■磯光雄監督 次回作と『電脳コイル2』!?を語る
アニメ『電脳コイル』に見るリアルとバーチャルの接点
あの東大舘暲教授らによって1996年に設立された日本バーチャルリアリティ学会。その08年9月の本大会で『電脳コイル』のパネルディスカッションが開かれ、ゲストとして磯監督が参加されたとのこと。
全く知らなかったので、後追いでそのレポートリンク集です。若干ですが、次回作の方向についても語られています。そして『電脳コイル2』についても、、、(^^;)。
日本バーチャルリアリティ学会第13回大会 イベント情報.
(日本バーチャルリアリティ学会公式HP)
アニメ『電脳コイル』に見るリアルとバーチャルの接点
~複合現実感の未来実現形態を探る
日時:9月25日16:00-17:30 開催場所:ミレニアムホール
コーディネータ 田村 秀行(立命館大学)
コイリスト 稲見 昌彦(慶応義塾大学)
蔵田 武志(産業技術総合研究所)
酒田 信親(大阪大学)「メガネをかけてログインすると,現実世界に重なって電脳物質が見える…」そんな近未来の複合現実世界を描いた人気アニメ『電脳コイル』を取り上げ,原作 者である礒光雄氏と,電脳コイル探偵局の面々(コイリストたち)が語り合う特別企画セッションです.若手『電脳コイル』フリークたちが選んだ代表シーンを 分析し,そこからVR/MR研究が目指すべき挑戦課題を探ります.
ごった煮ちゃんぽん 第13回日本バーチャルリアリティ学会大会 2日目
『電脳コイル』の特別セッションに行ってきた.
磯監督からのお言葉
「少なくとも現時点では、MRなどを題材にしたアニメを今後作る予定はありません。もし『電脳コイル2』のようなものがあるとしたら、それは皆さん(会場にいる研究者たち)が『電脳コイル』の世界を実現できたとき、それが『電脳コイル2』となるのだと思います。」
日本バーチャルリアリティ学会二日目:
電脳コイル - なぜか数学者にはワイン好きが多い.
とても興味深かったのは,「数値的に正確に位置合わせをするよりも,見た感じに何となく違和感が無ければ受け入れられるのではないか.学術的な世界に貢献できるとしたら,これが唯一私から提案できることだと思います」というコメントでした. VRやMRについてずいぶん調べたようですが,次の作品が電脳系(技術系)のものになるかどうかは分からない,むしろ普通のファンタジックなアニメを作る可能性が高いとのことでした.
「普通のファンタジックなアニメ」っていったい、、、、。
それにしてもこうしたアカデミックな場で、「皆さんが『電脳コイル』の世界を実現できたとき、それが『電脳コイル2』となるのだと思います」って、カッコ良すぎます、磯監督。
VR学会全国大会 特別セッション
アニメ『電脳コイル』に見るリアルとバーチャルの接点 - 中将の研究日誌.
「な ぜVRを題材としたか」という質問に対する答えは、アニメーターの矜持というか業のようなものを感じました。アニメーションは省略の力が生きるメディアな ので、リアルを目指すVRに対し(人間の錯覚のような)ごまかしを上手く利用しようとするMRにより共感した、とまあ監督の言いたいことはそういうことか なと思いました。
また最後、仮想現実と精神世界について、語っておりました。実は人間の脳みその中には仮想世界が構築されており、「(認識のための)雌型」のような物があって、実在するオブジェクトをありのまま見てるのではなく、自分勝手に解釈して見てる、といった話がありました。
ちなみに、パネルディスカッションの模様は後でVR学会誌についてくるから、みんな学会に入るようにとのことです。
ここで脳と仮想の関係性についてコメントされていることは、僕もコイルの記事として近い認識で書いたことがあったので、「そうそう」とうなづいて読みました。(その記事は関連リンク参照)
こうしたポイントは、コイルの物語ではほとんど触れられておらず、子供ものでも哲学的視点の導入を望んでいた僕は少々寂しい想いをしたものです。
あとVR学会誌に記載される公式リポートが楽しみ。
実はうちの会社の図書館は、このバーチャルリアリティ学会誌、購入してるんですねー。まだ発刊されていないようですが、またここで紹介しようと思います。
◆関連リンク
・当Blog記事 「メガネの子供たち」 と ミックスドリアリティ
実は電脳がない時代でも、ヒトの現実は脳という仮想世界と共存していたわけで、それがミックスドリアリティという技術で、誰でもが当たり前のものと認識しているのが『電脳コイル』世界である。
・きなこ餅コミック 『電脳コイル企画書』10/21いよいよ発売!?.
アニメージュ本誌には、『企画書』に収録されているであろうイメージボードのサンプルも載っているのですが……こいつがスゴかった!
こ、これが『電脳コイル』の原型……!? なんというサイバー未来。なんという戦隊ルック。電脳メガネはメガネというよりスカウターです。
ここで紹介されている初期イメージ画の電脳グローブの絵は凄い。これも観たかったなー。
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コメント
Kowalskiさん、こんばんは。お久しぶりです。
>>現在東京の日本科学未来館、東京国際交流館でDIGITAL CONTENT EXPO2008が開催されており、
これ、行きたかったです。
>>“光学迷彩”の展示もあり、アニメの中の技術が現実化していることが実感できます。
レポート読ませていただきました。
実物を見られたとはうらやましいです。
ヴァーチャルリアリティも既に研究レベルでは古くからやられているので、なんとかリアルワールドで花開いてほしいものです。
投稿: BP(Kowalskiさんへ) | 2008.10.28 00:21
BPさま、お久しぶりです。
現在東京の日本科学未来館、東京国際交流館でDIGITAL CONTENT EXPO2008が開催されており、そこで以前BPさんが紹介されていたオリンパスの“電脳メガネ”体験してきました。
“光学迷彩”の展示もあり、アニメの中の技術が現実化していることが実感できます。
10月26日(今日!!)までの開催なので、BPさんは来られないと思いますが、東京近郊にお住まいで時間のある方はぜひ!!
投稿: Kowalski | 2008.10.26 00:37
上田早夕里さん、こんばんは。
>>「コイル」は、私の周辺(SF作家仲間のあいだ)では、放映開始時から大人気でした。ことあるごとに話題になっていました。私と同世代の作家さんは、みんなはまったんじゃないかなあと思います。
やはりそうでしたか。SF魂を励起しますよね、あの物語と映像。
『電脳コイル 企画書』が今日Amazonから手元に届きましたが、初期の企画ももっとSFチックな感じでいいです。
>「ガンバ」
> 同じく! アニメから原作にはまりました。あれは冒険小説の傑作ですね。
まさに冒険小説。複数の登場人物の采配も見事でしたね。
投稿: BP(上田早夕里さんへ) | 2008.10.19 22:39
「コイル」は、私の周辺(SF作家仲間のあいだ)では、放映開始時から大人気でした。ことあるごとに話題になっていました。私と同世代の作家さんは、みんなはまったんじゃないかなあと思います。
>「ガンバ」
> アニメもですが、原作も傑作でしたよね。
> 原作の方がさらに素晴らしかった記憶です。
同じく! アニメから原作にはまりました。あれは冒険小説の傑作ですね。
投稿: 上田早夕里 | 2008.10.19 00:28
上田早夕里さん、お久しぶりです!
コメント、ありがとうございます。
>>今年のSF大賞の候補に挙がるといいなーと、私自身は思っております。
上田さんも『コイル』ファンなのですね。星雲賞は受賞でしたが、SF作家クラブでの評判はどうなのでしょうね。山本弘氏は雑誌でレビュウ書かれてましたが、、、。
>>来月、BSアニメ夜話で取り上げられるようですね。
これ、とても楽しみですね。磯監督の出演があるといいな、と期待してます。
『ガンバ』、僕も楽しみです。アニメ夜話、小林治とかあの独特の原画を描いてた人がでるといいですが、、、。
アニメもですが、原作も傑作でしたよね。原作の方がさらに素晴らしかった記憶です。
投稿: BP(上田早夕里さんへ) | 2008.10.18 21:43
ご無沙汰しております。
今年は年頭からめちゃくちゃ忙しくて、こちらのサイトもROMだけになっていました。
「電脳コイル」は、来月、BSアニメ夜話で取り上げられるようですね。11月4日(火)放送だそうです。どんなふうに取り上げられるのか、とても楽しみです。(個人的には、11月5日放送の「ガンバの冒険」も、すごく気になりますが)
今年のSF大賞の候補に挙がるといいなーと、私自身は思っております。
投稿: 上田早夕里 | 2008.10.18 18:21