■『電脳コイル』 第4話「大黒市黒客クラブ」 電脳戦闘スタート 作画、本領発揮!
◆『電脳コイル』 万能の映像世界
いやー、第4話、素晴らしかった!
もともとこのミックスド・リアリなコイル世界でなら、現実に覆いかぶさる仮想映像として、どんな奇想なイメージが大黒市に登場しても不思議でない。今回は202X年の小学校で、リアルにミサイル戦(直進くんと追跡くんの活躍)が繰り広げられるというエキサイティングな映像が楽しめた。
このコイルの設定は、現実のちょっと先の科学技術でリアリティを確保し、どんな映像の自由度も獲得できる。まさにアニメーションにうってつけの素晴らしい設定。なにしろメガネに投影することで、どんな仮想映像でも街にリアリティを持って、登場できるのだ。
特撮の「怪獣と街の破壊」だろうが、ファンタジーの「魔法合戦」だろうが、SFの「知性階層を超える異星人のオーバーテクノロジー」だろうが、およそ想像できる映像の全てが大黒市に登場してもリアルにOK。かつ現実空間は物理法則と人間の肉体の制限があるので、作画の腕のみせどころ。
同じ電脳戦でも、『攻殻機動隊』との違いは、ミックスドリアリティが現実世界に適用されている点。現実の事物との相関関係で仮想世界が影響を受ける(例えば、現実空間にダンボールが置いてあると、ミサイルは貫通できない)ところ。これにより、あたかも仮想の電脳物質が現実に侵食しているような映像が手に入っているため、『攻殻機動隊』では描けなかった奇想でエキサイティングな世界が小学校に現出。
磯監督、この設定を思いついた時は、きっと興奮したと思う。まさに世界を創造するアニメーターにうってつけの設定。
第1話は、ポシェットから電脳釣竿を取り出す展開で、21世紀のドラえもんを目指すのかと微かに危惧の念を抱かせた(^^;)。だけどまさに今回でその危惧はきれいにぬぐい去られ、イマジネーションの飛躍する映像が校舎の廊下で炸裂。
◆第4話「大黒市 黒客クラブ」
今回の作画は、師匠とカリスマ-本田雄と井上俊一が作画監督をはなれ、筆頭原画。この自由な設定でいかんなく実力を発揮。(といっても僕にはどこが誰の作画か不明)
普通の生活芝居と戦闘がみごとにひとつの画面にレイアウトされ、この取り合わせが素晴らしい異化作用でセンス・オブ・ワンダーを醸し出していた(いや、ただかっこよかったと表現するほうが正しい(^^))。
今後、当然メカだろうが怪獣だろうが、小学生の小遣いが続けば(^^;)何でも可。派手なバトルを見せてくれるなら、全国のおじさんがダイチにお年玉を惜しまないだろう(なんのこっちゃ ^^;)。まずは以前に公式HPに掲載されていた左の不思議な生き物の暴れる姿がみたいもの(大黒市○○伝説??)。
◆イサコの過去
物語の縦糸を構成する「優子と勇子」のコミュニケーションの話も、今回の二人の会話でスタート。特にヤサコの金沢での過去を鋭く指摘したイサコの言葉が重い。
4話前半もいじめの描写があったが、こんなところから今の小学生たちのリアルな物語が徐々に立ち上がってくる。うちの娘をみていても(特にいじめられているわけでないが)、学校へ出かける時の雰囲気は、ちょっとした戦場へ向かうような表情をすることがある。
現実の学校社会のもろもろを聞くと、人間関係は僕たちが子供のころよりか随分とシビアなものになっているように思える。ストーリーのこの部分が今後どう視聴者の子供たちへくいこむか、これもひとつの現代的なみどころである。
ヤサコのアニメートで、背中を丸めて、手を前で合わせた独特の及び腰ポーズ。これもこの物語設定を作画で表現したものなのだろう。
◆磯監督の作画への関与
凄く知りたいのがこのポイント。
現在、磯光雄のクレジットは、原作・脚本・監督とデジタルエフェクトで、絵コンテ・作画は第1話のみ。つまりクレジットでは第2~4話はデジタルエフェクトを別にすると作画面の関与がないことになる(正確には第2話で美術設定も担当している)。
『未来少年コナン』で宮崎駿は、クレジットと別に絵コンテ、レイアウトから果ては原画修正まで作画の全領域に関与したらしい(今の映画でもほとんどそこまで関与してるらしい)。
アニメータとしたら、万能の映像設定を得た中で、存分に腕を振るいたいはず。少なくとも絵コンテは担当してもよさそうだけれど、、、、。監督としての修正等、どこまで関与しているか、今後、製作現場の様子を伝えるDVD特典とか特集本が望まれるところ。(まずはアニメスタイルでの小黒編集長のインタビューを待望)
◆関連リンク
・黒客 ・中国黒客連盟 中国のハッカー連盟。アクセスは要注意(??)
・NHK電脳コイル(公式HP)
6月16日(土) 午後3:00~5:00 教育テレビ にて「電脳コイル」の1~5話を一挙に放送する予定です。見逃してしまった方は、ぜひこの機会にご覧下さい。
<電脳コイル> 当Blog記事
・『電脳コイル』探索<3> 脳-電脳インタフェース
ブレイン-コンピュータインタフェースBCI/マシンインタフェースBMI
・第2話「コイル電脳探偵局」 ポストンくんと『グラン・ヴァカンス』グラスアイ
・『電脳コイル』探索<1> 複合現実と強化/拡張現実
ミックスドリアリティとオーグメンテッド・リアリティ
MR(Mixed Reality) & AR(Augmented Reality)
・第1話「メガネの子供たち」 と ミックスドリアリティ
・アニメータ磯光雄 と 監督作『電脳コイル』
・アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係
・『電脳コイル』 スタッフ公開!
・NHK試写会記者会見リンク
・NHK教育『電脳コイル』 はハイビジョンか?
・『電脳コイル』TAF2007プロモーション映像
・『電脳コイル』その他
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