■感想 山田正紀の超冒険小説 『白の協奏曲』
山田 正紀『白の協奏曲』(amazon) (公式HP)
1978年に「小説推理」誌に発表されていながら、今まで単行本化されることのなかった“ファン垂涎幻の作品”。オーケストラ団員が、東京をまるごとジャックするという奇想天外かつ大胆なストーリー。頭脳プレイ重視、ゲーム性抜の冒険小説。
『謀殺のチェス・ゲーム』、『火神(アグニ)を盗め』で日本の冒険小説を切り開いていた頃の山田正紀作品。当時の僕がこんな小説を知っていたら一にも二にもなく読みたかったはずで、出版から一年ほどたってますが、やはり読みたくなって図書館で借りてきました。
ずっとお蔵入りになっていたのは山田自身が気に入っていなかったものと考えられますが、この本も十分に楽しめます。ひさびさに山田正紀の冒険小説を読んだので、あの頃のワクワク感を思い出した。
いやー、でも大好きだった山田正紀の70年代超冒険小説を新作で読めるとは幸せ。『白の協奏曲』は若書きの良さもあってお薦め。
これ、読後に、もしかして押井守『パトレイバー2』の元ネタ?と思ってしまった。
東京に情況を作る雰囲気と、情況を起こす目的の虚構性が似てる。
そして存在しない架空の人物を描くところの雰囲気は『パト1』だったり。
長いこと未刊だった作品なので、雑誌掲載で読んだ押井がごく一部のネタを使ったのかも。無意識的に??押井守は山田正紀との対談で『神狩り』からのファンだと言ってるので、あり得ないことはない、と邪推。
◆関連リンク
・submarine Biber – Wikipedia
右上の写真は、本書で活躍するドイツの一人乗り特殊潜航艇『海狸』。
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