■NHK爆笑問題のニッポンの教養 FILE022:「科学的分身の術~バーチャル・リアリティ学 舘暲」
爆笑問題のニッポンの教養 (公式HP)
FILE022:
「科学的分身の術
~バーチャル・リアリティ学 舘暲」
2008年 1/8(火) PM11:00~11:30(30分)
(略)舘が作ったロボットは、「ガンダム」とはちょっと違う。自分はロボットに乗り込まない。コックピットから遠隔操作でロボットを操縦する。かといって、「鉄人28号」とも違う。遠隔操作はするのだが、バーチャルリアリティの技術を駆使して、あたかも自分自身がロボットの中に入っているような、言い方を変えれば、自分がロボットになったかのような感覚で操縦する。(略)
最先端のバーチャルリアリティ世界に何があるのか?爆笑問題がその驚異の感覚を体験する。撮影スタッフは収録の手順を確認するために、全員「テレイグジスタンス」を体験することになりました。装置を頭からかぶった瞬間から、目の前に広がるのは「別の場所から見た、『超リアル』な光景」です。そしてその中に、自分自身がいる・・・。あんまりリアルで、思わず「自分」から目をそらしてしまったほどでした。 この体験は、確かに人間に新たな「何か」を生む・・・。そう思いました。
究極映像研あこがれの舘研究室の様子がハイビジョンで見られる!ということで、今日は朝からワクワク。
まるでロボット特撮映画のスタジオのような舘研究室の雰囲気がまず素晴らしい。太田光はTWISTERの楽しげな感じを見て、TDL:東京大学ランドと呼んでた。
いくらハイビジョンでもさすがにTVではTWISTERの立体映像は見ることができない。ものすごく観たい!
ヘッドセットを付けた田中の顔と体の動きのままに最新のステレオカメラロボットとTelesar2が動くテレイグジスタンス操作の様子もしっかり見れた。これはまさに実際に体感してみないと本質はわからないだろう。爆笑問題二人の様子に感情移入して体感するしかないのが本当に残念。
後半の対談部分では、人間の感覚の全てがもともとヴァーチャルであるとか、ラディカルな会話が交わされた。舘教授の本ではよく出てくる概念だけど、こうしたSF的な研究ガジェットを背景にして聞くこの話は、まさに空想科学空間を現出させている。
(人間の感覚のヴァーチャル性を説明するのには、以前書いた記事で紹介した池谷裕二准教授の本を参照すると非常によくわかる。我々の観ている映像はそのわずか3%が外の世界の情報で、それ以外の97%は脳が処理した別の視覚情報だということなので、これはもうヴァーチャルとしか言いようがない。この研究も東大ですね→東大薬品作用学教室)
あと太田光はなかなか鋭くって、この技術による人間の感覚の拡大の可能性は充分理解した上で、なんか本当にここに未来があるのかな、という疑問を感じているようだった。
彼の言葉で面白かったのが、ピカソの絵の方が写実よりも、現実の真実の姿をうまく伝えているのではないか、という指摘。
これはヴァーチャルリアリティで現実の情報をできるだけ丸ごと遠隔地で再現しようと腐心している舘の研究に対して、逆説的なことを言っていることになる。ピカソの絵のように現実を何らか改変して伝えた方が、リアルが伝わるのではないか、と。情報量が多いと、解釈/情報の選択が多様になって、それは実は真実から遠ざかるのでないか、という指摘。
ここについては、時間も短く、ちゃんとした議論にはならなかった。
感覚情報としてマスター側の人間に何をどれだけ入力してやると、「そこにいる」という臨場感が得られるのか、という議論になるはずなのだけれど、、、。ここのディスカスをもっと見てみたかった。
東大薬品作用学教室の池谷准教授と舘教授のコラボレーションが実現したら、脳の認識メカニズムに基づく画期的なヴァーチャルリアリティが開発されるかもしれない、なーんてことを考えてしまった。その時には上記太田光の指摘も有効なアイディアのような気がする。3%の現実映像で、残り97%を占める脳内映像情報を引っ張り出して、遠隔地の真実をどうやって再現するか。ここの工夫が知恵の絞りどころなのだろう。
◆関連リンク
・舘暲研究室 ・TWISTER ・Telesar2
・テレイグジスタンスマスタ・スレーブシステム テレイグジスタンススレーブロボット
(TELE-existence Surrogate Anthropomorphic Robot: TELESAR)
残念ながら何故か最近は更新が止まっています。
当Blog記事
・東大舘暲研究室
相互テレイグジスタンスの第二世代
テレサ2とツイスター4に関する報告
・東大舘暲・川上研究室
相互テレイグジスタンスロボット「テレサ2 (TELESAR 2)」
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