■テリー・ギリアム監督『Dr.パルナサスの鏡』
The Imaginarium of Dr Parnassus
The Imaginarium of Dr Parnassus 予告篇(イギリス公式HP)
ParnassusFilm (公式twitter) 日本公式サイト別予告篇
原題通り『Dr.パルナサスの幻影館』と呼んだ方がピッタリくる映画。先週末に観たのだけれど、感想が遅れました。
奇想映像は近年のギリアム映画にない密度で繰り出れる。パイソンを思わせる笑いもあり満足。
ただやはり物語の力は落ちているように思う。構造的にもっとやりようがあったような..。しかしあの幻影館はいいなー。馬車で引かれる幻想倉庫といっしょに旅したい、と思ったのは僕だけではないはず。
前半の言葉を紡いで現実を駆動する装置とか、蓮や水母や立ち上がる黒い河や天へ伸びる梯子。
幸福な時間は幻影の中にあり現実は薄ら寒い。ここはまさにギリアム節だなあ。
あと、今回絶壁のイメージがあちこちにあった。個人的には、おとといも見た断崖。最近続く自分の悪夢との連環に想いを馳せる。
ギリアムも、きっと自分の夢から映画の幻想を拾ってるのかもしれない。
何にしてもとにかく「幻影館」とその住人のチームが繰り出すイマジナリ・ワールドがいい。宮崎駿が『母を訪ねて三千里』で描いた、マルコ・ロッシが南米を旅したペッピーノ一座の幸福と通じるものを感じた。高畑勲が描いたのは、薄ら寒い現実に対して幻影の持つ力による幸福な時間だったが、ギリアムの作品もまた同じテーマである。(と言いつつ、今週観た『コラライン』も同テーマ!)
◆関連リンク
当Blog記事
・テリー・ギリアム監督『Dr.パルナサスの鏡』予告篇
・ヴァーン・J・トロイヤーがイマジネイティブでいい絵になってる。この人はギリアム作品には初出演だ( http://bit.ly/afd9Mg )
・Looking Up (笑)と名付けられた彼のHPも面白そう。
・twitterはこちら、@VerneTroyer。
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コメント
に さん、コメント、ありがとうございます。
>>この世で一番好きな映画が「バンデットQ」で、それ以降の彼の作品には違和感がつきまとっています(笑)
「バンデットQ」、観直してみたいものです。
>>パイソン風の笑いとかは、ファンサービスを頑張ってるようにみえました。(その分、なんか薄っぺらくみえたナ幻想部分)
昔のあのコテコテな熱情はないかも。
>>本当は映像作家として生きて来たテリー・ギリアム自身の事を描いたものと思っています。博士と娘を描いた映画を父娘で製作してるっつうところから考えても、そうなんじゃないでしょうかね。
確かにそれは感じますね。
博士の老いぼれた度合いの描き方が自嘲的でww。いねむりばっかしてたし(^^;)。
これからもよろしくお願いします!
投稿: BP(に さんへ) | 2010.02.27 08:38
僕も先日観てきました。
この世で一番好きな映画が「バンデットQ」で、それ以降の彼の作品には違和感がつきまとっています(笑)
パイソン風の笑いとかは、ファンサービスを頑張ってるようにみえました。(その分、なんか薄っぺらくみえたナ幻想部分)
本当は映像作家として生きて来たテリー・ギリアム自身の事を描いたものと思っています。博士と娘を描いた映画を父娘で製作してるっつうところから考えても、そうなんじゃないでしょうかね。
神が不在の世界で悪魔がやさしいってのが彼らしいなぁ。
投稿: に | 2010.02.25 11:25