■Walter Grauman監督 『Lady In A Cage : 不意打ち』
Podcast 町山智浩のアメリカ映画特電
第53回 2008/07/04
平山夢明氏の忘れようとしても思い出せない
超怖い映画『不意打ち』
最近、Podcastのこの番組を電車で愛聴。
その中で、印象に残ったウォルター・グローマン監督、ルーサー・デイヴィス脚本の『Lady In A Cage : 不意打ち』。
日本ではソフトが出ていないのであるが、Youtubeに全編がアップされていたため、1964年の本作を観ることができた。
なにしろあの鬼畜な小説の作者である平山夢明氏がショックを受けた映画なのである、電車の中でiPhoneの画面をドキドキして観ましたよ、私は。
YouTube - Lady In A Cage Part 1
三階建ての豪邸に住む未亡人(オリビア・デ・ハビランド)は腰を痛めたせいで、鳥かご型のエレベータに乗らないと二階に上がれない。 ところが、ある日、ふとしたことでその家が停電し、未亡人はエレベータの中に閉じ込められてしまう。 その家にまず浮浪者が侵入し、金目のものを漁り始めた。 しかし、それは恐怖の一日の始まりにすぎなかった……。
まずヒッチコック『サイコ』のタイトルバックのようなオープニングが素晴らしい。ソウル・バスを真似たように見えるが、このシャープさはいい。そして同時に出てくる60年代の車が走る街並みがなんかカッコいい。
そして、映画本編、当時としてはギリギリの表現。それにしても確かに怖い。
この怖さは、狂った人間の怖さ。サイコな奴が4人ほど出てくるが、Podcastで触れられているようにヒッチコック『サイコ』にテーマも通底。ヒッチコック追悼特集で『サイコ』を初めて観た時のショックを想い出す出来。
加えて、先に述べたタイトルバックに加えて、階段のシーンの突然くわえられる暴力のショック。これらは『サイコ』へのオマージュになっている。
さらに話題になっているラストシーンについては、僕はアマチュア時代の平山夢明氏(デルモンテ平山監督)の自主映画作品を思い出した。子供時代に平山氏がこの映画を観た記憶が、自主映画作品のクライマックスに影響しているようだ。
YouTube - ペキンパーの男 (平山夢明) - Peckinpah Man
デルモンテ平山監督の「えび天」登場作品。タイヤのスローモーションに注目。
◆関連リンク
・【平山夢明 ブログ】ある日記
・Walter Grauman監督 『Lady In A Cage : 不意打ち』
・YouTube - 事故にあった仲間を気遣う犬の感動動画
この映画でいやーな気分になった後は、この映像があなたを浄化してくれます。
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コメント
梟木さん、こんにちは。コメント、ありがとうございます。
>>これいいですねー。今度観てみたいと思います。
リンチとは違いますが、こういう映画をリンチが観て育った可能性は高いですね。『サンセット大通り』とかもそうですが、この時代にしてはぶっ飛んでますから。
>>そういえば五月に「デイヴィッド・リンチ・ワールド(DVDBOX)」なるものが出るそうですね。
これ、知りませんでした。
『イレイザー・ヘッド』は持ってますが、他のがほしいです。
投稿: BP(梟木さんへ) | 2009.03.15 12:33
お久しぶりです。これいいですねー。今度観てみたいと思います。
なんとなく「イレイザーヘッド」を彷彿とさせられたんですが、そういえば五月に「デイヴィッド・リンチ・ワールド(DVDBOX)」なるものが出るそうですね。今から楽しみです。
ttp://www.7andy.jp/dvd/detail/-/accd/R0402234
投稿: 梟木 | 2009.03.12 11:53