■感想 ヤノベケンジ個展「Levitation:レヴィテイション」@山本現代
(写真は、下記の山本現代公式ブログより転載)
YAMAMOTO GENDAI : ヤノベケンジ個展「Levitation」@山本現代
"ヤノベの初期作品を思わせる禍々しい彫刻作品が、宙に浮いております。 (ワイヤーで下の台座に引き留められています。) なぜ、この生き物らしきものが座禅を組んでいるのか? 腹部に抱えている太陽は何を表しているのか? 様々な疑問が湧き出てきます。"
ヤノベケンジ個展「レヴィテイション」を観た。空中浮遊する70cmほどの作品"レヴィテイション"が電磁石の切り替えで、すーっと動くのに魅了され50分ほど佇む(^^)。いつもヤノベ作品を見るとその空間に何故だか居続けたくなるのだけれど、今回もそんな衝動は同じであった。
ギャラリー受付で写真撮影の可否を聞いたら、作家に確認しないといけないけれど電話でつかまるかどうか。写真が必要であれば、山本現代の公式ページの写真はクレジット付ならBlogで使用してもらって構いませんと言われたので、冒頭に転載させていただいた。
■「レヴィテイション(空中浮揚)」
個展最大の作品はその名も「レヴィテイション(空中浮揚)」(写真右側)。
展示はガラスのない展示台の枠の中、天井に4つの電磁石、そして下からワイヤ2本で固定。彫像作品は鉄板の溶接で中は空洞。その頭頂内部に磁石か鉄の固まりが入っていて、磁力で吊上げてある。磁力による風船のような形態である。
作品に近づくと、電磁石のブーンという微かな高周波励磁音が聴こえる。
そして、当研究所分室(^^;)shamonさんのひねもすのたりの日々レポートに詳細があるが、この70cm程の作品は実は動く!
「ヤノベケンジ”レヴィテイション"」 in 山本現代: ひねもすのたりの日々
"定期的に前へ後へと交互に動く んですよ(^^;。 DVDを見ててガタガタガタッと音がしたので振り返ったら 位置が変わってる!!!!アワ((゚゚дд゚゚ ))ワワ!! びっくりしたよ、もう(^^;。 説明してくださったギャラリーの方によると 「天蓋に設置した装置(4つあり、遠目に各々20cm四方?)に長い間通電できない」 ので、5分おきに動かさざるを得ないそうです"
頭上の電磁石は前後の2セットが、5分ごと切替えられる。
その様に胸が騒ぐ。何の前触れもなくスルっと像が20cm程前後へ転位した後、ワイヤと像の共振でガクガクと音がして、像は5cmほど揺れる。
しばらくして振動は
減衰し静止したかに見えるが、わずかな揺れが残っている。間近で食入るように観ていると、動いた時に枠からはみ出てくるような禍々しさがある。もし枠の中に頭を入れてみていたら、きっとぶつかるだろう(^^;)。
静止している時より動いている時が(つまり飛行!!)、特に動悸を誘発される。
この機構で頭上の電磁石を長ーく並べれば、浮いて飛んで行くわけで、これも観たいww!
そしてオブジェについて。
赤い光の丸い眼、鎧のように見える体と、錆と黴を模したような塗装の表面テクスチャ。禍々しいが、この丸い眼の穏
やかな表情により、奇妙なアンヴィバレンスなイメージ。写真よりも不思議な雰囲気が漂う。この雰囲気は視覚だけでなく、もしかすると、強烈な電磁波を三半規管が感知しているのか!?(^^;
「レヴィテイション」が手にしているのは金色の太陽。これは体から支柱で支えられている。テスラコイルで内部に光電を発した巨大な半球 「ULTRA 黒い太陽」からの系譜である。
■「黒い太陽」
そしてもうひとつの今回の作品、磁力で1cmほど浮上しながら回転する10cmの「黒い太陽」。これは『ヤノベケンジ―ウルトラ』展の作品「ウルトラ-黒い太陽」が巨大な半球に円錐のトゲが出ていたのに対して、全球に同様の円錐のトゲが付いたもの。
これが、1秒に約4回転のスピードで水平に回っている。これは「レヴィテイション」と異なり下に仕組まれた電磁石と、作品に内蔵された永久磁石の反発力と、自重のバランスで浮いているようだ。よーく観ると時々僅かにミソスリ運動をして、すぐ後に安定。この運動を見る限り、たぶん電子制御が入っているのだろう。
もしこれが巨大で浮揚する作品で、さらにテスラコイルから放電を受けたら凄い迫力になるのではないか。
太陽はヤノベアートではチェルノブイリの廃墟になった幼稚園の太陽の絵が原点なのだと思う。
放射能の悲劇の象徴と光の希望。これを黒い禍々しい像と放電の光で巨大なものとして表現されたら....。どういうイメージが脳内に展開するのか想像するとワクワクする。
■『MYTHOS ミュトス展』の記録映像
今回の個展のもうひとつの収穫は、この8分のビデオが観られた事。
「放電」のシーンでテスラコイル上空の数十cmの「黒い太陽」に雷光が飛んでいるのを発見! 今までネットでいくつか動画を見ていたのだけれど、暗闇と電光でこの黒い太陽を見逃していた。
先日ツィートしたヤノベケンジ公式HPに現れる、全球黒い太陽はこれだったみたいだ。
ということでヤノベケンジ個展について、興奮のリポートでした。
興味のわいた皆様、開催は港区白金のギャラリー山本現代にて12/4まで。
今回 shamonさんに教えてもらったが、都営バス「光林寺前」バス停下車が便利です。(地図 http://bit.ly/eVvvio)
■そして、明日の記事「空中浮揚メカニズム探索」に続く(^^;)。
◆関連リンク
・review:ヤノベケンジ個展「レヴィテイション」: ex-chamber museum
こちらのページでいろんな角度からの写真が観られます。
| 固定リンク
« ■コンゴのアーティスト ボディス・イセク・キンゲレス:Bodys Isek Kingelez 超模型未来都市 | トップページ | ■空中浮揚メカニズム探索 テンヨー製「浮宙儀」「ファンタジーユニバース ゼウス デュオ」 : Levitation Mechanizm »
コメント
shamonさん、究極映像研 東京分室活動、いつもご苦労様です!!
>>動いた時には心底ビビリました(゚д゚;)。
>>マジで禍神が乗り移ったのかと(苦笑)。
僕はshamonさんのリポートで知っていたので、驚きませんでしたが、知らないで顔を近づけた時に動いたら、さぞ迫力でしょうね。
>>それだけにあの布団はウケたw。
あの「レヴィテイション」の造形と布団がミョーに似合ってましたね!
投稿: BP(shamonさん@東京分室へ) | 2010.12.05 16:06
civ productionさん、はじめまして。コメント、ありがとうございます!
>>展示会場の映像を制作しましたciv productionです。
>>映像、楽しんでいただけて何よりです。
>>今後ともよろしくお願いします。
映像と音楽、素晴らしかったです。
Youtubeにアップされているのも昨日見つけまして、またあの音楽に浸らせていただきました。
来週のBlog記事で紹介させていただこうと思っています。こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
投稿: BP(civ productionさんへ) | 2010.12.04 22:05
初めまして。
展示会場の映像を制作しましたciv productionです。
映像、楽しんでいただけて何よりです。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: | 2010.12.04 18:15
ども分室です(。・ω・)ノ゙ コンチャ♪
>この70cm程の作品は実は動く!
動いた時には心底ビビリました(゚д゚;)。
マジで禍神が乗り移ったのかと(苦笑)。
意外な重さもですが、
毎日これをセッティングするギャラリーの方は神経すり減らすでしょうね。
一点もののアナログ芸術は損なわれたら終わりですから。
それだけにあの布団はウケたw。
投稿: shamon@東京分室 | 2010.11.29 20:55