■『ベクシンスキ作品集成 I BEKSINSKI The Collected Works; Paintings & Photographs 』
『ベクシンスキ作品集成 1
---BEKSINSKI THE COLLECTED WORKS I PAINTINGS
& PHOTOGRAPHS』
editions treville |
ベクシンスキ作品集成 全三巻にて刊行予定
□70年代、80年代を中心とした絵画作品と50年代の写真作品を収録。 □ベクシンスキの生前の貴重なインタビュー、母国ポーランドでの研究も含め多角的な作品分析をにもとづいたテキスト収録。
□執筆陣:ベクシンスキを西欧世界にひろめたドモホフスキ画廊のドモホフスキ、 ポーランドの美術研究者アンナ・カーニャ。
ズジスワフ・ベクシンスキーの新しい画集が出た。
さっそく入手(と言っても4月に既に出版されていたようですが、、、w)。
絵画44枚(70-80年代中心)。50-60年代の写真24枚(人物が14枚,建物他10枚)。評論等2(6頁),インタビュウ1(4頁)。
評論は、ピョートル・ドモホフスキが写真について2頁。ポーランドの美術研究者アンナ・カーニャがベクシンスキが芸術家になるまでの生い立ちと初期の作品について書いている。
今回の作品のセレクトは、作品集成1という本書の構成を鑑みて初期作品と、こうした芸術家としてのベクシンスキーの出発に関する部分の論考が掲載されたのだろう。
作品は、冒頭の人物のものよりも、後半の建造物とか異界の風景の方が、僕にはよかった。あの何処とも知れないベクシンスキーの暗鬱なパラレルワールドに浸れることは間違いない(^^;)。
editions treville |
ベクシンスキー(Blog)
エディシオン・トレヴィルのBlogで今回の作品集成について、いろいろと情報が書かれている。その中で次の記述がとても興味深い。
editions treville | 日本人が購入したベクシンスキ絵画作品(修正版)
ドモホフスキ氏によれば彼ら(複数の男女で美術関係者ではなかったらしい)は、なんと59点ものベクシンスキ作品を購入したという。彼らは後に大阪で「東欧美術 館」を開館し、それらの作品を展示(販売?)していたらしい(91年に非売の図録を刊行していたことが判明)。(略)やがて「東欧美術館」は閉館してしまい、(略)59点がまだ彼らの手元にあるのか、販売されてしまったのか、あるいはバラバラであれ国内にとどまって いるのか知る由もない。(略)
いずれベクシンスキの日本での展覧会を実現させてみたいと思っている。
とても、気になります。かつて日本人がベクシンスキーの作品59点を購入、現在その所在は不明。
トレヴィルは「いずれ日本での展覧会を実現させてみたいと思っている」とのこと! 是非、これらの絵が散逸せずに今も一つ所に所蔵されていることを祈るばかりです。どなたか、こころ当たりはありませんか。もし何か情報があれば、コメントかメールで御知らせいただければ幸いです。
◆ベクシンスキーと音楽
ベクシンスキはインタビュウで、音楽を聴きながらなら疲れず14時間でも画架の前にいられる、画架に立たなければ音楽を聴かない、という趣旨のことを語っている。記されている作曲家は、ロシアのアレクサンドル・スクリャービンとポーランドのカロル・シマノフスキ。
特にベクシンスキが衝撃を受けたというのが、カロル・シマノフスキの交響曲第三番。
YouTube - Szymanowski -
Symphony No. 3 Song of the Night
なかなか幻想的で荘厳な曲。
でもベクシンスキには、彼の公式サイトの音楽のイメージが強くて、そちらの方が合うような気がしてしまう。
YouTube
- Szymanowski, Karol - The String Quartets - N° 2 op. 56 - I Moderato
dolce e tranquillo
こちらの方がベクシンスキー的。
◆関連リンク
・Zdzislaw Beksinski - Official website presented by Belvedere Gallery
この画集について、朝日新聞が記事にしてますね。以前に復刊したトレヴィルの画集は、売上げ通算1万部を超えているとか。展覧会、実現してほしいものです。
・カロル・シマノフスキ - Wikipedia
交響曲第3番『夜の歌』 op.27 (1914-16年) 第2期を代表する作品。13世紀ペルシアの神秘主義者ジャラール・ウッディーン・ルーミーの「夜の歌」のテキストによっており、テノール独唱と混声合唱が加わる。オリエンタリズムとドビュッシーらの印象主義の音楽が融合昇華した作品である。
デルヴィルらのベルギー象徴主義絵画に興味を寄せつつ、マダム・ブラヴァツキーの著作にいっそう親しんだ。これにより、自らの芸術を神智学思想を表現するた めのものとして考えるようになり、後期の神秘和音を特徴とする作品を残す。それとともに前衛的作曲家として国際的に認められるようになった。
・YouTube
- Scriabin - Etude Op.65 No.1
このファイルに付けられた写真がなかなかベクシンスキー。
・YouTube -
Scriabin - Prelude Op.67 No. 1
この夜の映像もなかなか。
・Zdzilsaw Beksinski 『ベクシンスキー (Pan‐exotica) 』
・Zdzilsaw Beksinski 『The Fantastic Art of Beksinski』 (革装本)
当Blog記事
・ベクシンスキー関連映像ライブラリ DmochowskiGallery.net - film library
ドモホフスキ・ギャラリー
のベクシンスキーサイト。貴重なベクシンスキーのドキュメンタリーやプライベートフィルムもある。
・エディシオン・トレヴィル
画集 『ズジスワフ・ベクシンスキー』再復刻版 出版
・画集
『ファンタスティック・アート・オブ・ベクシンスキー』 Zdzilsaw Beksinski "The Fantastic Art of
Beksinski".
・ポーランド現代絵画孤高の巨人 ズジスワフ・ベクシンスキー:Zdzilsaw Beksinski.
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コメント
青の零号さん、こんばんは。
>>復刻画集を買ってなければ、思い切って行っちゃうんですが。
ちゃんと2冊比較して記事書くべきなんですが、、、。
>>シマノフスキは聞いたことないですが、スクリャビンは持ってます。
こんなことでもなければ、僕なんかは聴くことはきっとなかったでしょうね。あとうちの娘がオケで演奏でもしない限りは(^^;)
投稿: BP(青の零号さんへ) | 2010.05.21 22:52
ベクシンスキ集成、欲しいけど高い…。
復刻画集を買ってなければ、思い切って行っちゃうんですが。
シマノフスキは聞いたことないですが、スクリャビンは持ってます。
しかしずいぶん前にしまったきり、どこにあるのか不明。
今度探してみようかな…。
投稿: 青の零号 | 2010.05.17 01:01