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2007.03.29

■ベルトラン・シュミット監督  『シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』
  Chiméry Jana a Evy Švankmajerových

シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』(レン・コーポレーション)

 先日『ルナシー』の感想を書いてから、時間が経ってしまったけれど、名古屋シネマテークで同時上映されたこちらのチェコのTVドキュメンタリーも観てきた。

 期待していたのだけれど、あまりラディカルにシュウ゜ァンクマイエル迫っていく作品にはなっていなかった。
 同じドキュメンタリーでも以前観た『プラハからのものがたり』というプラハの街でシュヴァンクマイエルの創作の姿勢について突っ込んで描いていたものに比べると、ものたりなかった。どちらかというと、どこかでみた映画のメイキングもの的(実際『ルナシー』のメイキングなのだが、、、)。

 このドキュメンタリーへの僕の期待は、実はヤン・シュヴァンクマイエルというより、奥さんのエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーだった。エヴァのシュールリアリストとしての創作姿勢を物凄く知りたいと思っていた。
 彼女のメディアム・ドローイングという絵画作品にすごくインパクトを受け、文章を読んでみると、文体が凄くシュールリアリスムで戦闘的。過激さではもしかして、ヤンを上回るような気すらしてくるものだった。

 この映画では残念ながらエヴァはシュヴァンクマイエルの補佐的存在としか描かれていない。映画の中の情報として書き留めるとすると、『オテサーネク』が実は、エヴァが最初自分の作品として映画化しようとしていたものをシュヴァンクマイエルが自作として(勿論承諾を得た上で)制作に入ったというところ。

 一昨年、惜しくも若くしてエヴァさんは亡くなってしまったのだけれど、もし『オテサーネク』が彼女の監督作として撮られていたらと思うと残念でならない。あのメディアム・ドローイングの持つパワーが映画で全開されたと想像すると、身震いしてしまう。改めて、チェコのシュールリアリストに哀悼の意を表したい。そして北海道の画家深井克美にも。

<当Blog記事>
『深井克美―未完のランナー』 : Katsumi Fukai
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーさん 逝去 
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー回顧展カタログ 
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー:Eva Svankmajerova関連図録 
ベルトラン・シュミット監督  『シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』
   Chiméry Jana a Evy Švankmajerových

GAUDIA EVAŠVANKMAJERJAN―
 造形と映像の魔術師シュヴァンクマイエル展 幻想の古都プラハから
 

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