■新刊メモ『時の娘』『イリュミナシオン』『地球移動作戦』
『バレエ・メカニック』『全滅脳フューチャー!!!』
中村融『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』(東京創元社)
本邦初訳3編を含む名作9編。
ウィリアム・M・リー「チャリティのことづて」
デーモン・ナイト「むかしをいまに」
ジャック・フィニイ「台詞指導」
ウィルマー・H・シラス「かえりみれば」
バート・K・ファイラー「時のいたみ」
ロバート・F・ヤング「時が新しかったころ」
チャールズ・L・ハーネス「時の娘」
C・L・ムーア「出会いのとき巡りきて」
ロバート・M・グリーン・ジュニア「インキーに詫びる」
これら作品、今まで一篇も読んでません(^^;)。時間SFとロマンチックというのはベストマッチかと。にしてもアンソロジスト中村融氏のイメージと合いません(失礼(^^;))。それだけに、どんな作品が選ばれているか、期待。
山田 正紀『イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ』 (ハヤカワ・オンライン)
アルチュール・ランボーを追え! ランボーの詩に隠された、時空を凌駕する秘密を、使徒パウロが、エミリー・ブロンテが、ヴェルレーヌが読み解く。 内戦に揺れる東アフリカの国家サマリスの国連領事・伊綾剛に与えられたのは「『反復者』を追って、『非情の河』を下れ」という任務だった。人類の理解を超越した侵略者との戦いを、ランボーの詩に乗せて奏でる華麗なる幻想ハードSF。
山田氏のあとがきを読むと燃えます。
「ワイドスクリーンバロック」をはじめて書けたかもしれない。これからが「想像力の限界に挑む」本番かもしれない。老いぼれてはおれない。という趣旨のことを書かれています。
山田節健在か。
西暦二〇八三年、接近する新天体により、地球は壊滅する運命にあった。天才少女・魅波は人工意識コンパニオンのマイカとともに、地球を救う大計画に挑む??実力派が満を持して贈る本格宇宙SF 西暦2083年、超光速粒子推進を実用化したピアノ・ドライブの普及により、人類は太陽系内のすべての惑星に到達していた。
『地球移動作戦』(山本弘氏HP記事)
東宝映画『妖星ゴラス』(1962年)を初めてテレビで見たのは中学生の時。南極にロケットを建造して地球を動かしてしまうという壮大なスケールの物語に、「すげー!」「面白ええーっ!」と興奮したものでした。
それ以来、「いつかこれを小説にしてみたい」と思っていました。その夢がようやく叶ったわけです。(略)
この作品を書くにあたり、ピアノ・ドライブ、拡張現実、ACOM、クレイトロニクスマシンなど、原作にない要素を大量に投入しました。『ゴラス』にあったいくつかの科学上の問題点も克服しました。アクションや萌え要素を盛りこみ、徹底的に楽しめるものを目指しました。
これは「新しい作品」でなくてはならなかったからです。
僕は誇りを持って言います。『地球移動作戦』はノスタルジーではなく、21世紀の新しいSF作品であると。僕のオリジナリティにあふれていると。
東宝特撮『妖星ゴラス』を現代に甦らせる!! なんと壮大な試みでしょう。
そして今までの山本作品で見事に描かれている人工意識とか、ARとか、重力場等のハードSF要素等々、、、ワクワクするラインナップ。これは読まないわけにはいかないでしょう。
造形家・木根原の娘・理沙が昏睡状態に陥ってから九年、東京ではハイテク機器が暴走し、巨大な蜘蛛が跋扈していた──『妖都』他の希代の幻視者が、テクノロジーと生命の交錯を描く連作長篇。
オタクにしてホスト、そして・・・ぼくが人類を全滅させる!?
著者の特異な経歴で「本人」連載時から話題を集めた青春小説が、カバー作品制作に気鋭のアート集団Chim↑Pomを迎えてついに完結!
実話をもとに描かれる、神なき時代を生き抜くための「新しい希望」!極限の問題作!
この二人の作家については一作も読んでいないのだけれど、本屋で見て、惹かれました。
今月の早川書房のラインナップ、なんか期待です。
◆関連リンク
当Blog記事
・山本 弘 『アイの物語』
・山本弘『MM9』
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コメント
shamonさん、こんばんは。
>>かのリンチ監督のファンとな>娘婿氏。
へぇー、知りませんでした。
婿殿も映画撮ったんですよね、たしか。
リンチ映像だったら、観てみたい!
投稿: BP(shamonさんへ) | 2009.10.07 22:47
まいどでーす。
>ここは僕、巡回してません(^^;)。
過去記事によると
かのリンチ監督のファンとな>娘婿氏。
投稿: shamon | 2009.10.07 09:30
shamonさん、こんばんは。
>うんうん(^^)、「時かけ」もこの類ですよねー。
そうそう。NHK少年ドラマシリーズから既に、時間とロマンチシズムの関係は刷り込まれています。
>SFを読み慣れない人にも時間ネタだととっつきやすい。
これは映画の効用ですね。あ、ドラえもんも貢献してるか(^^)
>>http://blog.shueisha.net/otsuichi/index.php
>>でしたわ(笑)。
押井守娘婿さんのHPですね。ここは僕、巡回してません(^^;)。
投稿: BP(shamonさんへ) | 2009.10.05 22:44
こんばんはー。
>時間SFとロマンチックというのはベストマッチかと
うんうん(^^)、「時かけ」もこの類ですよねー。
SFを読み慣れない人にも時間ネタだととっつきやすい。
さて海老沢めろん、
最近どこかで見かけた名前かと思ったら
http://blog.shueisha.net/otsuichi/index.php
でしたわ(笑)。
投稿: shamon | 2009.10.04 21:53
青の零号さん、まいどです。
>>中村さんは奇想コレでタニス・リーとかも編訳してるので
>>ロマンチック系も抜かりなしでしょう。
何度か学生時代、SFファンの集まりで中村さんと会ったことがあります。その頃、硬派の評論を書く人というイメージがありまして、どうもロマンチック系というのに違和感が、、、(^^;)。
>>ああ、中村訳の『サンディエゴ・ライトフット・スー』が読んでみたい・・・。
『サンディエゴ・ライトフット・スー』、名作ですねー。
>>なんといってもハーネスの復刻が楽しみです。
これさえ読めば、邦訳ハーネス全作品制覇達成なので。
>>(といっても長短あわせて4つしかないけど・・・。)
僕は『ウルフヘッド』と「現実創造」は読んでますが、あとは未読。そうか表題作の「時の娘」はハーネスなんですねー。
>>国内では長谷敏司氏の『あなたのための物語』かな。
評判いいですね。これも読みたいです。
最近、電車の中でもネットばかりしていて読書量がめっきり落ちていて、いつになるやら、、、(^^)。
投稿: BP(青の零号さんへ) | 2009.10.03 22:29
おお、『時の娘』収録作リストが出たんですね。
中村さんは奇想コレでタニス・リーとかも編訳してるので
ロマンチック系も抜かりなしでしょう。
ああ、中村訳の『サンディエゴ・ライトフット・スー』が読んでみたい・・・。
「チャリティからのメッセージ」は、コバルトの『たんぽぽ娘』で
読んだはずなんですが・・・全然覚えてません(^^;。
ナイト、シラス、ファイラー、グリーンJr.は埋もれた名作らしいし
なんといってもハーネスの復刻が楽しみです。
これさえ読めば、邦訳ハーネス全作品制覇達成なので。
(といっても長短あわせて4つしかないけど・・・。)
個人的な新刊チェックでは、やはりマーティンの『洋梨形の男』に注目。
国内では長谷敏司氏の『あなたのための物語』かな。
イーガン、伊藤計劃に迫るという売り文句が気になってます。
投稿: 青の零号 | 2009.10.03 00:02