■中島 らも『君はフィクション』
中島 らも『君はフィクション』 (amazon)
未発表作含む鮮烈な小説集。 04年7月、52歳で急逝。原作映画もヒット、没して猶存在感が増す中島らも氏の未発表2作を含む、小説集。幻想、愛、恐怖、笑い、毒…。不世出の異才の多面的な作風と魅力の全てがこの本にある!
ユリイカ 特集『中島らも*バッド・チューニングの作家』を見るまで、実は情けないことに、この短編集は知らなかった。最近、リアル書店へ行くことが減っていることの弊害だ(^^;)。
ユリイカを見て、特に「DECO―CHIN」を読みたくなって、手に取った。
傑作。
「DECO―CHIN」は凄かった。ロックの神髄がここにある。もしかしたら絶筆となった『ロカ』の書かれなかった展開は、この「DECO―CHIN」につながっていくものだったのかもしれない。なんて。
ホラーの三本もいい。セオドア・ローザックの傑作『フリッカー、あるいは映画の魔』を思わせる「コルトナの亡霊」、民話的怪異譚「水妖はん」、「山紫館の怪」。「コルトナの亡霊」は以前取り上げた幻の映画、『シエラ・デ・コブレの幽霊』を想い出させたり。
あとどうでもいいけれど、個人的に本書は岐阜県短編集って感じで感銘。
中島らもと岐阜の関係は全く知らないけれど、本書の舞台は二編が岐阜。
一編が中津川フォークジャンボリーを舞台にした「結婚しようよ」。
で、もう一編は可児の具体的な地名(広見と明智)まで出てくる「狂言「地籍神」」。
それにしても最後に苦言。この松尾たいこの装丁はなんとかならなかったか。最近SFの短編集他も松尾たいこの表紙が増殖しているが、独自のあの絵の世界自体はいいのだけれど、とにかく本の雰囲気とのミスマッチが多い。
特にこの中島らもとのカップリングのミスマッチは大きい。僕の感覚だと、きっと中島らもが生きていたらこの表紙にはしなかっただろう。「DECO―CHIN」を果たして松尾たいこは読んだ上でこの絵を描いたのだろうか。
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・青春と読書
小堀純氏の本書へのコメント
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コメント
say*3さん、こんにちは。
>>「ガダラの豚」の表紙はトップ3に入ると思います。
やはりらも本の表紙は、あんなタッチじゃないとね。
投稿: BP | 2008.04.06 18:25
らも さんのイメージじゃあないですねぇ。
「ガダラの豚」の表紙はトップ3に入ると思います。
投稿: say*3 | 2008.04.01 07:34