■感想 細田守監督『サマーウォーズ』
夏の映画を観てきた。傑作。
「田舎と電脳空間と武家と恋愛」って感じでしょうか。こういう本来つながらないものが、見事に有機的につながって大団円を迎えるって、エンターテインメントとして素晴らしい。
旧家の座敷コンピュータと庭の漁船と自衛隊の特殊車両に感動。
この設定は、上記リンクの本によると、設定監修の村上泉氏の案らしい。これも取り合わせの妙。ワイドスクリーンバロックとは言えないけれど、こうしたセンス・オブ・ワンダーは好きです。
そしてそれに続く、派手な電脳空間での夏の陣。
僕たちが、『電脳コイル』で観たかったのは実はこういう派手な戦闘シーンだった(もちろんTVでの抑えたあの描写によるあの物語もよかったのだけれど、、、)。
コイルのAR世界って、現実に映像として上書きされる形で、もっと派手なシーンが現実の中で描けたはずで、そこが残念だったのだ。
この映画は、ARではなくVR空間ではあるけれど、そうした部分も見事に観客の期待に答えて、クライマックスとして描いていた。巨大なデーモンみたいな敵と○○で戦うって、凄くない?
タイトルは紆余曲折あったようだけれど、僕は『サマーウォーズ』というより栄おばあちゃん視点で『夏の合戦』とかの和名の方が良かったかと。
ワーナー配給らしいけれど、海外で受けるといいなー。日本のエンタテインメントの幅を思い知れ!!
◆その他 雑記
★★★ネタばれあり 注意★★★★
・他人のために負け戦であっても戦うとか、日本の武家の美意識がここちいい。
・陣内栄との関係で、侘助の心情の描き方が絶妙。引用した画像のシーンが胸に迫ります。
・花札での戦闘は、日本の美ですね。確かに僕らの上の世代って親戚で花札したりするもんなー。
・OZの世界の描き方がどっか違和感。キーボードでああいう戦いをするとか、もう少しガジェット的に未来描写をするとか、突っ込んであるとさらによかったかも。
◆関連リンク
・YouTube - 「サマーウォーズ」 本編オープニング(5分バージョン)
冒頭の5分が公式に公開されています。
・映画「サマーウォーズ」対談(下) 細田守監督×村上隆氏(読売新聞)
村上 自分の絵が1枚1億とか2億で売れて、アニメーターは1枚150円とか300円。じゃ、何が正義なのか。金額だ何だっていうのは結果論であって、手で描いた絵はやっぱりすごく寿命が長い。アニメでも何でも、すべては僕らの死後、未来の人たちが価値を見いだして再生産する回数に委ねられると思うんですよ。細田さんに作ってもらった作品のすべて、こちらで回収させてもらったじゃないですか?
もちろんその原画がオークションで売れたら、アニメータへ還元ですよね? 村上隆どの。
金田フォローワーなまるで○○○な作品で何億も儲けて、さらに「1枚150円とか300円」で描かせた原画で○○なんてしないですよね??
これでも僕はKAIKAI KIKIアニメ、期待してるんですけど(^^;)。
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コメント
ミのつく職人さん、こんちは。
>>youtubeで冒頭9分だけ見ました、これはよさそう。
冒頭はある意味、この映画の半分の雰囲気を伝えているのにすぎません。
>>海外でウケてほしいですね。ミヤザキでもhentaiでもないニッポンのアニメのフトコロの深さを知ってほしいと思います。DVDはまだですか。
現在劇場公開中なので、さすがにDVDはありません(^^)。今週、観客100万人突破、と細田監督がTwitterでつぶやいてました。
海外でもかなり受けると思います。
こういう複雑(雑多)な物語はアメリカ人にはちょっと合わないかも、、ですが。
投稿: BP(ミのつく職人さんへ) | 2009.09.12 13:24
youtubeで冒頭9分だけ見ました、これはよさそう。
海外でウケてほしいですね。ミヤザキでもhentaiでもないニッポンのアニメのフトコロの深さを知ってほしいと思います。DVDはまだですか。
投稿: ミのつく職人 | 2009.09.12 13:11