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2007年10月

2007.10.29

■映画予告特集 "Iron Man"  "Enchanted"
  ティム・バートン
  『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

Iron_man Iron Man (Apple Trailer)
(公式HP) (Imdb)

 これも最近多い、コミックからの映像化。Jon Favreau監督。

 このレトロな顔つきと足の裏からジェットが出てる感覚がなかなか。

Disney_enchanted_2Enchanted (Apple Trailer)
(公式HP) (Imdb)

 アニメの御伽噺の世界から現実世界へ現れるお姫様と魔女と竜。Kevin Lima監督。

 『ロジャー・ラビット』とはちょっと違うけれど、こういうの、割合、好きです。

Sweeney_todd Sweeney Todd:
The Demon Barber of Fleet Street

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
 ティム・バートン.jp Trailer (公式HP) (Imdb)

 ティム・バートンの新作は、ミュージカルの映画化ということです。

 予告編はAppleでなくYahooで、非常に画質が悪い。ティム・バートンファンはまだ観ない方がいいかも。

 というわけでひさびさに映画の予告をあさっていたら、面白かったので小特集でした。

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2007.10.28

■NASA 宇宙軌道エレベーターコンテスト

Space_elevator

WIRED VISION / 強風の中、「宇宙エレベーター」コンテストが開催(Wired Vision)

 『Spaceward Foundation』が毎年主催する宇宙エレベーターのコンテスト『Spaceward Games』が、ユタ州で10月19日〜21日(米国時間)、開催された。
 全長100メートルの「リボン」をつたってクレーンの先端まで、秒速約2メートル以上で上昇するロボット機器を開発したチームは、米航空宇宙局(NASA)から50万ドルの賞金が贈られる。

Space Elevator 2010 Gallery Blog (各チームのビデオ等)
 エレベータから見た映像とか。

 まるで鳥人間コンテストのように宇宙エレベーターのコンテストが行われているアメリカ。そのダイナミックなチャレンジスピリッツをくすぐる企画に驚嘆です。こういうところがアメリカの凄いところですね。TV放映とかもされているのだろうか。

 動力は太陽電池、薄いリボンにどう駆動機構を設けて、早く登るかがテーマ。

 今は映像的に凧揚げのようでいまひとつだけれど、ここからA・C・クラークの『楽園の泉』のような世界を実現するビックプロジェクトをひきいるシステムエンジニアが生まれることを祈りたいと思います。あー、死ぬ前に軌道エレベータに乗って宇宙ホテルへ行ってみたい。日本の技術(カーボン・ナノチューブ)とアメリカのフロンティア・スピリッツが夢を結実させるのを楽しみに待ちたいと思います。

◆関連リンク
軌道エレベーター(wikipedia)  
Space Elevator International conference
『宇宙エレベーター・コンテスト』レポート 2007年05月10日

 NASAが40万ドルの賞金を提供、2006年10月に開催された第2回「宇宙エレベーター・コンテスト」をレポートする。レーザー光線から動力源を得て、長さ55メートルのテザーの一番上までロボットを登らせる、という課題をクリアしたチームも4つ登場した。

アーサー・C. クラーク『楽園の泉』(amazon)
Arthur C. Clarke『The Fountains of Paradise 』(amazon)
 ここで原書(一部)が読めます。すでにこの本を読んだのは30年近く前だけど、あの詩的な読後感は忘れられません。僕は地味だけど『宇宙のランデブー』より、まずこちらを映画化してほしい。
宇宙のランデブー:Rendezvous With Rama(映画化サイト)

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2007.10.27

■新刊メモ 小宮 正安 『愉悦の蒐集ヴンダーカンマーの謎』

Wunderkammer 小宮 正安
『愉悦の蒐集ヴンダーカンマーの謎』

     (集英社新書 ビジュアル版)

 ヴンダーカンマー
 :Wunderkammerとは何か?
 それは、直訳すれば“不思議の部屋”、博物館の元祖とも言うべき存在で、かつてヨーロッパで盛んに造られた。美術品、貴重品の他に、一角獣の角、人相の浮かび上がった石など珍奇で怪しげな品々が膨大に陳列されていた。

試し読み(公式HP)

 この現象の背景にあるのは、ヴンダーカンマー独特の「何でもあり」という価値観や、ジャンルにとらわれない大らかさへの再評価である。たしかに現実を振り返れば、学問にせよ芸術にせよ、あまりにも細分化、専門化されすぎた結果、一種の閉塞状態に陥っていることは否めない。だからこそ、この状況を打破するために、世界の多様な事物を総合的にとらえようとした一切智の空間、ヴンダーカンマーに立ち返る必要がある。そして、そこから再出発することで、新たな視座を獲得できるはずだ。

 やっと本を入手。まだ150点以上に及ぶカラー図版を眺めただけなのですが、ワクワクします。
 ヤン・シュヴァンクマイエルのファンなら、「愉悦」の本になることは間違いありません。
 ヨーロッパのこんなコレクションの数々が、チェコのシュールレアリストのルーツとして存在していたわけです。

 読後にまた記事書きますね。まずは本を開いた奇想な感動で取り上げてみました。怪しさ満点。

◆関連リンク
小宮 正安『愉悦の蒐集ヴンダーカンマーの謎』(amazon)
Wunderkammer (Googleイメージ検索)

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2007.10.22

■バーチャルな立体映像投影装置
  Cheoptics360:キオプティクス360

Cheoptics360 Cheoptics360_index(日本公式HP)
http://3dscreen.ramboll.dk/
http://www.vizoo.dk (デンマーク公式HP)

キオプティクスはリアルな立体映像を投影するのですか?

キオプティクスはバーチャルな立体映像を投影します。
逆ピラミッド形状のガラス・スクリーンに映像を投影する事で、スクリーンを見る人は、ピラミッドの中心付近に立体映像が浮かび上がった様に感じます。
投影される映像を回転あるいは拡大縮小する様な動作を与える事で、より強い立体感を持った映像が得られます。
キオプティクスのピラミッド形状スクリーンはガラス製ですので、スクリーンの裏側も透けて見えます。 そのため、立体感を持った映像と現実の背景が重なり、非常にユニークな映像をお楽しみいただけます。

 これ、ネットでは理想的な立体映像ができたと書かれていますが、どうもただ擬似的な立体映像のようです。公式HPのFAQを読むと、要するに透明な逆ピラミッド型のスクリーンに四面同じ映像を投影。透明スクリーンであることから、立体感が得られるということのようです。

 コマーシャル映像としては、人目を惹いていいのでしょう。が、立体映像ファンにとってはちょっと寂しい映像。ムービーがネットでいくつか見えるけれど、やはり3D-CGとか立体感のある2D映像であるのが、よーく観ると分かってしまう。

 実物を観られたことのある方、コメントいただけると幸いです。

 なかなかいい立体映像は登場しないようです。やはり今のところ、究極はiMAXの液晶シャッター式メガネを用いたシステムなんでしょうね。富士通のユニバース2を超える映像はなかなか登場しませんね。

◆関連リンク
Cheoptics360 show Holographic Ads (Youtube)
Cheoptics hologram (Youtube)

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2007.10.20

■東京モーターショー マツダ 大気 : MAZDA TAIKI

Taiki_sassou MAZDA コンセプトカー 大気
  2007 東京モーターショー

マツダデザインの未来を探求する「Nagare」デザインの4作目であるマツダ大気。
エクステリアデザインは、「空気の流れが目に見えるデザイン」をコンセプトに、空から舞い降りてきた2枚の羽衣のイメージを具現化。

 「大気」は、これまで「颯爽(さっそう)」、「先駆(せんく)」、「鏑(かぶら)」「流(ながれ)」「流雅(りゅうが)」「葉風(はかぜ)」で追求してきた、マツダデザインの未来を探求するコンセプトカー。

 マツダデザインにいつも注目している。今回の東京モーターショーの「大気」のデザイン(右の一番上)のぶっ飛び度が素晴らしい。

 特にリアタイヤまわりと多層化したエクステリアデザイン。 
 ここまでやると市販車での実現はなかなかイメージできないが、こんなものが次期RX-7か何かで実現したら凄いだろう。どうせスペシャリティで、あるユーザー層にしか売れないのだから、いっそのこと実現してしまってほしい。

 それこそ、ZOOM ! ZOOM !
 

 右の写真はなかなかウェブでもマツダの先進デザインの進化をまとめたページがなかったので、新しいものから順に並べて示した。この進化は圧巻。
 僕は上から三番目の「流雅」がほしい(^^)。

◆関連画像リンク 右の写真の順
「大気(たいき)」 「葉風(はかぜ)」 「流雅(りゅうが)」 「流(ながれ)」 2 
「鏑(かぶら)」 「先駆(せんく)」 「颯爽(さっそう)」

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2007.10.18

■HARA WORK SHOP 原 將人 ワークショップ(1)
  映画楽@京都芸術センター
  ~音楽の精神からの映画楽の誕生~

原 將人 ワークショップ 映画楽
 ~音楽の精神からの映画楽の誕生~
 原將人公式HP  @京都芸術センター 

(略)今回のワークショップでは、ほとんどフィルムに触れる機会が失われつつある若い世代のために、映画とは何かという根源的な問いかけからプログラムを考えました。
 まず、フィルムとビデオを統合的に扱い、映画という概念に到達するため、 映画楽、カメラ覚、ムービィアンという造語を開発しました。
 映画楽は音楽、カメラ覚は楽器を弾く感覚、ムービィアンはミュージシャン と、すべて音楽とのアナロジーであります。(略)

Hara_kantoku  ムービアンさんのコメントで教えていただいた原將人監督のリニューアルHPへ飛んだら、こんな素晴らしい映画講座の情報がありました。ムービアンさん、感謝感激です。

 原将人監督が講師となったワークショップが毎週二回三ヶ月開催されます。下記にその前半、11月までの分をダイジェストで紹介させていただきます。原監督の作品と、映像テクニックの数々。ファンには素晴らしい講座です! 毎週、京都まで行くわけには行かないし、、、。こりゃ、京都へ引っ越すしかない!!?(^^;;)

京都芸術センター 正式プログラム(PDF)

◆アーカイブ講座  土曜日  <<10/20~1/12毎土曜日Open 3ヶ月間12講座>>

10/20(土)18:30 @制作室5  「おかしさに彩られた悲しみのバラード」
世界初!ビューアー上映で見るコマ編集の秘密~ 1968年、若干17歳の原將人が、各界から賞賛を受け、天才と言われ、映画監督デビューを果たした幻の名作! その製作過程が40年の時を経て今、明かされる!

10/27(土)18:30 @制作室5 「初国知所之天皇」
8ミリ原版による製作過程のオープン~作曲法の発見! 「まるで、映画を見ているようだ!」神話の映画的構造と映画の神話的構造の鮮やかな二重写しを見たことがあるか?! ~幻の8ミリ原版が30年の時を超え蘇る!~

11/03(土)18:30 @制作室5 「初国知所之天皇」
16ミリへの変換とマルチレイアウトの試み~ 生の映画空間が弾けるのを味わったことがあるか?「商業映画はレトルトだ!」

11/10(土)18:30 @制作室5
世界は無数の撮られなかった映画から成り立っている~「焼失と修復」映画の生きる時間~ ~幻の「ロンドンーマラケッシ」からアナログハイブリッド「ユリシズの不思議な旅」まで~「初国」で日本を縦断した後、ヨーロッパの旅に出た原が撮影し、帰国後、火事に遭った幻の8ミリフィルムを、修復し、初めて公開する。

11/17(土) 18:30 @制作室5 
「1001の乾杯といただきます」~日常の断片から作品へ!~ 1993年、映画的記憶の凝縮したハイエイトカメラの名機TR2を手にした原は、数年間飲食を中心に日常の断片を記録し、そこから1990年代に私的ドキュメンタリーと呼ばれる映画界のムーブメントの先駆となった数々の作品が生まれた。 参考上映作品「百代の過客」「20世紀ノスタルジア」など多数。

11/24(土) 18:30 @制作室5 
「MI・TA・RI!」音楽ノート 1999年、国歌国旗法案の年。君が代と日の丸の旗のもと、経済が国境を超えて行く日本を横目に、原は日本音階に西洋音楽の和声を付けて沸き上がる、夥しい楽曲群の波打ち際にひとりたたずんでいた。

『20世紀ノスタルジア』

◆ムービィアン講座 日曜日 <<10/21~1/13毎日曜日Open 3ヶ月間13講座>>

10/21(日) 第0回 ☆特別オープン講座☆ open 15:00 ⇒17:30
「8ミリフィルムは21世紀印象派!」 
2007年初夏に、東京でモネの大回顧展を観て、改めて思った。8ミリは、21世紀の印象派である!と。(略)テクノロジーと欲望のせめぎあう岸辺で、8ミリフィルムからの21世紀印象派の誕生を宣言する!

10/21(日) 第1回 open 18:30 ⇒21:00
「映画史一望~映画から映画楽へ」 
映画はアルタミラ、ラスコーの洞窟から始まり70ミリを通過して8ミリにまで到達した。石器時代,洞窟の中で,焚き火に揺らめいていた壁画が、映画の始まりだった。その中で、人々の口ずさむ律動と音程を伴った、歌であり、祈りでもあった音楽とともに揺れ動いていた壁画は、映画楽の始まりだったのだ。それを伝えるのは8ミリだけであると私は思う。

10/28(日) 第2回  open 18:30 ⇒21:00
「カメラ覚入門~世界に内在する音楽の発見!」 実 習 編
視覚!聴覚!カメラ覚!  カメラ覚とは何か?視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚、圧覚、痛覚、温度覚などすべての身体感覚を総動員したものに機械として他者、カメラの感覚を統合したもの。8ミリを使い、ビデオカメラを使い、40年にわたって研究してきた原將人秘伝のカメラ覚のチューンアップ術を伝授。映画を見るように日常を撮ってみる。カメラが撮るように日常を見る。編集しながら見る!原將人式撮影術を、原が語る!

11/04(日) 第3回  open 18:30 ⇒21:00
「ムービィアン入門~歌の歌詞のようにシナリオを書いてみる!」 実 習 編
カメラ覚を身につけたら、もうムービィアン!カメラ覚で世界を見ると無数の新しい映画が見えてくるはずだ。  それを言葉に紡ぐと、さらなる映画が見えてくる。  歌の歌詞のようにシナリオを書いてみよう!新たな世界イメージを獲得するために。

11/11(日) 第4回  open 13:30 ⇒日没後
「ムービィアンセッション~8ミリで撮る!その1」 実 習 編
ムービィアンセッション!の初回。カメラ覚によるシナリオを映画楽に乗せてみよう!リズム、ビート、そして、ビートとリズムの変換、コード進行と和声によるアンサンブルを決めて!8ミリでしか撮れないもの。ビデオでしか撮れないもの。また、ミックスしたらいいもの。そうか!シナリオとは、譜面?だったのか!

11/18(日) 第5回  open 13:30 ⇒日没後
「ムービィアンセッション~8ミリで撮る!その2」 実 習 編
映画楽はドキュメンタリー性とスペクタクル性を統合しつつも超える。
複数のカメラによるカメラ内編集のすべて。気を撮る!人を撮る!関係性を撮る!

11/25(日) 第6回  open 13:30 ⇒日没後
「ムービィアンセッション~8ミリで撮る!その3」 実 習 編
8ミリカメラのフィルムの回る音と、ビデオカメラの手軽さ。そこに収められる、ムービィアンセッション。
世界で唯一のフィルムとビデオによるハイブリッド映画。撮影実習の、いよいよ最終回!

◆原將人OFFICIAL HOME PAGEへのリンク 
初国~エピソード1~映画と云ふ神話 2007年完成予定の新作!
Profileのページのタイトルが内容と関係なく、何故か「原將人全作品DVD+CDボックス出版計画」となっています。もしかしていずれこういうBOXが世に出る可能性があるのでしょうか。少なくともここに一名購入するファンがいるので、是非実現してほしいものです。

◆関連リンク 
20世紀ノスタルジア ファンサイト・ニューロンシティーズ 
20世紀的鄉愁 中国の海賊本

・当Blog記事 
原將人始動 ! 『仲よき事は 美しき哉』 
CDメモ 原正孝(原将人)『 はつくにしらすめらみこと』 
原將人『父と子の長い旅』 

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2007.10.17

■NHK ETV特集『21世紀を夢見た日々〜日本のSF50年〜』

Sf50_nenETV特集 21世紀を夢見た日々~日本のSF50年~
   【NHK教育】 10/21(日) 22:00〜23:30
             (某K君のmixi情報より)

 出演/ゲスト: 小山薫堂, 栗山千明

 伝説的なSF作家たちのグループ、「SF作家クラブ」が結成されて45年。星新一、小松左京、筒井康隆、手塚治虫など、SF作家クラブのメンバーは、文学の枠にとどまらず多方面で縦横の活躍を果たし、黄金の60年代と呼ばれるようになる。鉄腕アトムやウルトラシリーズなどがそこから生まれていった。彼らが育んだSFの「遺伝子」は、70年代半ばから音楽、映画、小説、アニメへと、さまざまなジャンルに広がり、世紀末を挟んで「オタク文化」の豊穣な世界を作り上げて行った。

 高度成長期の日本に生まれ、半世紀を経て世界に認められるようになった、日本SF。その50年にわたる歴史をたどりながら、育まれた遺伝子がどのように発展し現代日本文化を生み出したのかを浮き彫りにする。

 うすうす感じていたけど、やっぱSFが「「オタク文化」の豊穣な世界を作り上げて行った」のか(^^;;) 「日本文化」とか凄い持ち上げ方。

 何故この二人がゲストなのか、不明。二人とも実はSFファンなのだろうか。

 栗山千明の後ろに写る本棚が楽しみ。貴重な映像記録も放映されると良いな。60年代の「SF作家クラブ」のフィルムとか残っていないのだろうか。星・小松・筒井の往年のバカ話が映像で残っていたら素晴らしいのに。

◆関連リンク
・「SF作家クラブ」のHPには何もこの件は載っていない。
栗山千明(公式HP)

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2007.10.16

■デヴィッド・リンチ展覧会 ミラノ トリエンナーレ財団美術館
  『The air is on fire』 @ Triennale de Milan

The_air_is_on_firetriennale_de_mila  リンチの展覧会『The air is on fire』は、パリに続き、ミラノの「Triennale de Milan」(リンチ展公式HP)にて2007.10/9~2008.1/13まで開催中。

2008年01月13日(日)
デイヴィット・リンチ
〜ジ・エアー・イズ・オン・ファイアー展

David Lynch: The Air is on Fire
ミラノ トリエンナーレ財団美術館
Fondazione La Triennale di Milano 「ツインピークス」「マルホランド・ドライブ」など、抽象的なストーリーと幻惑的な映像が融合する映画作品で有名なアメリカの映画監督デイヴィット・リンチの特集。展示ではおなじみの映像作品だけでなくリンチが手掛けた絵画、写真、オブジェ、サウンドなどを公開、「カルトの帝王」独特の世界観に迫る

 パリの時とはポスターのイメージが違いますが、展示自体はどんな展開をしているのでしょうか。カタログはパリの時と少なくとも表紙は同じようです。たぶん中味も。

◆関連リンク

Pen_art雑誌 Pen 「一冊まるごと、現代アート入門」オフィシャルサイト

「いま」を表現する、注目すべき作家たち。
●加藤 泉 ●森村泰昌 ●ヤノベ ケンジ ●エルネスト・ネト ●やなぎ みわ ●デヴィッド・リンチ ●オノデラユキ ●李 禹煥 ●オラファー・エリアソン ●フセイン・チャラヤン ●ピピロッティ・リスト ●アドレアナ・ヴァレジョン ●ソフィ・カル ●ジグマー・ポルケ

 数人しか知りませんが、好きな作家の名前が並ぶと嬉しいですね。各作家1~2ページの紹介文程度で、もう少し突っ込んだ評論が読みたかったりします。

 この雑誌に「リンチの展覧会は世界を巡回予定」とあるので、是非日本にも来てほしいものです。

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2007.10.15

■新刊メモ 『黒沢清 映画のこわい話』『ユリイカ 安彦良和』
  『現代思想 ドキュメンタリー』『二足歩行ロボット自作入門』

『黒沢清対談集 映画のこわい話』

 映画はなぜこわく、面白いのか。その謎を探ることこそ、二一世紀をきりひらく。
 青山真治、万田邦敏、高橋洋、周防正行、相米慎二、阪本順治、三池崇史、手塚眞、唐十郎、楳図かずお、蓮實重彦。自主映画時代以来の盟友や共作者との語らいから、同時代ライバル作家との丁々発止、異業種の雄との交流、夢の師弟対話まで豪華メンバーによる血わき肉踊る傑作対談集。

 いかにもなタイトルに、さもありなんな対談相手。 

 意外なのは唐十郎と楳図かずおか。楳図世界と黒沢映画を対比して考えたことなど、一度もなかったけれど、なかなか面白い取り合わせかも。

ユリイカ 特集*安彦良和
 『アリオン』 から 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 まで
(amazon)
(公式HP)

【ヴィルトゥオーゾかく語りき】 歴史の忘却と捏造に抗して
 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 という挑戦
 / 安彦良和 [聞き手・構成=更科修一郎]

 この本、随分前に出ていたのですね。知らなかった(^^;)。
 で、漫画もろくに読んでないし、それほど安彦氏には強い関心はないので、パラパラ立ち読みしました。

 このインタビューで、押井守と神山健治作品に凄い批判的なのが面白かった。安彦氏に噛み付かれているのは、『人狼』『イノセンス』『SAC』ってところ。
 結局、運動の部分とか戦後史の書き換えってところが安彦氏世代にはひっかかるみたい。僕は当時を知っている人間ではないけれど『人狼』のハードな描写は、結構本質を突いてるんじゃないかと思っていたので、ちょっと意外。

『現代思想 2007年10月臨時増刊号』
          総特集=ドキュメンタリー
(amazon) (公式HP)

 ほとんど観たこともない監督さんの名前が並んでいるけれど、こういう本、好きなんですよね。で、なかなか作品を見る機会がないから、もんもんとするという、、、、。

吉野耕司『60日でできる! 二足歩行ロボット自作入門』(amazon)
(公式HP)

ロボットの基本的なしくみから、電子部品の半田付け、プラ板工作のいろは、CやVBでのプログラミングと進み、最終的に「敵を見つけて近づいてパンチする」ことができる二足歩行ロボットを作り上げる入門書。前提知識は一切不要。

 暇があったら是非やってみたい趣味のひとつ。(Blog書いてる暇があれば何時でもできるといわれそう(^^;;))
 いずれ初期のマイコンみたいに趣味として広がっていくだろうと言われているロボットも着々とその地歩を固めているようです。21世紀のマイクロソフトが日本から生まれるといいですね。

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2007.10.14

■マイケル・ベンソン/檜垣 嗣子訳
  『ビヨンド:BEYOND 惑星探査機が見た太陽系』
  機械知性のみが知覚する宇宙の畏怖

マイケル・ベンソン,檜垣 嗣子訳
『ビヨンド 惑星探査機が見た太陽系
 BEYOND : VISIONS of the INTERPLANETARY PROBES 』

 新潮社HP 公式HP ギャラリー(一部閲覧可)

 カラー・モノクロ295点を収録した決定版。 燃えたぎる太陽、優美な土星リング、海王星の青き輝き…。惑星探査機が約40年にわたって送信してきた膨大なデータを厳選。

ベンソン,マイケル  作家、映画制作者、写真家。
 アメリカでは「アトランティック・マンスリー」、「ニューヨーク・タイムズ」、「ネーション」、「ローリングストーン」に、またヨーロッパでも「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」をはじめとする新聞・雑誌に、記事や写真を発表している。
 長編ドキュメンタリー『Predictions of Fire』は、ニューヨークのフィルム・フォーラム・シネマで封切られ、アメリカ各地に配給、いくつかの国際映画祭でベスト・ドキュメンタリー賞を受賞した。
 現在は、世界各地をまわるロード・ムービー『More Places Forever』と、無重力状態での初めての舞台パフォーマンスを題材にした映画『Zero』を制作中。妻、息子とともにスロヴェニアの首都リュブリャナで暮らしている。

 この本は、宇宙機による探索の歴史をえがきながら、太陽系の星を順を追って大判の写真で紹介した本。

 図書館で見かけて、ただの宇宙写真集と思って観はじめたら、中に入っている著者と関係者の文章が哲学的で素晴らしく、写真とともにひさびさに宇宙の雄大さを感じて読み終わった。

Beyond_jupiter  まずアーサー・C・クラークの序文。
 全宇宙の大きさを地球大と仮定すると、人類の活動圏20億km^3はほぼ原子一個分の大きさに過ぎない。類人猿が道具を使うことを覚え、その道具が人類を生み出した。そして人類が生んだ機械知性が人類の到達できない宇宙へ進出してその活動圏を広げている(その活動範囲は最遠のボイジャー1号が130億km彼方で、活動圏は既に人類の4×10の20乗倍)。それを進化と呼ぶなら、既に人類から機械知性へのシフトが始まっているのではないか。
 この探索機の撮った写真に受ける感動は、彼らが既にして知性と創造力を獲得している証なのかもしれない、とクラークは続けて書いている。

 著者のマイケル・ベンソンもこのスタンスは同様である。長文だけれど、なかなか面白い視点なので、紹介する。

Voyager_1_looked_back_at_saturn_on_  もし私が事情に通じていなかったら、地球を取り巻く大気のはるか遠くで、一種のバトンタッチのようなものがおこなわれつつあるのではないかと思ったことだろう。血と肉でできた"私たち"から、ナットとボルトでできた"彼ら"へと。(略)

 時々、私は考えてしまうのだ。人間が作ったセンサーが天空から送りつづけてきた、眼を見張るほどの豊かさに、多くの人が気づかなかった、あるいはあえて眼を向けようとしなかったという事態は、私たちの文明についていったい何を物語るのだろうかと。こうした夢のような機械を作り出した非宗教的な時代が同時に、機械によって解き明かされたものに向けられるべき畏怖の念を多少なりと消し去ってしまう原因にもなっているのだろうか。機械にある程度の心と好奇心を与えたことによって、私たちはその分、自分たちの心と好奇心を失ってしまったのだろうか。もしかしたら、私たちにはもっと時間が必要なだけなのかもしれない。あるいは角度を変えれば、もっと空間が必要なのかもしれないのだ。

 僕はエンジニアとして実にアバウトな人間なので、直感的にテクノロジーが意識を持った人工体を作り出すのは、そう遠いことではないと思っている(以前書いた記事)。なのでこの本で述べられていることは、なんとなく実感できる。有機体では到達にすさまじいコストが必要になる距離でも、宇宙探査機のような機械知性体であれば、らくらくと活動を広げていける。

 知性体の進化を宇宙への活動範囲の広がりで計るとすれば、既に人類は次の世代へバトンタッチするその端緒に着いているというクラークのコメントは卓見である。そして彼らが直視した宇宙の脅威の映像の一端がここにある。

 この写真集で我々は、機械が直面した非宗教的だけれども、とても宗教的なそれらの光景の持つ畏怖をどれだけ感じとれるのだろうか。そんな感慨とも諦観とも感じられる感想が本書の読後感である。ウェブで探した本書の感想は、ただ写真の感想が多いけれど、著者のラディカルな思想をこころしてお読みください。

◆その他 メモ  映像研究的に面白いところ。

・ルナーオービター探査船は70mmフィルムを露光・現像し、それをスキャンした情報を地球へ送信していた。
・ボイジャーをはじめ探査機からは宇宙の写真が洪水のごとく送られてくる。ハッブル宇宙望遠鏡からは20億バイト/日。次世代宇宙望遠鏡は数百テラバイト/日に拡大する。
・既に天文学のある部分は、これらデータをヴァーチャルな空間で観察するデータマイニングの領域へ突入している。
・著者はスロヴェニアの首都リュブリャナからインターネットで探査機のデータアーカイブを探索し、NASAの画像処理技術者と協力して、マルチフレームの合成画像、データに基づいた着色作業を進めて、この写真集を構築した。
・ユークリッドは、人間の視覚は眼から出た光の反射により生じていると考えていた。
・火星の運河で有名なパーシヴァル・ローウェルが金星に車輪状の構造を見つけたのは、実は望遠鏡内部に映った自分の目の血管だった。これは2002年にある論文で明らかになった。

◆関連リンク
Michael_Benson(Wikipedia)
Beyond_more_places_for_everhttp://www.kinetikonpictures.com/
 マイケル・ベンソンのHP(?)
 ギャラリーや映画作品の紹介
 次回作 MORE PLACES FOR EVER(右写真)
 宇宙と人間のかかわりを描いていそうで期待。
・同HPの宇宙関係アーカイブへのリンク 

芸術としての宇宙写真が人類に伝えるもの(WIRED VISION)

 ベンソン氏の写真集の折り込みピンナップとされるだろう作品からは、宇宙の巨大なスケールが感じ取れる。それは、ボイジャー1号が撮影したエウロパの連続写真を融合させた魅惑的なモザイクだ。木星表面の旋回する渦、帯、荒れ狂う大気の「大赤斑」をバックに穏やかに浮かんでいるエウロパを、ベンソン氏は「宇宙に浮かぶ一粒の真珠」と描写している。

 ベンソン氏は、『フォトショップ』を使って3週間作業を続け、高解像度の画像60点をもとにこの大作を作り上げた。この作品は、探検画家トーマス・モランの絵画『イエローストーンのグランドキャニオン』について、美術評論家のD・O・C・タウンリー氏が1872年が書いた批評を思い起こさせる。「巨大なキャンバスの使用を正当化する主題がもしあるとしたら、確かにこれが該当する」とタウンリー氏は述べていた。

探査機『ニューホライゾンズ』、冥王星に向かって出発
NEW HORIZONS NASA's Pluto-Kuiper Belt Mission
JAXA SPACE REVIEW MAGAZINE
 BEYOND プレビュー

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2007.10.12

■庄司道彦作 バーチャルヒューマノイド: Virtual Humanoid
  別名 汎用妄想補完端末 ばーちゃる☆ひゅーまのいど
  実体化するデンスケとヌル(『電脳コイル』)

Virtual_humanoid_system02 日本発、世界初
- ロボット技術がもたらす想定外のコンテンツ革命

ASIAGRAPH 2007 in Tokyo / アジアグラフ 2007 東京
Virtual Humanoid(wingover.jp)
横浜国立大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー
制作総指揮: 庄司道彦   制作: NTTドコモ 総合研究所

 バーチャルヒューマノイドは、複合現実感と呼ばれる技術を用いて、ロボットに3DCGのキャラクター映像を合成するシステムです。(略)

 Virtual_humanoid_system普通のビデオカメラなら、目の前に置いてある緑色のロボットがそのまま見えるはずですが、画面の映像はコンピューターで加工してあります。(略)ロボットにぴったり重なるように3DCGのキャラクターを合成しているのです。
 ロボットの手を取って動かすと、CGのキャラクターもそれに合わせて動きます。相手は映像のはずなのに、自分は手で触れている… とても不思議な体験です。

 バーチャルヒューマノイドの技術を使うと、映画スター、タレント、スポーツ選手、アニメーションのキャラクターのような、本来は直接会うことのできない人を人工知能搭載の3DCGキャラクター化して、いつでも誰でも自宅に呼び出して触れ合うことができるようになります。(略)

 ここまで読まれたら、ぼんやりとした妖しさを感じるはずです(^^;)。
 ということで、下記のプレゼンテーションのビデオ(の前半)で笑ってください。これ、傑作です。

別名 汎用妄想補完端末 ばーちゃる☆ひゅーまのいど
Engadget Tokyo reader meetup(Youtube)

 今後の展開が楽しみ/心配です。やっぱヴァーチャルリアリティって、ここへ行くのかって、感じ。

 『電脳コイル』ファンなら、デンスケを実体化できたり、迷える謎のイリーガル「ヌル」に現実体を与えるとか、そんな使い方を想像してしまうことでしょう。 

◆関連リンク
ロボットが、話す相手に変身──ドコモのバーチャルヒューマノイド (ITmedia)

ASIAGRAPH 2007 in Tokyo その他も観てみたい。
先端技術展
 岩井俊雄+NHK放送技術研究所 モルフォビジョン
CGアートギャラリー、CGアニメーションシアター
テクニカルセッション
 2007年10月13日(土) 09:20~17:35
 TWISTER:相互テレイグジスタンス
 可能な没入型全周囲裸眼3次元ブース 舘暲

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2007.10.11

■楽しいアニメーションソフト うるまでるびペイント(仮)
  UrumaDelvi Paint  Create Animation in a Minute

Urumadelvi_paintUrumaDelvi Paint: Create Animation in a Minute
(公式HP)
詳細機能 β版ダウンロード(残念ながら、今後公開)

トレンドたまご うるまでるびペイント(仮)

商品名 うるまでるびペイント(仮)
特徴 5分ほどでアニメーションが作成できるパソコン用ソフト。東京大学が協力。
価格  - 
発売日 来年春に発売予定
問い合わせ うるまでるびプロダクション

 昨日のワールドビジネスサテライトで観ました。2Dアニメーションソフトがなかなか進化しないので、シンプルなインタフェースで、簡単に自分の絵をアニメにできるソフトを開発しているとのこと。

 上のうるまでるびさんの公式HPの紹介ページで、アニメ作成過程のムービーを見られるが、なんとも楽しげに簡単に作れるように見える。いいなー、こういうの。

 ベータ版がダウンロード可能になったら、いの一番に遊んでみたいものです。

◆関連リンク 開発者
東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 五十嵐 健夫准教授
 ここで元になったソフトをダウンロード可 
兵藤嘉彦氏 VZ Editorの作者

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2007.10.10

■[爆音アトモス]対談
   MO’SOME TONEBENDER 百々和宏 ×古川日出男

古川日出男公式サイト

 10月3日 爆音アトモスで「MO’SOME TONEBENDER×古川日出男」
オンエア
 モーサムの vo. & g. 百々和宏さんと古川日出男さんが、酒場でひたすら呑みながら“表現”とその周辺について語るさまが、スペースシャワーTVの番組「爆音アトモス」のメインコーナーとして放映されます。
 初回:10/3(水)21:00~22:00
 再放送:10/6(土)22:00~23:00, 10/9(火)24:00~25:00

フルカワヒデオ日記

二十五日。スペースシャワーTVの「爆音アトモス」用に MO'SOME TONEBENDER の百々さんと酒場で対談。撮影されながら酒を呑むというのは初めてだが、のっけから盛りあがる。

[ 爆音アトモス ] SPACE SHOWER TV

[プレゼント]百々和宏×古川日出男サイン入り -どん底-パンフレット

「爆音アトモス」のメインコーナーVJを務めたMO'SOME TONEBENDERの百々和宏と古川日出男から百々和宏×古川日出男サイン入り-どん底-パンフレットを3名様にプレゼント!
応募 10/10(水) ※21:00まで

 という番組が放映されました。もっと早く紹介するつもりが遅くなり、ファンの方には申し訳ない。古川日出男、口ヒゲと顎ヒゲをはやしたのですね。(まさかヒゲ人類が繁栄したわけではないでしょう(^^;))

 残念ながら僕はMO'SOME TONEBENDERというグループを全然知らなかったのだけれど、お互いファン同士という間柄のようで対話はなかなかまったりと楽しいものだった。

 朗読ギグを聴くと、その前と後で古川本の読み方は変わってしまう、とか。百々和宏氏の歌詞で人称を意識するようになったのは、古川日出男の影響だとか。黒ビールをピッチャーでおいしそうに飲みながら語る二人。あとポイントを羅列メモ。

・古川作品 読者は若くなってる。360度の前線で戦う感じ。

・スキルとしてはベストセラー恋愛小説をかけると思うが、心中しちゃうカップルの恋愛話でなく心中しようとしているカップルが思いとどまるような小説を書きたい。

・音楽に近い小説、届く距離を意識する。内臓を撃てる表現、飢えがあるから何かが欠けてるから表現できてる。俺(古川)も欠けてるけど、君(読者)のそういうところを埋めたい。

 ということで、最後は古川日出男とMO’SOMEで爆発する何かをやりましょう、ということで締めくくられた。向井秀徳とのギグのような熱いセッションがこの先、開催されるのだろうか。

◆関連リンク 当Blog記事
熱い!古川日出男×向井秀徳 朗読ギグ ビデオ DAX配信
朗読ギグ 古川日出男×向井秀徳 放映&ネット配信

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2007.10.09

■庵野秀明総監督 『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序
    EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE』

Eva_jyoヱヴァンゲリヲン新劇場版 (公式HP)

 『新世紀エヴァンゲリオン』に観客が何を求めているか、によってこの作品は随分と異なる見方をされるのではないか。

 僕のエヴァは一言で言うと、「庵野秀明が挑んだ『ウルトラマン』~巨大な人型決戦兵器の死闘、でもラストはSF的に『デビルマン』や『2001年宇宙の旅』にも挑んでみようかな?」という作品なので、今回のリビルドの迫力は◎でした。

 特に全体を総括すると、三体のタイプの違う怪獣(使徒)に対して、毎回全力で最終回(ゼットン)を戦うウルトラマンみたいな展開で手に汗握った。絵の作りこみの緻密さ(特に建造物と電力設備)と音響の迫力は相当なもの。気の抜けたリメイクかなんかと思って観にいくと庵野総監督以下の気迫に圧倒される。(一割くらい、明らかにTVシリーズの原画を使いまわして気の抜けるショットもありますが、、、。)

 特にアチコチで書かれているように、ヤシマ作戦の迫力が素晴らしい。ここはもう一度劇場で観たいくらい。単に人造人間ヱヴァンゲリヲンの死闘だけでなく、シンジとレイの話としても物語の結構がなかなかうまく描写されていて、ラストの宇多田の音楽にはグッとくる。

 クライマックスの映像には、自分の血に流れている巨大なものが街に現われることによるセンス・オブ・ワンダーの刷り込みの強さを実感。僕の場合は、『鉄人28号』と『ウルトラマン』、東宝特撮と『ジャイアント・ロボ』と『ザンボット3』あたりが根っこにある。特に幼児期の『鉄人28号』は決定的。あの頃の自分が『ヱヴァンゲリヲン』を観たら、どんなに感動するかと思うと、恐ろしくて想像すらできない(^^)。今の小学生って、この映画観たら、どんな興奮を覚えるのだろう。いや、小学生には早いか、、、。

 小学生はともかく、エヴァを知らない中高生や大人にも今回の映画はお薦め。しっかり物語もこの映画だけで成立しているので、これから見てみようという人も大丈夫(だよね)。

★★★★★★以下、ネタばれ、注意★★★★★★

 TVシリーズに比べて、セカンドインパクトによる破壊の爪跡の描写が随所にあって、しかも第三東京市の存在の危うさとそこに住む子供たちの切迫感が表現されているのが効果を出している。しかもリリスをヤシマ作戦の直前でシンジにみせることで、人類の滅亡を実感できるものにしている。そしてその重要な作戦をわずか14歳の子供に背負わせる緊迫感。

 いやー、いいもの見せてもらいました。僕はTV版でヤシマ作戦の安直さに呆れて、相当嫌いな回だったので、そんな人にも今回の映画の丁寧に作りこまれた物語と動画の迫力はお墨付き。
 あと音響の素晴らしさも特筆。これは劇場で観るのがいいかも。プラグスーツの皮の音を克明に描いてあるのは、やりすぎの気もしたけど、、、。

 これから先の物語の展開だけれど、エンドクレジットの後に流れた予告によると、月とか六号機だとか、いろいろと新しい要素が入り込んできて、パラレルワールドへ踏み込みそうな予感。随分と展開が変わると思う。

 TVシリーズで嫌だったのがシンジの心の揺れ動くグヂャグヂャだったのだけれど、そこも今回のストーリーでは今までより意志のあるシンジが描かれているようにも見えるので、もしかしたらそれを脱して、少年の成長物語になるのかも。
 旧版は制作陣、特に監督のもろもろの切羽詰った心情がストレートに14歳の主人公に投影されたとかで、10歩進んで20歩下がるような悩みまくりの観たくもない屈折ムービーだった(世間ではそうした部分が受けていたようだけど、僕はそこの部分、評価できない。映画版のラストのアレを描くために必要だったという理解もできなくはないけど、、、)。
 そこをエンタテインメントとして、今回は成長物語にしてくれたら、(エヴァでなくなる部分は確かにあるけど)、僕は期待したい。 

◆以下蛇足

 今回改めてティーンエージャーの親となった自分の眼で見ると、ただでさえややこしい十代前半で、人類の将来をたったひとりの肩にかけられるということの重圧が凄まじいものに感じられる(いや、ロボットアニメでそれを言っちゃお仕舞いなのは理解しつつ(^^;;))。下世話な話、学校の勉強や友人関係もストレスとしてあるのに、そこへ持ってきて、親父はああだし、突然へんてこな人造人間に乗せられたら、そりゃ、屈折もするわな、とか。ある意味、凄い子供虐待ムービー。

 いや、思春期の子の父となって観るエヴァもなかなか味わい深いものです(^^;;)。

◆関連リンク
公開直前!ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序 特集! Bpart (ネタバレ有) 
 ウルトラマンとエヴァの関係を調べてたら、プロデューサの大月俊倫氏が今回の『ヱヴァ』は『帰ってきたウルトラマン』だ!と独特の熱い語りでのたまってます。
帰ってきたウルトラマン - Wikipedia

郷の挫折と再起を描いた第2話や、当時ブームが続いていたスポーツ根性もの的要素を取り入れた第4話、二大怪獣とMATの激突を劇場怪獣映画並のスケールで描いた第5話・第6話など、新たなタイプの秀作が生まれている。このように、それ以前のシリーズにはない新たな試みが多かったが、残念ながら1クール目の視聴率は期待に沿うものではなかった。その原因としては、シリアスなドラマが子どもたちに充分受け入れられなかった(略)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版 - Wikipedia
スタジオカラー(公式HP) まだ構築中。
χαρα (カラー)制作日記 変電所やダムの見学。

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2007.10.08

■新刊メモ 『奇想遺産』 『プラスマッドハウス1今敏』
  『スター・ウォーズ・ヴォールト』 『白の協奏曲』

『奇想遺産―世界のふしぎ建築物語』
 鈴木 博之/藤森 照信/隈 研吾/松葉 一清/山盛 英司
(amazon)

 思わず息をのみ、そして気付く。「この建物、なんかヘン!」一体どうして、これほどに異様で、おかしな建物ができたのか? その魅力の虜になった専門家たちが解きあかす77の物語。
 生涯にわたって石を集め、ナゾの宮殿を建てた郵便配達夫を突き動かした情熱とは?

 この郵便配達夫の建築は、以前澁澤龍彦の『幻想の画廊から』で知ったシュヴァルの理想宮のことでしょうね。そんな奇想建築が多数紹介されているワンダーな本。シュヴァルの理想宮のようなものが77も!! (実はまだ本の実物は未見)

『プラスマッドハウス 1 今敏 :PLUS MADHOUSE ONE』 (公式HP)

マッドハウスとコラボレートするクリエイター・ガイドブックの第1弾は、筒井康隆の小説『パプリカ』を見事に映像化した今 敏を特集。

○今 敏監督ロングインタビュー 
○関係者インタビュー
 宇佐田正影/飯塚昭三/平沢進/信本敬子/丸山正雄
○対談 筒井康隆×今 敏  etc.,

 マッドハウスだけを取上げるアニメ・クリエータのシリーズ本。こういう企画が成立するのがマッドハウスの層の厚さを示しているのでしょうね。いずれ『電脳コイル』で磯光雄本も登場するのでしょうか。これは楽しみ。

『スター・ウォーズ・ヴォールト』(amazon)

ルーカスフィルム秘蔵品を含む、誕生からの30年を追体験できるお宝を完全複製!
その第1作誕生から30周年を迎える2007年、作品史上でも類のない贅沢な一冊がここに登場!
本書は、未公開を多数含む豪華写真を満載。(略)
スター・ウォーズを愛するすべての人の夢を叶える“トレジャー・ブック”です。

山田 正紀『白の協奏曲』(amazon) (公式HP)

1978年に「小説推理」誌に発表されていながら、今まで単行本化されることのなかった“ファン垂涎幻の作品”。オーケストラ団員が、東京をまるごとジャックするという奇想天外かつ大胆なストーリー。頭脳プレイ重視、ゲーム性抜の冒険小説。

 山田正紀の超冒険小説は『火神(アグニ)を盗め』等、熱中して読んだものですが、埋もれた作品があったのですね。当時の若い山田正紀の手になる冒険小説、読んでみたいものです(でも図書館の予定(^^;))。

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2007.10.06

■Apogee & Perigee (戸川純 三宅裕司) 『月世界旅行』

Gettsusekai月世界旅行 APOGEE&PERIGEE
     (Youtube) (ニコニコ動画)

戸川純と三宅裕司がデュエットしたCM曲(CDJournal.com)

 ニッカウヰスキーの、1984年当時に放送され話題となったCM曲「月世界旅行」。アポジーとペリジーという、キャラクター・ロボットが登場したコマーシャルで使われていた曲で、“覆面ユニット”アポジー&ペリジーによるもの。実は戸川純と三宅裕司が歌っていました。

 この曲は松本隆と細野晴臣によるもので、戸川純ならではのイノセントなヴォーカルがポップでキュート。84年には細野晴臣がプロデュースして(略)、ゲルニカの上野耕路、越美晴、福岡裕(ビブラトーンズ、PINK)、テストパターンらアルファ/YENレーベルならではの豪華アーティスト陣参加の音源。

 ちなみにこの音源は(略)、2006年に戸川純の紙ジャケ再発シリーズの一貫で完全生産限定盤(写真)として復刻されました。

 なつかしーい。ひさびさに戸川純を聴きたくなって、探してみたら、あの名曲『月世界旅行』がネットにありました。しかもこのPV、僕は初見。映像はさすがに古さを隠し切れませんが、曲はあいかわらずの名曲。僕は戸川純の中でも最高に好きでした。

 この曲は、ここにもコメントしてくれる旧友あんまりようさんから教えてもらった曲で、80-90年代に何度聴いたことか。この少しアンニュイだけどポップな感覚が素晴らしい。そして個人的な記憶がこの曲でいろいろと想起されて、、、。

 CDは全く知らなかったので、今も古ぼけたカセットテープで持っているだけなのだけど、実はYoutubeとニコニコ動画のは、僕が持っているテープのと音源が違うみたい。少しだけど、でもこれは僕の聴きなれた『月世界旅行』とちょっと違う。いくつかバージョンがあったのか、それともテープが伸びてしまった(^^;)だけなのか。

 CDとして復刻されたアルバム『超時空コロダスタン旅行記』は、既に廃盤で中古で5千円以上します。でもほしい。

◆関連リンク
アポジー&ペリジー『超時空コロダスタン旅行記』(amazon)
戸川純 レーダーマン Radar Man(夜のヒットスタジオ版)
  諦念プシガンガ(Youtube)
 このあたりがお気に入り。今聴いても全然古く感じないのは、単にノスタルジーからでしょうか。『レーダーマン』のパンク。そして『諦念プシガンガ』のなんとも言えない凄みのある雰囲気。
 特に後者は、戸川純のコアのような曲で、肉体にとらわれた脳の中の意識がその体から脱出しようとする試みのような壮絶なパフォーマンス。これも80年代的だけど、でも21世紀的でもある。必聴。

 この頃の戸川を主人公にパンクな映画が撮られていたらと夢想する(『釣りバカ』に出てる場合じゃなかったのに(^^;))。今なら、この歌とシュヴァンクマイエルの演出で、ジャンクな退廃的な雰囲気の映画として観てみたい。実現することは、、、ありえない。

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2007.10.02

■JAXA 月周回衛星「かぐや(SELENE)」の
  ハイビジョンカメラ(HDTV)動画撮影成功

Selene
月周回衛星「かぐや(SELENE)」の
ハイビジョンカメラ(HDTV)動画撮影成功について
(JAXA)

 撮影は「かぐや(SELENE)」に搭載されたNHK開発の宇宙仕様のハイビジョンカメラ(HDTV)によって行われたもので、地球から約11万kmという遠い宇宙からのハイビジョン撮影は世界で初めてのことです。「かぐや(SELENE)」で撮影した動画画像をJAXA臼田宇宙空間観測所にて受信し、その後、NHKにおいてデータ処理を行いました。

 以前から記事にしてきた月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョン(HDTV)動画撮影が成功した模様。

 現在、衛星は月への途上にあり、今回ダウンリンクされたのは、そこから撮った地球。公開されているのはこの静止画のみ。NHKのプレスリリースも上のJAXAのと同じ記事があるだけ。せっかくのハイビジョンなのだから、NHKにはしっかりと放映してもらいたいものだが、、、。NEWSではやったのだろうか。今のところ番組検索しても、関連番組はヒットしません。

 あ、NHKのニュース検索にありました。どうも静止画での放送だったようです。残念。きっとまだハイビジョンの動画はダウンリンクされていないのでしょう。でなきゃ、なんで放映しないの????

NHKニュース ハイビジョンで地球を撮影(10/1 19:41)

 「かぐや」は、順調にいけば今月4日ごろに月を回る軌道に到達し、来月下旬ごろまでに観測態勢を整えて、今後もハイビジョンカメラで月の地平線から昇る地球やふだん見ることができない月の裏側の鮮明な映像も撮影する計画です。

◆関連リンク
月周回衛星「かぐや(SELENE)」 (公式HP)
 SELENE 現在の位置 ビデオアーカイブ フォトアーカイブ
記事(AV Watch)

・当Blog記事
 ・月探査 月周回衛星セレーネ:SELENE 「月に願いを!」キャンペーン
 ・宇宙から初めてのハイビジョン生中継  HDTV in ISS:International Space Station

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2007.10.01

■チャンネルNECO 特別番組 押井守サーガ

特別番組 押井守サーガ
 2007年・チャンネルNECO・20分・カラー

Oahi_saga (1)紅い眼鏡20周年記念パーティの貴重な映像を蔵出しオンエアする他、押井守、川井憲次ら、錚々たるメンバーのインタビューを通して、『紅い眼鏡』を振り返る。

(2)押井守監督がライフワークとする『ケルベロス・サーガ』の「鋼鉄の猟犬」ほか、待望の新作『真・女立喰師列伝』や『スカイ・クロラ The Sky crawlers』など、押井守監督の現在を追いかける。

■1 「紅い眼鏡から20年」
10/4 [16:40] ・ 10/13 [21:00] ・ 10/18 [16:40] ・ 10/31 [16:50]
■2 「押井守的ライフワーク」
10/13 [23:10] ・ 10/18 [26:20] ・ 10/19 [16:40] ・ 10/30 [16:50]

10/13(sat) 19:00 紅い眼鏡
21:00 特別番組 押井守サーガ (1)「紅い眼鏡から20年」
21:20 ケルベロス-地獄の番犬
23:10 特別番組 押井守サーガ (2)「押井守的ライフワーク」
23:30 人狼 JIN-ROH

 CATV、あまり観ないので、実は今月で解約するつもりですが、この番組はすべりこみセーフ。

 ケーブルらしく何度も放映されるけれど、10/13に全番組連続放映されるので、この日に録るのが得策でしょう。『紅い眼鏡』も『ケルベロス-地獄の番犬』も、押井守実写作品はどうも受け入れがたい私ですが、きっと録画するでしょう。ひさしぶりに2度目を今観ると、もしかして面白いかも、とか思って、きっと嵌まるのでしょう(^^;;)

 本命は、もちろん新たに撮られたこの二本のドキュメンタリーですね。またレポートします。

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