■IVRC2006 国際学生バーチャルリアリティコンテスト
2004年に続き2回目になる国際学生バーチャルリアリティコンテストを見学に行ってきました。実はこの土日、残念ながら用事がたて込み、会場滞在時間30分の駆け足での参加。じっくりと楽しめなかったのは残念でしたが、学生さんたちのいろんなヴァーチャル・リアリティの創意工夫に触れられて、充実した30分でした。
ハイビジョンの動画も撮ったのですが、下記リンク先でどんなものかは写真があり観てもらえるので、簡単な文字レポートです。
◆本選出場作品 (チーム名 所属)
まじかるSPLASH (水柱 北陸先端科学技術大学院大学)
光るタクトを振るのに合わせて、水柱が多彩な色で吹き上がる。夏の花火会場に置いたら、大人気という感じ。
もっと水柱を高精細に何本も作り上げたら、芸術的な映像空間が立ち上がってくるだろうと思わせる発展性を秘めている。そういうのができたら、どっかのオケの演奏に合わせて名指揮者にタクトを振らせたら、かなり幻想的な空間になりそう。
ビュー・ビュー・View (Blue Elephant 電気通信大学)
画面に口で風を送ると、それに合わせてCGが動く。また画面から逆に顔に風が吹き返される。
風というマンマシンインターフェイスも面白い。CGは箱が積み上げられていて、それを吹き飛ばすゲーム的なものだった。これもCGの工夫で、もっと臨場感が上げられると思う。紙風船とか飛行船が自分の吹く息で動くとか、コンテンツはいろいろとアイディアが出そう。
COGAME (MEGARS 東京大学)
人が手持ちで照らす位置を変えられる小型プロジェクタの映像に合わせて、ラジコンの亀が動く。プロジェクタの映像と亀の位置関係をカメラでとらえることで、面白いリモートコントロールを実現。説明してくれた方によると、将来は家庭のリモコンとかへの応用等、考えているとのこと。これも映像のコンテンツでインタフェースとして、相当幅広いアイディアがでてきそう。プロジェクタが遠隔操作デバイスになるという発想は斬新。
REVES (ESIEA Ouest, France)
テーブルの上に置いた物や手に合わせて、テーブルの下から投影されるCGの動きが制限される。それを振動型のジョイスティックで操作するというもの。
たしかにインタラクティブなのだけど、もちっと工夫がほしいです。
Virtual Scooter (ESCIN et Master MNRV, France)
これもアイディアがありきたり。スクーターにヘッドマウントディスプレイをかぶって乗り、映し出されるパリの街をヴァーチャルドライブ、、、、って、ヘッドマウントディスプレイはあるけど、それ以外だったらバイクゲームでいくらでもあるようなもの。辛口ですみませんが、新しさがわかりませんでした。残念。(フランスにはバイクゲームないんでしょうか。)
◆個人部門作品
CREATUREs:Tabby (植木淳朗 慶應義塾大学)
内側から光るぬいぐるみの毛でできた風船。なで方を赤外線センサでとらえて、光かたを変えている。これ、強度等確保して、クッションとして売り出したら成功しそう。明かりを消した部屋で、このクッションの暖かな光はなかなかいい感じだと思う。
癒し系のぬいぐるみロボットというのもいろいろあるけれど、むしろキャラクタっぽくないこうした抽象化されたものの方が、ぴったりきそう。2-3年後に東急ハンズで売られていても不思議ではないですね、と作者の方に話すと、何人かから声がかかっているというようなことを言ってみえました。
Empty Box 2006 (竹谷 康彦 岐阜大学)
上の公式HPでは屋外の風景が渦のようにゆがむ変わった空間を作り出している例が載っていますが、会場では置物の汽車に手持ちの映像のフレームを向けると、汽車からCGの煙が出ているように映像が現実の光景にかぶさるようなものでデモされていました。
ミックスドリアリティというやつかと思うのだけれど、僕はあらかじめHPで観ていた風景が渦のようにゆがむような現実を改変するようなインパクトのある映像が観たかったので、残念ながらちょっと期待はずれ。違う時間帯にはこの渦のバージョンもデモされていたのかもしれません。
◆招待作品
Virtual Seesaw (SH project IAMAS)
スクリーンに対してV字に折れ曲がって、Vの先端に別々に人が乗れるシーソー。これも映像と実物が交じり合う時の効果をシーソーの遊びに取り入れたもの。デモは二人の洋服にプロジェクタで文字によるメッセージが映し出されていた。子供たちが嬉しそうにやっていたので、キャラクターがシーソーと自分たちの体の上で動くような映像だったらもっと受けていたかも。
遊んでくりえいと~A Sand-Create~ (モグラーズ 岐阜大学)
これ、凄く気に入りました。ペットボトルの破砕した小片が光に照らされた幻想的な砂場を構成し、そこで砂遊びをすると、高さを光から検知してプロジェクタが光る玉の映像を低い方へ転がすというもの。シンプルだけれども小片を手で触れる触覚と、映像の動きのコラボレーションで飽きずに長く遊んでいたくなる。
芸術に触覚が導入されるものに実は弱い部分があって(^^;)、これ、好きです。このペット材でなく、本物の砂やもっとフワフワしたスチロールのビーズや、いろんなものを入れて触角の違いによる遊び感覚の差を体感してみたい。
今回、最終審査でどれが優勝したのか、ネットに情報が挙がっていずわからないけれど、僕の一押しはCOGAMEとCREATUREs:Tabby。アートとしての凄さではなくって、商品性発展性で可能性があるようにみえたので。
子供を含めて遊べるという意味では、A Sand-Createがベスト。
来年以降も楽しい作品を見せて貰いたいものです。この領域って、結構いろいろやられてしまっていると思われるのだけれど、人間の5感×コンピュータ等テクノロジーの進化×特に映像コンテンツの無限の組み合わせで、まだまだいろんなものがでてきそうな期待があるので、来年も凄んごいのをよろしくお願いします。
◆当Blog記事
IVRC2004 第12回国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト
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