線型加速器 (a) コッククロフト・ワトソン型
1932年CockcroftとWaltonが700KeVの加速陽子をLiに当て初めて原子核破壊に成功した方法であり,倍電圧整流回路を積み重ね変圧器による供給電圧の整数倍電圧を得る方法であるが,大型コンデンサを必要としエナジー上限が2MeV程度,ただ電流値が大きい(数mA~20mA)特徴があり放射線出力が大きいので放射化学分野で再び脚光を浴びるようになってきている.
2MeVの圧倒的パワーがその存在感の源でしょうか。加えて原子核の破壊というなんとも現実を打ち砕くパワフルなイメージがセンス・オブ・ワンダーに直結。
◆高エネルギー加速器研究機構 KEK OPEN HOUSE 2006
一般公開が、偶然にも今週末2006.9/3(日)。このコッククロフト・ウォルトン静電型加速器も見学できるようです。興味のある方はぜひ。
KEK Image Archive : Accelerator
行けない方は、公式HPにもイメージアーカイブがありましたので、こちらをお楽しみください。
ここの写真によれば、コッククロフト高圧発生装置は、日本コンデンサ工業㈱製とのこと。こんな装置のエンジニアの方は、SF好きの息子がいたら、自慢できそうですね(^^;)
◆関連リンク
・JOE NISHIZAWA/西澤 丞(著者公式HP) GALLERYが素晴らしい。
・西澤丞の写真集制作日誌(著者のブログ)
・Blog 見学に行ってきた。さんの : インフラ写真集『Deep Inside』発売
西澤氏の撮影風景があります。こちらも必見。
・PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン Archive 西澤丞:Deep Inside 日本の未来異次元空間 インタビュー記事
今回撮影した場所にある全てのもののフォルム、色、ライティング、どれをとっても、完全に機能性だけを考えた結果の組み合わせで、配色ひとつとっても見た目のデザインを考慮したものは一切ありません。結果、見たこともない様な、美しい非日常の光景ができている、それを見て欲しいですね。
・西澤 丞写真集『Deep Inside』(Amazon)
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