NHK BSプレミアム 『山村浩二スペシャルアワー~アニメーション「頭山」から「マイブリッジの糸」まで〜』
" 世界的に活躍するアニメーション作家・山村浩二。繊細でオリジナリティー溢れる作風で注目を集め、世界で唯一、アヌシー、ザグレブ、オタワ、広島の“4大アニメーション映画祭”すべてでグランプリを受賞。番組では「たけしアート☆ビート 山村浩二」を再放送。さらに、「頭山」以降の作品の変遷をたどりながら、最新作「マイブリッジの糸」までを放送。山村アニメーションの魅力を余すところなく紹介する"
Twitter / @Koji_Yamamura: 山村浩二スペシャルアワー
"『頭山』『年をとった鰐』『カフカ 田舎医者』『こどもの形而上学』『マイブリッジの糸』放送"
アカデミー賞にもノミネートされた「頭山」も放送。アニメーション作家・山村浩二のスペシャル番組がNHK-BSプレミアムにて3月26日深夜放送 - amass.
"3月27日(火)午前01:27〜02:40(26日深夜)
【出演】山村浩二,犬童一心,片山杜秀"
一時間強にわたり、山村浩二監督を特集した番組が放映された。
「たけしアート☆ビート」は以前に観たことがあったが、特に印象的だったのは北野武の最後に言った言葉。「今回、対談するという事で、ずっと観ないでいた山村さんの作品をしっかり拝見しました。漫才他、自分のやってきたことが何か間違っていたのではないか、と思ってしまった」(正確な言葉でなく、大意で引用)。
これは世界のたけしから、山村監督のアニメーションに捧げられた最大級の賛辞である。
そして代表的な五作品のノーカット放映。「マイブリッジの糸」は、まだ劇場公開中のはずだけれど、NHKがポリゴンピクチャーズと共同制作であるため、BS限定ではあるがTV放映となったのだろう。
僕は劇場で観るチャンスがなかったので、この放映を心待ちしていた。実は「田舎医者」も「年をとった鰐」も「こどもの形而上学」も観たことのなかった僕は、まとめて山村作品を堪能できて、NHKに大感謝である(^^;)。
「頭山」と初見の作品群。表現の幅が広く、これらは、一作として類似作品がない、挑戦的な作品であるところがとても素晴らしい。
「頭山」の落語ベースの滑稽でシュールな物語。
そこから転調し「年をとった鰐」の凄みのあるブラックな奇想。深層心理風景を映像化したような「田舎医者」の伸縮自在の医者のアニメート。肩の力を抜いて、稚気に溢れる子どもたちのメタモルフォーゼを描いた「こどもの形而上学」。
そして最新作にして、難解な時空物語である「マイブリッジの糸」。
「年をとった鰐」と「田舎医者」の凄さに圧倒されて、正直言って僕は「マイブリッジの糸」は絵柄もテーマも実は強く響いてくる感じではなかった。
「マイブリッジの糸」自体の映画の原初を描いたシーンは感銘を受けたのだけれど、東京の母子のシーンとの連環がピンとこなかったのだ。
番組では作品の後、犬童一心監督と音楽評論家の片山杜秀氏の解説が入っていた。こういう解釈があるのは聞いてよくわかったのだけれど、僕には抽象的すぎて背景情報を知らないので、映画の観賞後の印象はぼんやりとしたものとなってしまった。片山氏による作品に使用されている楽曲、バッハの「蟹のカノン」についての解説も、なるほど、と思ったのだけれど、、、、。
絵のイメージもテーマに沿った表現のようだけれど、実は好きな表現ではなかったので、、、。あくまでの好みの問題ですね、これは。
最後に強く印象に残った「年をとった鰐」と「田舎医者」。
これら表現とテーマの融合がまさにこうしたアニメーション作品だけが到達できるイメージになっており、素晴らしいと思った。
「マイブリッジの糸」は、また何回か見直して、噛み込んでみたいと思う。
◆関連リンク
・エドワード・マイブリッジ - Wikipedia
"1878
年6月15日にはこの装置を等間隔に12台並べ、疾走する馬の連続撮影を成功させた。
シャッターは当初ゴムやスプリングを用いたものであったが、後には安定して高速度を得るために電気式のものに改良された。
これにより露出時間は1,000~6,000分の1秒が得られた。
レンズはダルメイヤー製、焦点距離90ミリ、レンズ口径32ミリが用いられた。(略)
ゾエトロープと組み合わされ、次に幻燈機のように投影するための装置が作られた。
図像がディナー皿程度の大きさのガラスの円盤の縁にそって並んでいるもので、ゾープラクシスコープと呼ばれた。
投影されたのは実のところ写真ではなく、写真をもとに描かれた絵であった。
1879年にスタンフォードと友人らを相手に上映され、サンフランシスコで一般にも公開された。
スタンフォードの出資により、パリとロンドンでの講演旅行も行われた。
この連続写真を見たエジソンは大いに触発され、後に映写機キネトスコープを発明することになる。そして、キネトスコープはシネマトグラフにつながり、映画が誕生することになる"
・Twitter / @Koji_Yamamuraさん
"NHK Worldで2012年4月より放送される英語版 "TAKESHI Art Beat"のオープニングタイトルを制作。「たけしアート☆ビート」の公式サイトでタイトル映像が視聴できます"
・たけしアート☆ビート(こちらに山村氏のタイトル映像)
"NHKワールドでは、2012年4月より28分に再編集した 英語版 TAKESHI Art Beatの放送が始まります。詳細は、NHK WORLDのサイト でご確認ください"
・映画『マイブリッジの糸/Muybridge's Strings』 公式サイト
・Muybridge - YouTube マイブリッジが撮った映像がいくつかYoutubeに。
・Eadweard Muybridge - YouTube このあたりが御薦め。
・Eadweard Muybridge - Wikipedia, the free encyclopedia
エドワード・マイブリッジ - Wikipedia
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カフカ作・山村浩二監督『田舎医者』
"繰り返される現実に、絶望を抱えて生きる。”田舎医者”はわたしたちの日常にいる―
日本人初、オタワ国際アニメーション映画祭グランプリ受賞作品。『頭山』の山村浩二が挑むカフカの世界。
(ストーリー)田舎医者は困り果てていた。すぐにでも患者のところに行かねばならない。そんな時、ふと目の前に突如あらわれた馬子。馬に乗ると一瞬にして
遠く離れた患者宅に到着した。何か困ったことがおこると、神様は私に救いの手を差し伸べてくれる―。暑く湿った部屋。すすり泣く家族。わき腹に薔薇色の傷
を咲かせた少年。だが、どうしようもない出来事ばかりを前にして私は何もできない。私は医者だ。私は無能だ。自分を救うために自分をだまし、こうして私は
また絶望の朝を迎える・・・。
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山村浩二『マイブリッジの糸I』
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山村浩二『マイブリッジの糸II』
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