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2006.10.20

■「メッセージ.jp」 冨田勲 立体音響へのチャレンジ

メッセージ.jp (BS Fuji)

冨田勲さん(シンセサイザー奏者)
聞き手:福田和也(文芸評論家 慶應義塾大学教授)

 ひさびさに冨田勲出演のインタビュー番組をテレビで観た。70代というのに、その語りの熱さに感動。シンセサイザー『惑星』の革新的な音をはじめてラジカセで聴いた、中学生の自分の興奮を想い出す。

 番組は音との出会いと学生時代、そして世界の冨田へ、という内容。
 中国の天壇公園で音の不思議な魅力に出会った少年時代の冨田氏の回想とか、手塚との出会いと『ジャングル大帝』での主題歌のエピソードとか、僕ははじめて聞いたので、とても興味深かった。『ジャングル大帝』は本当に今聴いても名曲!

 NHK「今日の料理」の「チャッ チャカチャカチャカ チャチャチャ-」が冨田作曲というのも知らなかった。

 そして一番興味深かったのが、作曲家としてデビューしてすぐのラジオでの仕事「立体音楽堂」(1954)。どんなものかというと、、、、。

 たふらんけさんのBlog
 二〇世紀ひみつ基地  立体音楽堂・カーネギーホールより抜粋させていただくと、

*「立体音楽堂」とは

昭和二十九年(1954)NHK第一・第二放送で、世界初の立体放送による、日曜昼の定時番組放送開始。その番組名が「立体音楽堂」。放送は1960年代半ばまで続けられた。 立体ラジオ放送「立体音楽堂」の冒頭は、「この放送を立体放送としてお聞きになる場合は、二台の受信機をご用意ください。一台を第一放送、二台目を第二放送の周波数に合わせ、それぞれの受信機を結ぶ線の、ちょうど三角形の頂点の位置でお聞きになり、私の声が真中から聞こえるように調節してください」というアナウンスではじまり、バランス調節のために蒸気機関車が走り去る音などが流されたという。クラシックのほかに放送劇なども放送している。

ステレオということばが、まだ市民権を得ていない時代から始まった「立体音楽堂」は、オーディオマニアやクラシックファンにとっては特別な存在であり、そのタイトルは立体音響を象徴するものであったのだ。

 凄いなー。人間の聴覚の立体感の獲得のための努力は、こんな形でトライされたんだ。
 そして今では当たり前のステレオ放送に感動する人々の姿が思い浮かぶ。わずか50年、人間が立体音響の放送メディアを持ったのは、たったの50年なんだ。

 番組のラスト。冨田が今、興味を持っているサラウンドの可能性へのチャレンジについて語る。少年時代の中国の回廊での音の不思議の体感、大学時代にFENで聴いた「春の祭典」の感動、そしてシンセサイザーとトミタサウンドクラウド(長良川で僕も聴いた)。冨田少年のたどってきた立体音楽との関係が、いま、サラウンドの凄さをもっと体感できるソフトを実現するという夢を持った活動に見事につながっている。

 立体聴覚の拡張、という視点を縦糸に冨田勲をとらえたインタビューになっていて、刺激的だった。今なお、若々しく究極の音像を求めてやまない冨田勲になんか元気をもらいました。(ちょっと仕事で落ち込み気味だったのだけど、、、(^^;))

◆関連リンク
DVDオーディオ『惑星サラウンドバージョン』 
 冨田勲『惑星<2003>』(Amazon)
 探したら、こんなサラウンド作品が2003年に出てました。さっそく注文!届くのが楽しみでしょうがありません。(DVDオーディオプレーヤー、持ってませんが、DVDビデオでの4.1ch再生ができるとのこと。)
5.1サラウンド・サウンド セミナー報告(PDF)
 サラウンド版の「冨田勲:源氏物語幻想交響絵巻」。立体音響の歴史も書いてある。

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コメント

 ミのつく職人さん、こんばんは。

>>そう、サウンドクラウドin長良川の現場に居合わせたのでした。
>>残念ながら当時は価値が判らなかったです、花火大会と差がない
>>ねー、みたいな。

 そうそう、そんな印象。
 あれって、聴く位置がきっとかなり重要で、ミのつく職人さんも同様の感想だとしたら、実は極少数の人しか本来冨田が狙った効果を体感できていないのではないでしょうか。

投稿: BP | 2006.10.22 00:00

見ましたその番組。
そう、サウンドクラウドin長良川の現場に居合わせたのでした。残念ながら当時は価値が判らなかったです、花火大会と差がないねー、みたいな。トミタサウンドとは中学生のとき「ツァラトゥストラはかく語りき」で出会いました。その直前に映画2001年を見ていましたから、なんだこれはと興味をもったものです。

投稿: ミのつく職人 | 2006.10.21 09:37

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