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2011.08.31

■感想 東海現代陶芸 思考する新世代展 @ 愛知県陶磁資料館

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愛知県陶磁資料館 公式サイト 東海現代陶芸 思考する新世代展

"会期:2011年8月6日(土)〜10月2日(日)
会場:愛知県陶磁資料館 本館1階 第1、第2展示室、他
 現代の陶芸は、社会の急激な変化や芸術概念の拡大などに直面し、かつての陶磁器生産、あるいは一世代前の陶芸表現とは異なる思考の元に作品制作が行われています。また、社会との関わりも、従来の「用」概念の範疇にとどまることなく、新たな状況下で再構築されています。

 本展では、東海三県で制作する新世代の陶芸家15名の作家を通じて、多様な陶芸表現の現状を紹介するとともに、新世代の陶芸家ならではの視点と思考を通じて、陶芸表現の今日における可能性を考えます"

 新聞の紹介記事を見て行ったのだれど、器から逸脱した奇想な陶芸作品が幾つもあり、なかなかの異空間だった。以下、インパクトを受けた作家の作品について、簡単だけれども感想コメント(この世界の基本がわかっていないので、単なる新らし物好きの戯れ言と読飛ばしていただければ幸い(^^;))。

◆田中礼
 まずその土俗的イメージが衝撃的だったのは、冒頭に掲載したチラシに写された田中礼さんの作品。この造形と表面の文様の織りなす複雑な雰囲気が素晴らしい。
 こんな器を使用する異世界の生物はどんなだろうと夢想w。

2011_02tanakaaya_m

 INAX | 田中 礼 展 −陶彩の宴−Tanaka Aya Exhibition

"田中礼の作品は、同心円状に重なった縄目がかたちを形成していく、土俗的な雰囲気の色彩の鮮やかな陶のオブジェです。 「邂逅」は高さ65cmで二つの塔が向き合ったかたち、「徒」と名づけられた作品では高さ52cmで四足の四角い構築物のようなかたち、「楽」シリーズは各々幅50cmほどの太鼓や琵琶など楽器のようなかたちを、象形文字から連想を得てつくっています"

 個展が今年の2月に開催されていたようで、こちらのINAXのHPで多数の作品が観られます。そして添付写真はそのプレスリリースからの引用。呪術的なイメージが醸し出された作品で味わい深い。

Work65

◆甲田千晴
 これも異様な迫力を持っていた甲田千晴さんの作品。
 右は本展覧会のプレスリリースの写真。とても残念なのだけれど、この写真、上下が切れていて作品の全体像が伝わらない。
 骨のような、鳥の頭のような白い部分と、黒い銅色の固まった溶岩/象の表皮/南方の椰子の実を多層的に思い起こさせる胴体。
 この造形で産み出されている枯れた新生物の標本のようなイメージが異様。これは瀬戸市の愛知県陶磁資料館で、作品の周りを、是非ぐるぐる回り込んで、実物のテクスチャを堪能いただきたい作品w。

 公式HPの作品紹介頁
 こちらにも先に示したような多層で多様なオブジェ群が掲示されている。
 まさに陶芸によるシュルレアリスム!

◆古川敬之
 白い薄い陶磁を重層的に積み上げた独特の作品。
 これも表面のイメージが骨を思わせるシュールものだった。
 こちらに07年の作品展の写真
 今回の展示作品の写真が見つからなかったので、こちらをお楽しみ下さい。

08toukai_gendaitougei_no_ima_aichik

◆川端健太郎
 番外で、常設展の作品から、もう御一人紹介。
 こちらの作家は、同じ愛知県陶磁資料館2008年の「新進陶芸家による東海現代陶芸の今」展の出品作で、現在、常設展示されている物。
 "女(スプーン)"と名付けられた右のポスター中央の作品が凄い。

川端健太郎 個展 『憧 動』(最下段)
 こちらにも同様の作品が紹介されている。これら作品は、まず実物のディテイルを観てもらうしかない。
 タイトル"女(スプーン)"にも表れているが、とてもエロティックに見える作品。ディテイルの表現が凄いですね。
 ヌメヌメとした湿度を持ったように見える陶器と、襞々が細かな陶器片で形成され触ることを拒絶したような風情。

 ということで以上でした。


 瀬戸市は遠いでしょうが、ヤン・シュヴァンクマイエルやエヴァ・シュヴァンク マイエロヴァーのファンにも楽しめるオブジェであることは間違いありません。
 これらのシュルレアリスムに勝るとも劣らないイメージ。
 日本人の精緻な細やかな技で、ディテイルでは正に勝るかとw。

 最近、青の零号さんから陶芸は茶の世界との関係で、視覚だけでなく触覚、つまり器に触れる手、口とか舌の感覚も問われる芸術であると聞き及び(twitterでの会話 こことかここ )、シュヴァンクマイエルの言う「触覚のシュルレアリスム」との関連から、俄然興味がわいて来ている(^^;)。

 今回の展示で僕の興味を引いた上の作品は、いずれも器として機能するような物ではない。口と舌で触覚を楽しむには不自由(というか無理w)。
 このセンスで、そうした器にチャレンジいただくというのはいかがだろうか。
 その時にどんな触覚が生まれるかも、頭の隅にチラリと想いながら、今回鑑賞した。

◆関連リンク
陶芸 当Blog記事 Google 検索

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