« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

2009年11月

2009.11.30

■感想 神山健治監督『東のエデン 劇場版 I The King of Eden』

The_king_of_eden 東のエデン(公式HP)

 「映画を撮ったことがない」神山健治監督の初長編映画が公開された(SSSとかあったけれど、映画オリジナルは今回が初)。『攻殻機動隊S.A.C.』からの神山ファンサイトの当Blogとしては、この初監督作をどれだけ待ち続けたことか。
 右のリンクにあるtwitterで既に感想をつぶやいていますが、改めてざっとまとめてみます。

 全国でもわずか8館しか公開されていない劇場版。twitterの全国のつぶやきによると各地で大入りの勢いだとか。二週間だけの公開予定のはずだけれど、ファンはみんな観られるのだろうか。もっと多くの劇場で公開すれば良かったのに。

 僕が観たのは、名古屋伏見ミリオン座。ひさびさに映画公開の初日に30分だけど並んでみました。
 行列約150人。20代男性が7割くらいと多く、もっといるかと思った女性は1割。劇場に入るとほぼ満席の盛況。

◆まとめ

 映画二篇の前編としてとても面白い。前編とわざわざ書いたのは、まさに「つづく」というラストだったから。でもTV版のある部分を謎解きし、そして後篇にさらに新たな謎を生成。セレソンによる権謀術数が矢継ぎ早、急テンポに繰り出される。エデンシステムもうまく絡んで、まさに高密度映画になってた。、、、

 と言いつつ、この一本だけを取り出すと、残念ながら映画としての結構は崩れていて、あくまでもTVと劇場版Ⅱの中間をつなぐ作品。これを初長編監督作としてクレジットするのは酷かもしれない。今のところ、「映画を撮ったことがない」神山健治監督というフレーズはそのまま??(^^;) いや映画にはなっているのだけれど、中間をつなぐというこれが「初長編」というイメージにあわないという意味ですが、、、。

 これだけ楽しめる作品、3月の『東のエデン 劇場版 Ⅱ Paradise Lost』が待ちきれなくなるというデメリット(^^;)を我慢できる方は、TV版同様にワクワクして楽しめるこの劇場版、お薦めです。

★★★★★★★ネタばれ注意 ネタばれ注意★★★★★★★

◆電脳ポリティカル・フィクション

 王様って、もしかして「天○」かなって思ってたけれど、さすがに社会派神山監督でもそれを娯楽映画のテーマにするのは無理でしたね。ジュイスNo.9は滝沢君記憶喪失後も、着々と「王への道」を構築するのですが、それは日本人の民族性に切り込むものではなくって、極々政治的なもの。これと咲の滝沢探索行が映画の背骨を構築しています(あ、構造か(^^))。

 そして特筆すべきは、この劇場版も、エンターテインメントではあるが神山監督の本気で世の中を変えたい意志に満ちた物語。ストーリーの背骨もまさにそうだけれど、映画としての定番の結構を破ってもそれを描くのは確信犯。(というかこの物語の設定がまさにそのもの、、、。これはあまり指摘されていないけれど、ある意味、現在の日本のTV・映画のエンターテインメントプログラムとして、画期的な出来事ではないのか。)

 劇場長篇デビューでエンターテインメント性の獲得と、こうしたポリティカルな目的を確信犯で実現してしまった監督の力量は凄い。しかし、こう描くんだとあと90分でも足りないのでは?と心配にもなる。
 
 この現代日本におけるドンキホーテ的愚考(最大褒め言葉です(^^;))に、リアルタイムでつきあうには劇場へ是非(^^)。

◆メモ メモ
 
 半年間でのジュイスの変化が楽しい。僕にはジュイスがつき合いの長い彼女、もしくは部下というように見えました(^^;)。自身の鏡ですね。黒羽のジュイスは上司にビビる秘書の雰囲気が出ていて、とてもリアル。そして最後がかっこいい。究極のキャリアウーマンですね。
 そしてジュイスはSF(^^)。詳しくは、青の零号さんの鋭い指摘をご覧ください→Biting Angle

 ストーリー構築は捻ってて相変わらず凝ってる。
 ブルックリンのシーンの意味は上手いなー。記憶が隠れテーマ。そして最終作のⅡではこの部分のクライマックスも描かれるのでしょう。

 映像的にはほとんどTV版と同等かと。それだけTVのレベルが良かったってことだけど、さらなるアップグレード期待してたんだけど、、、。これだけ堪能させてもらって、そこまで期待したら酷ですか。

◆関連リンク
YouTube - School Food Punishment: Light Prayer
Eden of the East Movie Trailer
アニメ!アニメ! 舞台あいさつレポート

「テレビで一度終わっている作品。映画では、もう2回最終回を作るようなプレッシャーを感じる。監督には酷なシリーズ」と監督は表現する。  そして、第2部以降の展開については、「キャストにもまだ話していない」、「皆が納得するかたちで、かつ驚くようなラストにしたい」とする。早くも来年3月の『Paradise Lost』の公開が、待ち遠しくなる言葉だ。

・Biting Angle 青の零号さん 舞台あいさつレポート

構想がふくらんで、劇場版Ⅱの尺が30分延びた理由について。 「多くの疑問を残して進んできたストーリーなので、それをひとつひとつ畳みつつ、 劇場版ⅠとⅡでも新たな驚きをお客さんに与えたいという思いから、膨らんでしまいました。」

ふぉーんなハナシ:「東のエデン」劇場版に、ノブレス携帯ならぬ「ノブレスフォン」が出るらしい - ITmedia +D モバイル.

公開が延期された劇場版第2部にドコモの新モデル「N-02B」が登場することが、11月25日に開催されたNECの端末発表会で明らかになりました。N-02Bは劇中で、ノブレス携帯とは別モノの“ノブレスフォン”として物語に食い込んでいくようです。誰が持っているのかは“極秘”とのことで、真相は劇場で確認するしかなさそう。

・アニメワン|東のエデン.

「ノブレス携帯」の生みの親である神山健治監督と東のエデンの製作会社のプロダクションI.Gが全面監修をいたしました。 いずれも神山監督がご自身が企画・検討を行い、「東のエデン」のデザイナー陣が制作したインターフェースを使用しています。

 もちろん着信音はあの音ですよね。
『 東のエデン オフィシャルナビゲートBOOK』

物語の舞台である場所を美術ボードと写真でめぐる誌上ツアーや、 滝沢朗の足取り追跡など特別企画も盛りだくさん!
◎2大インタビュー掲載! ●羽海野チカ:キャラクター原案ができるまで ●神山健治:100の質問 ◎特別付録:羽海野チカイラストのオリジナルポスター

| | コメント (3) | トラックバック (2)

2009.11.27

■イラストレーター 長谷亮平:Ryouhei Hase

Ryouhei_hase_elephante http://ryoheihase.com/top.html
(公式HP)

 最近、毎週幻想画のアーティストを紹介している。これもまたtumblr経由(Ultimate Future Image Lab.)。

 この象と人間の不思議につながったイラストが素晴らしい。右の象の足下に大きな人の手らしきものが映り込んでいる。この異様なイメージ。

 公式HPのトップページの下 "melanchory" をクリックすると、暗いトーンの不思議な画が見られる。他のタッチの絵もいいが、このトーンの絵は当Blogで紹介した深井克美エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの延長上にあると感じる。

 プロフィールをみると、芸大を出てバンダイナムコでCGの仕事をして、昨年フリーランスのイラストレーターになった方とのこと。worksのところには日本よりもイギリス等海外での仕事が多いように紹介されている。
 今後の活躍が楽しみなアーティストである。このHPはこれからも更新を楽しみに待ちたいと思う。

◆関連リンク
・長谷氏のブログ note (Japanese only) 日常のなんて事ない事。
特別インタビュー: 長谷亮平
 (海外同人情報サイト Akiba Angels)

Q8: 好きな同人作家またはクリエイターはいますか?(いるなら誰ですか?) A8: 最近好きなのは全然タイプは違いますけど物語や絵本の挿絵を描くMichael Sowaさん。

Ryohei Hase - Google 画像検索
[6月のメランコリー] 審査委員会推薦作品 : アート部門
 平成15年度(第7回)文化庁メディア芸術祭

 上で紹介した "melanchory"の絵が受賞されている。
2006 ASIA DIGITAL ART AWARD - 作品紹介 - 
 彼らの気持ち 左下の青い魚が凄い
【高速ダークサイケ3】Mad Crisis Highko‐ニコニコ動画(9)
 長谷亮平氏のイラスト+テクノサウンド。ご本人の作品ではないようですが、、、。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2009.11.26

■オラファー・エリアソン展 - あなたが出会うとき
 Olafur Eliasson Your chance encounter

Photo_2

金沢21世紀美術館:オラファー・エリアソン - あなたが出会うとき

2009年11月21日(土)~2010年3月22日(月)

光、影、色、霧、風、波などの自然界に見られるさまざまな要素によって特徴づけられるエリアソンの作品群は、科学的な仕組みを問うものではなく、現象を作り出す仕掛けは作品の中で明らかされています。そのために、人々は却って「見る」という行為を純粋に楽しみ、取り巻く環境の中に新しい発見や体験をする機会とすることができるのです。

 コペンハーゲンの作家Olafur Eliassonの大規模な展覧会。
 光を使った様々な映像のアート作品。
 視覚をどのように刺激する芸術になっているのか、とても興味あり。これはたぶんビデオとかで観るのでなく、自分がその中に入って、360度の作品として美術館で観るべきものなのだろう。
 一度、金沢21世紀美術館へは行ってみたいので(今までも何回かこのフレーズは書いたような(^^;))、今度こそ行ってみようかな。

◆関連リンク
「オラファー・エリアソン - あなたが出会うとき」金沢21世紀美術館 (フクヘン。- 雑誌ブルータス副編集長、鈴木芳雄氏のブログ)
 会場写真多数。ブルータスで特集されるのかも。
オラファー・エリアソン - Wikipedia
Olafur Eliasson - Google 画像検索
『Studio Olafur Eliasson: An Encyclopedia』
『Olafur Eliasson: The Nature of Things』
『Olafur Eliasson: Your Light House: Working With Light, 1991-2004』

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.11.25

■今敏監督 新作『夢みる機械』始動

Image2

今敏監督最新作『夢見る機械』 (公式HP) Blog
 (でいをおかあさんのPROJECT HYPER BALL経由)

原作・脚本・監督: 今 敏
キャラクターデザイン・作画監督: 板津匡覧
美術監督: 池信孝
演出: 糸曽賢志
アニメーション制作: マッドハウス

 あまり新作情報を見てしまうといけないのですが、今敏監督の次回作の公式HPがオープン。キャラクターや美術が紹介されています。

 どんな話かはまだよくわからないけれど、まずは車とキャラのレトロフューチャーなデザインがいい。『電脳コイル』で作画監督をつとめた板津匡覧氏のキャラ・デザイン。

Tumblr_ktfnip7nqo1qzj6ayo1_400  諸星大二郎に『夢みる機械』という漫画があるけれどもこれが原作ということではないようだ。

 そして音楽は、今敏と言えば、やはりこの人→YouTube - 夢みる機械 サイボーグ Live 【平沢進/Susumu Hirasawa】。そのままズバリのタイトルの曲があるので、音楽は間違いなく平沢進ではないか、というのがネットでのもっぱらの噂。

 レトロな画調に、テクノな音楽。ポップな映画が期待されます。公開日は書かれていないけれど、期待して待ちましょう。

◆関連リンク
今 敏 オフィシャル・サイト - KON'S TONE

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.11.24

■感想 イグナシオ ビガロンド監督『タイムクライムス:timecrimes』

『タイム・クライムス』

Timecrimes  1時間前の世界に舞い戻ってしまった男の顛末を描くSFサスペンス。森の中の一軒家に引っ越してきたエクトルは、ある日気を失っている裸の少女を見つける。その時、突如現れた謎の男に襲われた彼はある施設に辿り着くが、そこは“1時間前の世界”で…。
 現在の“エクトル2”が生き残るためには、タイムトラベル前の“エクトル1”との干渉を避けながら、その行動を正しく補完しなければならない。だがその一連の行動が、稀代の殺人事件を巻き起こすことに…。

 DVDのパッケージに記された「デビット・クローネンバーグ監督によるハリウッドリメイク」の惹句に惹かれて観てみました。イタリアの映画。

 タイムトラベルものの常道のような気もするが、そのチープな絵作りと森のシーンの幻想的な雰囲気がいい味を醸し出している。

 実際はネットの噂ではクローネンバーグ以外にも候補監督がいるようで、この先、どうなるかはわからないが、クローネンバーグがこれを脚色してねちっこく重厚な映像と物語に仕上げたら(最新作の二作はまさにそんな素晴らしい映画だったから、、、)、なかなかの傑作になるのではないか、と思わせる。そうなると物語はかなり改変されるでしょう。このままではクローネンバーグのお眼鏡にはかなわないような気がする。
 ハリウッドの動向を見守りましょう。

◆関連リンク
David Cronenberg (IMDb)
 ここには進行中の作品としては挙っていない。やはりガセか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.23

■米Boston Dynamics社 LittleDog:リトルドッグ


LittleDog
(Youtube)
Boston Dynamics: LittleDog.(公式HP)

LittleDog is a quadruped robot designed for research on learning locomotion.

 先週末に放映された『天空の城ラピュタ』に出てきそうな小型ロボット兵。
 これもDARPAが資金を出している軍事用。
 なかなか動きに味があるので、先の記事に連続して掲載。比較して見るのも一興かと。

Boston Dynamics: RHex
 こちらも面白い。不整地だろうが階段だろうが水中だろうが、どんどん進んでいく機動力にあふれたロボット。
 薄い変形する金属板で足を構成したところがアイディアですね。

◆関連リンク
当Blog記事
ボストン・ダイナミクス 気持ち悪い大イヌロボットBIG DOG
ロボットロバ『BigDog』 & ラット用 義体『しろやぎ:Whitegoat』

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009.11.21

■米Boston Dynamics社 PETMAN(ペット人間)


(考えるブログ 経由)

インターネット上で話題になった逆間接四足歩行ロボット・ビッグドッグを開発した米Boston Dynamics社が、今度は二足歩行ロボットを開発しました。その名もPETMAN(ペット人間)。人間と同じように、かかとから足を地面につき、つま先を蹴って足を地面から離し歩行することが特徴。

Petman_concept2 PETMAN - BigDog gets a Big Brother(Boston Dynamics)
 生体的な動きが生々しく奇怪だったビッグドックの兄弟が登場。今度も動きが気持ち悪い。まさに不気味の谷のロボット(犬と人が兄弟というこのサイトのタイトルも気持ち悪い)

 ボストン・ダイナミクスの文を読むと、アメリカ陸軍の防護服の研究のために開発された、歩行による防護服への影響を調べるテスト用の人間型ロボットということのようです。2011年に人型として完成する予定らしい。

◆関連リンク
当Blog記事
ボストン・ダイナミクス 気持ち悪い大イヌロボットBIG DOG
ロボットロバ『BigDog』 & ラット用 義体『しろやぎ:Whitegoat』
 YouTube - BigDog Beta (early Big Dog quadruped robot testing)
 この記事のコメント欄であまりとなえさんに教えてもらったこちらの偽ビッグドックも是非ご覧下さい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.11.20

■大山慶のアニメーション:kei oyama animation works

Kei_oyama keioyama.com
大山慶のアニメーション(アップリンク)

webDICE - 骰子の眼 - 「見つめるアニメーション」大山慶の美しくも奇妙な世界を黒坂圭太氏、山村浩二氏が語る

 日常の中に潜むグロテスクな「生(性)」と、決して逃れる事のできない「死」を見つめ続け、オリジナリティの高い映像作品を発表してきた大山慶。(略)
 『大山慶のアニメーション kei oyama animation works 』が10月22日(木)~25日(日)、渋谷アップリンク・ファクトリーにて開催された。

 全くフィルムを観たことがないのだけれど、既に終了した特集上映の専用HPの絵(右上)のインパクトに押されて掲載してみました。

 したがって僕は今のところ、この作家について語る資格はないので、リンクによる紹介にとどめます。いつか上映会に参加してみたいものです。

◆関連リンク
YouTube - 『大山慶のアニメーションkei oyama animation works』予告編
TOKYO LOOPトークショー/大山慶、清家美佳編 (video/mp4)
  (イメージフォーラム映像研究所 / Image Forum)
 大山慶氏の語る「ゆきちゃん」の制作過程。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.19

■感想 『Star Trek : スター・トレック』『1408号室』

Startrek2009 映画『スター・トレック』オフィシャルサイト

 こういう趣向だったんだ新作スタトレ。BluRayで観ました。
 パラレルワールドもので、まさに『スター・トレック』リ・ボーン。初代シリーズのクルーが集まって迎えるエンディングタイトルが素晴らしい。これから生まれ変わったエンタープライズにどんな冒険が待っているか、あのテーマ音楽が流れて多種恒星系が映し出される映像に当時のワクワク感を思い出した。

 キャラクターと物語が初代の雰囲気をうまく出している。だけれども映像は現代的に洗練されてスピーディ。(ただし衣装と小道具は敬意を表して当時のコピー。これはご愛嬌(^^;))。
 そして老年の○○と青年の○○の邂逅。ある意味、自分の過去を生き直すような設定で、テレビシリーズを毎回楽しみにしていた子供時代を思い出し、自分も若返ったような気分。まさにここから新たなエンタープライズの物語が始まる、という息吹があって好感が持てる。

 ご都合主義やあれれな設定もなんのその、そこがまた『宇宙大作戦』していて、これがいい味になっている。若返ったシリーズがJ・J・エイブラムス監督によって再テレビ化されるのもありかと。(ただし、やはりドクターは「マッコイ」、操縦士は「ミスター・カトウ」でないとね(^^;) )。

 

「1408号室」オフィシャルサイト

 スティーブン・キング原作のホラー。
 キング原作映画の中ではよくできていると思う。お薦め。

 ほとんど一人芝居のように密室で進む作劇も○。
 そして幻惑的な物語が、物理的に部屋の現実をバリバリと破っていくところが圧巻。この文字通り幻想をはぎ取るところとか、好きです。

◆関連リンク
『スター・トレック スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]』

ミカエル・ハフストローム監督『1408号室 [Blu-ray]』
webDICE - 骰子の眼 - この恐ろしさをどう表現したらよいのか…スティーブン・キング原作『1408号室』

『幸運の25セント硬貨』 キングの原作。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.18

■爆発素材専門の3D-CGショップ『Final Light』

Final_light

Final Light - Visual FX Stock Footage
 (CGトラッキング(CG Tracking)経由)

 素材はCGソフトで制作した物や、実写を使用したものまで様々なようです。
 マスク付き爆発素材はもちろん、『爆発の中心部分マスクだけ』とかも販売しています。(略)

 こんなものがネットに既に登場しているのですね。
 いずれ爆発だけでなく、映画一本が編集だけで作れるような素材が提供する時代が来るのでしょうね。(ちょうど今読んでいる山本弘『地球移動作戦』にそんな時代の映画監督の描写が出て来ています)。

Sell your Visual FX

 同サイトにこんなコーナーが、、、。我と思わん方は、自分で製作されたCGを世界へ売りに出してみてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.17

■2030年未来の車 GMコンセプトカー Hero

Gm_hero
GM - Car Hero.

Yes. The OnStar Car Hero is a vehicle and a game… it turns driving into gaming and challenges your skills against the car's autonomous system. Imagine a gaming experience which can actually teach a beginner to drive or challenge the experienced… whether you're a lowbie or a legend, Car Hero takes "getting there" to a whole new level.

Southern California Automotive Design Studios Envision the Ultimate Youthmobile in Year 2030
ユースモービルへの設計者コンペ  自動車メーカーが競う.

GM アドバンスド・デザイン:カー・ヒーロー(Car Hero)は運転をゲームに変え、自動車の自律システムに対するドライバーの技量に挑戦する。ドライバーがスマートフォンのナビアプリケーションに目的地 を入力すると、車両に対してシステム上の完ぺきな制御ができてプレーすることができ、一段と斬新な運転シナリオにアクセスすることができる。

 2030年の未来の車のデザインコンペ。
 AUDI、ホンダ、トヨタ、日産他の各社がコンセプトを競っているが、GMのコンセプトがベスト。
 車輪型に見えて、実はフチコマ/タチコマタイプ。こんな車に乗れる日が来るのでしょうか。それともGMという会社が2030年まで存在できるかどうか。

 いずれにしても一番は、この車を見つめる少年の視線。この絵があることで、青い車の絵が最も引き立っています。

◆関連リンク
GM Car Hero | Concept Cars

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.16

■Stefano Bonazzi:ステファノ・ボナツィの幻想画

Stefano_bonazzi Between Black and White
- Stefano Bonazzi selected works

  (Boing Boing経由)

 イタリアのイラストレーターの絵がなかなかシュールでスチームパンクしていていいので御紹介。

 リンク先に以下のタイトルで各種のイラストが展示されている。  

The last day on earth serie
Silent places serie
Nonsense serie
Smoke serie
Protection serie

 幻想味とユーモアがいい塩梅にコンビネーション。お楽しみいただければ幸い。

◆関連リンク
Stefano Bonazzi - Google 画像検索
Brain Twisting | Stefano Bonazzi

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.11.13

■スタジオジブリ次回作 新人監督は米林宏昌氏らしい
 & 『Cut (カット)2009年12月号 ジブリ、その現在、過去、未来』

Cut_2009_12『Cut (カット) 2009年 12月号』(Amazon)
CUT12月号の表紙 - Cut 編集部日記 | ブログ

特集はジブリ。 詳細は、また近々発表します。

 発売は11/19(木)ですが、表紙がCutブログで公開されています。「スタジオジブリ、その現在、過去、未来」ということで、きっと次回作についても触れられているでしょう。

 ただネットで検索するだけで、実は既に次回作情報は見つかりますので、ちょっと早くここでも紹介。(ネットの噂ですよ、あくまで(^^;))

ジブリ鈴木敏夫P「スタジオジブリ次回作は新人監督を起用、発表は12月」と明かす - シネマトゥデイ

スタジオジブリの気になる次回作は12月に発表の予定。「内容はまだ秘密。今、言えるのは新人監督を使うこと。雰囲気は“フニャ、フニャ”って感じかな」と話し、報道陣を煙に巻いた。


【Podcast】2009/10/27 今夜も高萩さんがれんが屋へ!
【Podcast】2009/10/27 今夜も高萩さんがれんが屋へ!
 この終わりのほう参照 (鈴木敏夫のジブリ汗まみれ)
 新人監督についてポロっと、「36歳のアニメータ」と語っていました。ここから検索してみると、、、。

作画@wiki - アニメーター生年表

1973 小松田大全、矢萩利幸、芳垣祐介、米林宏昌

 この中でジブリの人は(たぶん)「米林宏昌」氏だけなので、これでほぼ予想できます。で、「米林宏昌」×「ジブリ」×「新人監督」で検索すると以下の情報。

スタジオジブリとは (スタジオジブリとは) - ニコニコ大百科

 中日ドラゴンズ会報での鈴木プロデューサーのインタビューなどから、米林宏昌(劇場作品初監督)、宮崎吾朗、高畑勲の順に製作する予定であることが判明し、その後には宮崎駿の次回作を製作予定であるという。

『(作品名未発表)』2010年夏公開予定。
  スタジオジブリ所属の演出家、米林宏昌の初監督作品。上述の鈴木プロデューサーのインタビューで判明。内容については一切不明だが、2009年春に既に作画がスタートしており、2010年には公開予定だという。

『定家と長明(仮)』2011年公開予定。
 (略)宮崎吾朗の第二回監督作品。(略) 堀田の「方丈記私記」「定家明月記私抄」を原作とした、若者二人の青春群像劇であるという。

『(作品名未発表)』準備中。
「ホーホケキョ となりの山田くん」以来となる、高畑勲による作品。また、メインスタッフに田辺修を起用するという。(略)「竹取物語を原作にし、筋も殆ど同じでありながら、受け取る内容は全く違う、というものを目指している」(略)鳥獣戯画的作画を現在は模索中であるという。

 中日ドラゴンズ会報、というのが(^^)。やはり人間、自分の好きなものの前ではガードが甘くなるということでしょうか。
 この記述が正しければ、「米林宏昌」氏で間違いないでしょう。

 米林氏についてはさらに詳細は下記に書きますが、それにしても吾郎監督の次回作、またもや宮崎駿氏が昔からファンを公言している作品の映画化。ル・グウィンに続きトラブらないといいのですが、、、。それにしても駿監督の心情はとても複雑でしょうね。なんで、よりによってそんな作品を選ぶのか、相当疑問に思う。老婆心ながら、親離れすべきでは?

スタジオジブリ次回作は新人監督、12月発表

『   』(作品名未発表) 制作中 2010年夏公開予定
監督:米林宏昌(通称/麻呂) 初劇場アニメ監督作品
プロデューサー:岸本卓(通称/ナヨ)
※2009年春に作画イン
中日ドラゴンズ公式ファンクラブ会報2009年3月号鈴木Pインタビューより

 岸本卓氏は「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」に何度か出てますが、『ポニョ』で声の出演もされている元雑誌「サイゾー」編集者。プロデューサーとして一枚看板、凄い。

鈴木敏夫のジブリ汗まみれ - TOKYO FM 80.0

なんかさえない風体の青年は、実は…ポニョの生みの親なんです!岸本卓、通称ナヨ!ジブリに入社して3年半の、このなよなよした人がなぜポニョの生みの親なのか?

米林宏昌

# 1997.07.12 もののけ姫  徳間書店=日本テレビ=電通=スタジ...  ... 動画
# 1999.07.17 ホーホケキョ となりの山田くん  徳間書店=スタジオジブリ=日本テレビ放送...  ... 動画
# 2000.06.01 人狼  バンダイビュジュアル=ING  ... 動画
# 2001.07.20 千と千尋の神隠し  スタジオジブリ=日本テレビ=電通=徳間書...  ... 原画
# 2002.07.20 ギブリーズ episode2  徳間書店=スタジオジブリ=日本テレビ=デ...  ... 原画
# 2004.11.20 ハウルの動く城  「ハウルの動く城」製作委員会  ... 原画

米林宏昌 のプロフィール - allcinema.

【フィルモグラフィー】
ゲド戦記 (2006) Anime 作画監督補  
めいとこねこバス (2002) Anime アニメーション演出

空想の空飛ぶ機械達 - Wikipedia.

# 原作・脚本・監督:宮崎駿 # 作画監督:米林宏昌 # 原画:二木真希子、賀川 愛、山田憲一、松瀬 勝、山森英司、中村勝利、小野田和由、松尾真理子、田村篤

 「空想の空飛ぶ機械達」で作画監督、「めいとこねこバス」で初演出ということです。どんな作品か期待されます。

 さてCutで真実が語られるのか、来週を楽しみに待ちましょう。

◆関連リンク
当Blog記事
2009年4月1日 西ジブリ始動! 宮崎駿、トヨタ本社へ

| | コメント (4) | トラックバック (3)

2009.11.12

■Martin Amm:マーティン・アム<超絶 昆虫水滴 マクロ写真>

Martin_amm Macro photos of insects by Martin Amm (64 photos) | FreakyMartin.com

 写真家マーティン・アム氏の水滴昆虫究極映像写真。(上のリンク先、NTT光ネットだとセキュリティに引っかかるサイトです。もしNGの際は、下の関連リンクのサイトへ)
 これもTumblr経由(browneyes' scrapbook)で知った超絶画像。

 たぷん朝、霧が下りた日の昆虫を接写したものだと思うが、観たこともないような素晴らしい色彩と、散乱する光の写真になっている。

 写真家の着想は偶然の写真から生じたものではないかと思うのだけれど、この超絶な映像に気づいて撮り続けていることが、我々にこんな観たこともない世界を提示していることに感謝。

 特にこれら写真で美しいのは昆虫の複眼。
 普段何気なく目の前を通り過ぎていく虫達が、まずマクロ撮影でその視覚センサの体表における比率の高さを示し、さらにそれを水滴が拡大表示して強調している。彼らの生存にとっての視覚の重要度がよくわかる。そしてその自然の造形物の不思議と美。
 この美しさは宝石の美しさを超える。そしてまさに機能美。

 これ見て、本気で一眼デジカメと高倍率のマクロレンズがほしくなりました。ただの田舎である、うちの周りの畑にもこんな超絶映像がミクロな世界で日々展開されているのだろうか。すげぇ。

40 Greatest Insect Macro Photographs! | Zhoogs top Lists
 Martin以外の昆虫マクロ写真。
 
 これを見てると、もはや我々は異星の生物を見たいと思う必要はないのでは、と思ってしまう。充分に異世界を覗いている気分になる。

 映画のSFXが進化したが、これら昆虫群に勝てる異星生物を空想映像が描いたかというと、描けていないのではないか。ジェームス・キャメロンの『アバター』も予告を見る限り、例外ではない。まだまだ進化の余地がある。たぶん触毛などのディテイルによるのだろう。

 SFXアーティストも、こうした写真を観たうえで、これに勝てるディテイルをCGもしくはメーキャップ/着ぐるみ(?)で実現してほしいものである。

 以前の魚の写真の時も同じように思ったのだけれど、、、。

◆関連リンク
Photos by Martin Amm - photo.net
struller on deviantART
 昆虫以外も。マーティンの写真ページ
Martin Amm - Google 画像検索
SeaWayBLOG: Insects in the morning dew.
 昆虫の頭部 水滴。
78381 » Dropular - Media Bookmarking
 虫の頭 水滴写真。
-------ここまでMartin Amm

当Blog記事
デヴィッド デュビレ『魚の顔図鑑』 David Doubilet "FISH FACE"

 ここに出てくる現実に地球上に存在する生物たちの方が、映像クリエータが作った異星生物よりもずっとイマジネーション豊か。それはディテイルと色彩に秘密があると思う。  SFXのクリエータは現実のこれら奇想な生物に学んで、さらに奇怪な生き物を生み出してもらいたいものです。

北村 雄一『深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち』
幻想植物シリーズ リトープス:Lithops 他

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.11.11

■Virgin Galactic:ヴァージンギャラクティック
 SpaceShipTwo:スペースシップツー

Virgin_galactic
Virgin Galactic Virgin Galactic – Press FTP(公式HP)
Space.com : SpaceShipTwo Revealed
 スペースシップツーのデモビデオCG

Virgin_galactic_girl_2スペースシップツーのデザイン発表
 (sorae.jp)

 ホワイトナイトツーは幅42m、2つの胴体に4基のジェットエンジン(PW308)を搭載するデザインに変更され、中央にスペースシップツーを載せる形となった。(略)
 乗客を乗せてのサブオービタル宇宙旅行は2009年末から2010年にかけて、ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカ(Spaceport America)で開始する予定。

 昨日の宇宙ホテルに続いて、ヴァージンギャラクティックのスペースシップツーの話題。
 既にホワイトナイトツーは建造され、スペースポート・アメリカも着工。着々と民間企業による宇宙旅行が実現に向けて動いている。
 ヴァージンギャラクティックはロケットはじめスペースポートもデザインにかなり力を入れていて、未来感溢れていて、素晴らしいです。機体に描かれた右上のイラストも最高。

 ちょっと前までは、こうした話もSFの中の話だったのに、、、、21世紀に感謝。

◆関連リンク
ヴァージン、2機目の日本人向け貸切り宇宙旅行フライト | ヴァージン・ギャラクティック | sorae.jp

スペースシップツーは12月7日の午後(現地時間)、カリフォルニア州モハーベ空港で披露される予定となっている。

ヴァージン・ギャラクティック - Wikipedia
史上初の宇宙港「Spaceport America」ついに着工開始! : Gizmodo Japan
ヴァージン・ギャラクティック、有人宇宙旅行用の宇宙船模型を公開 写真17枚 国際ニュース : AFPBB News.

宇宙旅行用の宇宙船「スペースシップ・ツー(SpaceShipTwo)」とその母艦「ホワイトナイト・ツー(WhiteKnightTwo)」の模型を発表

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.10

■ギャラクティック・スイート:galactic suite
 宇宙ホテル 2012年スタート

Galactic_suite galactic suite (公式HP)
Blog Archive »
ギャラクティック・スイートの宇宙ホテルは予定通り、2012年にオープン

 ギャラクティック・スイート(Galactic Suite)は(略)予定通り2012年に最初の宇宙旅行者を 迎える予定があると述べたようだ。 同プロジェクトは「ギャラクティック・スイート」と呼ばれる宇宙ホテルを高度450kmに打ち上げ、宇宙旅行者は約18週間の訓練を経て、カリブ海の宇宙港から宇宙船に乗り、宇宙ホテルで3日間滞在するという内容。宇宙ホテルは2012年までに打ち上げられる予定で、宇宙ホテルまでの移動にはロケットが使用される。(略)
 サビエル・クララムントCEOが 「ある富豪から30億ドルの出資を受けた。15年以内に、子どもたちが宇宙で週末を過ごすようになると考えるのはごく自然のこと」だと説明した。(略)
 なお、「ギャラクティック・スイート」の宇宙旅行代金は一人あたり300万ユーロ(約4億円)である。

YouTube - Space Hotel On Schedule To Open

 欧米の宇宙業界は民間のベンチャーが元気。
 今までも宇宙ホテルというと、ホテル王が起業したビジロウ・エアロスペース社あったが2015年を目指していた。
 今回のギャラクティック・スイート社は2012年。なんとあと3年である。
 ロケットはVirgin Galactic社のスペースシップツーに似ているが、それを使うわけではないようだ。ホテルの形態もビジロウ・エアロスペース社のものに似ているが、競合するようなのでもちろんそれとは別。上のリンク先ビデオによるとロシアのロケットでホテルを打ち上げる予定という。4億円で誰が行くのか、ビデオではホテルの安全性が結構、きびしそうに見えるのだけれど、、、。

◆関連リンク
Galactic Suite - Wikipedia
宇宙ホテルに新勢力?「GALACTIC SUITE」2012年開業予定 - 宇宙旅行を知るサイト☆宇宙観光企画-uk2-
ビゲロー・エアロスペース - Wikipedia.

ビゲロー・エアロスペース(英: Bigelow Aerospace)は、膨張式の宇宙ステーションモジュールを手がけるアメリカ合衆国の宇宙ベンチャー企業である。ネバダ州ノースラスベガスに本社を持つ。1999年にホテル王のロバート・ビゲローにより設立された。

当Blog記事
世界初の民間宇宙ステーション   ビジロウ・エアロスペース社 ジェネシスⅠ

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.11.09

■古川日出男「どのあたりが犬の視線か?」
 (『4444』河出書房新社より)

4444 4444 古川日出男|河出書房新社

当ページのテキストは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.の下で提供されています。「クレジット表示」「非営利利用のみ」「改変禁止」のライセンス条件内であれば、あなたのブログなどに自由に転載していただけます。

 古川日出男の小説がネット掲載されている。
 現在、掌編が18本。そしてそれは全文転載も可。

 というわけで、以下、我がブログ初となるプロの作家の小説掲載です。しかもあの古川日出男。これが全文です。引用ではありません、お楽しみください。

16 どのあたりが犬の視線か?|4444 古川日出男|河出書房新社

 この話を聞いた人間はいない。彼女は毎日身長が変わったそうだ。それは二十一歳の誕生日とともにはじまったそうだ。毎日、目覚める瞬間まで「何センチ」 になっているか、わからなかったそうだ。ただし一一一センチより小さかった例はないそうだ。最大で一八二センチだったそうだ。この現象には精神的ななにご とか、たとえば傷が関与しているのだろうか? わたしたちは以前、年齢とともに身長をのばしていた。すなわち年齢と身長はほぼ比例していて、それが十代のある時点までつづいたのだ。その時点をすぎるや、年齢だけはさきに進んで、身長はその場から一歩も動かなくなった。この事実を彼女は重く受けとめすぎたのだろうか? 朝、一五三センチのとき、彼女は中学時代の自分を感じるが、一三〇センチだと小学時代のそれも半ばに戻ってしまうし、土曜日の朝に身長一七八 センチだったりすると仮想の二十八歳・ビジネスウーマンを生きているような気になったそうだ。しかし本当は、彼女は犬になりたかった。x歳の自分よりも、すなわち(たいていは)過去に戻る自分よりも、大型犬の視線の高さや、中型犬のそれに。しかし、なかなか体高一一一センチ以上の犬はいない。だとしたら、何センチになって目覚めたらよかったのか? 彼女はいまは身長が変わらない。そして起床のたびに絶望している。この話を聞いた人間はいないのだから、あなたはこの話を聞いていない。

◆関連リンク
EnJoe140 (EnJoe140) on Twitter
 こちらは円城塔氏のtwitter小説。傑作が目白押し。ハッシュタグは #twnovel 。
雑誌「フリースタイル」で相対性理論が各界の人々とコラボ

 ポップカルチャー誌「フリースタイル」10号が11月11日に発売。(略)
 やくしまるえつこがイラストを描いた古川日出男の書き下ろし小説「深夜バス、バスジャック、ジャックお座り」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.06

■新刊メモ 『OTACOOL WORLDWIDE OTAKU ROOMS』

『OTACOOL WORLDWIDE OTAKU ROOMS』

日本だけにとどまらず、いまや世界中で日本の文化として認知されている「OTAKU」。本書は普段はのぞき見ることのできないオタク達のクールでスタイリッシュな部屋の様子を国内外通して眺めることができる書籍です。
月間200万ユニークユーザー、2000万PVを誇るサイト「ダニー・チュー.com」サイト内コンテンツの書籍化です。

 以前にいろんな人の書斎の写真集はあったけれど、これはそのオタク版。
 人の書斎って僕はとても興味あるのだけれど、これも楽しそう。

OTACOOL

 で、探してみたら、このサイトに写真が紹介されていた。
 こういう写真。

Otacool

 それぞれのこだわりを持った趣味の部屋。
 オタクといっても狭義のオタクで、フィギュアやコミック、目玉の大きい女の子キャラ(なんと古い言い方。今、なんと言うんでしたっけ?)を中心にした趣味部屋が大部分。それぞれの趣味の空間が心地よく広がっており、観ているだけでなんだかその人の好きな話を聞いているような気がしてくる。

 ただ僕が観たいのはもう少しサブカル寄りのオタク部屋かなー、とか思いつつ、このサイトを楽しんだ。こういう部屋が世界でもクールと認知されているのだろうか(ごく一部の世界?)。

 最近、新刊書籍を見ていても、目がチカチカしてくるようなキャラクタの絵と色彩が幅を効かせているのだけど、あきらかに現在はこうしたものをクールと呼ぶような状態にシフトしているのだろうか。世界はどうなるんでしょ(^^)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.05

■感想 山田正紀の超冒険小説 『白の協奏曲』

山田 正紀『白の協奏曲』(amazon) (公式HP)

1978年に「小説推理」誌に発表されていながら、今まで単行本化されることのなかった“ファン垂涎幻の作品”。オーケストラ団員が、東京をまるごとジャックするという奇想天外かつ大胆なストーリー。頭脳プレイ重視、ゲーム性抜の冒険小説。

 『謀殺のチェス・ゲーム』、『火神(アグニ)を盗め』で日本の冒険小説を切り開いていた頃の山田正紀作品。当時の僕がこんな小説を知っていたら一にも二にもなく読みたかったはずで、出版から一年ほどたってますが、やはり読みたくなって図書館で借りてきました。

 ずっとお蔵入りになっていたのは山田自身が気に入っていなかったものと考えられますが、この本も十分に楽しめます。ひさびさに山田正紀の冒険小説を読んだので、あの頃のワクワク感を思い出した。

 いやー、でも大好きだった山田正紀の70年代超冒険小説を新作で読めるとは幸せ。『白の協奏曲』は若書きの良さもあってお薦め。

Submarine_biber  これ、読後に、もしかして押井守『パトレイバー2』の元ネタ?と思ってしまった。
 東京に情況を作る雰囲気と、
情況を起こす目的の虚構性が似てる。

 そして存在しない架空の人物を描くところの雰囲気は『パト1』だったり。

 長いこと未刊だった作品なので、雑誌掲載で読んだ押井がごく一部のネタを使ったのかも。無意識的に??
押井守は山田正紀との対談で『神狩り』からのファンだと言ってるので、あり得ないことはない、と邪推。

◆関連リンク
submarine Biber – Wikipedia
 右上の写真は、本書で活躍するドイツの一人乗り特殊潜航艇『海狸』。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.11.04

■感想 ジョージ・R・R・マーティン, 中村 融訳『洋梨形の男』

ジョージ・R・R・マーティン, 中村 融訳
 『洋梨形の男 (奇想コレクション)』
(河出書房新社)

身勝手な男が痩身願望の果てに“猿”に取り憑かれる「モンキー療法」、変わり果てた昔の友とのおぞましい再会譚「思い出のメロディー」、ひとりの作家の内面に巣くう暗黒をあぶり出す「子供たちの肖像」、酒場のホラ話ファンタジー「終業時間」、チェスの遺恨を晴らそうと企む男のSF復讐劇「成立しないヴァリエーション」の全6篇を収録。ネビュラ賞・ローカス賞・ブラム・ストーカー賞受賞。

 実は『サンドキングス』も未読のマーティン初心者(何故かいままで読む機会を逸していた)ですが、このアンソロジー、しっかり楽しめました。
 
 今回も名アンソロジスト中村融氏の目利きが素晴らしい一冊。奇想コレクションにしてはいずれの作品も読みやすいストレートな作品。(ただイメージは鮮烈で「奇想」を外している訳ではないので御安心を。)

 例によって(久々だけれど)、僕の好みの作品から短評です。

■成立しないヴァリエーション(1982)

 過去のチェスの大会を起点にした同窓生たちの物語。
 SFネタが何かはここで書かない方がいいと思うのだけれど、そのSFテーマとがっぷり四つに組んだ主人公達の姿勢の物語がここち良い。そして夫婦の回復の物語も。(チェスを知らなくてもこんなに楽しめたんだから、チェス好きにはさらに堪らないでしょうね)

■子供たちの肖像 (1985) ネヴュラ賞ノヴェレット部門受賞

 これが一番余韻をひいた。ある作家とその娘(画家)の物語。ふたりの人間関係が、実体化する登場人物達とともに描かれ、後味のわるーい読後感を残す。
 本当は父親を理解していて、物語の本質を読み取って絵画化していく娘と父親のアンヴィバレントな関係。他の超現実的な恐怖に対して、この作品は人間関係の闇が前面に出ていて鬼気迫るものがある。

■終業時間(1982)

 掌編だけれど、鮮烈なラストがとてもいい。
 いきなり加速度的に展開するところがまさにSF空間を構築している。

■思い出のメロディー(1981)

 これも「成立しないヴァリエーション」と同じく、アメリカ映画/文学で定番の同窓生もの。
 この悪夢はリアリティがある。現実にこれに近い形で友人に悩まされるアメリカ人って多数いるんだろう。そこの恐怖を超自然的にうまく描いている。

■洋梨形の男(1987) ブラム・ストーカー賞ノヴェレット部門受賞

 イラストレータの主人公にじわじわと染み込んでくる隣人の恐怖。
 絵に影響が出たり、嫌悪しつつひきづられていく感覚が怖い。平山夢明作品をなんだか想起した。これを読んだ後、カールおじさんの顔を思い出した。カール(スナック菓子)が食べられなくなります。

■モンキー療法(1983) ローカス賞ノヴェレット部門受賞

 最後のビジュアルはなかなかおぞましい。まさに悪夢。
 この手法、なんでもありダイエット健康雑誌に来月載ったりして(^^)。

◆関連リンク
ジョージ・R・R・マーティン - Wikipedia

当Blog記事
『願い星、叶い星』アルフレッド・ベスター/中村 融訳
『輝く断片』シオドア・スタージョン/大森望編
E・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』中村融編訳
エドモンド・ハミルトン『反対進化』中村融編
テリー・ビッスン『ふたりジャネット』中村融編訳

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.11.03

■『アニメージュオリジナル Vol.5 特集・金田伊功』

Animage_special_kanada02 『アニメージュオリジナル Vol.5 (ロマンアルバム) 特集・金田伊功』

去る7月に亡くなったカリスマアニメーター・金田伊功さん。その仕事の魅力と、影響力を探る! ビジュアルギャラリー
特別対談01=磯光雄×井上俊之
特別対談02=橋本敬史×村木靖
総論=小黒祐一郎

アニメージュ公式サイト

82年に徳間書店が出版した「金田伊功SPECIAL」の抜粋縮刷復刻版が別添小冊子として付きます(4C16P/A5変型)。

 特集は表紙を含め、わずか15ページでちょっと残念。ここまで表紙で特集をうたい、そして大人のためのアニメージュと言うなら、もっと硬派に充実した内容にしてほしかった。

 「金田伊功SPECIAL」の抜粋縮刷復刻版もかなり削られているので、持ってない人には少し嬉しいが、今ひとつ。

 この特集を「ユリイカ」か「美術手帖」誌でやってほしかったのは僕だけでしょうか。

◆CONTENTS
 本特集の内容は、下記の通り。

 表紙 ザンボット3 勝平の原画4枚
 特集中表紙 ブライガー見開き2ページ
 ブライガーOPより約150コマ 見開き4ページ
 井上俊之×磯光雄対談 2ページ
 ザンボット3 勝平の原画12枚 香月原画5枚
 橋本敬史×村木靖対談 2ページ
 幻魔大戦 バース さよなら999 画面写真とイメージスケッチ DVD紹介
 小黒祐一郎 「アニメの夢」はまだ醒めず

 一番面白かったのは、井上俊之×磯光雄対談。さすがにこのお二人のカリスマアニメータの語りは、実作者であり、しかも分析眼のある方達なので鋭い。

 僕が特に面白かった部分を引用すると

磯光雄 発言

 小林治さんと水が近い感じがある。源流とさえいえないほどの(略)

 コマ送りすると"消えちゃう"ものがある。「コマ送りすればこの作画の秘密が全部解明できるはずなのに・・・あれ? なんでわからないんだ」ってことになる。1コマづつ模写して、角度まで似せても、(金田さんの描いた動き通りには)再現できない。再現可能な部分は「金田モドキ」の人達もみんなやってるんだけど、再現できない何だかよくわからない部分が、特に初期の頃にはある。(略)
 金田さんの作画には絶対にまだ、2世代後くらいに発見されるような何かがあると思うーというのは私の仮説。まだ自分で検証したわけじゃないから、あくまでも仮説だけど、将来に向けて可能性だけは指摘しておきます。 

 亜細亜堂の小林治氏の作画との関係。これは金田氏が『ど根性ガエル』で仕事をしたことがある、という文脈もあるかもしれないが、体質的なところを言っているように読める。
 『ど根性ガエル』や『天才バカボン』での小林の作画は、あのコミカルで様式化された動きが素晴らしかった。『ザンボット3』の勝平が大口あけるところに顕著なように、その影響があることは間違いない。
 そして『まんが日本昔ばなし』や『まんが偉人物語』で小林が見せた独特の人物のフォルムとリミテッドアニメを活かしたあの動き。そこに一脈通底する部分を磯が指摘しているのだと思う。これはいままで指摘されたことはなかったと思うが、重要かも。(あとこの対談で初めて知ったけれど『アタックNo.1』も小林治が作画しているらしい。そして井上が、小林原画のフォルムのかっこいい鮎原こずえを、金田が好きだったのではと指摘)

Amori_cv5_f あと磯が指摘している「コマ送りすると"消えちゃう"もの」には僕も物凄く興味がある。もっとここの部分を磯に語ってほしかった。

 ネットで動画(主に映画予告編)を観てコマ送りをすることがある。
 そうすると動画として観ていた映像が急に生彩を失う。これは以前の記事で書いた脳内の映像処理機能に密接に関係していると思う。つまり、動画の時は、脳内で静止画のつながりから予想しながら間の(存在しない)画を補完して生成している可能性がある。それによるスムーズで活き活きとした映像が静止させることで、その補完機能を殺してしまい、ただの一枚づつの精彩を欠いた画像になってしまう、ということではないか。(詳しいことは以前の記事「アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係」を参照下さい)

 そして金田伊功の独特の動きは、現実に存在しない動きであるが故に、その補完機能がいままで体感したことのない動きの画像を追加しているのではないか。当然それは動いている時だけに脳内に生成される幻の映像であり、静止させてコマ送りしても見えない映像なのではないか。と、そんなことを考えていたので、この磯の発言には敏感に反応してしまった。

 あと金田氏のリミテッドアニメにおける全原画について語り、「金田モドキ」が中割りを入れたのに違和感をとなえる指摘も、全原画を展開している磯ならでは。磯の全原画も金田フォロワーな技術と思っていたのだけれど、そこのところの関係はどうなんだろうか。

 それにしても、この対談でも述べられているが金田伊功が分析的な人ではなかったので、彼自身による自己の作画の解析はほとんどコメントが残っていないのは残念。いまさらだけれども、この磯、井上両氏と金田氏の作画対談なんてものがなされていたら、と思うと残念でならない。この二人が金田氏に聞きこめていれば、金田作画の謎を解くヒントがいろいろと引き出せていたのではないか。今となっては想像するしかないのが本当に残念。

◆関連リンク
【仕事】「アニメージュオリジナル」第5号: 編集長メモ
小林治監督『まんが日本昔ばなし みちびき地蔵』

当Blog記事
池谷裕二 『進化しすぎた脳』 感想 3 + α アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2009.11.02

■フィリップ・K・ディック  ドキュメンタリー
  "The Penultimate Truth about Philip K. Dick"
 『P.K.ディックに関する最後から二番目の真実』

The_penultimate_truth_about_philip_
YouTube - PHILIP K. DICK DOCUMENTARY PART 1 OF 9

"The Penultimate Truth about Philip K. Dick"
「フィリップ・K.ディックに関する最後から二番目の真実」

In 2007 I produced this documentary about the mystical experiences of sci-fi writer Philip K. Dick.
2007年に、私はSF作家のフィリップ・K.ディックの神秘的な体験に関するこのドキュメンタリーを製作しました。

 ディックに関するドキュメンタリーがYoutubeにあったので、御紹介。
 まず一本目は彼の神秘体験に関するドキュメント。例の『ヴァリス』のペースになった体験を扱っているのか?
 ディックの講演風景と、2番目,5番目の奥さん、高校の同窓生、セラピスト等へのインタビューで描かれていくディックの真実。
 まだ9本に別れたファイルの1本しか観てません。僕のヒアリングではしっかり紹介できないので、お好きな方、是非ご覧になって、コメント欄で解説いただければ幸い(他力本願(^^;))。

Philip_k_dick_a_day_in_the_afterlif YouTube - Philip.K. Dick - "Arena" 1/6

"Philip K. Dick A Day in the Afterlife"
Philip.K. Dick documentary on BBC's "Arena" originally broadcast on 9th April 1994. 

 こちらはBBCが1994年に制作したドキュメント。『フィリップ・K・ディックの来世の一日』?

 いきなりテリー・ギリアムがPKDスプレーを持って現れる。これ、「ユービック・スプレー」だよね(^^)。

 そしてトーマス・M・ディッシュが語る。動くディッシュ、初めて観ました。あとキム・スタンリー・ロビンスンとか。

 こちらも1/6しか僕は観てません。後日、じっくり観る予定。

 こうしたドキュメントが作られ放映されているのは、ディックって欧米では日本よりメジャーで、それなりの視聴率がとれるということなのかな。日本じゃBSでもこんな番組は成立しないよね。
 でも翻訳版、是非日本での放映を期待したい。

◆関連リンク
フィリップ・K. ディック, ロランス スーティン『フィリップ・K・ディック 我が生涯の弁明』

ディッ クは1974年2月から不思議な体験を重ね、これらを解釈しようとする企てに邁進し、日々展開する持論を日誌のように書きとめて、後にこの記録を釈義と呼 ぶにいたった。(中略)八年以上にわたって不断に継続された考察は、八千ページ、二百万語におよぶ。本書はこの膨大な釈義の枢要を示す初の精選集にあたる。

フィリップ・K・ディック - Wikipedia

当Blog記事
フィリップ・K・ディック アンドロイド・プロジェクト

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »