■感想 神山健治監督 『攻殻機動隊 S.A.C. SSS 3D』
草薙素子少佐の圧倒的パワーには映画がピッタリ。あまりつぶやかれてないけれど、これ、手描き原画部分も 2D→3D変換した映像なのですね!
荒巻課長と少佐の顔と髪もしっかり立体感を獲得!
『S.A.C. SSS 3D』評判の電脳インターフェース部分も3Dで浮き上がり独特のリアリティを獲得しているけど、実はそれほど多くのシーンがある訳ではない。DVDで観た 時より圧倒的に存在感を増したのは、2D→3D変換され奥行きを獲得したアニメータの絵とCGと音響だろう。
以前にこの映画の元となったオリジナルDVDが出た時に書いた感想に対して、大きく変わったのは、その映像と音響の迫力により、物語の弱いと思っていた部分がほとんど気にならなくなっていたこと。
元の感想のリンクを見てもらうと分かるが、当時、僕は『攻殻機動隊 S.A.C. SSS』を実はあまり評価していない。正直、今回3D化が決まった時に、何故、2nd総集編でなくこちらを! と批判的に思ったのが事実。
しかし今回、改めて観て、その考えは変わった。
むしろ積極的に指示する側へ。緊密な物語は、単発で観るには高密度の『攻殻機動隊 S.A.C.』の本質を伝えているし、その社会的な問題のアプローチも『東のエデン』同様に凄く現在進行形。
また今後の展開を期待させるラストであり、ヒットの暁の続篇製作に向けてはこれがベストな選択と思い直した。
その感想に大きく影響しているのが、映像の3D化だろう。
DVD時点で弱いと思った作画(最初にバトーが素子に会うところと、クライマックス以外)が、今回3D化により存在感が増していて、実はそのマイナス要因があまり感じられなかった。
立体視しながら、片目をつぶり、何度も確認してみたが、あきらかに片目を閉じると、絵の印象が平板になり、その画面の力は減衰すると感じた。
立体化の手間は、どれほどのものか、よくわからないのだけれど、原画力を補う技術であることは間違いないので、これから特に映画で使われるようになるのではないだろうか。
立体視については、手描き部分の2D→3D変換は、先行深夜上映のツイート(参照:Togetter「神山健治監督作品『攻殻機動隊 S.A.C. SSS 3D』 新宿バルト9 超ウィザード級ハックをハックw」)においても読んだ記憶がなかったのと予告篇でもそれらしく見えなかったので、正直、驚きだった。
◆謎について
ラストの謎(以前の感想)について一点だけ。
あの義体が、別に一体セーフハウスにあるのが最大の謎。小説では素子はコシキをクライマックスで初めて知るが、自分のセーフハウスにその姿の義体があるのを不思議に思い出している描写があります。いったい??
義体という高額な物をこれだけ根拠なく所有してるのも変だし、これはもう続篇への伏線としか理解できないww
◆2D→3D変換
セルごとでなく1枚のセルにも奥行きが付けられていた。
これは、ティム・バートン『アリス』で使われたデジタル処理だろうが、今後のアニメでの展開に期待!
これを使えば、過去のアニメ、そして金田伊功も3Dにできる!
◆関連リンク
・ 『攻殻機動隊S. A. C. SOLID STATE SOCIETY 3D OFFICIAL MAKING』
・ 『攻殻機動隊S.A.C. ぴあ』
・ 神山 健治 (著), 春日 康徳 (著) 『攻殻機動隊S.A.C. SOLID STATE SOCIETY』
・『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society O.S.T』
当Blog過去記事
・神山健治監督 『攻殻機動隊 S.A.C. SSS』真犯人の謎解き STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
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コメント
ZERO_tortoiseさん、コメント感謝です!
どこかで既に金田伊功作品の3D化が進められていたら嬉しいのですが(^^)。
投稿: BP(ZERO_tortoiseさんへ) | 2011.04.05 00:46
手書き部分の3Dは切り絵にはなっていなくて絶妙でしたね。確かに、あれを応用した金田パースは是非観たい!
投稿: ZERO_tortoise | 2011.03.29 10:18