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2010.12.09

■感想 山崎貴監督『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

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 山崎貴監督『SPACE BATTLESHIP ヤマト』観てきた。結論は面白かった(^^;)! twitterでネタばれのなさそうな感想を読んでたので、なんでこんなに賛否両論なんだ、と思っていたけど理由がわかった。映像や物語の作りが丁寧、しかし魂はヤマトw。

 それで、映像や物語の作りを誉めている人と、ヤマトの魂(悲壮感と浪花節w)を否定している人の両方がいるんでしょうね。僕は前者に比重を置いて堪能!
 山崎監督というと『続・三丁目の夕日』の冒頭のアレが、映像は先端、魂は東宝wで大好きだったのだけれどその拡大判だと思う。

 バトルシーンの描写、細部はともかく(突っ込みどころ有)スピーディな戦闘機描写はさすが板野サーカスの生まれた国、日本w。見事な映像に昇華、うまいですねー山崎貴VFX監督。
 ただ保留事項、一部にギャラクティカのパクリという意見がある。僕は観てないので今回、ここは保留w。

 物語は、14.8万光年の距離感とあの星での戦闘がもう少し良ければ傑作になったかも。放射能除去装置がらみのところも好きだw。

 さて次にヤマトの魂部分wについて。
 悲壮感と浪花節。脚本が丁寧でかなり臭みは薄れているけど、はっきりと残っている。残っていないとヤマトじゃなくなる結構ギリギリのところwでうまくまとめてある。
 僕はさすがに浪花節が辛くて帰りの車の中で神聖かまってちゃん聴いて毒抜きしたのだった(^^;)。

 あとヤマトの魂の表現でうまいなーと思ったのが、ネタばれになるので遠回しに書くけれど、アニメのキャラクターを、丁寧に映画としての強度を確保したまま、しっかり回収し登場させていること。
 あーネタ書きたい。すぐネットではばれちゃうでしょうから、早く観た方が良いですよ。

 あとアニメ版ヤマトについて。
 僕は、最初のTVシリーズを観てなくて(小松ファンだったので猿の軍団派w)、評判(雑誌OUT)から妄想を膨らませて初めて観たらガッカリ。
 『さらば』も『ザンボット』の後では、いくらキャラが死んでも特攻精神がカスだったし思い入れはほとんどないw。
 なのでアニメ版ヤマトは、金田伊功作画を観るためだけの存在だったw。
 でも今回の実写は、満足w。

 制作者のヤマトへの敬意は確かだ。このスタッフならザンボットの実写化も任せていいw、とか。

 そして最後に、SFファン視点の感想。
 いや、さすがにこれは突っ込みどころ満載で、せっかく丁寧に脚本を練っているのだから、SF考証の人をブレインに加えた方が良かったかと。
 ヤマトの夢と希望の虚構性の部分が良かったので、もっとそこをSF的に追求してたらかなり面白かったのになーと思う。地球に残された人びとの最後の希望が虚構。壮大な14万光年の宇宙旅行の幻想性と危うさをうまく書けていたら、SFとしてもいい線行ったのではないか。

 総論。観て損はないですよ。ただキムタクが嫌いなら止めた方がいい。いつもの演技も顔出して、ずっとでずっぱりだからw。ちなみに僕は抵抗ないのでそこはOKw。

◆関連リンク
Twitter / @清水節さん(ギャラクティカのクリエイティブディレクター)

"ヤマトにおけるギャラクティカに関し言及もせず、恥ずべき“日本映画初の本格SF”を生んだ彼を、このままサポーターにしておくのは本家の名を汚す。よって 雇われDの身だが『ギャラクティカ』公式サイトから山崎貴監督のコメントを外すようメーカーに提案した。あとは大人の事情でどうなることか。"

 それにしてもヤマトにおけるギャラクティカ問題、twitterでなんか凄いことになってる。
 最近、滝本誠さんのつぶやきにも出て来るギャラクティカ。ヤマトも含めて、凄く気になるシリーズになっている。どなたか初心者にどのシリーズから観たらいいか、手ほどきをいただければ幸いです(^^)
「GALACTICA/ギャラクティカ」公式サイト

"オリジナルを大切にしながらも21世紀の作品として仕上げてるところが。この人たち、ちゃんとオリジナルのいい面に敬意を払ってるというのが素敵です"

 消されるかもしれないギャラクティカへの山崎貴コメント。
 この発言は、今回のヤマトそのものw。
ENERGIZE!映画鑑賞記 : 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」

"冒頭の鉱石探索シーンは今年6月に多治見市の美濃焼き岩石採掘場で、地球防衛軍基地での山崎努と橋爪功のシーンは揖斐郡の横山ダムて昨年11月に"

 エンドクレジットでロケ地 多治見と出てたので、なんだイスカンダルはうちの近所かwと思ってたら違った(^^;)。
Space Battleship ヤマト・初日1回目の上映で見てきたぞ 【▲→トーノzero→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】

"それだけじゃない。ストーリー的な矛盾点をよく解消するための新設定や新展開も意欲的に取り込んでいる。たとえば、艦艇部に取り付かれて自爆されてもなぜか 無事という不思議な展開はもう存在しない。最後の地球艦隊が勝てないと分かっていてわざわざ冥王星まで行く謎も解消されている。あと放射能除去装置の設定 に関してはおそらく石津嵐版まで視野に入れて書いている"

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コメント

こんにちは。管理人様ご鑑賞ありがとうございました。
今後は色々と勉強をして人形劇で谷崎純一郎の「春琴抄」の制作にチャレンジしてみたいと思っています。
それでは。

投稿: カズ | 2011.01.02 10:24

 カズさん、こんばんは。レスが年末になり、申し訳ありません。

>>正式には「ゴジラ 大魔獣封印録」です。ニコニコ動画で投稿日時が新しい順の12月11日に登録してあると思います。「録」を「禄」とまちがえていたのでした。

 見せていただきました。
 URLは下記ですね。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm13000051

 凄い気合いの入ったムービーですね。
 煙の描写のスピード感がよかったです!

投稿: BP(カズさんへ) | 2010.12.31 23:27

管理人様へのお詫び

カズです。先日は厚かましくも自作品の鑑賞をお願いしておきながら、掲示したタイトルの語尾を間違えて入力していたようです。たいへん申し訳ありませんでした。

正式には「ゴジラ 大魔獣封印録」です。ニコニコ動画で投稿日時が新しい順の12月11日に登録してあると思います。「録」を「禄」とまちがえていたのでした。

返事が遅れしましたことと合わせてお詫び申しあげます。

投稿: カズ | 2010.12.30 09:44

 カズさん、コメントありがとうございます。

>>ニコニコ動画に「ゴジラ 大魔獣封印禄」とゆう作品を投稿しています。

 さきほどニコニコで検索しましたが、みつかりませんでした。

 できれば、URLをご紹介下さい。

投稿: BP(カズさんへ) | 2010.12.29 19:54

はじめまして。
ニコニコ動画に「ゴジラ 大魔獣封印禄」とゆう作品を投稿しています。
アナログで稚拙な作品ですが、よかったら観てやってください。

投稿: カズ | 2010.12.28 05:27

 ベラデンさん、はじめまして。
 コメント、ありがとうございます。

>>劇中のBGMが宮川泰さんの音楽とは明らかに違っていてあまり熱く高揚感がわかなかったし、波動砲によって粉砕される敵艦の描写がなかったり、煙突ミサイルや艦首魚雷を発射しなかったりなどアニメ信者にとっては納得いかない箇所がありました。

 信者というには薄い私は、実はプチ老人力を発揮して(^^;)、細部は忘れたりしてまして、ほとんどこの映画として楽しんでしまったかなと。

>>たった2時間の枠で「イスカンダル編」と「さらば」をやってしまおうとしたんですから。せめて前後編の2部構成で分けて公開してくれたら人物描写も少しは描けたんじゃないかと思います。本当に惜しいです。

 これだけヒットしていると、TVドラマ化の話も出て来るかもしれないですね。そうすればしっかりと描けるのでしょうね。

 案外、CGを使うと、人物の艦橋シーンは一度ステージを作れば金がそれほどかからないような気がしますから、ドラマに向いているかも(ギャラクティカとかスタトレを思い出しますが、、、)。

投稿: BP(ベラデンさんへ) | 2010.12.13 22:12

映画公開初日に見に行ってきました。
正直なところ確かに面白かったし、CGも邦画ではトップクラスな水準に達していて良かったです。ただやっぱり原作信者としてはちょっと不満なところもあります。

劇中のBGMが宮川泰さんの音楽とは明らかに違っていてあまり熱く高揚感がわかなかったし、波動砲によって粉砕される敵艦の描写がなかったり、煙突ミサイルや艦首魚雷を発射しなかったりなどアニメ信者にとっては納得いかない箇所がありました。それと何よりもこれがたった一本限りの映画として終わってしまったのが残念です、それにより人物描写が軽薄でイマイチ感情移入できずに終わってしまったのが惜しいところ。無理もありません。たった2時間の枠で「イスカンダル編」と「さらば」をやってしまおうとしたんですから。せめて前後編の2部構成で分けて公開してくれたら人物描写も少しは描けたんじゃないかと思います。本当に惜しいです。でも、邦画で久々にSFを見れたのは素直に嬉しかったので、山崎監督には今後とも和製SFを作っていただきたいです。

投稿: ベラデン | 2010.12.13 14:35

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「SPACE BATTLESHIP ヤマト 」★★★☆ 木村拓哉、黒木メイサ、柳葉敏郎、緒形直人、池内博之、マイコ、 堤真一、高島礼子、橋爪功、西田敏行、山崎努 出演 山崎貴 監督、129分、2010年12月1日公開、2010,日本,東宝 (原作:原題:宇宙戦艦ヤマト)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 初登場首位発進、公開5日間で5億を超え 最終的には50億ラインと大ヒットの幕... [続きを読む]

受信: 2010.12.22 07:47

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