■感想 クリストファー・ノーラン監督『インセプション:inception』
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インセプション(公式HP)
クリストファー・ノーラン『インセプション』非IMAXで観てきた。
予告篇がとにかくイギリスSF的で期待したのだけれど、やはり脚本がイアン・ワ
トスンでもクリストファー・プリーストでもないところがNG(^^;)。奇想方面の追求が足らず、少し奇妙な設定のアクション映画と言ったところに落ち着いている。
夢や現実という概念を持ち出しているが、それらの扱いは極めて定型的。そして哲学的に悩むようなところはなく、そうした映画を期待した向き(>>自分)には肩すかし。
しかも夢を観ている人の体にある物理的な力が働くと、それが夢の世界全体に作用するという描写が噴飯もので笑い出しそうなシーンも(<<これはかなり辛口の見方でしょう)。
出色の街が折り畳むあのイメージをもっと本篇と密接に絡めてほしかったし、海辺のビル街の廃墟も主人公の心象風景の具現化として深く映像化してほしかった。
現実/夢の対比としては調剤師の店の奥の老人達の観ている夢をきっちりと映像化して、観客を幻惑の極みへ叩き込むべきなのでは(^^;)。
と批判的に書いたけれども、ハリウッドアクションにしては渋めのC・ノーランの映像とハンス・ジマーによるエレクトリカルな音楽はなかなか心地いい。あと脇役のジョゼフ・ ゴードン=レヴィットのシャープな演技も。
キーボードとシンセサイザーの演奏者として、「ラジオ・スターの悲劇」で有名なバグルスなどのバンドと仕事をしていた。
あ、ジマーってバグルス「ラジオ・スターの悲劇」と関係有なのか。
グループメンバーのトレヴァー・ホーンはJ・G・バラードの短編「音響清掃」に影響を受けた曲だと語る。この短編は、世界中の音楽を吸い取る音響清掃人が、 下水道でオペラ歌手と出会う話である。
へぇー、これは知らなかった。C・ノーラン、ここでもイギリスSFと地下水脈で繋がってる。(以前映画化した『プレステージ』はもろにクリストファー・プリースト『奇術師』原作。)
バラード短編「音響清掃:The Sound-Sweep」邦題は「音を取りのける男」(『ザ・ベスト・オブ・バラード』ちくま文庫)手元にあるはずだけど読んだ記憶がない(^^;)。 『インセプション』観て思ったけど、C・ノーランってバラードの映画化が合いそう。僕は自分の好きな『夢幻会社』を希望(^^;)
ノーラン監督には、バットマンをもう一本当ててもらって、ビッグバジェットで、英国風幻想バリバリの映画を撮ってほしい。
◆関連リンク
・"Adventures In Modern Recording" Vermilion Sands♪
バグルス「ヴァーミリオン・サンズ」この動画なかなか。
・J・G・バラード『夢幻会社』
当Blog過去記事
・クリストファー・ノー
ラン:Christopher Nolan監督 "インセプション:Inception" 予告篇
・クリストファー・ノーラン監督『The Prestige:プレステージ』
・クリスト
ファー・ノーラン監督 The Dark Knight 予告編
・サム・スコギンズ監督 J・G・バラード原作『夢幻会社』 Sam Scoggins: 'Unlimited Dream Company' Film
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