◆<発掘記事92.10/29>下呂のアプライド美術館と中子真治氏の倉庫
<p><p><p><p><p><p><p><p><p>下呂のアプライド美術館と中子真治氏の倉庫</p></p></p></p></p></p></p></p></p>
1992.10/29
岐阜県萩原町にできたアプライド美術館に行ってきた。
あの中子真治が協力してハリウッド特撮のミニチュアの展示をしているという
のが、今回のアプライド美術館の企画である。
僕には中子真治って特別 、思い入れがある。そして彼が岐阜の出身でどっかにいるというのが、うれしかったりもしていたのである。(ようするに中子真治のミーハーファン!! )
で、アプライド美術館は、国道41号を美濃加茂から北へまっすぐ1時間半くらい走ったところ萩原の駅の手前にある。ちょうど41号沿いで右手に、「メトロポリス」のマリアの看板が見えてくるからすぐわかる。
ぼくはもしかして中子真治に会えるかもしれないという期待にすこしドキドキしながら入っていった。
広さは大学の普通の教室の2倍くらいで結構せまい。
で、展示のほうは、正確には、主催は地域(まち)づくり有志会、後援/下呂市・
萩原町、、、下呂温泉観光協会、でもって監修/中子真治とある。どうやら、むらおこしの一貫で町に住む一種の文化人である中子真治を囲んだ有志が企画したような雰囲気である。
なかにはいるとまず宇宙服の人形が目に入り、それから奥へ進むと あるあるあるというくらいあるSF映画のミニチュアアートと小道具の展示。充実してたのは、中子真治がよく取り上げていた(友達だという)グレッグ・ジーンの作品。
← チラシより抜粋
以下、思いつくまま展示品を挙げると未知との遭遇のデビルスタワー、ミクロ
の決死圏の潜行艇、宇宙家族ロビンソンの円盤型宇宙船、そしてフライデー(!!
実物!!!!)、宇宙戦争の火星人の円盤、宇宙大作戦(でなきゃネ)のフェー
ザー、通信機、TVバットマンの各種プロップ、シービュー号のフライングサブ
(ぼくは子供の頃これが大好きだったのだ!!)、レッドオクトーバーのソ連原
潜、そして2001年のあの宇宙服!!!!
かなりおおものがあって、僕は大満足。なにしろ、うちの実家から1時間半のところ、同じ岐阜県の地に、憧れて見ていた映画に使われたこんなものたちが展示されているというだけでワクワクするではないか!フライデーがいるんだゼ、ボーマンの宇宙服があるのだゼ!!
残念ながら中子真治はいなかったけれど、満足して帰ることとした。ここは来年の3/14までは、この展示が続き、つぎはまた別の展示が行われるらしい。
「アプライド」の言葉から「なんでも美術館」をめざすというから、また面白いものを見せてくれるでしょう。期待!である。
というところで終わると思ったでしょう?(長いと言う方。えーー、まだある
のーーと言わんでください)
実はまだ続きがある。出口の所でおもしろそうなチラシを発見!
少し戻った下呂の町に、「倉庫」という名の「博物館のような物置 お茶もできる」店があるらしい。
「コンセプトはウェアード・アンド・アンユージュアル
つまり変で、普通でない、ということ」
「むかしの自動演奏ピアノやジューク
ボックス。アール・デコの家具や調度品。ハリウッド映画の小道具や衣装。本物のターミネイターやプレデター。ようするに、メイド・イン・USAの変なモノや普通でないモノをまとめて収納したのが、当「倉庫」である。」
「本当をいうと、ここは、変なモノや普通でないものモノに目がないオーナーが必要に迫られてつくった単なる物置にすぎない。ほんの気まぐれから一般公開する気になっただけで、、」
というコピー。どうです、ビンビン来ませんか?SFファンのこころをくすぐるこのフレーズ。あたらしもの好き、めずらしいもの好きの血がフツフツと煮えたぎるコピーじゃないですか?!
で、チラシの地図を見ながら、始めての下呂の町-温泉の町、VOWの町(?!)へ進入。
大きな黄色の馬が目印のその「倉庫」は下呂のなんの偏屈もない路地をはいった幾分わかりにくい場所にあった。ふつうの田舎の町並みに突然、アートっぽい倉庫。そこだけどっか都市の洗練/緊張感のあるたた
ずまい。
表の説明書きを見て中へ、変わっている、入口の自販機のコーヒーを500円
で買うと、それが入場料兼「お茶」になる。ちょうど小銭がなく、壊してもらお
うと振り返った僕の目に入ったのは、店の人、
なんと中子真治!!である。
薄暗くライトアップした店内のカウンタ
ー風のところに、雑誌の写真で見たあの中子真治がいるのである!(なんとなく予想したでしょ、この話の展開)(いるかもしれんと思ったけど、、いた
のだ!)ぼくはドキドキしながら「あの小銭に壊してもらえますか?」(なんて間抜けなんだ!!)
で、中子真治の顔を知らない妻は、その近くにおいてあるサボテンを見て「これって作り物ですか?」と抱いた娘をあやしながら気楽に聞いている。
中子氏が答える。(答えるのだ!当たり前だけど、、)「そうですよ、
映画の小道具。触ってみてください、やわらかいですよ。実はネ、うちに
同じサボテンが置いてあるんだけど、子供が小さい頃にそれでよく遊んでてネ。
で、始めて本物のサボテン見たときに、知らないからいきなり抱きついちゃって大変だったんですよ」なんて。
なにも知らない妻は、そんな話に盛り上がって屈託なく話ているのだ、、あの中子真治と!
私はと言えば、ドキドキしながら何を話そうか頭の中で、あせりつつ考えていたというのに!
で、とりあえず、展示を見てコーヒー飲んで落ち着いてから「中子真治さんですネ?」と話しかけようと
思ったわけ。
展示は20畳くらいの広さの、まさに倉庫といった中に、ショーケースに入った実物大のターミネイター(の骨格)、グレムリン、アメージングストーリーのジョー・ダンテのカトゥーンものと言ったハリウッド関連から、ジュークボックス、ライト、時計、プレイヤーピアノ、自転車といった調度品関連(しかも全部アール・デコ調!)まで幅広い。
極めつけは、実際に座ってコーヒーも飲めるイスの凄さ。全部アール・デコの豪華なイスたちなのだ。思わずイスおたくの私は、全てのイスのすわりごこちを試した!(店内には、平日のためか客は、我々だけ)
プレイヤーピアノを見ていたら、中子真治が声をかけてきた。「先週来たお客さんが、いろいろ触ってるうちに、そのピアノ壊してしまったんですよ
。本当はいつも演奏してるんですけどネ。この横のも面白いんですよ。これを回すと、なかでチャップリンが動くんですよ。」ぼくら2人は覗き込むと、
パラパラマンガの要領でチャップリンの写真が動いていた。
さあ、ここで話かけるんだ!「新進主流派SF映画作家論、好きでした」と。
その時、外から現れた若い女性。中子真治とあいさつをかわす、中子氏は「では、ゆっくり見ていってください」と言っ
て交替に外へ行こうとする。12時が近い、どうやら昼の休憩で交替のようだ。
頭のなかに渦巻いていたいろいろな質問は、「あ、、」という僕の溜め息とともに行く場を失って、今も自分の部屋に燻っている。
妻にあれが中子真治だったと話すと、「なあんだ、話かければいいのに」
と屈託がない。僕の心中は、でもわかんないだろう。(このミーハーな気持ちを
どうしてくれるんだあーー!)「でも、メガネとかもすっごいいい趣味だったし
、なんか洗練されてるネ」とは、妻の中子真治評である。
というわけで第1の中子真治との遭遇は、こんな具合でしたが、近いことだし
、また次の機会もあるでしょう。「倉庫」は、狭いけど、楽しいものがとにかく詰まっていて、展示の照明や雰囲気もよくて、なんども足を運びたいものです。
願わくば、あの自販機のコーヒーがもう少しうまければ、、。(いいもの見せてもらった上に贅沢?)
とにかく充実した半日の下呂への旅でした。
(by.BP '92.10)
P.S. 現在('07.12)、アプライド美術館と倉庫は、運営されていません。現在は飛騨高山 留之助商店 本店で展示中。
| 固定リンク
コメント