■『ULTRA FACTORY ウルトラファクトリー展』探訪記・3
パパ・タラフマラ「ガリバー&スウィフト」
ヤノベケンジの舞台装置と劇団リハーサル
パパ・タラフマラ
「ガリバー&スウィフト
作家ジョナサン・スウィフトの猫・料理法」
公演日:08/10/9(木)~08/10/12(日)
会場:東京グローブ座 (東京都)
作・演出・振付:小池博史
舞台美術・オブジェ:ヤノベケンジ
作曲・演奏:松本淳一(エレクトーン)/デワ・ライ(ガムラン)
オブジェ:田中真聡
ウルトラツアーの白眉は、ウルトラファクトリーでヤノベケンジ氏と学生によって作られた舞台装置を用いた劇団パパ・タラフマラの小池博史氏演出のリハーサル潜入だった。
リハーサルであるのだけれど、ウルトラファクトリーが作りだした装置の数々とパパ・タラフマラのパフォーマンスは素晴らしくインパクトがあった。
事情があって舞台を撮ってきた写真はすぐ公開できないけれど、まずはヤノベ氏のスケッチの写真と、私のつたない言葉によるレポートでその迫力を感じて下さい(本公演が終わったら写真を公開します→08.10/13掲載記事)。
僕が見学できたリハーサルは、約20分ほどだったのだけれど、東洋的な音楽(生演奏)に彩られたダンスと、ヤノベ氏デザインのギミックにあふれたオブジェ群と役者の迫力のある動きのコラボレーションが幻想的で熱いシーンを生み出していた。
特筆すべきは、2mになろうかという巨大な女の変幻していくシーンの異様さ。
芝居全体でのこの女の位置づけは不明であるが、呪縛された人工的な肉体が、まわりの獣の面を付けた役者たちによって剥ぎ取られて行くシーンは普段着をまじえたリハーサル光景とはいえ凄みがあった。特に写真ラストのヤノベ氏独特の甲冑との絡みは、まさに異空間をそこに現出させていた。
ツアーには家族連れの中に3才くらいの男の子がいたのだけれど、彼がこのシーンを見て受けたショックはどんなものだったのだろう。僕ならトラウマが残ったかもしれない。この幼児期のインパクトが忘れられず、将来、彼が幻想的な芸術を生み出すことを期待したりして(^^;)。
ツアーに同行し解説されたヤノベ氏に尋ねると、この女の繊細に動く機械的な指もウルトラファクトリーの制作物。ネコや球体も全てファクトリーで作られ、すぐ隣にある「春秋座」と呼ばれる立派な劇場へ運ばれたものとのこと。(搬入の様子)
ファクトリーと劇場が近いことで、舞台と装置制作のコラボレーションに相乗効果が生み出されているという。
舞台装置で一部(ネコとか巨大な女の顔つきとか)は今までのヤノベ氏の作品と少し様子が違うようだったので、ヤノベ氏デザインで学生制作かと尋ねてみた。しかしヤノベ氏の手が相当入っているとのこと。いずれ学生たちに任せることもあるだろうとはヤノベ氏の弁。そして装置を見に来た女優さんがウルトラファクトリーチームの熱い作品の想いに触れて涙を流されたとか。
パパ・タラフマラ ガリバー&スウィフト blog : 稽古場レポートBlogによると、これを演じる女優は橋本礼さんとのこと。この女優さんのBlog そこなし日記 | ウルトラによると、
わたしが身を包む巨大な「解体娼婦」も完成を迎えつつあります。 一昨日は歩くのもままならなかったこの巨大娼婦。昨日は歩行がスムーズにできるようになり、今日は装飾も美しくされ、通し稽古でも使えるまでに改良されていました。ウルトラクルーのみなさんの仕事に大感動。
「解体娼婦」! まさにイメージそのもののネーミング。
きっと10月の東京グローブ座の本公開では評判となるでしょう。僕もなんとかしてできあがった芝居を観たいものです。東京かー、ちょっと遠いなー。ヤノベ氏によると2010年1月には大阪公演も計画されているとのことなので、ずっと先だけれど、大阪で見ようかなー。
制作過程を追ったレポートとかビデオとかも公式Blog等で紹介されることを楽しみにしたいと思う。
ウルトラファクトリーのULTRA PROJECT第一弾は、パパ・タラフマラのパフォーマンスと立体造形のコラボレーションとして素晴らしいものになろうとしている。今後の飛躍も期待。(ULTRA PROJECT第二弾についても情報があったので、後日掲載予定。乞うご期待)
◆関連リンク
・解体娼婦の写真はパパ・タラフマラの関連Blogにあります。こことここ。
巨大幼児他写真はここ(ULTRA FACTORY公式HP)。その他の舞台装置。
・デジスタ・ラボ:NHKブログ
ウルトラファクトリー潜入リポート!!
・東京のアート情報を発信 立川直樹責任編集"TOKYO ART PATROL"~東京アートパトロール~ : 世界中を魅了するパパ・タラフマラの舞台が現代美術作家ヤノベケンジとコラボレーション!.
(略)それに応えたヤノベケンジのコメントが観劇 気分をさらにそそってくれる。 「スーツマン、小人猫、高級娼婦、そして巨大幼児…。ドキドキするよなキャラクター満載の脚本を受け取った途端に作家魂に火がついた!あたかもそれは小池 さんが私につき出した恋文?いや挑戦状?ならば返す刀で刺し違える心意気で渾身の舞台装置を突き付けよう!料理されるのは猫か私かパパタラか?演劇も美術 も破壊するごった煮劇場。舞台のラストを飾るは驚きの再生ビックバンとなるに違いない」とのたまうヤノベケンジは今回が初めての舞台美術への挑戦。(略)
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