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2010.02.22

■感想 ヘンリー・セレック監督『コララインとボタンの魔女』

Coraline
Movie Trailers - Coraline - Featurette (Apple)
映画『コララインとボタンの魔女』公式サイト

 ニール・ゲイマンの2003年ヒューゴー・ネビュラ両賞受賞作を、人形アニメ:ストップモーションアニメとしての3D映画化。アメリカでは昨年のはじめに既に上映されていたものがやっと日本でも待望の公開。さっそく行ってきました。
 今回、『コララインとボタンの魔女3D』、realD方式で観ました。

 とにかくワンダフル! 素晴らしい出来です、感激。

 まず人形の3Dでの質感が素晴らしい。冒頭のコララインそっくりの人形と、それを作る謎の針金の指の質感! 奥行き! 3Dを意識した絵作りの妙。そして続く泥地のアクションシーン。ここらは是非、3Dでご覧あれ。

 続くピンク・パレス・アパートメントの地階と2Fの住人の奇怪さも素晴らしい。
 そしてあちらの世界で繰り出される奇想。特にネズミのサーカスと犬の劇場のシーンは圧巻!そして庭!先週の『パルナサス』を超える幻想館(イマジナリウム)がピンク・パレス・アパートメント!

 ボタンの魔女のビジュアルも、別のお母さんから変身するシーンは、禍々しくってゾクゾクする。そしてあちらの世界の作りが..していくシーン、アパートメントに現れる迷宮、奇想のオンパレー ドと3Dのリアリティ、そこが人形の世界なのを忘れてしまう。優秀な原作を得てセリックのイマジネーションが爆発開花、パペット幻想アニメの最高峰の登場だとこの中盤を観て思う。

 登場人物みんなが奇怪なのに、だけれどもどこにでもいるようにみえる現実側。
 逆にまともなのが幻想世界で誰もが輝いている。ここは『アバター』の人間世界とナヴィ世界にも通じる。
 しかし『コララインとボタンの魔女』で描かれるのは現実回帰。こうした相当複雑なリアル批判になっている物語の奥行きも、3Dに勝るとも劣らずに味わい深いのである。

 イマジナリウムであるピンク・パレス・アパートメント。2Fのボビンスキーとトビネズミ、半地階のミス・ピンク&ミス・フォーシブルと天使犬。
 特に後者の劇場シーンはデイヴィッド・リンチのストレンジ・ワールドへと地下水脈で繋がっている。僕の頭の中にはいつ「シレンシオ」の声が聴こえるかと(^^;)。だいぶんと幻想のテイストは違いますが、なんとなく劇場シーンの赤いカーテンがリンチ・ワールドを思い出させる。

 『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』も『ジャイアント・ピーチ』も好きだけれど、今回のはもっと奇想で良かった。ヘンリー・セリック監督には、どんどんこんな映画を作ってほしいものである。

■コララインのコンセプトアート
 コララインのコンセプトアートは日本人イラストレーター上杉忠弘氏、ネットでセリックがイラストを見て依頼したとか。アメリカと日本で作業が行われたとのこと(http://bit.ly/9uAeFw) 。

 上杉忠弘氏によるコララインのコンセプト・アートこちらも多数
 セリック風でなく結構意外。でもあえてらしくないイメージを融合して、映像の幅を広げたのでしょうねか、策士ヘンリー・セリック監督。

◆関連リンク
ニール・ゲイマン『コララインとボタンの魔女』

DVD『Coraline』
 既にアメリカで発売になっているDVDは、3D ver.を収録。メガネ付きとあるけれど、これは赤青メガネだと思います。(間違いないと思うけれど、違ってたら教示ください)
ReadMe!Girls!の日記・雑記: Cartoon Art Museum コララインと上杉 忠弘

コララインといえば、これのデザインは日本人のイラストレーター「上杉 忠弘」さんです。
ちょうどコララインについてのインタビューもあがってます
Tadahiro Uesugi Talks Coraline Design

この時のコララインアーチストは他にShannon TindleShane PrigmoreDan KrallChris AppelhansJon Klassen

上杉氏の公式HP
・声|戸田恵子オフィシャルブログ Powered by Ameba

『目をボタンにしましょう~!』
(@_@)怖いよ~(@_@)(@_@)
テレビ&ラジオから映画『コラライン~』のCMが流れる度、自分の声を頻繁に聞く今日この頃~。 昔ほど、自分の声を聞くの嫌じゃなくなったんだよね。不思議。

 ボタンを眼に当てた戸田恵子の写真(^^;)がリンク先で見られます。

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コメント

 foobarさん、情報ありがとうございます!

>>はい、これはおっしゃる通りです。赤青というよりは赤緑みたいな色でしたが。

 あの映像が、この方式では色がめちゃくちゃになって台無しですよね。
 もうしばらくして、ちゃんとした3Dが家庭で観られるようになるのを期待しましょう!

投稿: BP(foobarさんへ) | 2010.02.27 08:27

>既にアメリカで発売になっているDVDは、3D ver.を収録。メガネ付きとあるけれど、これは赤青メガネだと思います。(間違いないと思うけれど、違ってたら教示ください)

はい、これはおっしゃる通りです。赤青というよりは赤緑みたいな色でしたが。

投稿: foobar | 2010.02.22 12:36

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