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2009.06.23

■神山健治監督『東のエデン』
 「第11話★さらにつづく東」
 演出:河野利幸 作画監督:近藤圭一/永島明子

Eden_11 第11話★さらにつづく東

脚本:神山健治/カルロス春日  絵コンテ:吉原正行/河野利幸/柿本広大/京極義昭/神山健治 演出:河野利幸  作画監督:近藤圭一/永島明子 美術監督:竹田悠介

 放送が関東からさらに一週延期された東海地区。待ち切れず、ついに禁断のネット試聴(Veoh Video Network)。 本来は鮮明なハイビジョン画像で最終回のエキサイティングなシーンを観たかったのに、なんとも残念。でも、さ来週にはしっかりHD画像で見直します(^^;)。

◆物語の完結

 今回TV版最終回。11話で見事に一つの物語を描き切っている。
 森美咲と滝沢朗の物語の、見事でそして切ないラストシーン。シリーズ冒頭での咲の独白に対して、王子の誕生を描くとともに、ふたりの関係の消去を残酷なまでに描いたラストに感動。ペラペラの遊園地の王宮の王子と姫。

 そのシーン、破壊されたペラペラの王宮の前で、滝沢が最後にジュイスに依頼する声はわざと消してある。そしてノブレス携帯から流れる洗脳プログラム。
 何故にこんなにひっそりと描くのかとも思うけれど、この幕切れの方が切なさは増すのかもしれない。これぞノイタミナ枠、女性向けの演出なのかもしれない。

 それにしても11日間の物語で、ここまできっちりとまとめるとはシナリオの練られ方は半端ではない。(映画の前哨戦として伏線の張り方も)
 次の映画二話のストーリーテリングも既にきっちり詰められているはずで、半年先が楽しみである。

◆ミサイルの今のリアリティ

 映像としての今回のクライマックスは、ミサイル攻撃のシーン。
 物語の大団円を、テンションの高いアクションシーンにかぶせて、登場人物たちの人間関係を昇華させて描き、そしてゴスペルの曲(挿入歌"reveal the world")をバックにかぶせる。まさにSAC 2ndの空爆シーンの感動の再現。(当Blog記事『攻殻機動隊S.A.C.2nd GIG』 23-26話)

 というように、ファンとしては、SAC 2ndのラストとの相似を当然思うのだけれど、結局ここへ帰結したのはイラク戦争、北朝鮮等、我々にとってのミサイル攻撃のリアリティ故なのでしょうね。これもまぎれもない「今」の映像。(20年前なら、核攻撃になったんでしょうか)

 しかし、二万人の裸のニートと恋愛とミサイル迎撃戦、そしてかぶるゴスペル曲。
 このある意味、異様な取り合わせの感動。これはある意味、SAC 2ndを超えている。(何故ニートがジョニィ姿なのかは、この際、言わない約束。社会派ジョージ・ロメロ監督への献辞ということで、、、(^^;))

◆関連リンク
・当Blog記事
 第9話「ハカナ過ギタ男」
 第8話「あらかじめ失われた道程をさがして」
 第7話「ブラックスワン舞う」
 第6話「東のエデン」
 第5話「今そんなこと考えてる場合じゃないのに」
 第4話「リアルな現実 虚構の現実」  第3話「レイトショーの夜に」
 第2話「憂鬱な月曜日」 第1話「王子様を拾ったよ」感想
 竹田悠介美術 HDR(High Dynamic Range)写真タッチの映像
 神山健治 『映画は撮ったことがない』刊行予定 小説版『東のエデン』

TV未放映エピソ-ド試聴!★初回版ドラマCDより

60分を超える大作となったTV未放映の完全オリジナルドラマCD- その一部が本日より期間限定にて本サイトでも試聴いただけるようになりました!

YouTube - ガメラレーダー. YouTube - ガメラレーダー稼働!

航空自衛隊の警戒管制レーダーFPS-5

J/FPS-5 - Wikipedia AAM:空対空ミサイル - Wikipedia
 パトリオットミサイル - Wikipedia.PAC3

東のエデン(アニメ)まとめWiki - トップページ
東のエデン(アニメ)まとめWiki - 各話ごとの考察/第11話
東のエデン 聖地巡礼 お前らなんぞ、京都じゃないわ! - ローリング廻し蹴り
 パンツの下宿の建物もそのまま存在するみたいです!労作。
・青の零号さんのセレソンNo.0のエンブレムつくってみました - Biting Angle

『東のエデン 第1巻』Blu-ray DVD
・おまけ 僕の考える100億円の使い方
 ・播磨脳科学研究所の記憶消去プログラムを日本の既得権益層にばらまく
 ・(まじめに)やはり国の雰囲気を変えるには教育と価値観の転換。
  ・技術立国を目指した学校体制の大幅見直し
  ・マスコミによる低俗番組の払拭。自国のテクノロジー、芸術作品紹介番組の増加

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コメント

 ミのつく職人さん、こんちは。
 コメント、THANKS!

>>リンクされたYouTube映像を見ていると、ミサイルが降ってくることそのものよりも夕方のニュースで取り上げられることのほうが効果があるように思えます。

 マスコミは蜂の巣をつついたような状況になるでしょうね。その時、王子がどう行動するか?

>>昨年のガソリン高騰は国民の意識を変えたと思います。

 やはり身に降りかかると影響力は大。

>>この国の空気を変えられるかと問われれば、60発の(通常弾頭の)ミサイルでは変わらないでしょう。でもその報道や引き続き起こる物価高騰では変えられそうです、そんな感じがします。

 この相乗効果を期待しているのかな。
 もともと11発のミサイルではなんら空気が変わらなかったという設定ではあるのですが、、、、。

>>要撃前の評価では撃たないほうが被害が少ないということはありえますが、その場合でも撃たないという選択は政治的にありえないでしょう。

 撃たないという選択は政治的にありえない、確かにそうですね。超崖っぷちの麻生あたり、北朝鮮のミサイル攻撃を内心、期待してたりして、、、。そんなウルトラCしか延命はあり得ないでしょうから。

投稿: BP(ミのつく職人さんへ) | 2009.07.04 13:35

 青の零号さん、こんにちは。

>>その点では、「2番目に世界を救おうとしている人」の域には
>>かなり肉薄したんじゃないでしょうか(笑)。

 アニメで1番目の人は、ぼちぼち「世界を救おうとして」も救いきれない、とあきらめの域に近づいている感じですからね(^^;)。ポニョ、DVDがでるので、映画観てから考えたことを書いてみようかと。
 神山監督、既にアニメでは1番目でしょうね。

>>あと迂闊にも、こちらを読むまで最後のオーダー内容を見落としてまして・・・。
>>それを知って、ラストの静かな重さに凄みまで加わった気がします。

 あのシーンの意味が続編でどう展開し活かされるのか、興味津々。

 あと日本の王様ということは、結局天皇問題に触れざるを得ないはずで、ここの微妙な領域をどう鮮やかに描くかも映画のポイントかも。さすがにテレビでは難しい(映画も実は避けてたりして(^^;))

>>2ndGIGで「良い事は並列化されにくい」と看破した神山監督ですが、『東のエデン』では
逆にニートの直列化によって、人力エンジンの活用を試みているのかなと。
>>だとしたら、神山さんも確実に前に進んでいるんだなぁと思えます。

 直列化がまさか「おまいら」な世界で描かれるとは想像もしませんでした。2chって舞城王太郎の小説でもうまく使っていますが、まさしく現代的な問題であり/切り口でもありますね。

 あとは、続編までどうつなぐかが、我々神山ファンブログの課題ですねー。毎週何か『東のエデン』について書き続けるというのは相当の至難。っていうか今週書いてないし(^^;) まあ池谷脳科学本はある意味、根源的セレソンの活動紹介だったり(^^)

投稿: BP(青の零号さんへ) | 2009.07.04 08:27

リンクされたYouTube映像を見ていると、ミサイルが降ってくることそのものよりも夕方のニュースで取り上げられることのほうが効果があるように思えます。
かたや、阪神大震災でさえニッポン人の防災意識を飛躍的に高めることはできなかったのに、昨年のガソリン高騰は国民の意識を変えたと思います。
この国の空気を変えられるかと問われれば、60発の(通常弾頭の)ミサイルでは変わらないでしょう。でもその報道や引き続き起こる物価高騰では変えられそうです、そんな感じがします。

>PAC-3での迎撃でもあのシーンのような被害では収まらないということでしょうか
一般に、被害をゼロにするのは政治の役割で、被害を最小限にするのが現場の役割です。要撃前の評価では撃たないほうが被害が少ないということはありえますが、その場合でも撃たないという選択は政治的にありえないでしょう。現場を支援する民業関係者としては仮想の被害者が気の毒でしかたありません。

投稿: ミのつく職人 | 2009.07.01 23:44

こんにちわ、青の零号です。
いま最終話見て、記事書いてるところです。

いやぁおもしろかった!ここまで知的にも感覚的にも満足させてくれる
エンタメ作品って、なかなかないと思います。
特にアニメで「公に問える作品」という水準に達しているのは
この作品を含めてごくわずかしかないでしょう。
その点では、「2番目に世界を救おうとしている人」の域には
かなり肉薄したんじゃないでしょうか(笑)。

ウチではあまり書けなかったけど、絵の水準と安定ぶりや丹念な演出が
ストーリーをガッチリ支えていたのも大きいですね。
画がブレないから、観る方も安心して物語に没入できました。

>シリーズ冒頭での咲の独白に対して、王子の誕生を描くとともに、
>ふたりの関係の消去を残酷なまでに描いたラストに感動。
>ペラペラの遊園地の王宮の王子と姫。

この要約はお見事。ウチでも参考にさせていただきました。
あと迂闊にも、こちらを読むまで最後のオーダー内容を見落としてまして・・・。
それを知って、ラストの静かな重さに凄みまで加わった気がします。

>20年前なら、核攻撃になったんでしょうか
たぶん、そのとおりだと思います。
そしてちょうどその時期に書かれたグラフィックノベルが『WATCHMEN』であると。

>まさにSAC 2ndの空爆シーンの感動の再現。(当Blog記事『攻殻機動隊S.A.C.2nd GIG』 23-26話)
この記事を再読していてもうひとつ面白かったのが、情報の並列化のたとえ話です。
2ndGIGで「良い事は並列化されにくい」と看破した神山監督ですが、『東のエデン』では
逆にニートの直列化によって、人力エンジンの活用を試みているのかなと。
だとしたら、神山さんも確実に前に進んでいるんだなぁと思えます。

>しかし、二万人の裸のニートと恋愛とミサイル迎撃戦、そしてかぶるゴスペル曲。
>このある意味、異様な取り合わせの感動。
『ゾンビ』と『日本沈没』と『ローマの休日』と『インデペンデンス・デイ』を足して
しかも割らないという荒業を成し遂げてしまった神山監督に最敬礼を(笑)。

投稿: 青の零号 | 2009.06.28 17:53

 patchさん、おはようございます。

>>ヱヴァ破、色んな方々のネット上での感想を(ネタバレを見ないように)覗きましたが、かなり評価良いみたいですね。
>>自分はもうしばらく見に行けなさそうなので羨ましいです。

 昨夜深夜に観てきました。
 感想はさきほどアップしたとおりですが、まずネットの情報をシャットアウトして、劇場へ走られることをお薦めです。
 エヴァのTV版と旧映画版を観られているなら、この作品は凄いリビルド映画になっています。

>>エデン劇場版の予告編が公開されました。
TVシリーズの映像だけで構成されていますが、続きが見れると思うとやっぱりわくわくします。

 TV部分は冒頭で描くだけですぐ続編として描くのか、それとも映画版だけの観客のために丁寧に見せるのか、そこらあたりも気になりますね。

投稿: BP(patchさんへ) | 2009.06.28 09:21

ヱヴァ破、色んな方々のネット上での感想を(ネタバレを見ないように)覗きましたが、かなり評価良いみたいですね。
自分はもうしばらく見に行けなさそうなので羨ましいです。

エデン劇場版の予告編が公開されました。
TVシリーズの映像だけで構成されていますが、続きが見れると思うとやっぱりわくわくします。
http://juiz.jp/special/index.html

投稿: patch | 2009.06.28 03:29

shamonさん、こっちもコメント、ありがとう。

>>同時に師匠へのオマージュと批判も、ですね。
この作品で確実に「押井の愛弟子」の肩書きが外れることでしょう。

 破門ですか(^^)

>>あー早く劇場版が見たい(笑)。

 僕も観たくてしょうがありません。
 というわけで、我慢できずに今夜は『エヴァ破』を観に行きます。ってどんな関係??

 磯作画が観られるかどうかもひとつの注目点です。

投稿: BP(shamonさんへ) | 2009.06.27 19:53

 ミのつく職人さん、こんばんは。

>>あっちで見解を求められたのでこっちでお話させていただきます。

 召還してすみません、でもこういうコメントが欲しかったので、ばっちりです(^^)

>>わたしがveohで見たのは最終11話でしょうか、イージス艦から発射されたトマホークをAAMやPAC-3で落とすシーン。

 そーです、東海地区では7/2(木)深夜放映予定の『東のエデン』最終回。
 もしかしてミのつく職人さんは『東のエデン』は未見?そうだとするといきなりの最終回で裸のニートの群れには驚いたのでは??

>>AAMでの直撃はたぶん無理でしょう、そういう風にはできていないので。PAC-3なら当たりますが都心で落とすのは感心できません。たとえ経空脅威を無力化できても質量と運動量が消えてなくなるわけではありませんので。

 PAC-3での迎撃でもあのシーンのような被害では収まらないということでしょうか。質量と運動量のイメージが僕にはわかないので、TVのシーンくらいかなって、勝手に思いましたが、、、。

>>あ、それからガメラレーダ初アニメ化おめでとうございます>三◇電機

 三◇電機の東海地区工場製でしょうか?
 だとしたら生みの親のメンバーさんたちがこのシーンを観るのは、今週ですね(^^)。初めて日本を守った晴れ姿。

投稿: BP(ミのつく職人さんへ) | 2009.06.27 19:50

(ミのつく職人さんのコメントを最終回の記事に移動させていただきました)

あっちで見解を求められたのでこっちでお話させていただきます。わたしがveohで見たのは最終11話でしょうか、イージス艦から発射されたトマホークをAAMやPAC-3で落とすシーン。細部を取り上げてあれが違うこれが違うなどと申し上げません、フィクションですから。でも二点だけ。
AAMでの直撃はたぶん無理でしょう、そういう風にはできていないので。PAC-3なら当たりますが都心で落とすのは感心できません。たとえ経空脅威を無力化できても質量と運動量が消えてなくなるわけではありませんので。

あ、それからガメラレーダ初アニメ化おめでとうございます>三◇電機

投稿: ミのつく職人

投稿: BP(コメント場所変更) | 2009.06.27 19:43

>禁断のネット試聴
ヾ(--;。

>シナリオの練られ方は半端ではない。
同時に師匠へのオマージュと批判も、ですね。
この作品で確実に「押井の愛弟子」の肩書きが外れることでしょう。

あー早く劇場版が見たい(笑)。

投稿: shamon | 2009.06.24 22:08

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 「第11話★さらにつづく東」
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