■リー・タマホリ監督 『NEXT -ネクスト-』
原作 「ゴールデン・マン」フィリップ・K・ディック
ネットではかなり否定的な意見が多いようだけれど、この映画、僕はなかなか楽しめた。
冴えないアメリカ人を演じさせたらアメリカ一(?)のニコラス・ケイジがフィリップ・K・ディックに妙に合う。
この映画の見所は、ささやかな予知能力を持つ極めて善良な市井の主人公が、好意を寄せた女性のためにテロとの戦いを決意する姿である。ためらいながら、2分前の未来予知能力を最大限に活かして、行動する姿が良い。ニコラス・ケイジでないとこの味は出ないだろう。
2分後をみることができるというルールが、彼女の存在により途中で変わっている。ここは賛否わかれるところだろう。
そしてラストは「えっ」。ここから先はオープンエンディングとして観客の想像力にゆだねるということか。Amazonでの評価はこのエンディングで相当ひどいものになっている。
でもある意味、上に書いた「決意する物語」という視点で観れば、これも佳作なラストかも。ディックらしさはこちらがいいかも。(それにしてもスタッフたち、ハリウッド映画でこの終わり方は非常に勇気がある。)
◆関連リンク
・ゴールデン・マン:ハヤカワ・オンライン.
美 しい黄金像のような姿の青年、クリス・ジョンソンには驚くべき能力――未来を見る能力がそなわっていた。だが、現人類にはない超能力をもつクリスを執拗に 追う組織が迫っていた……映画『NEXT―ネクスト―』の原作「ゴールデン・マン」をはじめ、豪雨の夜に妖精たちに出会った男の不思議な冒険「妖精の 王」、名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の原型となった「小さな黒い箱」など、7篇を収録する傑作集
20年ぶりに「ゴールデン・マン」を再読。
映画とは未来が予知できることを利用した脱出シーンが少し似ているぐらいで、ストーリーと設定は全く違う。この金色のしゃべらない新人類を描いた静かな映画も観てみたいものだ。
でも映画は原作とは異なるけれど、ディックっぽさは結構良かったと思う。
・フィリップ K.ディック『ゴールデン・マン』(amazon)
08.3月に映画に合わせて新装版が出ていたのが、既に在庫なし。
・リー・タマホリ監督 『NEXT -ネクスト-』(amazon)
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