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2011.02.09

■感想 『不思議の国のあぐ作品展VI 』@ 名古屋 ギャラリー「アートグラフ」

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ギャラリーアートグラフ 不思議の国のあぐ作品展Ⅵ
 以前、記事にした『不思議の国のあぐ作品展VI 』に行ってきました。

不思議の国のあぐ 作品展 | Sipka 公式ブログ

"「不思議の国のあぐ作品展 Ⅵ」
12/18(土)〜2/21(月)
※13:00-19:00 (月曜 13:00-17:30)
火,水曜日 休館。
ギャラリー アートグラフ
〒464-0821 名古屋市千種区末盛通4丁目13番地 第二富士ビル2F
tel (052)762-6223"

 場所は地下鉄本山駅から広小路通を西へ150m、大通りに面したビルの2F。ちょっとわかりにくいので、Google Mapに示しますので、チェックして行って下さい。広小路通に面した階段の前に、写真のような看板が立っています。

◆展示作品
 展示/販売は、40数点のオブジェに加えてエッチング8点、そしてコマ撮りのアニメ2作品。
 アニメは、切り絵コマ撮りとマペット他のコマ撮り各10分/本ほどの短編で、ギャラリーの奥を簡易的にカーテンで仕切って、ソファ他、椅子(全8席ほど)に座って60インチほどのスクリーンで観るというDVDによるプロジェクタ上映。
 人がある程度揃うと、随時、画廊のスタッフが声を描けて上映されている。家庭用の椅子に詰めて座るので、なんだかホームシアターでアットホーム。
 DVDは各2500円で販売されているが、僕が行った時は残念ながら売り切れていて入荷待ちだった。

 作品の販売価格は、小さな人形が2万円ほど、凝った物は10-20万円というところである。どれも欲しいのだけれど、研究所の予算は緊縮ゆえ、残念ながら、とても手が出ませんでした。

◆ギャラリーの雰囲気と触覚の発動!
 僕が行ったのは土曜の午後だったが、10畳ほどの横長の店内は僕を入れて7人のお客さんとギャラリーの方(オーナー?)でかなり人口密度が高かった。チェコアート関係と同じく若い女性が多い。今回はギャラリーの方が僕より御年配で会場で浮かなくてすみましたw。
 気さくにギャラリーの方が、各作品を説明して下さり、加えて嬉しいことに作品を手に取って動かしてみて下さい、と言っていただく。
 基本的に造形作品は触ってみて初めて鑑賞できるはず(^^;)と、触覚の芸術家ヤン・シュヴァンクマイエルの教えを受けたw私は、こうして触れる展示は素晴らしいと思う。これであぐさんの作品の触覚は、僕の記憶に蓄積されました(^^;)。これから写真を見たら、触覚の記憶を探ります。

 せめて写真に、と思ったのだけれど確認すると、当然のことながらNGとのことでした。皆さんに写真でお伝えできないのは残念ですが、しっかり記憶に留めました。でもいつか貯金して買いたい!と思わせる強い引力。
 写真は紹介できないので、是非、近郊の方はギャラリーへ。
 遠方の方は、下記の関連リンクに幾つか写真のあるサイトを紹介していますので、そちらで是非に。

◆オブジェ
 先週のアクセサリー・セレクトショップ・sipka-シプカ-の記事で引用させていただいた同店のあぐさん制作によるオブジェを見ていただきたい。
 木彫り独特の削りのテクスチャーと彫金の融合した奥深いイメージの人形たち。
 個展にあったのは、大きくても20cm程度の割と小ぶりの人形たち。
 あるものはパペットとして操り糸に結ばれ、あるものはこれもあぐさん制作という小ぶりの家具に身を横たえている。
 ギャラリーの方が特に薦めていたのは、手に取って人形に備えられた仕掛けを触ってほしい、ということ。
 例えば、狼のパペット。お腹からお婆さんともう一人の食べられた人間がでてくる仕掛け。
 頭の中に小さな鳥が格納されている人形。
 そしていずれも口が動くような設計になっている。
 木の肌合いと、仕掛けの動きの手の触覚で、人形のイマジネーションが広がっていく。
 
 ギャラリーの方によると、今回の第六回目の個展では作品No.10○○で始まるものが昨年の新作で人形12点。
 10年は、木だけから金属や銅箔の材料の使用が増えてきている。そして樹脂の塗装も白から、琺瑯的な肌合いへと移行してきているという。
 たしかに見比べてみると、それによる人形の魅力がより深くなってきているようで、今後も楽しみである。
 
 そして思ったのが、もっと大きな人形を観てみたい、という気持ち。
 あの細工と作り込みで、大きな人形が表現されたら、そうとうなインパクトを持つのではないかとゾクゾクする。

◆短編アニメーション
 切り絵アニメ『秋のサーカス』と人形アニメ『馬鹿なハエが座ってる』はいずれも2010年の作品で、スロバキア語で作られている。聞いてみると、制作は日本だけれど、あぐさんとスロバキア人のスタッフで作られているとのこと。(タイトルは全てスロバキア語で出てくるので、この漢字使用でいいか不明です)

 あぐさんは、ドゥシャン・カーライの弟子としてスロバキアに行かれていたらしいので、その時のつながりで、スロバキアのスタッフと作られたのだろうか。

 『秋のサーカス』は切り絵でサーカスの情景が描かれる。
 女の子の顔のコマが展示されていたのだけれど、イージ・ノルシュテインに近い方法、つまり動きを描いた顔や体のパーツを置き換えながらコマ撮りする手法で撮られているようだ。
 ハリネズミが出てくるのは、まさにノルシュテインへのオマージュだろう。

 次に人形アニメ『馬鹿なハエが座ってる』。
 こちらには待望のあぐさんの人形が出てくる。そしてクマのぬいぐるみや、展示されている浴槽のオブジェ、手袋が登場。
 かなりカラフルな映像に仕上がっている。

 アニメについては、特に前者は習作的だったが、後者についてはやはりあの人形が醸し出すイメージが素晴らしく、今後も奇想な映像を作って我々を楽しませていただきたい。

 人形の素晴らしさは、ずいぶん雰囲気は違うラインだけれど、シュヴァンクマイエルに迫るものがあると思う。本当に今後が楽しみなオブジェ作家/映像作家である。こういう方が、存分に映像を撮れる環境が整うことを祈りたい。

 ということで、皆さん、2/21までですので、近郊の方は御見逃しなく!!

◆関連リンク
:::Artificial Dreamy Eyeballさん::: : **不思議の国のあぐ作品展VI【081130:日】*** こちらに木のオブジェ作品の写真が一点掲載されている。
静かにめるへんさん | ★★★ 最近のフリ−ダムさ〜ん ★★★
 こちら、2009年の記事。作家御本人と、別の作品の写真。
マロニエ葉書 ~galleryshop Yumi:不思議の国
 2009.5/11-5/18に浜松の由美画廊で開催された個展のレポート。クリックすると拡大する作品4点の写真あり。
アート情報/展覧会(東海)/不思議の国のあぐ作品展−朝日マリオン・コム

"スロバキアで約1年半、版画を学び、彫刻、立体工芸、映像も手掛ける。人形とその家を組みあわせた立体や彫刻約40点とエッチング8点。ドローイングをもとにした短編アニメーション=写真=などの上映も。"

・matca * shop-blog | 素敵アートに出会う
 2007年の作品展のレポート。以前は自由に写真を撮らせてもらえたみたいです(^^)。
不思議の国のあぐ作品展 - Google 画像検索

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