■諸星 大二郎『未来歳時記・バイオの黙示録』
諸星 大二郎『未来歳時記・バイオの黙示録』
諸星大二郎のひさびさのSFものと聞いて、さっそく読んでみました。
タイトル通り、バイオテクノロジーによる奇怪な未来の地球の黙示録的世界が描かれている。連作短編6篇(「野菜畑」「養鶏場」「案山子」「百鬼夜行」「シンジュク埠頭」「風が吹くとき」)と、その間にはさみ込まれ、全体にひとつの物語の流れを作っている幕間劇5篇(「難民」「サトル1」「花」「サトル2」「サトル3」)で構成。
植物と動物と昆虫と人のDNAの融合により、生物相が入り乱れて発生する奇妙な世界。
初期の代表作「生物都市」を思わせるどろどろな生物の融合状態。発現してくる潜伏DNAとそこで生まれるさまざまなドラマがドタバタだったり悲劇だったり、どれも印象的。特に僕は、「風」が象徴的に描かれ、狂言回しとして登場したサトルが重要な役割を果たす全編の最終話「風が吹くとき」で描かれる異様なイメージが心に残った。特にエリアを深いところへ侵入して行く過程がイマジネーションを刺激する。
21世紀、遺伝子工学が産業として拡大することは間違いない。
今世紀末に地上に現出する黙示録的な世界は、こんな様相かもしれない、とどこか思わせる奇妙なリアリティがある。
◆関連リンク
・諸星大二郎『バイオの黙示録』-夏目房之介氏の「ほぼ与太話」
この人の絵は、じつに奇妙な「現実」と「神話」のあわいを描ける不思議な絵なんだが、それがいかんなく発揮され、DNAが種を越えて混じってしまう世界を描いている。
・本Blog過去記事
諸星 大二郎 短編小説集 『蜘蛛の糸は必ず切れる』
諸星大二郎の「影の街」と磯光雄アニメート
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コメント
箱 ミネコさん、こんばんは。
また貴重なお話、ありがとうございます。
よろしければ、もっと聞かせて下さい(^^;;)。
>>確かにお喋りではないですが、とても親切でフレンドリーな方でした
漫画の雰囲気とは違いますねー。
>>先生と共通の知人(漫画家の花輪和一氏)がいたので、
花輪和一氏!! 濃いですねー。(失礼(^^;))
>>諸星先生の絵はとても魅力的ですが、ご本人にその自覚は全くなく、「画集とか出さないんですか?」と聞いたら「誰も欲しがらないと思う(キッパリ)」と仰ってました、
うう、そんなことないのに~。ねえ?
あの絵を大判の画集で見られたら、喜ぶファンはいっぱいいると思います。海外でも受けるのでないかなーー(ちょっと不安)。
そういえば海外で諸星漫画ってどう受容されているのでしょうね。今度調べてみよう。
ではでは、今後ともお時間が許せばご登場下さい。喜んでお待ちしております。
投稿: BP(箱 ミネコさんへ) | 2008.09.07 21:11
調子に乗ってまたこっそりと思い出話…(笑)
諸星先生はとても気むずかしく、無口、と言われていまして、
緊張して仕事に行ったのですが、
確かにお喋りではないですが、とても親切でフレンドリーな方でした、
先生の奥様と私の趣味(旅行)が同じだったり、
先生と共通の知人(漫画家の花輪和一氏)がいたので、
それなりに話しがはずみ、食事の時の雑談が楽しかったです。
諸星先生の絵はとても魅力的ですが、ご本人にその自覚は全くなく、
「画集とか出さないんですか?」と聞いたら
「誰も欲しがらないと思う(キッパリ)」と仰ってました、
うう、そんなことないのに~。ねえ?
投稿: 箱 ミネコ | 2008.09.07 20:58
SACさん、こんばんは。
>>友人からは「シュールな作風にあなたならマジでハマると思うから読んでみて」と言われたのですが、"現実と神話が入り混じる混沌としたリアルな作品(?)"が多いですよね。
あの他にはない独特の雰囲気は貴重ですよね。
和製シュールレアリスムというのは、まさに諸星作品のことかもしれません。
投稿: BP(SACさんへ) | 2008.08.31 18:10
BPさん、こんばんは。
諸星大二郎先生、すごい作品ばかりですよね!
2年程前に友人(女性)から妖怪ハンターシリーズなどの諸星先生の単行本を10冊ほど借りて初めて知ったのですが、気が付くと僕が定期購読しているウルトラジャンプに「未来歳時記」が不定期連載されていました(^^;)
友人からは「シュールな作風にあなたならマジでハマると思うから読んでみて」と言われたのですが、"現実と神話が入り混じる混沌としたリアルな作品(?)"が多いですよね。
そうそう、来飯された(飯田にいらっしゃった)ようですが、川本美術館関連のエントリはどちらに?
投稿: SAC | 2008.08.25 01:26
あ、そういえばあったような・・・、って私も見た覚えないんですよ<2001夜。
イメージアルバムは友人から借りて聴いた記憶があります。
それこそCDが出始めたばっかりの頃じゃなかったかなぁ。
投稿: say*3 | 2008.08.23 21:05
ミネコさん、こんにちは。
>>私、諸星先生のアシスタントでした☆
>>西遊妖猿伝の頃。
凄いーー!! なんだか感動してしまいました(^^;;)。
>>諸星先生の原画、素晴らしいです!
>>漫画と言うより、絵画でした、
>>下書きの鉛筆線を消すときに
>>もう毎回惜しくて死にそうでしたよ~(笑)
宮崎駿は『ナウシカ』の漫画を鉛筆で描いていたそうですが、諸星氏の絵も鉛筆がとても似合いそうですね。
とても観てみたいです。どこかで鉛筆画を公開されたことはないのでしょうか。
>>あ…意外だったのは
>>とっても大きな人(推定身長180㎝超え)だったことです。
写真は拝見したことはありますが、そんな背丈なのですね。びっくり。
>>師匠の思い出とか自分のブログに書けないので、ここでこそっとカミングアウト~しました(迷惑?)
迷惑どころか、大歓迎です。
諸星氏のそうした話はあまり世に出てないと思いますので、ここでよろしければご記憶を書いて頂けると、日本中の諸星ファンが喜びます。ってこっそりやらないと、、、(^^)。
投稿: BP(ミネコさんへ) | 2008.08.23 14:16
say*33さん、こんちは。
>>星野さんは映像化したのってないですよね。
昔アニメで『2001夜』が映像化されていますね。
2001夜物語 - Wikipedia
僕は原作のイメージ壊されそうで、いまだ観てません(^^;)。>>すみません、スタッフの方。
投稿: BP(say*33さんへ) | 2008.08.23 14:08
諸星大二郎先生の最新作情報!!
嬉しいです、短編集はいつの間にか出ていて
いつの間にか絶版、私は迂闊(笑)
あの…自慢、してもいいですか?(恐る恐る)
私、諸星先生のアシスタントでした☆
西遊妖猿伝の頃。
諸星先生の原画、素晴らしいです!
漫画と言うより、絵画でした、
下書きの鉛筆線を消すときに
もう毎回惜しくて死にそうでしたよ~(笑)
とってもソフトな物腰で親切な人でした、奥様も美人☆
あ…意外だったのは
とっても大きな人(推定身長180㎝超え)だったことです。
お顔は自身の描く似顔絵に似てます、
私は前の経歴を抹消して出直した漫画家なので(離婚でね…トホホ)
師匠の思い出とか自分のブログに書けないので、ここでこそっとカミングアウト~しました(迷惑?)
さあ、最新作急いでゲットしなければ!
情報ありがとうございました☆
投稿: ミネコ「離婚日記」 | 2008.08.21 08:22
それでもTVや映画になってるのがすごいな、と。
星野さんは映像化したのってないですよね。
宗像教授とかイケそうなのに。
投稿: say*33 | 2008.08.19 22:02
say*3さん、こんばんは。
>>数年がかりで描いてる連作なのに、ほとんど筋がぶれてない(というか、ぶれようがない?)のは流石だな、と。
「生物都市」からずっとこんなのが好き、というぶれのなさも凄い(^^;)。
それにしても宮崎駿や庵野が諸星にリスペクトされてあれだけの売上と名声を得ているのに、本家の漫画家がヒットしないのはなんだか寂しいですね。
ただ諸星大二郎が大ヒットしている光景は、これはこれでなかなか壮絶(^^;;)。
投稿: BP(say*3さんへ) | 2008.08.17 22:59
数年がかりで描いてる連作なのに、ほとんど筋がぶれてない(というか、ぶれようがない?)のは流石だな、と。
投稿: say*3 | 2008.08.16 07:35