■大森寿美男脚本 梛川善郎演出 岡本太郎生誕100年企画『TAROの塔』 & 生誕100年 岡本太郎展
TAROの塔 | NHK 土曜ドラマ
TAROの塔 - Wikipedia
"テーマ曲『水に流して Non, je ne regrette rien.』(作詞:ミッシェル・ヴォケール、作曲:シャルル・デュモン、訳詞:橋本千恵子、歌唱:美輪明宏)"
岡本太郎のアヴァンギャルドが素晴らしい。
もちろん現実の岡本氏の深さが物語に出ている訳だけれど、これを映像化した大森寿美男氏の脚本、梛川善郎氏の演出の成果だろう。
いくつかハッとするようないい映像があった。TVドラマというよりかなり映画的な仕上がりでワクワクした。ハイビジョン映像の進化もあるのだが、最近のNHKのドラマの映像の質はなかなか凄いと思う。
特に第一話、顔に赤い絵の具を塗って、髪振り乱して幼児に芸術を説く寺島しのぶ演じる岡本かの子が鬼気迫る。
そして、高澤父母道氏が演じる少年岡本太郎。この抑えた演技がいい。
"お父さん、芸術家ってなあに?
生きて地獄を見る人のことだ。世間の常識や固定観念に「ノン」と挑みかかる人のことだ"
こうしたセリフで、芸術家一家に生まれた宿命の残酷さ/幸福を描きつつ、クライマックスでの、母と歩く、河原での夕日に向かった「ノン!」のシーン。ここが最高。
そして生立ちと並行して描かれる、松尾スズキ氏演じる壮年岡本太郎と万博協会の太陽の塔の物語。
"ベラボーだ、これで万博と戦ってやる!"
自ら危険な道を選ぶ、として小松左京らが止める中、テーマプロデューサになった岡本の着想で突っ走る芸術家としての姿勢にワクワクする。
ラスト、『水に流して Non, je ne regrette rien.』という美輪明宏の歌の凄みとタイトルバック(太陽の塔)の映像のマッチングが最高!
第二話は、一話ほどエキサイティングではなかったが、ジョルジュ・バタイユの秘密結社とか、際物的ネタが美味しかった(^^;)。
あと二回を残すのみだが、僕らが憧れた70年代万博の影で繰り広げられた芸術の精神的闘争を見守りたい。
冒頭に引用したのは、その岡本太郎の<ノン>という彫像作品。
うしろにリンクした岡本太郎展で展示され、そのフィギュアも売られるらしいが、これは是非ほしい。
◆関連リンク
・TAROの塔 | スペシャル 動画
・展覧会概要|生誕100年 岡本太郎展
・みどころ|生誕100年 岡本太郎展
" 生前の彼が、さまざまな既成の価値観に鋭く「否」を突きつけ、ときには煙たがられたり、冷笑されたりしたことは、忘れられつつあるように見受けられます。彼を再評価する には、単に受け身の姿勢でその元気をもらうばかりではなく、彼の発した批判の矢を、私たち自身にも向けられたものとして正面から受け止めることが必要では ないでしょうか。 岡本太郎の人生はまさに「対決」の連続でした。
このたびの展覧会は、この「対決」をキーワードに、岡本太郎が立ち向かった相手を、「きれい」という概念、 「わび・さび」に代表される日本の伝統観、戦争や核の脅威など7つの章に分け、苦闘の中から生み出された絵画・彫刻・写真・デザインなど約130点の作品 を紹介します。そして、今日に生きる私たちが、彼の「対決」から何を学びとれるかを探ります"
・岡本太郎生誕100年記念事業公式サイト
・岡本太郎 - Wikipedia
"塔の目の部分をヘルメット姿の男が占拠し、万博中止を訴えたアイジャック事件の際にはその犯人の行動にたいして怒りもせずに狂喜して「イカス!」とカメラで自らその姿を撮影し、居合わせたマスコミに対して「イカスねぇ。ダンスでも踊ったらよかろうに。自分の作品がこういう形で汚されてもかまわない。聖なるも のは、常に汚されるという前提をもっているからね」と語り喜んだという"
wiki前半、かなり今回のドラマのエピソードに沿った生涯が書かれている。こんなシーンもあと2話で観れるのでしょうか。
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コメント
ミのつく職人さん、こんばんは。
実は3話以降をまだ観てないのです(^^;;)。
最後まで充実してたみたいで、録画を観るのが楽しみです!
でも週末まで、お預けだぁー!!
投稿: BP(ミのつく職人さんへ) | 2011.04.05 00:48
NHKドラマ「TRAROの塔」最終話まで見ました。
わたしがガキのころには変なおじさんとしか思っていなかった太郎の芸術家ぶりを再認識しました。一昨年に太陽の塔を見にいってよかった。いまでは太郎と同時代を生きられたことの喜びを感じます。最後のシーン、敏子が記念館でインタビューに答えていたシーンは日曜美術館でリアルタイムに見ていたのを思い出しました。
丹下健三が寄せていた太郎への信頼感、岡本敏子の視点がとても新鮮でした。演出かもしれませんが。太陽の塔と呼んだのは小松左京だったというお約束は語らないでおきましょう。その前に太郎の原典を読まなければ。そういう気にさせられます。
投稿: ミのつく職人 | 2011.04.03 00:54