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2007年8月

2007.08.29

■三菱電機 立体映像機能付きAV機器を開発中(?)
  2D-3D映像変換機能をPS3に装備(?)

3D映像機能を備えたPS3が2008年に登場?
3D-enabled PS3 coming in 2008? (原文)
そしてその情報ソース↓
 Mitsubishi planning 3D Blu-ray player for early 2008 | Crave : The gadget blog

 数人の他の科学技術のジャーナリストと共に、私は今日、ウェスチェスターCountry Clubで2,3時間を過ごしました。(略)それぞれの1組の高級3D眼鏡を手渡して、会社が扱う何らかの新しい3D画像技術のデモを我々に示しました。

 この記事、とても興味深い。
 ある人たちが三菱電機からDLPプロジェクタで3D映像のデモを受けた時の様子が細かく述べられている。そしてBlue-Rayプレイヤーを搭載したゲーム機で、既存の2D映像を3Dへ変換する技術が開発されているらしい。もちろん記事では、そのゲーム機はPS3だろうという可能性も書かれている。

 これが本当だとしたら、ハリウッドはあせるだろう。
 詳細は関連リンクの記事を見てほしい。ホームシアターのハイビジョン映像がどんどんレベルを上げていく中で、ハリウッドは映画館がホームシアターに勝るために、アメリカの劇場を立体投影の映画館へシフトしつつある。
 そんな中で、DLPのフルハイビジョンで家庭でも手軽に、立体映像がみえるようになったら、映画館には脅威だろう。

 おまけに、PS3で2D映画を3D映画に変換するような技術がもし出てきたら、、、。

 きっとその技術は、PS3の映像熟成機能を用いて実現されるのだろう。
 ゲーム機を人が使っていない時に、その高速のCPUパワーで、2D映像の動きから、物体の奥行き方向の情報を解析し、3D映画として左右の眼に別々に写すCGで加工して立体映像へ変換する。そういうのがPS3の熟成機能のひとつになる。

 その際には奥行きの強弱とか色合いとか、きっと自分の好みで3D変換のモードをいくつか選べるようになっているだろう、あたかもサラウンドのモードを選ぶように。

 立体映画好きには素晴らしい時代を予見させる技術。記事では来年の登場について触れている。こんなのが出たら、PS3間違いなく、買います。でも当面、きっと三菱としては新型DLPプロジェクターとのセット販売を目論むんだろうなー。

 僕もプロジェクターは三菱なので、是非旧型機への対応をお願いします。>>三菱殿。

 あと願わくば、ここのBlogでしっかり分析/記事にして宣伝するので、是非試写かデモ機貸し出しを!!こんなBlogじゃしょうがない、なんて言わずにもし読んでみえたら切に希望!(^^;;)とにかく早くそんな立体映像をこの眼で観たいのです。


◆関連リンク 当Blog記事
ジェームス・キャメロン3D『エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ:Alien of the Deep』と新作情報
スターウォーズを立体映画にする技術 In-Three Dimensionalization®
PS3は映像を熟成する究極映像装置か?!

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■レポート④ ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展(2)
   @ラフォーレミュージアム原宿

 展示会のレポートの続きです。

●人形たちのインパクト

 葉山の展示会の時にインパクトがあったのは、『ファウスト』の人形(『舞台装置』と名づけられた作品)だった。
 今回の展示でも『ファウスト』の人形とセットを使って、『小劇場』という作品が展示されていた。舞台の中のセットと人形は少し前回と違うが、たぶん両脇に立つ巨大な2体の人形は同じもの。
 全体の印象は何故か少し違っていた。照明の関係だろうか。 

 今回、インパクトがあったのは、『悦楽共犯者』の人形二体を使った『ロウバロヴァーとピヴォンカ』という作品。

 会場でこの二体がいる空間は、何かまがまがしいものが漂っていた。前回の『自慰マシーン』の猥雑な空間も相当だったけれど、インパクトではこちらが勝ち。

 その他『アリス』の人形たちによる3つの作品も存在感が素晴らしい。
 前回もあった『兎とボート』の兎の顔は何度観ても飽きない。あとその兎が洋服を脱いで、裸の樹の人形と対峙する『帽子屋』。そして魚の剥製の貴族たちの『家』。

 これらも人形の質感を想像しつつ、シュヴァンクマイエルがどうひとコマづつ、触覚しながら動かしていったかをイメージすると、さらに味わい深い。舞台の横やうしろにも回れるので、いろんな角度からそんな想像をするのが、シュヴァンクマイエルの撮影風景をよりリアルに体感できる。
 

●メデュウム・ドローイング

 エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの作品でとても気になっている『メディウム・ドローイング』であるが、今回も数点紹介されている。前回とは全部異なる作品で13作品。プラス『メディウム・オイル』と名づけられた同様のイメージの油彩の2点。

 いずれも眼や手や顔がモチーフになっていて、それらがなんとも言えない奇妙な、そして病的なタッチで捻じ曲がって描かれている。

 今回、ひとつ気づいたのは、モチーフとして二点に獣(たぶん狼)のイメージが大きく入り込んでいること。エヴァ氏はこうしたイメージをどのように抽出し、何を感じながら描いていたのか。抑圧したイメージが相当に浮かび上がっているので、質問するのが怖い気もするが、ご本人に一度でいいから聞いてみたかったと思う。すでに鬼籍に入られており、これは叶わぬことなのだが、、、。

 作品はいずれも2000年以降の最近のエヴァ作品。

 講座で話があったエヴァが書いていたヤン・シュヴァンクマイエルの映画脚本に、そうしたメディウム・ドローイングの内容が反映していたとしたら、、、。そして美術をエヴァが担当していたら、、、。シュヴァンクマイエル作品の幅をさらに深く広げることになったかもしれないこのイメージの導入は、我々ファンのイマジネーションを広げる。いや、この路線がファンを増やすのか減らすのかは、誰にも分からないのだが、、、。

Jan_svank_sign●触覚の一日としてのサイン会の意味

 そして17:00から整理券の順にサイン会が展示会場の外でスタート。

 順番がまわってきて、図録にサインをしてもらう。一人ひとりの時間が短いので、僕はペトル・ホリーさんを介して、講座がとても有意義だったことと、新作をがんばってください、と伝えただけだった。

 サインの際に握手をするのだけれど、シュヴァンクマイエルの手は大きく柔らかく暖かい感触を僕の手に残した。

 今日は触覚をめぐっていろいろと考えさせられた一日だったのだけれど、この握手の触覚がそんな一日の締めくくりになったのは、素晴らしく印象的で象徴的。

 この手が、あの映画作品のひとコマひとコマを作り出し、触覚実験を感覚していった手なのだ。ごく短い握手だけれど、その手の感触からいろんな触覚の想像を膨らませてしまった。まだ僕の手には、シュヴァンクマイエルの手が経験したいろんな触覚が微かだがイメージとして残っている気がする。その手が持っている感触がPCをタイピングする僕の指からこれら文章で伝わっていたらいいのだけれど、、、。

 このシュルレアリストのサイン会と握手は、触覚というキーワードで他と違う特別な意味を日本のファンにもたらしたのかもしれない。

 行かれた他の皆さんの触覚はいかがでしたか。コメントいただければ幸い。

●ちょっとしたまとめ

 2ヶ月前にダリ展を見に行ったけれど、実はあまり感動しなかった。高校の頃からずいぶん好きだったはずなのに、実物を見てもインパクトを今は受けなかった。

 シュヴァンクマイエルの作品は、ダリに比べると一見美術的な価値は低く見える。知名度はもちろんだが、ダリのがフォーマルな絵画の文脈の中にあり、シュヴァンクマイエルのアートはそこから外れてジャンクな感覚に溢れている。

 ダリ展の年齢層のそれなりに高い客層に対して、今回は若い人がほとんどな会場をみて、ダリが20世紀の代表的シュルレアリスムなら、こちらのジャンクで肉感的なシュヴァンクマイエルがもしかしたら21世紀のそれになるのかも、なんてことを考えていた。

 幻想的なチェコ人形アニメーションの映画作家という現在のシュヴァンクマイエルの位置づけは、しか本来映画の文脈だけでとらえるのでなく、映画にも絵画やオブジェやそうしたアートにも反乱を続ける戦闘的シュルレアリストと捉えなおした方がいいのではないかと思った今回の展示会だった。

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■レポート③ ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展(1)
   @ラフォーレミュージアム原宿

Laforet_svank ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展
~アリス、あるいは快楽原則~
(公式HP)

夢と現実、秩序と混乱・・・
カオスを漂うシュヴァンクマイエルの自由世界へようこそ

会場/ラフォーレミュージアム原宿
期間/2007.8月25日~9月12日

 待望の美術展がスタートした8/25に、観てきました。

 既にレポートした朝日カルチャーセンターの講座とあわせて、東京へ出かけることにした。シュルレアリスムに理解のない家族にはまるで韓国スターに会いに行くおばさんみたい、と言われつつ(苦笑)。ま、チェコまで行ったと思えば安いし、この機会に会えれば、と思った僕の感覚はそうした人たちに近いでしょう。

 ヨン様ならぬ、ヤン様だね、と家族に自虐的に言って出発。あんまりだ。
 どうせ君たちには戦闘的シュルレアリストに会ってみたいなんていう僕の感覚はわかんないんだ(^^;)。

◆ファースト・コンタクトと骨骨ファースト・フード

 朝10:30に炎天下のラフォーレに着いた。もう既に長蛇の列。列の後ろにつくとサイン会の整理券97番です、11時までここで並んでください、と言われる。
 どうせ東京まで出たんだからしっかり充実させようと思っていたので、炎天下だけど並ぶことにする。それにしても若い人ばかりの中に並ぶのは、なかなか抵抗が、、、。にしても直射日光が暑かったー。

 やっと11時に会場へin。しかしそこからさらに図録を買って整理券をもらう順番をラフォーレの階段に並んで待つ。

 で、並びつかれた30分後。
 突然、階段を下りてくるチェコのシュルレアリスト。オープニングセレモニーが終わった会場から出てきたらしいシュヴァンクマイエル氏は、僕たちの横を手を振りながら、にこにこして軽やかな足取りで通り過ぎていく。
 今、ヤン・シュヴァンクマイエルが近くにいるんだ、という現実感のない感覚が到来。とにかくこれだけで並んだ汗は充分報われた感じ。

 図録を買った上で、整理券をもらって会場を後に。今度は13:00の新宿の講座へ移動だ。移動前に原宿で昼飯。やはりシュヴァンクマイエル・デーは骨骨なフードが似合うと、骨付きチキンが食べられる駅前の名も知らぬファーストフード店へ。手が油でベタベタになるあの触感とスパイシーな味覚を感じつつ、新宿住友ビルへ。(朝日カルチャーセンターの講座の詳細はこちら)

◆ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 

Laforet_svank02

 講座で直にアーティストの言葉を聞いた後、その作品をじっくり観る。これは作品が我々に与えるイメージをある領域へ縛り付けるリスクもあるけれど、語られた思想をダイレクトに生の作品で体感できるという贅沢なチャンスでもある。

 そんなワクワクした気持ちで再び原宿へ。

 会場の広さは葉山の神奈川県立近代美術館で05年に開催された展示会に比べると狭いと感じたが、作品数は葉山165点から今回の216点(除資料)へと拡大し規模は大きくなっている(図録を数えたので点数は正確かわかりません)。

 まず骨のオブジェの06年新作「ヤマアラシの馴致」が観客を出迎える。
 このヤマアラシくんの愛嬌が素晴らしい。卵と骨で作られた愛嬌。この不気味とユーモアのバランスがシュヴァンクマイエルファンにはたまりません。

●視覚と触覚のジャンクイメージ

 そして葉山でも凄いと思った猿の剥製を貝殻や鉱物でキメラ化した「食虫動物Ⅳ」。これは圧巻。ずっと観ていたい。
 そして今回、講座の言葉がまざまざと脳裏に。触覚をフル稼働して触れぬ作品を脳内で触って体感。そうすると以前の展示と違った見方が立ち上がってくる。あくまでも映像として視覚で感じていた作品が、もうひとつ豊かな触感として脳内にイメージを沸き起こす。
 つまり猿の体毛に触る柔らかい感覚、鉱物のごつごつした手触り、貝殻の軽密度な独特の触感。そうしたものが綯交ぜになった独特の触覚イメージと、視覚から入ってくるブラックでシックでシュールなキメラ映像の融合。この感覚はどう表現したらいいだろう。触れないことによる想像力の倍加イメージも手伝って、このジャンクな感覚は、新しいものだった。

 シュヴァンクマイエルが描くオブジェに込めたものは、その素材の選定から触覚を大いに意識したものであることがぐっと身近に体感される。

●何故、触覚のシュルレアリスムなのか

 何故彼が触覚芸術に目覚めたかは、今回の講座では、映画が当局の弾圧で撮れなくなって、その期間に何か新しいことをしようとして触覚実験をしたと語られただけだったけれど、僕の推定はこうだ。

 粘土や樹の人形を使ってコマ撮りをするアニメータは、長時間手を使って撮影対象をこねくり回す。これは映画監督や2Dアニメ監督が対象を視覚と聴覚だけで捉えているのに対して、圧倒的な差異である。コマごとに粘土の形を指で変え、視覚的な形状の小さな変化の連続を映像として捉える。しかし彼の手はその触覚をひとコマごと感覚し、試写の際にはその触覚を明瞭に頭の中に再生しているのではないか。ひとコマづつが連続して流れることにより、その触覚の記憶も連続的に。

 ここでクリエータの脳内イメージとして感じられているのは、視覚だけでなく触覚の連続的なイメージである。粘土が変形する指がそこに食い込んで行くヌルッとした感覚。人形の材料である樹木の断片の持つごつごつした手触り。

 講座で映写された『闇・光・闇』が持っていたのは、粘土、樹、布、卵、毛、そして骨や動物の内臓や脳の手触り。脳そのものの手触りを脳内イメージとして視覚と触覚が稼動して立ち上げる。

 人形劇とコマ撮りアニメから出発したシュヴァンクマイエルのシュルレアリスムが触覚の芸術へと向かったのは、こう考えると必然に感じられる。

 そんなことを考えつつ観る、オブジェ作品は、今まで以上に刺激にとんだ脳内イメージを沸き起こしてくれた。触覚を想起しながらの鑑賞をお薦めします。

★長文になったので、続きは(2)で書きます。

◆関連リンク
渡邉裕之編集『ヤン&エヴァシュヴァンクマイエル展 アリス、あるいは快楽原則』(amazon)
Blog 辛酸なめ子の女一人マンション シュヴァンク先生

◆当Blog記事 関連リンク
造形と映像の魔術師シュヴァンクマイエル展 
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー回顧展カタログ
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー関連図録
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーさん 逝去
『GAUDIA(ガウディア)造形と映像の魔術師 シュヴァンクマイエル』

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2007.08.28

■レポート② 公開講座 シュヴァンクマイエル氏と語ろう(2)
   (朝日カルチャーセンター講座)

Analogon  右の写真は、僕の持っているチェコ・シュルレアリスム・グループの会誌『ANALOGON』。今回の講座で、チェコアニメの文脈でなくチェコ・シュルレアリスムの側面で感じるものが多かったので掲載。

 ではさっそく講座の続きです。

◆⑥『闇・光・闇』はトゥルンカの『手』の影響はあるか、また『オテサーネク』はチェコの伝承の話、ポーやキャロルらの原作、そうしたいろいろなものの作品への影響について聴きたい。

 チェコの人形劇の伝統の影響を受けている。特に7~9才の頃に両親に買ったもらったこのくらい(注. 20cmくらいを手で示す)の人形劇セットの人形で遊んでいたのが大きな影響になった。子供の頃、内気でいろいろな問題を抱えていたが、善玉と悪玉を誰かに見立てたりして、人形で問題解決していた。

 これがプラハで人形劇学部へ入った理由。映像の教育は受けていないが、映画にこれだけ人形とか書割とか出てくるのは、この影響。

 ポーやキャロルについては、生き方の一部というくらいの影響がある。 
 ただそうした本や映画については、筋はすぐ忘れてしまい、筋と関係ない部分が残り、それが作品に影響する。

 たとえば『アッシャー家の崩壊』では筋ではなく、流れてくる泥を活躍させたくてあの映画を作った。そうした細部の切抜きから、間違いなく私の作品として作り出している。

 クレジットするのは、断らないと盗んだことになるから(笑)。

◆⑦作品を作り上げて観客に届く時に、日本語字幕が入るとか、本来の表現からどうしても変わって死んでしまう部分がでてくる。自分の中に入って出ていく時に変わってしまっている。この時の感情をどう思うか。

 いつもそれはハンディ、気になって仕方がない。
 それなので長いことセリフを拒んでいた。

 また作品を作る場合、プロデューサや観客(の受け止め方)を気にしないように。それが結果的には観客のためにもなる

◆⑧『人間椅子』は何がよかったか。そして何をイメージしたか。

 江戸川乱歩はその名前だけでなく、作風もポーの影響を受けている。そして日本のオリジナリティを持っている。
 『人間椅子』は乱歩の触覚主義にびっくりした。私たちが70年代にやった触覚実験の結果に非常によく収まっている。こんなのが日本にあったんだとすぐに気に入った。

 『人間椅子』は「触覚的文学」。早くに知っていれば『触覚と想像力』でも触れたかった。今のところ挿絵のレベル。(注. 将来映像化の可能性を含ませたニュアンスだったと思う)

 他の「触覚的文学」としては、フランスのラシェルド(?)『魔法使い』とか詩人のアポリネール(?)『わが友ルードヴィヒ』とかがある。

◆⑨卵と髑髏を使う理由は。プラハ城で髑髏の置物を見たが、チェコでの髑髏の認識は何かあるか。

 卵は誕生、髑髏は人が亡くなってからの様。チェコ文化としての特別な意味はない。
 骨については、建築の素材として優れている。物体として巧みなことができ、オブジェに使っている。
 卵は子供の頃、スクランブルエッグが(嘔吐されたもののようで)気持ち悪くて食べられなかった。強迫観念があった。今は、食べられます(笑)。

 今日は限られた時間でまだまだ質問があると思う。その答えはラフォーレ原宿の展示から得てほしい。

 最後、大きな拍手の中、微笑みながらはにかみ気味に出て行くシュヴァンクマイエル氏のうしろ姿が印象的でした。

レポートの最後に

 触覚の芸術とか想像力による反乱というのは、シュヴァンクマイエル氏がいろいろなところで書いている/インタビューに答えている言葉である。しかしそれを直接生で聴けたのは、とても有意義。

 目の前で直に話を聴くのは書かれたものを読むのとはまた違う。コミュニケーションとしては身振りや顔の表情といった文章だけでない情報が加わる。
 そして加えて眼。僕は一番前の左側にいたので、時々視線が合う。講座の内容にもあるが、まさに眼は心の窓。大げさに言うと、視線のコンタクトでシュルレアリストの心を直接覗けたわけだ。今まで読んで知っていたことが、それだけでない実感として伝達された。

 本当にその視線は優しく暖かいものだった。あの作品の過激さは、口から述べられるラジカルな言説は別にして、御本人の雰囲気からは感じられない。あの暖かい雰囲気がただグロテスクなだけでないシュヴァンクマイエル作品の素朴なユーモアの源泉のような気がした。

 この講座の後、ラフォーレ原宿の美術展へ向かう。そこで観た作品200点は以前の葉山のものともダブっている。しかしその見え方は少し変わっていた。

 特にポイントは、触れないオブジェや映像作品もかなり触覚を思い出させるようなものになっているということ。あらためてこの講座の後、展示作品を見ると、今までオブジェ等も視覚としてみていたが、それに触った時の触覚を想像しながら見るとずいぶん変わった印象になる。講座で伝わったイメージをもとに、脳の中の触覚感覚を呼び起こしながら見てみる。「触覚の芸術」というのが、実態として迫ってくるのが感じられた。(展示会については別に追ってレポートします。)

講座の様子、そして想像力。

 最後に講座の状況から無理やり日本のコアなシュヴァンクマイエルファンの様子を想像してみる。

 会場はほぼ20代の若者が95%。特に女性が9割くらい。しかも上の9つの質問は女性からのみ。

 シュヴァンクマイエル作品は葉山の展示も若い女性ファンが圧倒的に多かったし、今回の展示会場も7割くらい女性だった。

 全般的に最近は美術展とか行くと女性が多い傾向なのだけれど、特にシュヴァンクマイエル作品は顕著。この視点で分析するのも面白そう。(女性が社会で感じている現実と、そこを突破するためのシュヴァンクマイエルの体内的な感覚の芸術による反乱、という切り口でひととおりの分析の言説は書けそうに思うが、それこそシュヴァンクマイエル氏が嫌う人の想像力を何らかの形の中に閉じ込めるような行為かもしれない。)

 もちろん『アリス』とかその他、どこか可愛らしい人形やオブジェが、なんとも言えない独特のユーモラスを身に纏って現われる部分が女性に受けているのかも。

 (ちなみに僕はエヴァのメディウム・ドローイングについて突っ込んだ質問をしたかったが、会場はシュヴァンクマイエル本人のことを聞きたい空気が強く、エヴァさん中心の質問をしそびれました(^^;)。
 僕は語り合えはしなかったけれど、先に述べたように御本人の視線を感じながら、シュルレアリストの思想を聴けたのは、とても貴重な経験だった。遠い東欧の地で語られていたチェコ・シュルレアリスト・グループの息吹を少しだけ受け止められたかもしれない。「想像力は現実の原理に対する反乱である。解放せよ。」この言葉は、究極映像研の座右の銘のひとつとして、しっかりと刻まれた。(なんちゃって(^^;)))

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2007.08.27

■レポート① 公開講座 シュヴァンクマイエル氏と語ろう(1)
   (朝日カルチャーセンター講座)

Svank_asahi_calture シュヴァンクマイエル氏と語ろう
 詳細
(朝日カルチャーセンター)

映像作家、シュルレアリスト:
     ヤン・シュヴァンクマイエル
チェコセンター所長:ペトル・ホリー

講座の内容:
 その作品の日本語訳も手がけるなど親交の深いホリー氏をまじえて、短編作品を見ながら受講生とディスカッションを行います。※短編作品のタイトルは当日のお楽しみとなります。

場所:新宿住友ビル7階
期間・曜日・時間:8/25 土 13:00~14:30

■上映作品 『闇・光・闇』

 この作品を特にディスカスするということでなく、結果的には参加者がシュヴァンクマイエル氏に聞きたい事を質問し、その回答の中で『闇・光・闇』に触れるという形になった。
 質問者は日本語、ペトル・ホリー氏が間に入られて訳し、シュヴァンクマイエル氏が答える。

 こうしたファン(今回約100名)とシュヴァンクマイエル氏の直接の対話はもちろん日本では機会が少ないので、ファンには大変貴重な1時間半。質問は次から次へと手が挙がり、終わってもまだまだ会場には質問したい空気が溢れていた。

 以下、9つの質問とその後のシュヴァンクマイエルの回答のポイントをできるだけニュアンスを表現できるように書いてみた。長文なので、2回に分けて掲載。

(下記の表現はダイジェストなため少し硬いが、会場は終始、彼と今回通訳を務められたペトル・ホリー氏が質問者聴講者に気づかいし、ほほえみながら和やかに進行したことを最初に付記。)

◆①五感のうちどれを大切にしているか。
  もしどれかひとつだけ失うとしたら、どの感覚を選択するか。

 重要視しているのは触覚。失っていいとしたら嗅覚。

 この世を我々は五感で感知している。世界に興味があるので、五感にも興味を持ってきた。現代文明は機材を使うことで手を直接使わなくなったり、触覚を忘れがち。そこで触覚実験をチェコシュルレアリスム協会で皆の協力を得て実施した。
 その結果は1974年に地下出版で5冊だけ『触覚と想像力』を出した。このうちの一冊を展覧会で展示している。
 触覚はエロティシズムと関係している。
 皆さんも触覚芸術作品を作ってほしい。『闇・光・闇』も触覚そのもの。

 嗅覚は動物には重要だが、人間にはそれほど重要でないと思う。 

◆②作品に食物が出てくるとまずそうに見える。何か嫌悪感があるか。

 (1)イデオロギー的な答えと(2)個人的な答えの二つがある。

 (1)文明は(資源を)食べつくしてしまう。大きな国の押し付けとか、消費性の恐ろしさを表現している。
 (2)子供の頃、体が弱く、食べることをいろいろと強制された。今は食べることが大好きだが、この子供時代の強迫観念が映画に出る。決してチェコ料理がまずいというわけではない(笑)。今でもゆでたタマネギは大嫌い。親子丼でも玉子丼でもタマネギをはずす。生のタマネギは大丈夫。

◆③エヴァさんというパートナーを失われた。共同制作についてお話を聴きたい。

 性格は180度違っていたが、よりよく連れ添えた。
 私は内気で、エヴァは対照的。また私は戌年で、エヴァは辰年。(注.チェコにも干支があるようです。これが性格とどう関係するか、説明はありませんでしたが、、、。)
 二人の関係はダイナミックな時もあったが、それが調味料のようでもあり、退屈しなかった。 
 彼女は画家で詩人だった。作風が独特でエヴァのものは彼女のものだとすぐにわかる。共同作業で作風のどこが混ざっているか、展示作品で確認してほしい。 
 私の長篇映画の脚本をエヴァが手がけていたが、05年に急逝し完成できなかった

◆④作品を作る時は、アイディアとテーマ性とメッセージ性のどこから入るか。また原作がある場合、それをどのように選択しているか。

 作品を作る時の想像力についての質問として答える。
 想像力の扉の鍵を持っているかどうかが問題。鍵は夢、心理オートマティシズム、エロティシズム、幼少期の経験、快楽原理といったもの。

 想像力は文明が押しつぶそうとしているものからの解放。学校、会社、警察、宗教といった現実の諸原理が文明の持つ圧力。これに対して、例えば快楽原理の道とか、想像力の自由を守ることが必要。自分の解放、心の解放が想像力への道。これは現実の原理に対する反乱である。

 国の体制や社会は今の世界が素晴らしいと人々に思い込ませようとする。それに対する反乱=想像力。

◆⑤『闇・光・闇』もそうだが、映像に舌や唇や口が良く出てくる。これらについて触覚の面、トラウマの面で何か想いがあるか。

 口は体の器官のうちで最もアグレッシブ。何もかも食べてしまう。チェコでも「目は心の窓」と言うが、私は口もまさにそうだと思う。

 俳優の配役でも目と口で判断している。
 下手な役者でも映像の編集等の持つ奇跡で救えるが、からっぽな目と口では救いようがない。

 『アリス』の主役の少女を選んだときは、目が素晴らしかった。両親の離婚とかを経験した後だった。(そうしたものが現れていたのかもしれない、というニュアンス。) ただ口が気に食わなかった。そこで口のクローズアップだけは、別の俳優のものを使った。

☆あと4つの質問は、次回掲載。

◆関連リンクNinngennisu_3
江戸川乱歩著 シュヴァンクマイエル画『人間椅子』(amazon)
渡邉裕之編集『ヤン&エヴァシュヴァンクマイエル展 アリス、あるいは快楽原則』(amazon)

当Blog記事 
造形と映像の魔術師シュヴァンクマイエル展 
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー回顧展カタログ
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー関連図録
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーさん 逝去
『GAUDIA(ガウディア)造形と映像の魔術師 シュヴァンクマイエル』
『シュヴァンクマイエル PREMIUM BOX』 限定913部 発売

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2007.08.26

■ヤン・シュヴァンクマイエル新作『サバイビング・ライフ』準備中
  Přežít svůj život:SURVIVING LIFE, Jan Svankmajer

 ラフォーレ原宿の展示会「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 ~アリス、あるいは快楽原則~」の図録に掲載された年譜に、新作の情報がありましたので紹介します。

 年譜の2007年のところに「映画『サバイビング・ライフ』(仮)を準備中」とあります!
 ネットの情報を調べてみました。詳細はわかりませんが、いくつかの手がかりを発見。

Czech Film Commission - Media Links

Surrealist filmmaker Jan Svankmajer, whose latest film, Lunacy, is included in this year's Tribeca Spotlight section, has announced his next project: Surviving Life (Theory and Practice) will be Svankmajer's first since the death of his wife and long-time collaborator, Eva Svankmajerova.

 エヴァが亡くなった後、初の作品、とあります。これまでのコラボレーション作品との違いがどう出てくるか?

Czech film fund slashed

In the future, even such Czech creative heroes as Jan Svankmajer, whose animated pic-in-progress, “Surviving Life,” won about $376,000 this year

 これは予算について述べています。37万ドルというのが、今年度の予算ということでしょう。いくら東欧といっても全体予算としては低すぎるので、、、。

Přežít svůj život

Originální název:Přežít svůj život
Žánr:horor / animovaný
Režie:Jan Švankmajer

Final Draft of Screenplay

Přežít svůj život (teorie a praxe) Surviving Life (theory and practice)

 原題です。(  )の中の「理論と実践」が副題なのでしょうね。

Přežít svůj život(pdf)

 たぶん2002年に書かれたシナリオ(!!)。このPDFファイルのP130-149。ただ全部チェコ語なので、どなたかチェコ語の読める方の情報をお待ちします。

Czech Presence at the 35th Intl

Czech projects selected for CINEMART 2006:
SURVIVING LIFE, Jan Svankmajer, Athanor (Czech Republic)

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2007.08.25

■ヤン・シュヴァンクマイエル来日!! イベント情報

Jan_eva_200708_2 朝6時に出発して、先ほど深夜11時に帰宅。新幹線の強行軍で8/25、日帰り東京シュヴァンクマイエル詣でをしてきました。

 ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展~アリス、あるいは快楽原則~ (公式HP)シュヴァンクマイエル氏と語ろう (朝日カルチャーセンター講座) (公式HP)へ行ってきました。思わずラフォーレ原宿ではサイン会にも参加(^^;)。

 とにかく感激しましたが、年齢的にこんなことをするとヘビーっす。
 というわけでレポートは後日。今回の来日に関係したイベント情報だけ取り急ぎ、ご紹介。今日の講座でのペトル・ホリーさんの情報によると、水曜に来日された後、大好きな四川料理を数回食べ、展覧会のセッティングとイベントを頑張られているとのこと。

TOWER RECORDS JAPAN : インストアイベント

8/26(日)18:00~ヤン・シュヴァンクマイエルサイン会新宿店10F

 既に整理券は配布終了とのこと。

◆TSUTAYA TOKYO 六本木店:ROPPONGI サイン会(展覧会チラシより)

 8/27(月)19:00~ヤン・シュヴァンクマイエルサイン会

 こちらは まだ整理券、間に合うらしいですが、店へ問い合わせて下さい。

「シュヴァンクマイエルの魔術的世界」 武蔵野美術大学公開講座 [2007.8.27開催].

●日時:2007年8月27日(月) 13:00~15:00
●内容:ヤン・シュヴァンクマイエル氏による講演とアニメーション作品上映。
●会場:武蔵野美術大学鷹の台校
●定員:450名
●受講お申込み方法:定員に達しましたので、受付を終了いたしました。

◆関連リンク
Ninngennisu_3江戸川乱歩著、
 シュヴァンクマイエル画『人間椅子』
(amazon)
 (エスクァイア公式HP)

『人間椅子』のために描かれたイラストにより、あの傑作短編がまったく新しく甦る。
2007年、「怪奇」の定義は、この1冊によって更新される。

 これぞポップ!!素晴らしい傑作が誕生しました。

渡邉裕之編集『ヤン&エヴァシュヴァンクマイエル展 アリス、あるいは快楽原則』(amazon)

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2007.08.24

■京極夏彦原作 原田眞人監督 映画 『魍魎の匣』

Mouryou魍魎の匣【もうりょうのはこ】
          (公式HP)

堤真一:中禅寺秋彦役
阿部寛:榎木津礼二郎
椎名桔平:関口巽
田中麗奈:中禅寺敦子
黒木瞳:柚木陽子

HARADA FREAKS FILMOGRAPHY#16 魍魎の匣

撮影期間:2006年12月6日02007年1月31日/2007年12月公開予定
配給SHOWGATE/製作:「魍魎の匣」製作委員会、小椋事務所、フューチャープラネット/127分/
CAST: マギー、堀部圭亮、荒川良々、大森博史、池津祥子、笹野高史/官藤官九郎、柄本明
原作:京極夏彦、企画:遠谷信幸、脚本:原田眞人、撮影:柳島克己、照明:高屋斎、助監督:谷口正行、音楽:村松嵩継、編集:須永弘志、美術:池谷仙克、装飾:大坂和美、VFXスーパーバイザー:古賀信明、衣裳:宮本まさえ、プロデューサー:小椋悟/井上潔

記者会見

京極夏彦:
 前作の後、原田監督に決まり、最初に脚本をいただきました。それが大変面白かったので「面白いです」と言ったところ、それから更に何稿も何稿も手を加えられたものができていきました。脚本を読んだだけでとても楽しみになる作品だと思いました。

 07.12/22に公開決定したようです。上のデータから見ると、撮影は2ヶ月ほどで年初に既に終了しているようです。なんで公開が年末までかかるのでしょう。

 公式HPの写真を見ると、なかなかいい雰囲気。椎名桔平の関口巽、期待できますね。

 でも僕は京極作品ファーストコンタクトが『魍魎』だったので、いまだに最高傑作は本作。あの脳内世界をどう映像として構築しているか、このHPを見て楽しみになってきた。

◆関連リンク 当Blog記事
原田眞人監督で京極夏彦『魍魎の匣』映画化

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2007.08.23

■ヤノベケンジ作 絵本『トらやんの大冒険』
  & ヤノベケンジ展『トらやんの世界』

Torayan_no_daiboukennトらやんの大冒険(予約)(赤々舎 公式HP)

※予約注文していただくともれなくヤノベケンジサイン入でお届けします!!
ヤノベケンジが初めて手掛ける絵本「トらやんの大冒険」。
小さな小屋にひとり住む主人公・「トらやん」が、
小さな太陽を拾い上げ、大きな太陽へと成長させていく冒険ストーリー。

Giant_trayan_2 ヤノベケンジ展トらやんの世界
     07.8/1(水)~9/24(月)
霧島アートの森
    広がる機械彫刻の世界

本展は、彼自身が初めて手掛ける絵本「トらやんの世界」のストーリーに従って、全長7.5mにおよぶ巨大ロボット「ジャイアント・トらやん」をはじめ、1990年代の作品群、霧島の神話からイメージして生まれた新作までが集結。ヤノベケンジのこれまでとこれからを一挙に展観できる、九州では初の本格的な展覧会となります。

札幌宮の森美術館 ヤノベケンジ展 「トらやんの大冒険」 07.9/7(金)~10/8(日)

バーコード頭にちょび髭、世紀のトリックスター、なにわの「トらやん」が宮の森にやって来る!

 ひさびさにヤノベケンジ情報。
 絵本と連動したふたつの美術展。

 赤々舎のHPで、絵本の中の複数の絵が見られます。たしかにトらやんの世界は絵本が似合うのかもしれない。

 ジャイアント・トらやんも各地で活躍してますね。物体の巨大さが持つアートとしてのインパクトを観たい方はこの機会に是非。(上の写真は、僕が豊田市美術館で撮ったもので、霧島と札幌での展示形態と火炎放射の有無は美術館公式HPでは今のところ不明。下記リンクの横須賀での展示は座った状態で火炎を噴いたようです)

◆関連リンク
・当Blog記事
 ・ヤノベケンジ ジャイアント・トらやん・ファイアー@豊田市美術館
  巨大ロボットが火炎を吹く、トらやんファイヤーはこちら。
 ・Antenna×ヤノベケンジ -ジャッピー、トらやん、そして第3の塔-
 ・ヤノベケンジ 『取手終末チネチッタ(CINECITTA)』 
 ・ヤノベケンジアートプロジェクト 「トらやん」フィギュア 

ヤノベケンジ『トらやんの大冒険』(amazon)
・Youtube ヤノベケンジ トらやん@横須賀 火を噴くムービー
EDELWEISSさんの 霧島アートの森・ヤノベケンジ展 レポート 

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2007.08.22

■予告編 "Blade Runner final cut"
  『ブレードランナー・ファイナルカット』

Blade_runner_final_cutBlade Runner Final Cut trailer(Youtube)
 (ちゃいるどふーず・ねばー・えんど経由)

「ブレードランナー ファイナル・カット」ベネチア映画祭でプレミア上映[eiga.com 映画ニュース]

 リドリー・スコット監督が再編集に取り組んでいた「ブレードランナー ファイナル・カット」がこのほど完成。今年の第64回ベネチア国際映画祭(8月26日より開催)にてワールドプレミアが行われることが決定した。

 「ブレードランナー ファイナル・カット」は、82年公開のオリジナル、92年公開の「ディレクターズ・カット」に次いで公開される「ブレードランナー」の“最終版”。公開25周年にあたる今年にDVD発売の照準を合わせて、監督のリドリー・スコット自ら、82年のオリジナル版フィルムにデジタル・リマスターや再編集を施したもので、部分的に追加撮影された箇所もあるというファン垂涎の“新作”だ。

Blade Runner: The Final Cut: Two-Disc Special Edition DVD

 なんと25年たって部分追加撮影を含めた最終版の公開。よほどリドリー・スコットは想い入れがあるのでしょう。なら、市川昆みたいにセルフリメイクすればいいのに。今のCGI技術と『ブレード・ランナー』の組合せは、一度観てみたい気もする。

 どうせなら、ディックの『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』にもっと忠実な映画として、スコット監督以外で再映画化というのも観たいけれど、、、。

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2007.08.21

■押井守監督 『天使のたまご』

Tentama_2天使のたまご - Wikipedia

 1986年制作のOVA。
 NHKアニメギガの「とことん!押井守」の録画で二十年ぶりに観た。

 1986年当時に期待して見た僕の感想は、はっきり言って思わせぶり過ぎて抽象的で受け入れ難いものだった。天野喜孝のイメージ画が素晴らしかったし、『ビューティフル・ドリーマー』の直後の作品で、さらに先を行ってくれるのではないか、という期待があったわけだけど、抽象過ぎてそのようなものには昇華できてない、というのが正直な感想だった。

 で、今回観るのは二度目。そして今回それほどわかりにくい話とは思わなかった。だけどその抽象性はやはり狙い通りのもので、イメージ先行の作品という感想は変わらない。
 で、やはり幻想と現実とか、そういった『ビューティフル・ドリーマー』的観点からみても、そこを超えるものを提示しようとしたわけでないことはよくわかった。

 押井守の中に熟成されている聖書とかヨーロッパ(特に東欧か?)とかロシア(タルコフスキー?)のイメージを、陰鬱な光と影と水の映像として描くことが映画の主テーマとして設定されている。現実にその試みは石畳のゴシックな街の映像に、魚の影の映像であるとか、化石のイメージが見事に構成されていて、一種のイメージ画映画として観てもなかなか素晴らしい。

 後年、『イノセンス』や『めざめの方舟』でそれをさらに先鋭化したイメージ映像の世界は進化して描かれているが、この『天使のたまご』もそうしたところを楽しむのが監督にとっても観客にとっても幸福なあり方なのだろう。僕はこの映像に川井憲次の音楽をかぶせたものを一度観てみたいと夢想してみた。随分と印象は変わるだろうと思う。

DVD『天使のたまご』(amazon)

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2007.08.20

■黒沢清監督 『叫』

映画 『叫』 (公式HP)

 DVDが出たので、観ました。
 恐怖描写の腕は、あいかわらず冴えている。そしてただ佇むだけでなく、ぐぃぐぃと行動を推し進め、あげくには、、、、。今回もこのエスカレートしていく描写がなかなか。(階段から飛ぶところ伊原剛志の例のシーンとか、かなりキワモノで笑えるシーンもあるけど、、、。)

 僕は特に、小西真奈美の不思議な存在感が印象に残った。あのスタンスがわかりにくい部分、葉月里緒奈よりずっと怖い。こういうとらえどころのないどっか狂った存在を描かせると、黒沢清の右に出る人はいない、と今度も感心。

◆関連リンク
『叫』プレミアムエディション(amazon)

「アナザーエンディング 追跡『叫』幻のラストシーン」
劇場公開時には惜しくも未公開となったラストシーンを特別収録。
なぜ、どうしてカットされたのか?幻となった「もうひとつのエンディング」をめぐる軌跡を黒沢清が語るインタビュー&メイキング映像も同時収録。

真魚八重子氏 アヌトパンナ・アニルッダ
  DVD『叫』 黒沢清監督インタビュー 未収録分 【第1回】
第2回 第3回 【最終回】 

 DVDプレミアムエディションの特典映像で、アナザーエンディングというのが気になる。残念ながら通常レンタル品にはこれが入っていないので、どんなものか未見。
 あとインタビュー未収録分はリンク先のインタビュアーを務めた真魚氏のHPに掲載されており、とても興味深いコメントが読めます。
 最終回、真魚氏の用意した質問と監督の答えがシンクロしていく過程が凄く面白い。特にラストのアメリカ映画と「映画の原理」について、とそれをホラーに適用することによる黒沢作品の難解さについての部分が素晴らしい。

当Blog黒沢清 関連記事

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2007.08.19

■マイケル・ベイ監督 『 トランスフォーマー』

Transformers_cityトランスフォーマー(実写映画) - Wikipedia
トランスフォーマー - Wikipedia

 『トランスフォーマー』を観てきた。
 実はアニメもろくに観たことがなく、『トランスフォーマー』については、さっきWikipediaでいろいろ知ったくらい。

 まさにオモチャを買う幼児が大喜びしそうな「ぼくの乗り物がロボットに変身して悪と戦う」というシンプルなストーリーに、マイケル・ベイ印のブロックバスターな大味のハリウッド調の味付けが、、、。

 といいつつ、実は映画全体としては、かなり満腹になって帰ってきた。

 何が凄いって、最後の市街地戦の物量大作戦。もともとダムの秘密基地で戦えばいいはずなのに、少尉は市街地へ行こうと何で言い出すのか、さっぱり理屈は通らないけれど、映像的には市街地で大正解なクライマックス。

 『ブラックホークダウン』や『プライベートライアン』を思い出す迫真の市街戦、しかもロボットが動く動く。ほとんど眼が何を追っているかもわからなくなるくらいのスピード感で進んでいくアクション。これら戦争映画や『宇宙戦争』で鍛え上げられたハリウッドのドキュメンタリータッチの市街戦描写(カメラワーク命)と、CGIのロボットの迫真の演技。しかも『宇宙戦争』の3倍くらい(体感)の特撮シーン。

 これでリアルなロボット戦闘物を作ってくれたらどんなにか、、、と頭の中で別のロボットものへ差し替えつつ楽しんだ部分もあるけれど、この映像は劇場の大音響の中で体感するのが正解と思ってしまった。

 これがヒットして、日本のロボットアニメが進化していったように、ハリウッドから今後どんな巨大ロボットもの映画が出てくるか、興味津々。なんにしても街の中にリアルに巨大な存在が登場するって、このセンス・オブ・ワンダーはたまりません。

◆関連リンク 当Blog記事 
スピルバーグ『宇宙戦争』 WAR OF THE WORLD
『トランスフォーマー』予告篇 と ネットのトランスフォーマーロボットCG

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2007.08.18

■FM『音の本棚』 田中光二原作ラジオドラマ『異星の人』
   エーリアン・メモ ALIEN MEMO

 30年前の1977年にFM『音の本棚』でラジオドラマ化された田中光二原作『異星の人』。
 盆休みに実家の押入れからカセットテープの録音を発掘。約10年ぶりに聴き返す。
 このドラマが凄く気に入ってて、当時何度聴いたことか、、、。たぶん僕が聴いたSFラジオドラマの中で(あまり多くはないけど)、ベストの出来だと思う。

 ネットでこのドラマに関する情報がほとんどないため(下記、関連リンクにいくつか掲載)、今回記事として紹介します。

「alien_memo_quote.mp3」をダウンロード(クリックで引用分を聴けます)

 まずはどのようなものか知ってもらうため、ドラマの一部を引用。
 (掲載するファイルは全5話各話20分 計100分のうちのほんの一部、研究の引用範囲と考えますが、著作権者の方、もし問題があればご指摘ください。30年前のSF文化的遺産(^^;)として掲載する側面もあります、ご容赦いただければ幸いです。)

◆総論

 全体の構成は次のとおり。
 (タイトルの後の数字は、僕が所持する録音の長さ。当時学生の身でテープ代にも困っていたので、ラジオからマニュアルでダイジェスト録音)

 第1話 「ドラゴン・トレイル」 7'30"
 第2話 「怒りの谷」 14'15"
 第3話 「大いなる珊瑚礁の果てに」 8'40"
 第4話 「汝が魂を翼にゆだねよ」6'00"
 第5話 「世界樹の高みに」16'45"

 原作は下記の連作短編なので、7話から5話分を抜き出してドラマ化したということになる。各話主人公のジョン・エナリーが世界の各地で、人類の営みを観察する、というもの。連作短編という形態を見事に使った物語になっている。(上の引用で興味を持っていただけたら、是非田中光二氏の原作をお薦め。傑作です。この傑作がamazonで見ると、どこの出版社のも絶版。残念でなりませんが、amazonでも古本なら買えます)

 田中光二『異星の人』(amazon)

 第1話 「ドラゴン・トレイル」
 第2話 「怒りの谷」
 第3話 「白き神々の座にて」 <エーリアン・メモ エキストラ>
 第4話 「大いなる珊瑚礁の果てに」
 第5話 「許されざる者」
 第6話 「汝が魂を翼にゆだねよ」
 第7話 「世界樹の高みに」<エーリアン・メモ エキストラ>

 僕は原作をほぼリアルタイムでSFマガジン掲載時に読んだのだけれど、このタイトルを見るだけで、雑誌掲載時の山野辺進氏のイラストがイメージとして浮かんでくる。(すみません、なつかしモードで(^^;))

 ラジオドラマの内容は、ほぼ原作に忠実。しかし細部でセリフ等に独自のニュアンスを出してある。僕は当時、原作も大好きだったのだけれど、このラジオドラマの雰囲気の方が実は好きだった。ポイントはラジオドラマならではの音楽と、変更してあるセリフまわし。

 音楽は、ドビッシーからカントリー調の曲まで各話の国/雰囲気に合わせてワールドワイドに選んである。このセンスが当時素晴らしくいいイメージを構築していた。

 セリフは、ラジオでは「誇り」という言葉を使用しているのがひとつのポイントになっている。特に「怒りの谷」のヤキ族のインディアンのホアンと、「世界樹の高みに」のコミューンのリエ(原作ではチコ)の行動をエナリーが表現する時の言葉として印象的に使われている。ラジオドラマでのテーマといっていいと思う。(原作を見直してもこの二話の中で「誇り」という単語は使われていない。)

 今回、聴きなおして思ったのだけれど、思春期に繰り返し聴いたことで僕の中では「誇り」という言葉の基本的なイメージとして、このドラマの影響が結構強く自分の中に残っているのを感じた。

 音楽と登場人物たちの素晴らしさ、エナリーの超然としたスタンスが、この言葉の語彙を定着させてしまった感じ。

 残念ながらスタッフと声優と曲名のデータが録音テープの中にもネットにもない。声優に詳しくない僕がわかるのは、ウルトラマンのムラマツキャップ役の小林昭二氏のみ。毎回彼が地球人側の主要な登場人物として出てくる。主役のエナリーの役の方は、全然わからない。女性はもしかして、旧ルパンの不二子役 二階堂有希子氏?(上の引用に声が入っています。どなたかお分かりなら、よろしくです)

 この素晴らしい作品について、どんな情報でも持ってみえたらコメントいただきたくお願いします。特に脚本が誰か、凄く知りたい。

◆田中光二「異星の人・ふたたび」

 日本SF作家クラブ編アンソロジー『2001』(amazon)
 日本SF作家クラブ公式HP

 この記事を書こうとしてネットで調べていて、20世紀末にこの連作の新作が、田中光二自身の手で書かれていることを知った。そこで近所の図書館で読んでみた。

 ジョン・エナリーを再び登場させた田中光二の現実に関する憤りをとても強く感じる一作。

 物語としては、単行本化されている7話の続きではなく、第1話~第5話の世界の延長として、エナリーが世界を旅し続けている世界の話。宇宙機の「論理知能」との決別後の話ではなく、エナリーが現在も地球の現実を観察する旅を続けている世界。

 この新作のテーマは、アフリカで続く紛争の悲惨を描くこと。94年のルワンダのツチ族とフツ族の民族紛争。99年のリベリアシエラレオネの内戦の場にエナリーが赴く。

 しかしそこに以前の連作にあった「誇り」を示す人類の姿、地球の自然と動物の美しさは描かれない。これが現実かもしれない。今ならエナリーは、「大いなる意思」へ向けて、どう地球をレポートするのだろうか。

◆関連リンク このラジオドラマについて触れているHP
SFの部屋  ::: Cafesta MyHp :::

20年以上前にラジオドラマになったんですが情報が見付かりません。 最終話「世界樹の高みに」の不思議な雰囲気は未だに覚えています。

探し物のページ 『音の本棚』(藤戸薬局さんHP)

19770307 さらば愛しの宇宙人/異星の人1「ドラゴン・トレイル」
19770309 さらば愛しの宇宙人/異星の人3「大いなる珊瑚礁の果てに」
19770310 さらば愛しの宇宙人/異星の人4「汝が魂を翼にゆだねよ」
19770311 さらば愛しの宇宙人/異星の人5「世界樹の高みに」

 『音の本棚』について、長大な作品リストが記載されています。ネットでは最も充実しているHPです。ここで『異星の人』の放送日と「さらば愛しの宇宙人」というタイトルが付いていたのを知りました。僕の記憶にはなかった情報。

★09.02/15 toshiさんのコメントに基づき、スタッフ・キャストについて追記。
 脚色   田沼雄一。
 主人公 ジョン・エナリー:岩崎信忠
 他の出演者 小林昭二、井上真樹夫、武藤礼子

 続けて、各スタッフ・キャストの関連リンクです。

Variety Japan | FILM SEARCH - 岩崎信忠
 落ち着いたクールな声の持ち主は、映画俳優としてネットに情報があります。Google画像するとドラマ『記念樹』(山田太一もシナリオを担当)のページに写真があります。
武藤礼子(Wikipedia)
 侍ジャイアンツの「理香」、ど根性ガエルの「ヨシ子先生」とか、メルモちゃんとか、、、宇宙家族ロビンソンの「ジュディ」もだ!! 旧ルパンでは「リンダ」の声なのですね。
 この方、06年に72歳で亡くなられたとのこと。僕らの世代にとっては忘れられない声です。ご冥福をお祈りします。
田沼雄一という方の本のリスト(amazon)。主にスポーツ関係の映画の本を書かれている。この方が『エイリアン・メモ』のシナリオライターなのでしょうか。
 藤戸薬局さんのWanted!のページに添付されているリストを見ると、田沼氏は相当数のシナリオをこの番組に提供されていますね。
 検索して出てきた下記情報もありますが、まさか加山雄三のペンネームじゃないですよねー(^^)。
田沼雄一(加山雄三) (若大将シリーズWikipedia)

 田沼雄一は明治時代から続く老舗のすき焼き屋「田能久」の息子で、大学の運動部(競技は作品によって異なる)のエースである。この役名は「田能久」の屋号をヒントに田沼姓が浮かび、これに加山雄三の「雄」をとって命名された。

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2007.08.17

■謎の映画の予告編 "01-18-08"
"CLOVERFIELD""MONSTROUS""FURIOUS""TERRIFYING"

011808_201-18-08(Apple-Trailers 予告編)
01-18-08 公式HP 
Untitled J.J. Abrams Project(2008)(imdb)

Bad Robot Production
プロデューサー:J.J. Abrams
監督:Matt Reeves
脚本:Drew Goddard

 Appleのサイトで見つけました。題名が非公開で、公開日が便宜上仮タイトル扱いになっている謎のスペクタクル映画。

 調べてみるといろいろとネットで話題になっていますが、まずは、とにかく予告編を観てください。そのドキュメンタリータッチとワクワクさせる観せ方にしびれます。

 こんな映画を待ってましたって感じ。とにかくSFXの進化で良い時代になったものです。

◆関連リンク
Cloverfield: Blogs, Photos, Videos and more on Technorati
 ここにいろいろな情報があります。
J.J. Abrams Speaks, “We Need Our Own Godzilla”
 正式タイトルについて、“Monstrous’は否定。“We need our own Godzilla.”
JJ Abrams' Cloverfield speech at Comic-Con - VIDEO
 Comic-Conでの講演のビデオとテキストの紹介。
Cloverfield Clues: Cloverfield Posters - Series of Four
 4枚のポスターを紹介。このティザー広告の討ち方も粋です。
Youtubeで01-18-08検索
 いろんな人が予測してビデオ化している。皆んな、好きだねー。

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2007.08.16

■74年ぶり最高気温更新 40.9℃

Japan_record_temp_274年ぶり最高気温更新 40.9℃(asahi.com)

 究極映像研究所の所在地の隣町が日本最高記録を更新。

 そのニュースを聞いてすぐさま、こんな貴重な瞬間を見逃すのはもったいないと午後3時に街へ出た。そして検証したのが右の写真。

 車のメータに表示される外気温なので、いくぶんいつも高めに出ているのだけれど、それにしてもかつて観たことのない40℃越えの数字、43℃の究極映像。今後、この数字を見ることは僕が生きているうちではないかもしれない。(もっとも温暖化スピードはその想像を超えているかも)

 この暑さを孫子の代まで伝えようと(^^;)、直接それを体感できるプールへ直行。その屋外プールは、ギラギラ照りつける太陽で既に水ではなく温水状態。ぬるーい湯に漬かって泳いできました。そして浴びるとろけるような太陽光線。すべてのものが溶けて「生物都市」(!?)のようになりそうな気温を体感。

 &その街のプールで遊ぶ人々は、ブラジル系の方の率が異常に高く約9割。その暑さとまわりの人たちの雰囲気から、まさにそこは南国。うちから車で10分の南米を満喫したのでした。凄い夏だ。

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2007.08.15

■ガイキングオープニング 金田伊功の作画の進化

Kanada_gauiking_bw
東映アニメーション/ガイキング

OP絵コンテ・演出・メカ作監:大張正巳
原画・キャラ作監:愛姫みかん
原画:雨宮哲 大籠之仁 田村勝之 椛島洋介 牟田口裕基 愛姫みかん
大塚健 森田岳士 山下高明 西田達三 大張正巳 まさひろ山根 戸隠三郎

 今頃、『大空魔竜ガイキング』のOPネタで遅くてすみません。
 戸隠名義で金田伊功氏がひさびさに原画に参加したと聞いて、一度DVDのコマ送りで確認しようと思いつつ、半年近く経ってやっとDVDレンタルしてきました。

 で、Photoscapeの力を借りて、下記分析を試みました。(というか実はこれをやりたくて、Photoscapeを導入(^^;))

Gaiking_op_all_cha_komasuu

 金田伊功の担当シーンは、1'51"~1'55"のわずか4秒。上記図解では右下に小さな数字で各絵のコマ数を記した(右クリックで「リンクを新しいウィンドウで開」いて下さい)。
 コマ数はDVDのコマ送りで確認した数字で、ビデオへの変換の際に2枚の絵がダブって映っているところがある。ダブリ部分は前の絵のコマとしてカウントした。(正確なタイムチャートとは数字が合っていないと思うけれど、そこはご容赦)

 未見の方は、一度試しにDVDを購入/レンタルして観るとわかってもらえると思うけれど、素晴らしくシャープでダイナミックな作画になっている。金田伊功は、『ザンボット3』や『銀河鉄道999』の頃が若さに溢れて奔放さは最高だったと思っていたけれど、このOPは、その頃よりもむしろさらに過激になっているように観える。健在、などと言うと全く失礼で、まさに進化している。

 ではどんなところが進化しているのか。
 今回コマで観て、特にグラフィックデザイン的な感覚がシャープになっているようにみえる。
 上のコマ画像を拡大して観てもらえばわかるが、まず光のエフェクトは往年の頃に比べても決して衰えていない飛躍とシャープさにあふれている。このガイキングOPでの光のエフェクトの奔放さも以前の表現より複雑で激しさを増している。

 そしてさらに特筆すべきは、A,B,Cと青字で書き込んだコマ。
Gaiking_kanada_koma_color_c  ロボットの体の一部または全体が、原型をとどめない形に変形している。というより光のエフェクトとほとんど同じような形にロボットまでもが画面デザインの一部と化している。(『ブライガー』OPでラストロボットが光に変わるシーンがあるが、あれは文字通りそうしたイメージが最初から絵コンテで意図されたシーンだが、このガイキングOPは、作画の乗りで描かれている)

 もちろんこれはわずか1コマ2コマの絵なので、通常の速度だけで観ていてもわからない。はっきり言って流してみていると何か凄くシャープなデザインの画面がダイナミックに動いているように感じられるだけで、何が起こっているのかは、通常の動体視力では感知できない。ただ脳のどこかはこれを感知して、恐ろしくシャープなデザインセンスを感じている。(そういうクオリアが湧き出している。)

 コマ送りをして、気がつくダイナミックな映像メカニズムである。

 この感覚は決してCG技術が進化しても、独自のセンスの持ち主が意識的に関与しない限り、テクノロジーだけでは成しえないものだろう。スクウェア・エニックスが金田伊功をスタッフとして擁しているわけだけれど(第7開発事業部所属)、CGのゲームで彼の感覚を使い切った作品のうわさは聞かない。 

 この進化したグラフィックデザインのような感覚の絵で、アニメーションとしてTVの全編もしくは半分の10分でもいいので見せてほしい。スクウェア・エニックスって、2Dアニメは作る予定がないのだろうか。

 以前、アニメータの感覚と脳内メカニズムについて解析した記事を書いたけれど、このOPで描かれているものは、恐らく人間がかつてアートとして表現したことがないものだろう。

 静止画でも彫刻でもインスタレーションでもなく、アニメーションのみが持つ動きの感覚の芸術。日本のアニメとディズニーの一部(『ターザン』とか『Mr.インクレディブル』とか)しかチャレンジしていないこの領域で、金田伊功がやれることはまだまだたくさんあるはずなのだけれど、、、。さらに今後の進化/領域拡大に期待したい。

 (芸術とか言い出すと大げさだけれど、とにかく感じたことのないものの動きの感覚を我々作画マニアは観たいだけなのだ!
 金田伊功を擁するスクウェア・エニックスは、そうした映像のエッジを広げる責任を担っているという認識を持ってもらいたいものだ。切に。)

当Blog記事
池谷裕二 『進化しすぎた脳』 感想 3 + α
 アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係


◆関連リンク
OPを担当したゲームが連続リリース! 金田伊功ミニ・インタビュー!!
 (WEBアニメスタイル TOPICS)

金田
 抱負ですか? なんですかね。一生、「一(いち)アニメーター」で行ければいいかな、と思ってますけど。昔は「タップだけなのも、嫌だな」と思ってたんだけど。結局、タップしかないのかな、と(苦笑)。
 ええ。3Dもちょっと勉強させてもらったけど、本格的にできるようになっていない、というよりは向いてないかも……。やっぱり、タップですかね。

DVD『ガイキング』(amazon) シリーズ後半(29話~)のOPで金田伊功参加。レンタルはお間違えなく。  
・『大空魔竜ガイキング』オープニング(YouTube)
 ここの映像は質が悪すぎるので、是非DVDを。
我等の金田伊功! ガイキングOPに降臨! (2ch)
・当Blog記事
 金田伊功イラスト『無敵鋼人ダイターン3』DVD&ガイキング『Oh! my god』
「ガイキング」エンディング主題歌『Oh! my god』(amazon)

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2007.08.14

■日立 立体映像ディスプレイ Transpost 
  小型で持ち運び可能な360度立体映像ディスプレイ

3d_display_transpost
ニュースリリース : HITACHI

 このディスプレイ装置は、液晶ディスプレイの画面上に多角錐(すい)形の鏡を逆さまに置いた単純な構造を特徴としています。複数方向から撮影した被写体の映像を、一枚の画像に合成して液晶ディスプレイに表示し、その映像を多角錐形の鏡を通して見ると、まるで目の前に物体があるような立体映像を見ることができます。 (略)

 日立が開発済みの撮影システムと併用することによって、収集品を立体映像でデータベース化できるようになるなど、これまで大型で据付タイプの装置のため展示用途などに限られていた360度の立体映像ディスプレイを、身近なところで気軽に利用することが可能になります。

過去のリリース レイア姫をめざして(ITmedia News)(動画あり)

 上の写真はプレスリリースから。
 左二枚が今回のコンパクトタイプ。まだとても持ち運びが簡単にできるという雰囲気ではないけれど、以前と比べるとかなり小型化が進んでいるようだ。

 リリースの文章でも構造はわかりにくいけれど、どうも多角錐形の鏡が上部中央に置かれ、液晶ディスプレイの映像がそこに映しこまれている構成のようだ。そして鏡に立体像が結ばれる。

 右二枚の過去のリリースのものと比べると、多数のミラーとスクリーンを回転させるモータ機構を省いたのが、小型化の肝のようだ。フィンを置いたのが工夫点か。でもなんか視野をふさがれているようで、そこは残念。

 実際にどう観えるかの動画は、探したけど古いバージョンのものしかなかった。一回観たいものだ。

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2007.08.13

■ハイビジョンレポート 車山高原
  & 優れもの画像結合フリーウェア Photoscape

Kurumayama
車山高原 ライブ映像 (公式HP)

 酷暑が続きますが、皆様、いかがお過ごしですか。

 東海地区の残暑厳しい我が家から、涼を求めて長野へ行ってきましたので、ちょっとだけ涼しさのおすそ分け。

 いつものハイビジョンハンディカムHDR-HC1で撮った映像から写真を切り出しました。(実はこの写真、画像処理で色やコントラストを相当いじってます。そのままの絵だと、このカメラ、かなりぼんやりとしたたるい画になってしまってます。)

 標高1925mの車山山頂は、さすがにうちの地元より体感10℃くらい涼しく乾いた空気が爽快。八ヶ岳連峰も晴れてしっかりと見えました。

 にしてもこうして写真を切り出してみると、いかに私の眼がアニメの映像に侵食されているかが一目瞭然(^^;)。
 八ヶ岳はともかくとして、ロープウェイのワイヤーや支柱が写しこんだ青空と白い雲の映える画や、まるでスイスのような草原とそこを渡っていく雲の影の映像を選択してしまう。前者は庵野か新海作品、後者は宮崎レイアウトの影響というのは自明。あーあ。(この写真を気に入っていただけた貴方も、既にアニメ文化圏に取り込まれているのかも)

優れもの画像結合フリーウェア Photoscape

Kurumayama_edit_2Photoscape(Freeダウンロード)
PhotoScape ver.3.0 - 日本語化パッチ

 いつも写真を何枚か結合して上のような映像を作成していますが、普通のフォトレタッチソフトでしこしこ手動で融合していました。

 いつも作業が面倒なので、今回、フリーウェアでいいソフトがないか探してみたら、素晴らしいソフトを発見。

 これ、右のようなインタフェースで貼り合わせたい写真を選択してドラッグドロップするだけで、縦横の枚数も自由に選んで、結合した画像が作れます。フォトレタッチ機能も備わっていて、今後のBlogの有力な武器になりそう。

 日本語パッチを作られたtiltさんにも感謝!

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2007.08.11

■DVD デヴィッド・リンチ『インランド・エンパイア』
 David Lynch's Inland Empire (Limited Edition Two-Disc Set)

Dvd_inland_empireDavid Lynch's Inland Empire
(Limited Edition Two-Disc Set)

  • 90 minutes of Deleted Scenes.
  • Includes the short film "Ballerina".
  • Lynch 2 (behind the scenes of INLAND EMPIRE with David Lynch).
  • Talks with David Lynch and Laura Dern.
  • More Things That Happened (Additional Character Experiences).
  • Theatrical Trailers (3).
  • Stills Gallery (73 Photos).
  • David Lynch cooks Quinoa.

 日本では公開されたばかりなのに、2007.8/14にアメリカではDVDが発売。
 特典映像として、90分の削除されたシーンほか、いろいろと入っているようで、日本での発売も期待。にしても、映画未見の私には、なんだか意味もわからない特典映像。リンチが料理する「Quinoa」って映画とどういう関係??

 Amazon.comには、リンチのメイキングのコメントが動画で掲載されている。

◆関連リンク
DVD『Dynamic:01 - The Best Of DavidLynch.com』(amazon.co.jp)

First-ever home video release of this material
Short film The Lamp features David Lynch actually building a lamp while explaining methods
Comic short "Out Yonder" features David Lynch and his son Austin
Short Boatis a dreamy narrative filmed on a private lake in Wisconsin starring David Lynch
Horror short "Darkened Room" features Jordan Ladd and Cerina Vincent of Eli Roth's Cabin Fever

DVD『David Lynch's Inland Empire』(amazon.co.jp)
 amazon.co.jpでは、まだ扱われていませんが、、、。
CD『Blue Bob』(amazon.co.jp)

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■USBネクタイクーラー

Neck_cooler
究極のクールビズ!? USBネクタイクーラー現る!(ASCII.jp)

理解のある上司のいる職場でなら日常的に使うことも可能だろう。だたし、ネクタイはシリコンで一体成型されたものなので、普段使いとするにはオシャレを自認する人にとってハードルは高いかもしれない。

サンコーレアモノショップ (公式HP)

 このおかしさは、たまりません。
 でも、会社や客先で笑いを一度だけでもとれば、元が取れると思わせてしまうこの値段設定が怖い。買うな>>自分、バカ丸出し(^^;)。

 あ、楽天にあった。
 USBネクタイクーラー2,980円(楽天)

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2007.08.10

■「とことん!押井 守」視聴者リクエスト
  全作品・投票結果発表!

「とことん!押井 守」視聴者リクエスト 全作品・投票結果発表!
                          (野良犬の塒 経由)

1位 機動警察パトレイバー2 the Movie     920票
2位 機動警察パトレイバー 劇場版        905票
3位 GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊    851票
4位 うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 747票
5位 イノセンス                    653票
6位 OVA版 機動警察パトレイバー        621票
7位 うる星やつら(TVシリーズ)          376票
8位 アヴァロン Avalon               250票
9位 御先祖様万々歳!               219票
10位 天使のたまご                  187票

 結果が発表されています。やはりアートへ走った作品より、物語った作品が上位に来てます。でも『天使のたまご』が10位というのがなかなか凄い。

 ちなみに僕のベスト10を勝手に挙げると、、、。

1位 幻の押井ルパン
2位 うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
3位 機動警察パトレイバー 劇場版
4位 機動警察パトレイバー2 the Movie
5位 イノセンス                     
6位 立喰師列伝
7位 めざめの方舟

 1位がずるい(^^)。今回、20年ぶりに2度目を観る『天使のたまご』がここに入るかどうか、楽しみ。

 NHKは一連の放映が終わった後に、再度投票を実施したらいいのに。どう順位に影響が出るか観て見たい。

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2007.08.09

■展示会情報 ヤン・シュヴァンクマイエル
  &エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー展

Jan_eva_200708_2ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展
~アリス、あるいは快楽原則~

                (公式HP)
 (チェコの絵本【kulicka-クリチカ-】さん経由)

夢と現実、秩序と混乱・・・
カオスを漂うシュヴァンクマイエルの自由世界へようこそ

会場/ラフォーレミュージアム原宿
期間/2007.8月25日~9月12日
時間/11:00am~20:00pm(最終日のみ18:00閉場)

 公式HPがオープンされています。アリスを主軸にした200点展示とのこと。『人間椅子』の原画も展示される。 

 僕は、エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー作品がどの程度展示されるか、期待している。リンク先の公式HPには、『判じ絵 no.2』(スターリンの顔を模したもの)が掲載されている。(それしても展示会タイトルがシュヴァンクマイエル表記だけなのは、エヴァファンとしては、寂しい。名前をちゃんと表記するのって大事ですよ)

 エスクァイア マガジン ジャパンからは、展示会と同タイトルの本が出版されるようです。たぶん展示会の図録を兼ねているのではないかと思われます。展示会、行けっかなー。

◆関連リンク
渡邉裕之編集『ヤン&エヴァシュヴァンクマイエル展 アリス、あるいは快楽原則』(amazon)

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2007.08.08

■<パスト・フューチャー> ドーム都市で観る夢
 ポーランドRMF FMラジオ局の建築

Rmf
some more photos of RMF FM HQ
 (昔のSF作品に登場しそうな、複数のドームがつながった建築物 - GIGAZINE経由)

 ポーランドのRMF FM :Radio Muzyka Faktyというラジオ局の建物が素晴らしい。
 こんな過ぎ去った時代の未来都市が今も世界に現存してしまっているのがとても嬉しい。ポーランドといえば、先日紹介したベクシンスキースタニスワフ・レムの国。ここには確かな未来のイメージがDNAに刷り込まれているのだろうか。

 こんな建物で働けたら、僕だって人類の未来に貢献できる仕事の成果を出せそうなのに。

 日本の企業も即刻ビルをこのような粋な建造物に変え、未来を作り出せるサラリーマンNEO(?)を産み出していくことを提言したい。

◆関連リンク
most bizarre radio station in the world?

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2007.08.07

■新刊メモ 別冊太陽スペシャル
  『川本喜八郎 人形――この命あるもの』

Kawamoto_taiyou
川本喜八郎   人形――この命あるもの

別冊太陽スペシャル 別冊太陽編集部=編
 定価:2520 円(本体:2400 円)  A4変型判  160頁  2007.08
 ISBN978-4-582-94507-2 C9474 NDC分類番号 778.77

人形アニメーション映画『死者の書』、TV放映の人形劇『三国志』や『平家物語』など、現在も国内外で活躍している、世界的な人形美術家・人形アニメーション作家の作品とその魅力を紹介。

 近所の文化センターへ行ったら、こんな本が新刊で置いてあった。
 なかなか充実した内容。長野の飯田市川本喜八郎人形美術館の所蔵作品についても丁寧に紹介されている。資料的な価値がかなりありそうな本。

 僕は熱心な川本作品のファンでないのだけれど、パラパラとめくっていて興味が沸いたのが、写真左のページ。

 作品名『旅・全長版』とあるが、人形作品ではなく、絵画タッチの2次元作品。この雰囲気、トゥルンカに師事し川本氏が滞在したチェコの絵本や絵画を想起させる。そうした作品があるのを知らなかったので、一度観てみたいと惹かれるものを感じた。(下記DVDが出ているようですね)

関連リンク
別冊太陽スペシャル『川本喜八郎 人形――この命あるもの』(amazon)
川本喜八郎 「死者の書」 Web Site
飯田市川本喜八郎人形美術館
嬉しい発売情報 (桃園の会ブログ)
DVD川本喜八郎作品集』

【収録作品】
1. 花折り
2. 犬儒戯画・全長版(初商品化)
3. 鬼
4. 旅・全長版(初商品化)
5. 旅・再編集版
6. 詩人の生涯
7. 道成寺
8. 火宅
9. セルフポートレート(初商品化)
10. 不射之射(初商品化)
11. いばら姫またはねむり姫

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2007.08.05

■ANIMEGIGAアニメギガ 『とことん!押井守』

アニメギガ とことん!押井守(公式HP) 詳細番組表(秒単位)(pdf)

Tennshi  今夜からスタート。すでにあちこちのサイトで紹介されているので今更ですが、自分のエアチェックのために調べたので一応、ご紹介。録画をセットする方は、秒単位まで詳細に記した番組表をNHKが用意してくれているので御参考に。さすがマニア向け特集番組。それにしても『一発貫太くん』までとはマニアック。

 ちなみに青字が僕の録画予約分(そんなのはどうでもいいですが、、、(^^;))。

 以下放映リストとちょこっとコメント。

続きを読む "■ANIMEGIGAアニメギガ 『とことん!押井守』"

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2007.08.04

■墨岡雅聡監督『しあわせのうた』 - Song of happiness (1991)

しあわせのうた - Song of happiness (1991)

 ずっと観たいと思っていたこの自主映画が、Youtubeにアップされた。(残念ながらトラフィックがよくなくて、8/4現在、数回に1回しかムービーが動きません)

 プライベートフィルムの公募紹介番組『えび天』に登場した墨岡雅聡監督の『前向きでいこう』に続く、第二作目。『えび天』ではこの二作のみが墨岡作品だったわけだけれど、今後、できれば他の自主制作作品と会社員だった頃に作られたという所属会社のPRビデオ等も監督に近しい方からアップされるか、DVD等で発売されるのを期待したい。

 なにはともあれ、4分ほどの作品。へたに紹介するより、興味のある方は観てみて下さい。 『前向きでいこう』のように万人に薦められる作品ではないと思うけれど、こちらの作品の切実さとかそこにある深みとかも捨てがたい。

 墨岡ファンの皆さんには、今はなき彼の弾き語りのファンキーな歌が聴けるのも嬉しいポイント。

 Youtubeのこの映像は、実はあまり画質がよろしくない、画面が小さいし。
 あと私事。僕は『えび天』でのこの作品のVTRを持っているのだけれど、実はちょっと前に観ようとして、ベータデッキにテープを噛みこまれてしまった。今だ復活できていない。これでうちにあるベータのいろんなテープが観られなくなってしまったし、、、誰かベータデッキからテープを取り出すうまい方法をご教示ください。

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2007.08.02

■核融合科学研究所 大型ヘリカル装置LHD

Herical_coil
プラズマ閉じ込め装置公開 岐阜の核融合科学研究所 (日経)

 核融合発電の実現に向けた研究を進めている核融合科学研究所(岐阜県土岐市)は31日、超高温のプラズマを磁力で閉じ込めておく大型ヘリカル装置の内部を公開した。(略)

 ドーナツ形の「プラズマ真空容器」(直径約8メートル、高さ約2メートル)の内壁には、直径約1メートルのステンレス製の筒がねじられて設置されている。

 筒の中には強力な磁石の働きをする超電導コイルがあり、ねじれの中心に1億度にもなるプラズマを閉じ込める。

 今朝の新聞で見た写真が素晴らしかったので、ちょっとだけ調べた。

 うちからそれほど遠くない場所にこういう施設があるのは知っていたけど、こんなかっこいい装置とは知らなかった。この螺旋のダイナミズム。そして超伝導コイル。まるで『グレンラガン』と『電脳コイル』が合体したかのような映像(んっ??)。(『電脳コイル』の「コイル」はいまだ謎だけれど、もしかしてあれだけのネットワークとサーバを支える技術として「超電導」の「コイル」を意味しているのかも)

 見学は平日ならいつでも下記要領で受け付けているようなので、一度覗きに行ってみたい。写真は撮らせてもらえるのだろうか。

◆関連リンク
ライブカメラ プラズマが発生している映像 超伝導コイル 施設見学のご案内

・当Blog記事 核融合科学研究所 大型ヘリカル装置一般公開(1)
         LHD そのテクノロジーとアート

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2007.08.01

■幻想植物 栽培日記5 ロマネスコ、巨大化

Romane_big_
 台風と青虫の攻撃に耐えて、26本、生き残っている。一番大きいもので葉渡りは1m近くになっている。
 種55本→苗38本→現在26本ということで、生存確率約50%。地球の環境は彼らにはなかなか厳しいようです。

 写真をクリックすると拡大して見られますが、押しの強い風貌が現れてきた。いよいよ本領発揮か。私も近づく時は噛みつかれないように注意したいと思う(^^;;)。

 そして最後まで生育するのは、何本か。

◆関連リンク 当Blog記事 
幻想野菜 ロマネスコ
幻想植物 栽培日記1 ロマネスコの種まき
幻想植物 栽培日記2 ロマネスコ、芽吹く
幻想植物 栽培日記3 ロマネスコ、フィールドへ
幻想植物 栽培日記4 ロマネスコ、地球の虫との対決

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