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2011年7月

2011.07.29

■BIOMECANICA——河口洋一郎の異形博物誌 東京大学総合研究博物館

Biomecanica

BIOMECANICA——河口洋一郎の異形博物誌 東京大学総合研究博物館

" 河口氏は1970 年代よりコンピュータ・グラフィックス(CG) の分野において世界的に高い評価を得、現在も旺盛な創造力で芸術家・研究者として活動を続けています。…昨今ではCG で作ったイメージを基に、意欲的に立体造形の制作も行っています。
 河口氏が生み出す芸術生命体の形態や色彩には「花鳥風月」と「傾奇(かぶき)」の2つの要素が含まれています。
 「花鳥風月」は自然現象を感じる心であり、作品には日本古来の繊細さと深海や宇宙をも対象にする奇抜さが共存しています。
 「傾奇」は豪華絢爛で生命力豊かな風情であり、色鮮やかな草花や熱帯の魚類などに多様なイメージの広がりを見せています。
 今回展示する立体造形は、河口氏が巻貝、クラゲ、魚、蝶といった海や陸の生物から発想を得て制作された独自の作品群です。その驚異の容貌の数々は、小石川分館に新たな異形博物誌をもたらします。

開催場所:東京大学総合研究博物館小石川分館
東京都文京区白山3−7−1
交通アクセス:地下鉄丸の内線「茗荷谷」駅より徒歩8分
開催期間:7月22日(金)—9月25日(日)
休 館 日:月曜・火曜・水曜(ただし祝日の場合は開館)
8月11日(木)—14日(日)(夏季休館)
開館時間:木曜・土曜・日曜:10時〜16時30分(入館は16時まで)
               金曜:10時〜19時(入館は18時30分まで)"

「BIOMECANICA——河口洋一郎の異形博物誌」展によせて 河口洋一郎の言葉

"地球上の生物は、邪悪なるものが出てくると、それに対抗してさらに進化をしてきた。その結果、今では毒々しいまでの形や色の進化を遂げている。僕の異形なる 芸術生命体は、その毒をも喰らう生々しいまでの強い生命力を表現している。生き残り戦略としての強さだ。
 今回展示する立体造形は、巻貝、クラゲ、魚、蝶といった海や陸の生物から発想を得て作った。ビオメカニズムの一番の特徴はサバイバルすることだ。異形な る容貌は、未知の地での探索に適したように設計してある。狩猟採集能力を持ち、感覚受容器を高性能化したうえに、運動能力を高めた。
 例えば、多重構造にしたのは、故障や防御に対応するように安全性を高めたためだ。高圧の深海でも耐えられる。また、本来の生物としての機能にさらに付加して、見知らぬ極限環境でのサバイバルに対応できるようにした。例えば、蝶は本来飛翔型だが歩行もできる構造に、魚は本来遊泳型だが水中歩行や空中遊泳も できる構造にした。
 僕はこれらの立体造形をロボットにして、時間と空間を乗り越え、深海や宇宙へ連れて行きたい。惑星や銀河、ザ・ユニバースの盛衰、ダークマターも含めて、一緒にサバイバルをしていくのだ。

 日本のアート系CGの草分け的存在の河口洋一郎氏が、その奇妙な形態群を、現実の空間に持ち出した! 電脳空間上のヴァンダーカマー:脅威の部屋の現実化。

 特に以前の河口氏のCGデザインに比べて、柔軟性と色彩の自由度が上がり、カラフルな奇想が前面に飛び出て来ているのが素晴らしい。作品は下記関連リンクの作品鑑賞用のところを是非観ていただきたい。

 河口洋一郎氏の創り出したシュールな使徒がいっぱい(^^)なのである。
 特に、クラインの壷的な空間を捩じ曲げているような立体造形は、人間の手で創り出す彫刻では絶対に無理。CGと光造形だけが生み出す、どこにもない立体造形物が素晴らしい。

◆関連リンク
作品鑑賞用
河口洋一郎-YOICHIRO KAWAGUCHI-Gallery
河口洋一郎 - Google イメージ検索

その他
東京大学総合研究博物館 小石川分室 脅威の部屋 展
冨田勲 惑星(プラネッツ) ULTIMATE EDITION日本コロムビア |

"ジャケットデザインは、CGによる創造的アートの草分けで現在もその最先端にいる、河口 洋一郎氏(東京大学大学院教授)の「宇宙探査機多重構造魚」"

冨田勲, ホルスト『惑星(プラネッツ) Ultimate Edition』
東大・河口洋一郎研「表現科学 知のサバイバル」展が開催中〜将来のロボットは奇妙な生物型? (2009/01/27 Robot Watch 森山和道氏)

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2011.07.28

■デイヴィッド・リンチ最新PV David Lynch × Interpol "I Touch A Red Button Man"

David Lynch × Interpol – I Touch A Red Button Man - : apartment経由

"なんとも豪華なコラボ作品が登場!あのDavid LynchとあのInterpolの夢のコラボ!!
このShort Movieは David Lynchが「I Touch A Red Button Man」というタイトルで発表したアニメーション作品で、楽曲は
2010年9月にリリースされたアルバム「Interpol」に収録のInterpolらしいギターのリフが特徴的な「Light」!! "

 デイヴィッド・リンチによる新作PV。曲は、Interpol "Light"。
 まさしくリンチ独特のあのペインティングが、アニメーションとして動いている!
 禍々しい"赤いボタンを押す男"を御覧あれ。
 映像は実は後半繰り返しで少し単調に感じられるのが、残念w。

David Lynch Music Company: Blues Music Teaser from David Lynch MC on Vimeo

"A taste of music to come on the new davidlynch.com. David Lynch Music Company will feature blues music along with a host of other music experiments from a variety of genres."

 そしてもう一本。
 こちらは現在、David Lynch Music Companyの公式サイトとなっているDavidLynch.com に掲載されている動画。

Blues_teaser

 リンチのAsymmetrical Studioでの録音風景が記録されている。
 リンチの音楽演奏シーンを観られるのも貴重であるが、右の写真のように音作りの現場も映像として、手が加えられて「絵」になっているので、痺れます!

◆関連リンク
当Blog記事 デイヴィッド・リンチ関連

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2011.07.27

■新刊メモ トーキングヘッズ叢書 TH No.47「人間モドキ〜半分人間の解剖学」ヤン・シュヴァンクマイエル

Th_47

TH No.47「人間モドキ〜半分人間の解剖学」 | アトリエサード publication

"半分だけ動物、半分だけ機械…… 古来より人は、さまざまなキメラを夢想してきた。 人は不完全な存在だ。キメラになることによって、 欠落した部分を補おうとしているのか——。

■主な内容
ヤン・シュヴァンクマイエル×上原木呂
ヤン・シュヴァンクマイエル インタビュー〜シュルレアリスムとエロティシズム●取材・文=志賀信夫"

 トーキングヘッズ叢書とシュヴァンクマイエルの関係はおそらく近いところにあるように感じられるが、実は今まで特集的なことは組まれていない(と僕は記憶していますが、ゴスロリ系/耽美系(と言っていいのでしょうか)になってから、随分と購入していないので、間違っていたらすみません、ご指摘下さい)。

 そして今回2011年初の来日に合わせて実施されたインタビューを中心にしたミニ特集、キメラの視点での解剖がとても楽しみです。

◆関連リンク
上原木呂 | koten-navi.com

"1948 新潟生まれ 東京芸大・芸術学科と美学校細密画工房に学ぶ若くして滝口修造と出会い、シュルレアリスムの洗礼を受ける。"

Photo_3ヤン・シュヴァンクマイエル、マックス・エルンスト、上原木呂 展 魔術★錬金術

"シュルレアリストたちが競う魔術的芸術 チェコの鬼才ヤン・シュヴァンクマイエル、ドイツの巨匠マックス・エルンスト、孤高の異才上原木呂。 シュルレアリストたちが競う魔術的芸術、約400点にのぼる作品が9月に集結します。
The Artcomplex Center of Tokyo(アートコンプレックス・センター)
〒160-0015 東京都新宿区大京町12-9
TEL/FAX.03-3341-3253
会 期 2011年9月1日(木)~9月30日(金)"

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2011.07.26

■暗黒映画評論家・滝本誠プレゼンツ「ミステリー&サスペンス映画祭」開催決定@ヒューマントラストシネマ渋谷 『キラー・インサイド・ミー』DVD発売記念

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映画「キラー・インサイド・ミー」オフィシャルサイト-NEWS-
8/20(土)~暗黒映画評論家・滝本誠プレゼンツ
「ミステリー&サスペンス映画祭」開催決定

"衝撃的ヒューマン・ノワール映画 『キラー・インサイド・ミー』のBlu-ray&DVD発売(2011年9/2(金))を記念して、映画史に残るミステリー&サスペンス映画を、暗黒映画評論家・滝本誠が厳選に厳選を重ねて7本チョイスし、毎日日替わりで上映する「ミステリー&サスペンス映画祭@ヒューマントラストシネマ渋谷」を開催することなりました。
期間:8/20(土)~9/2(金)
レイトショー 料金:1,000円均一

<上映作品&スケジュール>※予定
8.20(土) / 9.2(金) 『キラー・インサイド・ミー』(監督:マイケル・ウィンターボトム)
 ※8.20(土) 漆黒のトークショー映画評論家・中原昌也×評論家・滝本誠
 ※9. 2(金) 深淵のトークショー映画評論家・柳下毅一郎×評論家・滝本誠
8.21(日) / 8.27(土) 『殺られる』(監督:エドゥアール・モリナロ)
 ※8.27(土) 狂気のトークショーアートディレクター・高橋ヨシキ×評論家・滝本誠
8.22(月) / 8.29(月) 『シン・シティ』(監督:ロバート・ロドリゲス)
 ※8.22(月) / 8.29(月) ジェシカ・アルバ出演作予告編大会
8.23(火) / 8.31(水) 『ブラック・ダリア』(監督:ブライアン・デ・パルマ)
 ※8.31(水) 黒花のトークショー映画ライター・よしひろまさみち×日活/したまちコメディ映画祭 ディレクター・大場渉太
8.24(水) / 8.28(日) 『イースタン・プロミス』(監督:デヴィッド・クローネンバーグ)
 ※8.24(水) 骨肉のトークショー映画評論家・塩田時敏×東北芸術工科大学大学院客員教授・小松沢陽一
8.25(木) / 9.1(木) 『冷血』(監督:リチャード・ブルックス)
 ※9.1(木) 非情のトークショー映画監督・青山真治×翻訳家・佐々田雅子×評論家・滝本誠
8.26(金) / 8.30(火) 『マルホランド・ドライブ』(監督:デヴィッド・リンチ)
 ※8.26(金) 虚構のトークショー映画評論家・川勝正幸×評論家・滝本誠"

 ノワール映画を一堂に集めた上映企画のみならず、トークショーの企画が素晴らしいラインナップ!
 特に僕が観たいのは、8/26の『マルホランド・ドライブ』とその虚構のトークショー。川勝正幸×滝本誠で『マルホランド・ドライブ』のトーク!
 これは、まさに今だ刊行されぬ滝本師のマルホ論ライブ版になっているはずで激しく行きたい(^^;)。
 そしてこの企画についてtwitterでつぶやいたところ、滝本誠さんから貴重なメッセージをいただいたので、御紹介する。

Twitter / noirtaki 滝本誠

@butfilp 是非ヒューマントラスト渋谷のレイトショーお越し下さい。何十年にわたる支援を忘れたことはないです。すごく励みに感じております。来年秋にマルホランドドライブを数回踏破の上、書くつもりです。

 滝本さんの著作『映画の乳首、絵画の腓』に衝撃を受け新たな映画回路を脳内に構築された者として、これはなんともありがたい御言葉。
 という個人的な感慨はともかく、滝本さんが『マルホランド・ドライブ』論を来年秋目指して書かれるというのは、全国の滝本ファンにとって大きな喜びです。

 『マルホランド・ドライブ』論については、町山智浩氏のアメリカ映画特電100回記念スペシャル「インランド・エンパイア」がわかるポッドキャスト!の中で語られている評論が最も日本で先鋭なものだろう。
 映画史としての位置づけと謎解きが語られている。
 でも語られていないのが、物語の謎だけでなく『マルホランド・ドライブ』で特に重要と考えられる映像と音によるアートとしての、映画のたぶん極北を目指している部分についての批評はほとんどされていない、ということである。

 そしてここがまさに滝本氏の得意とされている領域。なので今回の来年の秋出版宣言が出たのは、とても楽しみなのである。そしてたぶんその前哨戦となる今回のトークショー、これはリンチファン、滝本ファンとして大いに注目である。

◆関連リンク
マルホランド・ドライブ デイヴィッド・リンチインタビュー: そう。ハリウッドでは何でも起こり得るのさ!(インタビュアー:町山智浩)
滝本誠『映画の乳首、絵画の腓』書評 荒俣宏 (Clover books : Taqui-yan's Room)

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2011.07.25

■ついに『怪談』の画像が登場! シュヴァンクマイエル夫妻の大型企画展@ラフォーレミュージアム原宿

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ラフォーレミュージアム原宿 イベント情報|ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展~映画とその周辺

"再びチェコの第三世代のシュルレアリスト、シュヴァンクマイエル夫妻の大型企画展が再びラフォーレミュージアム原宿にて開催される運びとなりました。 本展では、さまざまな素材を使ったオブジェ、絵画、版画、ドローイング、コラージュなど、200点以上の作品を展示。いかにもシュヴァンクマイエル夫妻ら しい、多岐にわたる作品群を一堂に公開します(そのほとんどが日本初公開)…
ヤン・シュヴァンクマイエルが下絵を描き、茨城と京都の彫り師と摺り師が江戸時代から 伝わる伝統的な技法で制作した木版画(下絵や、木版画の制作過程を理解してもらうための版木と順序摺りもあわせて展示)、ラフカディオ・ハーン著『怪談』 のための挿絵など、日本のために制作した新作も世界に先駆けて公開します。
期間 2011年8月20日(土)~9月19日(月)
時間 11:00~20:00(最終日~18:00)"

 既報もしていますが、ラフカディオ・ハーン著『怪談』 のための挿絵がサイトに登場したので、再度御紹介します。
 日本の伝統的シュルレアリスム(^^;)である「妖怪」に浮世絵で挑んだシュヴァンクマイエルが、もうひとつの「怪談」に対してとった手法は、コラージュ。
 東欧の古いモノクロ写真に、たぶんシュヴァンクマイエルの手になる幽霊が組み合わされて、異様な世界が形作られている。チェコに次元の裂け目から江戸が漏れだしたような、何とも言えない独特のイメージが構築されており、しばらく見つめ続けてしまう魅力がある。

 全篇も既に7/21に国書刊行会から発行されているようなので、手に取るのを楽しみにしたい。

◆関連リンク
チェコの第三世代のシュルレアリスト、シュヴァンクマイエル夫妻の大型企画展、再びラフォーレミュージアム原宿にて開催決定!|最新ニュース|株式会社ラップネット

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)著, ヤン・シュヴァンクマイエル画『怪談』

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2011.07.22

■Pappa TARAHUMARA:パパタラフマラ 舞台美術展 / ヤノベケンジ氏×小池博史対談


YouTube - ‪パパタラフマラ ガリバー&スイフト‬‏
 TheTorayanのチャンネルで紹介されたヤノベケンジとULTRA FACTORYが美術を担当した劇団パパタラフマラ『ガリバー&スイフト』の紹介映像。特にヤノベ渾身の舞台装置、解体娼婦のシーンが白眉。1:42〜を御覧下さい。

三人姉妹公演 / 舞台美術展 / ヤノベケンジ氏×小池博史対談決まりました。(Pappa TARAHUMARA News Blog)

"「演出家 小池博史 & 現代アート作家 ヤノベケンジ トークイベント」
7月30日(土) 15:30~
会場 流山市生涯学習センターギャラリー 参加無料・予約不要

「パパ・タラフマラ ファイナル美術館」
青、SHIP IN A VIEW、WD、Birds on Board、Heart of GOLD〜百年の孤独〜、シンデレラ、ガリバー&スウィフト、白雪姫、パンクドンキホーテなどの公演で使用されたものが展示されます
7月30日(土)〜8月10日(水)10:00~18:00
※初日は15:30~
会場 流山市生涯学習センター 第一・第二ギャラリー"

 そして解散が決まったパパタマフマラの展示会が開催される。
 そこにはガリバー&スウィフトの舞台装置も展示されるようなので、ヤノベファンは必見かもしれない(詳細情報は御問い合わせ下さい)。

 また今後パパタマフマラの各舞台がDVD化されるとのことで、『ガリバー&スウィフト』についても期待したい。

◆関連リンク
当Blog記事
パパ・タラフマラ+ヤノベケンジ 「ガリバー&スウィフト 作家ジョナサン・スウィフトの猫・料理法」: ★究極映像研究所★
 僕が撮った舞台のリハーサルでの"解体娼婦"の解体シーン画像とリポート。
『ULTRA FACTORY ウルトラファクトリー展』探訪記・3 パパ・タラフマラ「ガリバー&スウィフト」 ヤノベケンジの舞台装置と劇団リハーサル

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2011.07.21

‪■Frank Pavich監督『アレハンドロ・ホドロフスキーのデューン:Jodorowsky's Dune』予告篇

YouTube - ‪Jodorowsky's Dune Trailer
(Twitter / @postermantoru 徹さん @noirtaki 滝本誠さん経由)

"カンヌのドキュメンタリー「ホドロフスキーのデューン」、おれが配給権買うしかないのかW 誰か観たかな?"

News: CANNES 2011: Exclusive JODOROWSKY'S DUNE Promo Video

"It was just yesterday that we brought you news that Jodorowsky's Dune, the documentary about the legendary making-of a movie that never happened, was currently filming around the globe right now."

 メビウス、クリス・フォス、ギーガー他がプリプロダクションに参加していた、あの幻のホドロフスキーの『デューン』に関するドキュメンタリー映画が撮られ、今年のカンヌで紹介されたという。
 そして冒頭の映像は、その予告篇。
 幻のSF映画として、伝説的に語られているこの作品の一端がここに。

YouTube - ‪Jodorowsky on Dune (1975)‬‏
 さらに1975年のこちらのインタビュー映像には、メビウス、クリス・フォス他のデザイン画等が紹介されている。

◆関連リンク
Jodorowsky's Dune (2012) - IMDb
Jodorowsky's Dune - Unseen Dune(duneinfo.com) Google 翻訳
Alejandro Jodorowsky - Wikipedia
YouTube - ‪Dan O'Bannon on Jodorowsky's Dune‬‏
‪David Lynch Interview from 1985 on Dune‬‏ - YouTube 

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2011.07.20

■感想 『加藤泉作品集 絵と彫刻』

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 上の画像 加藤泉「SOUL UNION」展 2010.4/23-5/22 ARATANIURANOプレスリリースより 本作品集収録作品

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『加藤泉作品集 絵と彫刻』
青幻舎 SEIGENSHA Art Publishing, Inc.

"初期から現在までの代表作を網羅、
油彩画と木彫作品をそれぞれ分冊にして収録した初の作品集です。
インタビュー:加藤泉×青野和子(原美術館主任学芸員)
◆判型・仕様:B5判 2分冊(油彩120頁、彫刻64頁)◆函入り"

 待望の『加藤泉作品集 絵と彫刻』を堪能。
 ネガポジ変換のような黒い透明感のある不思議な形象の絵画と、荒削りの木材のテクスチャーに大胆な色彩が載せられた土俗的な造形物。背中がぞわぞわとする原初的な奥深い所からのざわめきが沸き起こる作品群に奮える。

Img_3384

 僕が好きな作品について簡単にコメントを書いてみる。まずは絵画から。

 P51「無題」赤い顔、黒い体の人と後ろに二人の青い人。赤と青ののコントラストと黒い体の透明感が素晴らしい作品。
 P52 「無題」これも三人の人、黒と深い緑の三人の人と赤い背景。うつろな眼が眺めているのは何なのか。
 P77 「無題」右上の画集写真の左側の白い顔の人の画。青い長い髪(?)と色とりどりの砕石のような眼と黒い玉蜀黍のような歯、不安をかき立てる背景の縦縞。
 P91 「無題」冒頭に引用したプレスリリース左の絵。レントゲン写真のような体と、蛸の吸盤のような背景に続く脚。SF脳の僕には、異界の生物としか見えない、強烈にイマジネーションを喚起する絵である。

 続いて彫刻作品。
 P8-9「無題」壁に向かって立つ不安の立像。僕が初めて加藤泉の作品を知った時、ネットで観てインパクトを受けた造形。
 P20-21「人へ」展示風景、6体の人形が正面を向いて狭い部屋に並んでいる、この圧倒的な土俗的圧力。
 P26-27「無題」「「アートスコープ2007/2008」ー存在を見つめて」展風景、茶系の3体と原美術館の窓の外の緑がまぶしく眼に染みる作品。
 P36 右上の画集写真の右側、赤い顔と石を埋め込んだ飛び出た眼。木の荒いテクスチャに大胆に塗った赤が鮮烈に訴えてくる。

 いずれも冒頭に書いたように、体の内奥にぞわぞわする感覚を呼び起こす。
 これが何によるものか、僕の中ではまだ整理が出来ていない。何にしても、まだ作品の実物を一度しか観ていないわけで(^^;)、きっちりと美術展を観てから、今後ちゃんと分析してみたいと思う。
 今日のところはこんな感想で幕を閉じますw。

◆関連リンクPhoto
・特装版 加藤泉作品集 絵と彫刻 限定120部 エディション付


当Blog記事
豊田市美術館 内なる子供
加藤泉「人へ」 : KATO Izumi - Dear Human(ARATANIURANO(アラタニウラノ)こけら落とし)

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2011.07.19

■新刊メモ 『加藤泉作品集 絵と彫刻』と出版記念展

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『加藤泉作品集 絵と彫刻』
青幻舎 SEIGENSHA Art Publishing, Inc.

"近年、とみに注目されるアーティスト、加藤泉。
2007年のベネチア・ビエンナーレ国際企画展に招待作家として参加するなど、国内外において精力的な活動を続け、ひときわ光彩を放っています。
本書では、初期から現在までの代表作を網羅、
油彩画と木彫作品をそれぞれ分冊にして収録した初の作品集です。

インタビュー:加藤泉×青野和子(原美術館主任学芸員)
アートディレクション:重実生哉
◆判型・仕様:B5判 2分冊(油彩120頁、彫刻64頁)◆函入り
◆定価:3,990円(本体3,800円+消費税)"

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特装版 加藤泉作品集 絵と彫刻 限定120部 エディション付

"作品集の刊行を記念して、「ソフビ製彫刻作品」付・特装版(限定)を発売します。
フィギュアの制作チーム「リンデン」と作家とのコラボレーションによって生まれた世界にひとつしか存在しないソフトビニール製人形。作家の一部手彩色による加藤泉の魅力が詰まったオリジナル作品です。
ソフトビニール製彫刻作品(リンデン製)
H 195mm × D 105mm × W 95mm / 台座直径:75mm
作家により1点1点彩色されたオリジナル作品です。
定価 52,500円(本体+税)"

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加藤 泉『はるかなる視線』 展
画家、加藤 泉の不思議な世界がアートスペースSixに出現

"7月9日(土)~ 9月11日(日) @アートスペース Six
大阪府大阪市中央区南船場3-12-22 心斎橋フジビル 2F
tel.06-6258-3315 開館12:00~19:00
月休(月曜が祝日の場合は営業)
今回の展示では、原初の生命体にも、魂がそのまま人の形となったようにも見える、多種多様なプリミティブな人らしき姿を絵画と彫刻で堪能できる。 その強烈な色彩、異形の造形は観る者を圧倒し、思考することを喚起させ、心に何かを残させるはずだ。時空を越えた摩訶不思議な加藤泉ワールドに足を入れてみてはいかがだろうか"

 昨年の箱根での大規模な展示 加藤泉展 「日々に問う」@箱根彫刻の森美術館に行けなかったので、初期から現在までの代表作を掲載したこの作品集は待望である。

 さっそく入手したので、続けて、明日の記事で感想をアップします。
 ということで今日は、関連情報の整理だけで御勘弁を(^^;)。

◆関連リンク

Photo_2linden | 《特装版》加藤泉『絵と彫刻』+ソフトビニール製彫刻作品
 linden | 〈特装版〉加藤泉ソフトビニール製彫刻作品
 linden | 加藤泉『絵と彫刻』 −作品集出版記念展−NADiff a/p/a/r/t
 特装版のソフビを制作したリンデンのBlog記事。
 最後のリンクが制作風景を写していて興味深い。

ViewimagephpIzumi Kato Soft Vinyl Doll in Exclusive Colors for the Hara Museum (Hara Museum Online Shop)
 右の人形が原美術館オンラインショップで通販されている
リトルボーイ展レポート 戦後日本の鍵はなんと「おたく」にある? | 活動レポート | カイカイキキ : アート作品制作・マネジメント : Kaikai Kiki Co., Ltd...

"二つのギャラリーを順に進むと、加藤泉、岡本太郎、川島秀明、ヤノベ・ケンジ、坂知夏、そして奈良美智などの日本現代アーティストの概観に酔いしれることのできる空間でした"

加藤泉の作品集出版記念展「絵と彫刻」、新富町ARATANIURAにて開催中、7月16日まで! | white-screen.jp ブレスリリース

"会期:2011年6月11日(火)– 7月16日(土)
時間:11:00 – 19:00 休廊日:日・月曜日、祝祭日
会場:ARATANIURA(アラタニウラノ)
〒104-0041 東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A"

NADiff Gallery 加藤泉『絵と彫刻』−作品集出版記念展−

"2011年6月3日[金]−7月3日[日]"

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2011.07.18

■感想 サミュエル.R.ディレイニー『ダールグレン:Dhalgren』

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サミュエル・R・ディレイニー『ダールグレン (1) (2)』
 国書刊行会−−これから出る本

"サミュエル・R・ディレイニー 大久保譲訳
「20世紀SFの金字塔」「SF界の『重力の虹』」と賞される伝説的・神話的作品がついに登場! 異形の集団が跋扈する迷宮都市ベローナを彷徨し続ける孤独な芸術家キッド──性と暴力の魅惑を華麗に謳い上げた最高傑作"

 読後、さぼって間があいてしまったのだけど『ダールグレン:Dhalgren』の感想をまとめておく。

◆総論 (青字:ポジティブな評価 赤字:ネガティブな評価 を示すw)
 満を持して(待ちすぎてw)出版された、SF翻訳史上ひとつの事件と言ってもいい本書の刊行。サミュエル.R.ディレイニーの諸作を読んで、その華麗な文体と鋭利なイメージ喚起に痺れていたので、長大な本作の全体がめくるめく作品となっていることを期待していた。
 読み通すのにかなりの困難さを伴う、という噂もあっ330266478たので週末集中して一気に読む作戦で、究極映像犬といっしょに、謎の都市ベローナへと赴いた。

 しかし何のことはない、華麗で緊密な(?)文章は冒頭と最終章くらいのもので、どちらかというとディレイニーにしては緊張感のない隙のある文章がだらだらと続き、読むのに苦労するのは寝転んで本の重みに疲れが溜る腕くらいのものだった。まずは構えて読まなくても大丈夫ですよ、ということを皆さんに伝えたい(^^;)。

 で、そんな前置きはいいから、早く総論をということでまとめから。

 ところどころに華麗なイメージと、メタフィクション的な複雑に仕組まれた謎(らしきもの)があり、そういった部分には満足できる。

 のだけど、長々と語られるヒッピー文化/コミューン/不良描写については、ディレイニーの自伝的な部分なんだろうけれど、この2011年に読むと刺激は弱く、古い感覚の小説ではないか、というのが正直な読後感(この年代に書かれた小説なので、時代性を切り取る部分が感覚的に古いのはしょうがないのかもしれない)。

 こうした部分を半分くらいに刈り込んで、もっと鋭敏な異民族/性差描写を極めてくれていたら、手放しの傑作になったかもしれない。当時は衝撃的だったかもしれないが(実はそうでもなかったのかもしれないw)、少なくとも現在、読むとそれほどそうした部分ではエッジの効いた小説ではないと思う。

 ひとつ具体例を書くと、ディレイニーというと必ず想起するキーワード「ゲイ」の描写について。(僕は世のそうした文学や芸術作品にほとんど触れたことがなく、かなりの門外漢なので、もしかしたらとてもいいかげんなことをこれから記述するかもしれないがw)、なんとも描写が生温い(^^;)のだ。

 主人公がゲイとなる描写が、何の精神的な深みもなく、ただ単に同衾していてなりゆきでしちゃいました、って描写になっている(最初の2箇所とも)。
 ま、まさに日常の延長に横たわっているんだよ、と言いたいのかもしれないけれど、そんなものを僕はSFで読みたいわけではないw。

 超えるべきハードルがどんなもので、それが人類にとってどういう意味を持つのか、なーんていうパースペクティブが開けるような、眼の覚める思索をディレイニーに期待する僕は間違っていたのでしょうか(^^;)。

 と、一例を挙げたが、その他、無頼派的な描写もかなり出てくるのだけれど、現代のノワールを鑑賞してしまった僕らには、生温〜い感じがして仕方なかった、というのが総論。

 謎の都市ベローナの何やら不穏な空気感だとか、天体にかかわる描写とか(ネタばれ避け中w)、詩作とメタフィクション的な仕掛けとか、もちろんかなり面白い小説であることは認めた上で、欲張ると上述したような不満が出てくる。
 うん十年待った、あのディレイニーの大作に、こういう期待をするのは決して間違っていないと思うんだけどな〜w。期待をしなきゃ、逆に失礼でしょ…。

 というわけで、本書の僕の読書体験としての評価は、青字赤字の幅の中にある。読書においては青字部分でそれなりにワクワクし満足。でもかなり赤字部分に振った読後感でトータルとしては不満が勝ったということになる。繰り返すけれど、青字は素敵ですよ(^^;)。

◆総論 補足
 僕の正直な読後の感想は上述の通りなのだけれど、実はこう言い切ってしまうのにいささか躊躇していた。
 というのはバラまかれた謎が僕には解けなかったから。
 ベローナという謎の災厄に巻込まれた都市の謎、天体の異常……、それらに一気通貫して縦糸になるはずのメタフィクションの仕掛け

 充分に読み込んで、海外の研究成果等もネットで検索して、その謎が本当に解明した時、本書は僕の読後感と全く違った様相をそこに表すんじゃなかろうか、という期待/不安がモヤモヤと胸に渦巻いて、しばらく読み終わって100箇所くらいのドッグイヤーに従ってページをめくりながら考えていたのだけれど、僕のぼんくら頭にはその答えはついに今のところ到来していない(^^;)。

 というわけで、未だにtwitterやウェブにて「ダールグレン」のキーワードで日々、いろんな方の感想に眼を通しているのだけれど、大絶賛している人の感想を、もしかしてこの人は謎を解けているんじゃないか、と読んでも今ひとつピンとこない。
 そのあげくあの山形浩生氏が『ダールグレン』酷評を公開され、そしてあろうことか『ダールグレン』絶賛派(と勝手に思っていた)柳下毅一郎氏までもが、それに賛同するつぶやきをされるに至り、解明のモチベーションが一気にトーンダウンw

 ということで、謎解明を楽しむのが本書最大の読書の快感ではないか、と思っていたのだけれど、どうやらそれも凄まじい物ではないらしい、と感じてきて、ここに上述の総論となったわけです。

 まだ実は本書のウィリアム・ギブスン序文と巽孝之氏解説を封印してて読んでいないので、めくるめく謎解きに期待して今から読んでみることにします。

◆各論 というほど大げさではなくメモ・ランダム(^^)

329392874・僕の書棚から、眼についた大作本を比較のために並べてみた。
 聖家族 738頁、青銅の悲劇 772頁、ザ・スタンド 1444 頁、ダールグレン 1006 頁。週末一気読みのおかげもあるけれど、実は私的にはこの4作の中では『ダールグレン』が一番読みやすかった。最も時間がかかったのは、エンターテインメント作家キングの『スタンド』(^^;)。


 
★★★ ネタばれもあるので、未読の方は、ここまでに留めて下さいね。

・村上春樹『1Q84』との関係。異世界であるベローナの描写と、村上の1Q84世界はどちらも二つの月を持つ。おそらく米文学に精通している村上は『ダールグレン』を読んでいたと思う。インスパイアされたものかどうか、どなたか村上氏にインタビューしてもらいたい。そして彼の『ダールグレン』評を聞きたい。

・途中でもところどころ一人称は使われていたのだけれど、急激に三人称が一人称に変化するのは下巻P336。これはメタフィクション上の仕掛けと、加えて主人公キッド(仮名)が物語世界の客観的観察者から、主観的な主人公に移行して行くのをまさに表現している。(そしてここではキッドの離人的傾向からの物語による回復でもある)

・村上春樹『1Q84』では今まで一人称で書かれていた長編が三人称で表現されていることが随分と指摘されていた。直接『ダールグレン』での描写とは関係ないとは思うけれど、一応、メモ(^^;)。

・異世界と対立する日常の引越し描写。危うい薄氷の上のホームドラマ的箱庭世界の描写はなかなか読ませた。しかし僕らがディレイニーに期待するのは、そのようなものではない、と僕は思うのだw。ホームドラマ部分の弛緩したような文体はわざとかもしれないが、楽しめなかった。

・都市ベローナもだけれど、最大の謎は「ダールグレン」。時々出てくる名前リストに登場するだけの謎の名前ウィリアム.ダールグレン。もちろんウィリアムはビルと通称されるわけで、ラストで特にビルに注目させているので、本書の記述者は登場人物のウィリアム.ダールグレンということになるのだろう。いくつかの箇所で登場するビルに着目。

・主人公の記憶の欠落もメタフィクション的な仕掛けであろう。実際の筆者と思しきウィリアム(ビル).ダールグレン。彼のルポルタージュとしての情報の欠落がキッド(仮名)の記憶の損傷として描かれている感じ。

Delany_dhalgren

・海外版の表紙としても使用される巨大になった太陽の姿は、読後にも強烈な印象を残す。だけれども全く解けない二つの月と赤く燃え盛る巨大太陽の謎。どなたか、登場する宇宙飛行士の言葉をヒントにこの星々のきらめきの謎を解明して下さい。

・ノートに書かれた奇妙な文章と、詩作の文学的談義。これらによる小説世界のイメージ構築はなかなかいい。詩的な言葉の魅力について語る部分はとてもいいです。

・時間の飛んだ新聞ベローナタイムズ。こんな新聞が発行される街に住んでみたい。おそらくここは、ディレイニーの自伝的要素がアトランダムに紛れ込ませてあることの、近似的な表現なのでないかな。

 あとは他にも、たいしたことは書いてないですが、断片についていくつか僕のtwilog「ダールグレン」「#dhalgren」のつぶやきがありますので、ご興味があれば(^^;;)クリック下さい。

◆関連リンク
[朝日新聞書評ボツ本]ディレーニ『ダルグレン』
  - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

"全体が自分自身の一種のビルドゥングスロマンではあるんだが、でもそれを円環させることで、ディレーニは要するに「ぼくは成長したくありません、ずっと青春していたいです」と言っているに等しい。それが卑しいのだ"
"昔読んだときは「どうだ!完読したぜ!」というのが自慢だったしその価値を保つために小説そのものの悪口は言わなかった…"

 あの山形浩生さんでも、そんな日よった時代がw !
 そしてそれを読んだ柳下毅一郎氏のつぶやきが以下↓。
Twitter / @kiichiro柳下毅一郎氏

"正直、オレもこの山形評はたいへん正しい、と言わざるを得ないw でもつまんないだけでもないのよ RT @tonkara1: 山形浩生さんの『ダールグレン』評。予想通りの酷評!"

・牧眞司氏 shinji maki(@ShindyMonkey)/2011.6/24 - Twilog  

"ジョイス的な神話=象徴性と文学仕掛けがいっぽうにあり、ディレイニーの自伝的要素がもういっぽうにあって、それがまだらに融合している。その「まだら」さが特徴だろう。おそらく仕掛けだけに注目して読み解こうとすると、夾雑物がわらわらと析出してくる。
ちょっと困ったかんじなのだけど、そうした余分が小説としての面白さとも言える。まあ、屈折した人種問題や芸術がらみの議論、セックスのどうしたこうした など、ちょっとクドいよという部分もあるけれど、こうしたのは読むひとの興味の度合いでナナメ読みしても、ぜんぜん支障なし。"

『ダールグレン1・2』刊行記念 SFフォーラムのお知らせ

"刊行を記念して、SF翻訳家の柳下毅一郎さんと、SFと黒人文化に詳しい丸屋九兵衛さん(ブラック・ミュージック専門誌「bmr」編集長)をお迎えしてトークイベントを開催。
【日時】  2011年7月30日(土) 開場:17:30〜 開演:18:00〜
【会場】  三省堂書店神保町本店 8階特設会場
只今、6月22日発売予定の『ダールグレン』(国書刊行会)1・2巻どちらかを当店でお買い上げまたは電話にてご予約のお客様、先着50名様に1階レジカウンターにて整理券を配布しております"

 参加された方、是非、レポートを聴かせて下さい。
エル・マルヤッチ powered by bmr :黒人ゲイじいさんの集い。カモンヨー!
 丸屋九兵衛氏のBlog記事。他にもディレイニーについての記載がいろいろとある。ディレイニー記事 丸屋九兵衛氏Blog - Google 検索

2011.7/20追記
サミュエル・R・ディレイニー『ダールグレン』(1巻)感想 - Biting Angle

"まだ半分しか読んでないので断言はできないけど、ここまでの印象としては、ディレイニー版の「アリス」なのかな?という感じ。 なにしろ性別や人種といった(いわゆるアメリカ的な基準からすれば)既成の価値観がことごとく裏返しになっているところが なんだか『鏡の国のアリス』を思わせるし、全編にばら撒かれた性描写には、言葉あそびの代わりに様々な性的プレイを用いて 物語を組み立てようとしてるんじゃないか・・・などと思わせるところもあります(中略)
3章の「斧の家」でリチャーズ一家が延々と繰り返す 「街全体が崩壊しているのに、そこだけは普段と変わりがない日常を営む姿」は、鏡によって裏返しになった 「マッド・ティーパーティー」にあたると思います。"

 当究極映像研東京分室2(^^;) "Biting Angle"の青の零号さんの1巻レビュウ。
 ここの指摘が僕にはとても新鮮でしたので、引用させていただきました。2巻レビュウも楽しみにしてます>>青さんw。

当Blog記事
新刊メモ S.R.ディレイニー『ダールグレン:Dhalgren』
S.R.ディレイニー『ダールグレン:Dhalgren』舞台化 Jay Scheib "Bellona, Destroyer of Cities"

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2011.07.15

■『ヤノベケンジ EXPO'03 誇大妄想の都へ』


YouTube - ‪ヤノベケンジEXPO'03 誇大妄想の都へ 4/4
 YouTube - ‪TheTorayan さんのチャンネル
 ドキュメンタリー映像03(MBSテレビ)

"■誇大妄想の都へ〜ヤノベケンジ EXPO’03
8月17日(日)24時30分〜25時30分
ヤノベケンジ、1965年大阪府茨木市生まれ。
「タンキング・マシーン」「征服兵器ゴジラ足」「ラディエーションスーツ・アトム」……、新進気鋭の造形作家のモチーフは瞑想、原子力、戦争など多岐にわたるが、子供のころ大阪万博の取り壊し現場で遊んだことが創作活動の原点になっている。彼が「未来の廃虚」 と呼ぶその万博跡地では、今年初め最後のシンボルのひとつエキスポタワーが解体された。
来年には万博美術館(現・国立国際美術館)の取り壊しも決まっている。そんな折、ヤノベはその万博美術館でこれまでの活動の集大成ともいうべき展覧会を開く。再構築された万博の幻影が出現する不思議な空間だ。番組では解体されたエキスポタワーの廃材を貰い受けて加工するなど、ヤノベ独特の制作現場に密着。ヤノベ自身が「ものづくりの神様が降りてくる」と語る創造の瞬間に迫る。"

 震災後、精力的に動画をアップしているThe Torayanさん(ヤノベケンジ公式チャンネル(たぶんw))の新しい動画。
 調べてみると、上のMBSテレビのリンク先にあるように、関西ローカルのドキュメント番組である。1/4〜4/4の4本がYoutubeにアップされており、約60分の番組。そして上に埋め込み動画としたのは、その中でもクライマックスとなる03年大阪万博記念公園にあった国立国際美術館のヤノベケンジの大規模な個展"MEGALOMANIA展"の準備風景とオープニングの映像(半分くらいのところからオープニングシーン)である。
 ファンには全部を御薦めだけれど、時間のない方は、こちら4/4のみ御覧下さい。

■ドキュメント全体についてのメモ
・番組のスタート(1/4)はEXPOSE2002@大阪キリンプラザから始まる。磯崎新との共同展示で、未来の廃墟がテーマ。磯崎との居酒屋で万博をめぐる対話も興味深い。そして映像は、スタンダ、サヴァイバルトレインと合わせて、磯崎の大阪万博巨大ロボット"デメくん"を模したヤノベ作品が映し出される。

・万博会場跡地でアトムスーツを着るヤノベ。このスーツを着ると、遠いところから地球を淡々と見ている存在になったような気がするという。そしてエキスポタワーの解体。「かっこえぇ」と子供のように見上げているヤノベ。まさに幼少時に廃墟となった未来である万博の姿を見た少年ヤノベがここに蘇っている。この稚気がヤノベ作品の本質だろうと思うのが、僕のヤノベ作品観である。

・エキスポタワー展望室が巨大クレーンで吊るされて降下される。これをヤノベは、落下する未来と表する。まるで空から新たな生命の種子が降ってくるようだと。解体工事から受け取るインスピレーションがこの後の作品に影響を及ぼす。
 黒い太陽ULTRAと展望室の造形の相関とか。

・まさかの大村崑とヤノベのミニ対談。万博でピエロの格好をしてデメと共演したという。芸能人生の中でも楽しい苦しい経験だったとか。誰も認めてくれないけれど「こうしてあんたが来てくれてごっつう嬉しい」とこんチャン。ヤノベはミーハーして自分持ちのオロナミンのホーロー看板にサインをもらっている。

・万博会期中に太陽の塔にのぼった「目玉男」こと、北海道の佐藤英夫氏。死んだら万博がしらけていただろう。水がなかったのが苦しかったと語る。そして下から見上げていた岡本太郎は憮然とした顔で写真撮ってた。赤ヘルと塔の顔がコントラストがいい、と言ったとか。

・真面目な"MEGALOMANIA展"打合せの横で腹話術するヤノベの父。マサノベッチ.ヤノベスキーを名のるとか、かなりノリノリで良い(^^;)。その後、アーチストとして独り立ちする時の親の不安を語る矢延正信。黙って聴くヤノベ。Photo_3

・3/4の中盤。岡本太郎記念館での岡本敏子氏との対談。「太陽の塔 乗っ取り計画」宣言。「おもしろがってけしかけてるの」という敏子さんの笑顔がいい。そしてここに出てくる映像に吃驚。右の画像だが、ヤノベの手にあるスケッチは太陽の塔がアトムスーツを着ている図。巨大アトム・スーツ構想があったのですね。これは、今からでも是非観たい!!

・"未知の領域へ踏み込んで行った時に人間がどう変わって行くか、自分がどうなって行くか試したい" と、太陽の塔の目玉にアトム・スーツで登って行くヤノベ。黄金色の太陽の塔の顔とイエロースーツの色が近いため、コントラストがいまいちw。レッドスーツだったら……。

・国立国際美術館学芸員との相談。制作費もギャラも出ない。しかし千歳一隅のチャンス。楽しいから、面白いからやるだけ。その新作は「タワー・オブ・ライフ(生命の塔)」。自身の子供へ「今からお父ちゃんこれに乗って運転するよ、仕事やから」と語りサヴァイバルトレインに乗り込むヤノベ氏。子供の頃の未来の廃墟に衝撃を受け忘れられない稚気に溢れた子供がひとり。これはお子さんに羨ましがられること必至っす。

・タンキングマシーンで妄想のスイッチが入りましたというナレーション。そして太陽の塔をバックに、アホですよねー、と語るヤノベ。妄想の強固な砦が構築されて行く過程がここに記録されている。

 2003年の"MEGALOMANIA展"。あー、なんで知らなかったんだろう。行きたかった。何度もずっーと後悔しているw。ファンだったのに気づいてなかったのが悔やまれてならない。

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2011.07.14

■プロジェクションマッピング フェイス投影他


YouTube - ‪Schenke Leben, spende Blut
( ブログタイムズ BLOG 経由 )
 今までもプロジェクションマッピング作品をいくつか紹介してきたが、今回の新規点は人体への投影であること。
 顔の表情の変容と顔面の曲面を用いた新しい映像世界をご覧下さい。

 前も書いたけれど、次はいよいよ、人体全体のパフォーマンスとプロジェクションマッピングとのコラボレーションではないか、と思うのです。どこかのパフォーマンスアーティストに実現してほしい。
 課題は、まさに動く人体と投影映像のマッピング。3Dモーションキャプチャー技術を使って、そのリアルタイム処理でもしかして実現できる可能性があるのではないか。


プリウスα「Feel α篇」 メイキング
  (Twitter / @kenwaternaviさん経由)

"新型プリウス1年待ちという噂も出ているなか、これも3D Projection Mapping とCGの組み合わせ。とにかく色彩が美しい。テレビでのオンエアはされていないようです。-- プリウスα CM 「Feel α篇」"

 こちらも斬新。
 プロジェクションマッピングと撮影された映像へのCG合成。
 とてもシャープな光の乱舞。こちらももっといろいろな可能性が溢れているのではないだろうか。

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2011.07.13

■動画『展覧会「ヤン・シュヴァンクマイエル氏への逆襲」‬‏』


YouTube - ‪ヤン.シュヴァンクマイエル氏への逆襲‬‏
(Twitter / @mantamu(田村秋彦)さん経由)

"ヤン・シュヴァンクマイエル氏への逆襲展がYou Tubeにありました。おそらくチェコセンターで作られたものだと思われます。観に行けなかった人必見です。"

展覧会「ヤン・シュヴァンクマイエル氏への逆襲」
(会期: 2011.4.15.-5.25.) - Tokio

"展覧会「ヤン・シュヴァンクマイエル氏への逆襲」
~日本人作家によるヤン・シュヴァンクマイエル監督へのオマージュ展~
清水真理+三浦悦子+綺朔ちいこ+マンタム+Neqro+山本タカト+建石修志
私たちはシュヴァンクマイエルに会っていなかったら今は何を見ているのだろう?
会期: 2011年4月15日(金)~5月25日(水)
場所: チェコセンター 入場: 無料"

 既に終了した展示会であるが、Youtubeにて、展示の模様が動画で紹介されたということで掲載。
 音楽もなかなか素晴らしい雰囲気で、展示品のムードを高めている。一見の価値あり。

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2011.07.12

■アーティスト西野達:TATZU NISHI 作品

Engelhorz

THINK PIECE|honeyee.com Web Magazine

"ベルリンと東京を拠点に活動する現代美術作家、西野逹。 観客を巻き込み、あっと驚くような大胆な仕掛けが組み込まれた作品は、一度体験するとやみつきになるとか。 3月から開催された「シンガポール・ビエンナーレ」で西野逹は、新作〈マーライオンホテル〉を発表…"

 昨日レポートした「『おおさかカンヴァス』オモシロアートの世界 アート座談会」でその語り口と作品写真がとても面白かったので、西田達氏の作品について、少し調べてみた。

 冒頭の写真はスイスのバーゼルの街の大聖堂。
 大聖堂の尖塔の先にある天使像。その周りに足場を組んで部屋を作った。そして部屋の中には、その天使がまるで舞い降りたかの様に、リビングが存在する。
 リビングに本物の天使が出現した、というコンセプトのアート。
 まさに一発アイディアを力技でアートとして昇華した作品。
 人によっては、ふざけるな、と言いたくなるような(^^;)独特のアート作品。
 僕は、外観のバラック感覚は今ひとつなのだけれど、完成した室内に現れる何処でも観たことのない風景には、とても興味がある。おそらく想像しているよりも実物は何か訴えかけてくる物が現出しているように思うのは、僕だけであろうか。

 他にも、愛知県美術館でピカソの絵の周りに、日本の昭和のアパートの個室を設えて、醤油や調味料の並んだ台所にピカソが、という作品。
 海外の有名観光名所の彫像の周りに部屋を作った作品など、同一コンセプトの作品がいくつもある。

TATZU NISHI - Google 画像検索

tatzu nishi - Google 動画検索

20110707_204237

"Behind the scene: The Merlion Hotel - Tatzu Nishi (Japan) "
 マーライオンの周りに部屋を作り…。「マーライオン・ザ・ホテル」ビハインド・ザ・シーン動画。一泊9千円なら是非泊まりたい!

◆関連リンク
tatzunishi.net(公式HP)
 こちらに各種作品の写真がある。
ARATANIURANO 西野達
 USTで語られていたが、右上のマーライオンのイメージ画は、こちらのギャラリーへ申し込むと購入できるそうです。

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2011.07.11

■『おおさかカンヴァス』オモシロアートの世界 アート座談会

Photo

Ustream.tv: ユーザー kansaiwalkers: 「おおさかカンヴァス」アート座談会オモシロアートの世界1, Kansai Walker TV01(関西ウォーカーTV01) 07/07/11(USTアーカイブ動画)
Togetter - 「『おおさかカンヴァス』オモシロアートの世界 アート座談会」

出演: ヤノベケンジ,西野達 司会:玉置泰紀(関西ウォーカー)。

 ヤノベ氏が出演ということで、twitterで実況中継しながら、togetterで座談会の様子をまとめてみました。
 特にアートを当初、全然理解していなかった橋本知事を攻略する、ヤノベ氏の水都大阪話の語り口! そして西野氏が語る自作のエピソードが面白かった!
 詳細はここに引用しませんので、そちらをみていただきたく。

 常識を破って審査員であっても応募して下さい、とヤノベをそそのかそうとする西野がとても印象的だった。こういうパワーのあるアーティストの姿勢はとてもいいですね(^^;)。

 そして応募要項を下記引用しますので、興味を持たれたアーティストの方、是非、楽しい作品で大阪を熱いアートの街に!!

◆ラッキードラゴン復活の危機

 ただ一点のみ、拡散のために書く。ヤノベケンジ氏がUSTで語ったところによると、ラッキードラゴンの復活に対して、電力会社の圧力がかかっているらしい。
「おおさかカンヴァス」アート座談会オモシロアートの世界6 (3'30"〜5'20")

" 同時期に水都大阪が復活する。それに合わせてラッキードラゴンも復活させたい…シビアな話、こういう問題が世の中に起こってしまって、僕自身は20年前から核の問題とかを提示しながら作品を作ってきたんですが、2年前にも福竜丸のあれとして大阪の街にラッキードラゴンを作った。そして今でこそ、もう一度現れてほしい。
 お金がないのと、プラス沢山の人の協力がいる。雲行きが怪しいのは、ある電力会社の圧力によって封印されようとしている。いま、そういうメッセージを送ってもらっては困ると思われる人もいる。それが実現できるのか。それを阻むある勢力がある場合、それをどう世の中が受け止めてくれるのか、というのを透けて見える作品として楽しみに思っている。"

 今後の展開を注意深く見守りたい。
 それにしても、電力会社のなんという放漫と慢心。
 こうした場合、抗議行動を取りたくても、僕らが不利なのは電力会社を選定できないところ。
 普通なら不買運動とかの手があるのだけれど、電力はそういうわけにはいかない。自由化が必要なのは、こうしたところからも明らかであろう。

Osaka_canvas_2011

おおさかカンヴァス推進事業 作品募集案内

"制作予算 作品制作にあたっては、300万円を上限に制作支援…
応募受付:2011.6/6(月)~7/22(金)必着
結果発表:2011.8月下旬
作品展示・発表:10月下旬から2012.2月までの期間
(作品により異なります)"

◆関連リンク
「おおさかカンヴァス」アート座談会オモシロアートの世界5(動画)
 ここの7'20"〜ヤノベ氏の水都大阪話。そして28'25"〜西野達氏の自作紹介。
おおさかカンヴァス推進事業 2010作品一覧

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2011.07.06

■ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 『the works for Japan』『〜映画とその周辺〜』東京と京都で開催

20110701_svankmajerhorz

(引用写真:ヤン・シュヴァンクマイエル『不思議の国のアリス』、『アフリカの人形』、『アルチンボルド風原理』、『植物学』、映画『エトセトラ』より、の5点)
シュヴァンクマイエル展が東京と京都で開催、日本の職人との妖怪版画コラボ作も展示 -art-designニュース:CINRA.NET

"今年2月に国書刊行会から刊行された『不思議の国のアリス 新装版』と『鏡の国のアリス 新装版』の表紙のために描いた作品2点と、京都と茨城の版画職人との共同作業によって制作された版画作品および下絵を紹介する。この版画作品には、日本の『百鬼夜行絵巻』を意識した妖怪と、シュヴァンクマイエルが独自に創造した妖怪が描かれている。さらに、ラフカディオ・ハーンの小説『怪談』のための挿絵と、写真家・細江英公の撮影によるシュヴァンクマイエルのポートレートも展示される予定だ。"

Jan and Eva - Activities of Jan Švankmajer In Japan Website

"「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 the works for Japan」
会場 京都文化博物館
期間 2011年7月22日〜8月14日

本展では、これまで展覧会と同様、様々な素材を使ったオブジェ、絵画、版画、ドローイング、コラージュなど、いかにも、シュヴァンクマイエル夫妻らしい、多岐にわたる作品群をご紹介いたしますが、そのほとんどは、日本初公開の作品です。副題にもある通り、映画に関連したものが一つの核になるのですが、これらの作品は、映画館と美術館の境界を、事実上取り払ってしまった作家の、真骨頂とも言うべき作品群です。しかし、今回、特筆すべきは、これらに加えて、新たに日本のために制作したものが入っていることです。まずは、新装版の表紙のために描いた「アリス」が2点。そして、日本が、世界の美術史に大きな影響を与えた木版画。シュヴァンクマイエルが下絵を描き、茨城と京都の彫り師と摺り師が、江戸時代から伝わる伝統的な技法で制作した作品は、下絵が8点、その中から選ばれ制作された木版画が3点、加えて、木版画の制作過程を理解してもらうために、版木と順序摺りを展示します。日本の百鬼夜行絵巻を意識した妖怪と、彼が独自に生み出した妖怪からなる絵柄は、私たち日本人を魅了してやみません。さらに、現在制作中のラフカディオ・ハーンの「怪談」のための挿絵と、歴史的な事件と言ってもいいコラボレーションの産物、日本が世界に誇る世界的な写真家、細江英公が撮ったシュヴァンクマイエルのポートレートの展示も予定しています。

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展  〜映画とその周辺〜」
会場 ラフォーレミュージアム原宿(ラフォーレ原宿6F)
期間 2011年8月20日〜9月19日

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展  〜映画とその周辺〜」
会場 京都文化博物館
期間 2011年10月7日〜10月23日"

 展示会の詳細が発表になったので、改めて情報として掲載。
 展示としては、まず京都で『the works for Japan』展。
 そして東京『〜映画とその周辺〜』展→京都巡回。という流れになるようです。

 冒頭の作品は、CINRA.NETからのプレス資料の引用ですが、これらの作品が両方で展示される作品かは不明ですので、公式サイトJan and Eva - Activities of Jan Švankmajer In Japan Websiteの情報を注意して観ておく必要がありそうです。

 僕は京都が近いので、そちらの二つの展示会に行ってみようと思っています。

 特に僕の興味は、エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーのメディアム・ドローイング作品がどの程度出品されるか。エヴァのあの奥深い精神の内奥に迫るような絵が好きなので、とても楽しみなのです。(という観点から今回の展示会のネーミング「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」は、本来「ヤン・シュヴァンクマイエル&シュヴァンクマイエロヴァー展」と名付けるべきではないか、と思うのです)

 冒頭の引用写真、新作のオブジェの写真も出てて興味深い。
 なんか大怪獣ガッパみたいなシルエットw。

 そして、雑誌「prints21」に掲載された、細江英公氏撮影のシュヴァンクマイエルポートレートも展示される!

◆関連リンク
シュヴァンクマイエル 当Blog関連記事 - Google 検索
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー 当Blog関連記事 - Google 検索

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2011.07.05

■感想 「プリンツ21 2011年秋号 特集 ヤン・シュヴァンクマイエル」

Prints_21_2011

『prints (プリンツ) 21 2011年秋号 特集 ヤン・シュヴァンクマイエル』(amazon)
プリンツ公式HP

"■表紙■ 写真:細江英公
【CONTENTS】
撮り下ろし巻頭グラビア ヤン・シュヴァンクマイエル VS 細江英公
ヤン・シュヴァンクマイエルからの手紙
対談 ヤン・シュヴァンクマイエル×細江英公
極私的シュヴァンクマイエル論 
 『サヴァイヴィング ライフ』オブジェ少年の夢と現実 飯沢耕太郎
 『オテサーネク』飽食をめぐる三女神 やなぎみわ
 『アリス』シュヴァンクマイエルとルイス・キャロルのアナロジー 小谷元彦
 『悦楽共犯者』触覚フェティシズムに深く浸されることへの共感 柳下毅一郎
 『部屋』『男のゲーム』言語で変換できない快楽スイッチ ピエール瀧 
 『ファウスト』からくりの愉楽 宮沢章夫
 『ルナシー』人間も肉片の塊に過ぎない 松江哲明
フィルモグラフィ1964-2011
DVD・書籍リスト
ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 〜映画とその周辺〜
 『自然の歴史』について 小宮義宏
京都精華大学「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」のためのワークショップ・レポート
ヤン・シュヴァンクマイエル、マックス・エルンスト、 上原木呂 三人展
 シュルレアリストたちの宴 上原木呂
殊萬句舞繪鏤(しゅばんくまいえる)木版画 プリンツ21誌上ギャラリー
ふたりの巨匠が行く、「お岩稲荷」訪問機。
細江英公作品集 Eros and Thanatos——光と闇
細江英公略歴
細江英公巻頭作品 プリンツ21誌上頒布"

 amazonから雑誌「prints21 特集ヤン・シュヴァンクマイエル」が送られてきた。

 細江英公氏の写真が凄まじい。シュヴァンクマイエルを裸にして白い布をかぶせ、彼とエヴァ・ シュヴァンクマイエロヴァーの作品を投影。エヴァの赤い幻想がヤンと融合している! これはファンでなくても、シュールレアリスム好きの方は、必見!

 このポートレート、プリンツでオリジナルプリントの誌上頒布が告知されている(P95)。写真10点を各5部づつ限定販売。サイズは四つ切(254×305mm)、各12万円(!)。
 迫力の写真を家に置きたい気もするが値段が…。もちろんこの値段は細江英公氏の作品ということで適正とは思うのですが、、、。

 圧倒的にこのポートレートが素晴らしいのだが、その他、各氏のシュヴァンクマイエル論(僕は特に小谷元彦氏の文章を興味深く読んだ)、妖怪浮世絵他、各種作品掲載等、たいへん充実した内容になっている。このポートレートの高レベルによって、これまでに出たシュヴァンクマイエル特集の雑誌の中でも特筆すべきものになっている。

■その他情報

・対談で述べられているエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーとの出会いのエピソードがとても良い。ヤン・シュヴァンクマイエルが次のように語る。"プラハにあるユダヤ人墓地に「ラビ・レーヴ」という中世時代に実在した<ゴーレム>伝説を作った高名な学者の墓がある。紙に希望を書いて小石に包んでその墓石に置くとその願いが叶うという言い伝えがある…彼女は私の舞台を観た後、「この人と結婚させて下さい」と書いてお墓に置いたそうです。"

・「prints21 特集ヤン・シュヴァンクマイエル」からの新情報。今年制作された京版画の妖怪浮世絵は、京極夏彦文、多田克己編・解説『妖怪図鑑』(国書刊行会)にインスピレーションを受けたものらしい。

■日本人女性にシュヴァンクマイエルが受け入れられる理由

 対談で女性ファンが多いことに対し、シュヴァンクマイエルは、"日本人女性はマゾヒストが多いのではないかと考えています。私の映画にあるサドの要素に共鳴するのではないでしょうか"と答えている。
 (^^)僕は、なんか違うと思うのだけど女性ファンの方々いかがですか?

 この特集を読みつつ、日本人女性ファンが多い理由を考えた。
 僕は、子供が喜んで粘土や骨や人形を弄り回しているような、稚気に溢れるシュヴァンクマイエルの映像がカワイク感じられるのでは、という仮説を思いつく。そして触覚感覚も元々幼児的な部分があるように思う。キーは母性かも。

 例えば、食べたくないから食物を人形に見立て歩かせたり、廃物を並べて動物の形を作ったり、鼻の穴にソーセージを突っ込んだり(^^;)。シュヴァンクマイエルの 映像が単に不気味でないのは、五感に直結したこうした稚気が溢れているからではないか。女性ファンは、もしかしたらそうしたシーンに、母性本能を刺激される…とかの仮説w。

 ということで、twitterでフォロワーの方に御意見をうかがった。

続きを読む "■感想 「プリンツ21 2011年秋号 特集 ヤン・シュヴァンクマイエル」"

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2011.07.04

■感想 多治見市文化工房ギャラリーヴォイス『ガラスの変貌Ⅱ』

gallery VOICE 最新イベント情報

"多治見市文化工房ギャラリーヴォイス『ガラスの変貌Ⅱ』6/11-7/10
ガラス作家7名による現代の造形的な作品を紹介しています。"

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 写真OKとのことで、HDR写真を撮ってきた。上は、佐々木雅浩 "臨界Ⅲ"。

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 そして同じく佐々木雅浩 "転成Ⅰ" と " 臨界Ⅲ "。
 いずれも奇妙な、蕩けるようなシュールな形態に痺れるw。特に実物に回り込んで楽しめた、形状も素晴らしいのだけれど、HDRで人の眼の感知できない高コントラストの写真として観ると、さらに光の造形が奥深く感じられる。
 (iPhone4でアプリ"Pro HDR"を使用しているが、固定が悪いので手振れは御容赦。ガラス作品はしっかりしたHDR撮影で、その光の造形を、それも作品として残すべきかもしれませんね)

 他の佐々木雅浩氏の作品は以下のHPをご参照。

硝子人【佐々木 雅浩】|グラスアーティスト・ガラス工芸作家紹介|硝子工芸営業舎

"溶けたガラスは、無機物でありながら有機的な形を成します。 砂が熱によってガラスに転成し私を介して成形された後、サンドブラストによって、 また砂へと還ります。炎と風による一連の物質の変化に私が立ち会うことで、 どのような形態になるのか、ガラスとの共同作業と言っても良いでしょう。 それは素材を知り、技術を高める過程の中にある発見や直観から、生まれた形です。"

 作家によって語られた造形の秘密の一端。
 これらの作品は是非、実際の制作の様子を見てみたいものですね。

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 他の作家の作品もなかなか刺激的。
 左から、家住利男 "M.110401"、神代良明 "かつてのしろは"、福西毅 "邂逅-Ⅰ"、沖 文 "Section Series"。
 家住氏の作品は重層的な緑の光が印象的。神代氏のまるで雪のような作品はガラスの乱反射がこういう形でアートになるんだ、という驚きがある。
 福西氏のはわざと荒削りのテクスチャーを狙ってあってゴツゴツした感覚が面白い。そして沖氏の繊細に積み上げた表面形態。

 このギャラリーヴォイスは、陶芸の展示が主なのだけれど、こうしたガラスの展示も新鮮な光の造形として凄く面白いので、今後も継続してほしい。

◆関連リンク
硝子人【神代 良明】
硝子人【由元 裕美】
 なに、このファンキーなキャラ! この方の作品は一度、是非、観てみたい(^^)

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2011.07.01

■元映画ジャーナリスト,中子真治氏 ブレードランナーを語る‬‏

元ジャーナリスト,中子真治氏 ブレードランナーを語る‬‏

"2011/06/30アップロード

80年代にハリウッドに単身渡って、映画の聖地から
数々のスクープを日本に送り届けてきた、"足で稼ぐ"
元映画ジャーナリスト 中子真治さん。

実は彼こそ、「ブレードランナー」の製作真っ最中の現場に
足を踏み入れた、唯一の日本人ジャーナリストだった。

このVTRは、あくまでもプライベートに撮影させていただいたものを編集したもの。

著作権を侵害する意思は全くありません。
不都合がありましたら削除いたします。

ブレードランナーの生まれる瞬間の様子に興味のある方は
是非ご覧頂きたい。"

 bleranian:シュウさんがプライベートで制作されたインタビュー動画「ブレラン"撮影現場"を唯一取材 元映画ジャーナリスト 中子真治氏」。
 伝説の映画評論家 中子真治氏の口から、ブレードランナーの生まれる瞬間の様子が、今、語られる!
 撮影場所は中子氏のオブジェモチャ専門店 飛騨高山留之助商店。

 製作現場の裏話から、スタッフ向け試写での思わぬスタッフたちの不評、リドリー・スコット、ハリソン・フォードの当時の状況。

 現場に潜入していた中子真治氏の口から直接語られる貴重なエピソードの数々を是非ご自身の眼で確かめてみて下さい。

Twitter / @shuwest

"ブレードランナーファンの野郎ども!中子真治チルドレンの野郎ども!待たせたな!7月1日AM2:00メドにオイラのブログをチェックだ!いまYOUTUBEに載せるべく作業中だ!ameblo.jp/shuwest/"

 このツイートでアップされる予告を知り、エンコードされる様子にワクワクしながら、Youtubeへのアップロードの瞬間に立ち会えて、とても臨場感のある体験ができました。

 何度も中子氏の元を訪問され制作されたブレラリアン:シュウさんに、本当に感謝です。
 映画ジャーナリストとして当時の中子氏を知るファンには最高のプレゼントになる映像、そして中子氏を知らない若いファンには、ハリウッドでこんなにアクティブに活躍されたジャーナリストが7〜80年代にいたことを知れる貴重な映像です。

◆関連リンク
『ブレードランナー』マニア シュウさんのブログ 中子真治氏インタビュー動画メイキング関連記事
飛騨高山 留之助商店 店主のブログ:ブレードランナー関連記事
 このインタビュー動画で語られたブレラン情報の中子氏自身の手になる文章。
 往年の中子氏の映画評論の文体が堪能できます。
・中子真治さん、FLIXで「映画とオブジェモチャ」という連載をされているのですね!知らなかった。

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