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2012年7月

2012.07.30

■動画 館長 庵野秀明 特撮博物館 〜ミニチュアで見る昭和平成の技〜 3D:立体動画


館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技 3D:立体動画 - YouTube

"2012年7月10日(火) ~ 10月8日(月・祝) 休館日 月曜日
開館時間   10:00 〜 18:00(入場は閉館の30分前まで)
会 場   東京都現代美術館 企画展示室 1F・B2F
主 催   公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 / 日本テレビ放送網 / マンマユート団
企画制作協力   スタジオジブリ / 三鷹の森ジブリ美術館
館 長   庵野秀明  副館長   樋口真嗣
巨神兵 宮崎駿  巨神兵造形 竹谷隆之
展示コーディネート  原口智生 / 西村祐次
後 援   文化庁 / 読売新聞社 / TOKYO FM / tvk
協 賛   KDDI株式会社 / EPSON
展示協賛   ア・ファクトリー
特別協力   東宝 / 円谷プロダクション / 角川書店 / ピー・プロダクション / 宣弘社 / 手塚プロダクション
協 力   特撮研究所 / 早稲田大学芸術科学センター 安藤紘平研究室 /
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン / グッドスマイルカンパニー /
楽天トラベル / 原口智生コレクション / M1号 / カラー
公式HP
東京都現代美術館 開催詳細情報"

 先週行ってきた"館長 庵野秀明 特撮博物館" 3D映像をアップ。
 音楽はDignen "Number the Stars"。Youtubeの編集機能で検索できる曲から選択。裸眼並行視とか3Dモニタで御覧いただければ幸いw。
 ミニチュアの撮影が出来るということで、勇んで3Dハンディカムの愛機 SONYHDR-TD10を持参して撮ってきた。気分は立体 特技監督(^^;)。

 僕の撮影の腕の悪さは(なんてふらつくカメラ、パン速度が早すぎるw!)置いといてw、ミニチュアの精巧さを記録に残すのには3D映像は最高ではないだろうか。その細部の立体感とそれらが重なった時の重厚感は立体映像の本領発揮であると思う。
 いや、まじめな話、今回会場内は撮影できなかったのだけれど、是非とも公式記録として本格的な3Dカメラで数々のミニチュアを撮影して、貴重な立体造形物の記録として残していただきたい。
 そして3Dテレビが普及した時に、是非とも立体映像のコンテンツとして世に出していただきたいと切に思う。

◆立体映画としてのミニチュア特撮の可能性
 ミニチュア特撮の可能性って3D映画としても追求できる素材だと思う。
 ステレオベースの違いによる遠近感、巨大感の違いとか、スモークや炎や爆発の奥行き感に与える効果等々。
 かの特撮の神、円谷英二も手がけていない3Dの技術開発を是非、日本の特撮関係者には進めていただきたい(そうしないとどんどんキャメロンとかに置いていかれそうw。『アバター』ってCGではあるけれど立体空間の中でその可能性を切り拓いてるから)。
 樋口監督もしくは庵野監督には立体怪獣映画を撮ってほしいものです(^^;)。
 「世界初の3D怪獣テレビ特撮シリーズ」を是非!!

◆おまけ Youtubeの動画編集における選曲機能について

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 今回、音楽編集をYoutubeで実施したのだけれど、これが15万曲におよぶ楽曲から好きな音楽を選べるという素晴らしい機能なので簡単に御紹介。

 まずYoutubeに編集した動画をアップする。その際に音声はあってもなくてもOK。
 そして上記編集画面にて「音声」タグを選ぶと上の用な画面が現れる。
 ここで右に出てくるのがYoutubeが用意した楽曲のうちの「注目曲」。ここから選ぶ手もあるけれど、できるだけ他で使われていない曲を選ぶなら、右下にある検索ボックスに、自分で何か映像にあった英単語を入れてみよう。

 今回は特撮シーンに合わせて「collapse(崩壊)」という単語を入れて探してみた。そして出てくる楽曲がその下。
 曲の長さやジャンルが示されるので、ピンときたものをクリックすると、その場で自分の映像に合わせて音楽が再生される。
 気に入らなければ次の曲をクリック…こうしていつしか映像にあった自分の好みの音楽を探しだして、それを保存すれば、へたくそな映像もそれなりに格好がつくという優れもの。
 これはお薦めです!

◆関連リンク
3D3D3D -ステレオ3D情報ブログ- : 「特撮博物館」に行ってきた時の3D写真
 迫力のミニチュア立体写真はこちら!
館長庵野秀明「特撮博物館」/映画「巨神兵東京に現わる」記者発表会 3D - YouTube

"企画に関わったスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーや特撮博物館館長の庵野秀明氏、「巨神兵東京に現わる」の監督で、特撮博物館副館長の樋口真嗣氏らのコメントなども取材しました。"

 実は3D動画一番乗りを目指したのだけれど、既にこのような映像がアップされていた。こちらは庵野監督他の立体視も可能(^^;)。
館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技 | トピックス | 美術館・博物館・イベント・展覧会 [インターネットミュージアム]
 レポートで触れた「巨神兵東京に現わる」の上映会場手前の崩壊した国会議事堂等の写真も掲載されています。実物に比べると迫力は今ひとつですが、未見の方は御参考まで。

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2012.07.27

■情報 青森県立美術館「Art and Air ~空と飛行機をめぐる、芸術と科学の物語」「没後10年特集展示:成田亨」

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Art and Air ~空と飛行機をめぐる、芸術と科学の物語 | 青森県立美術館

"12年7月21日(土)− 9月 17日(月•祝)
休館日: 会期中無休
開館時間: 9:00-18:00(入館は17:30まで)
 空を見上げる...神話の時代から続く飛翔の夢、大空への挑戦と挫折の歴史。 空から見下ろす...俯瞰の視点に込められた人間の意識。 空と飛行機が織りなす、豊かな物語の数々。 飛行機のフォルム、メカニズムの魅力とそこに投影された人々の欲望。 そして、「空をとぶこと」の意味。 それまで地上を移動することしかできなかった人間の思考や感覚は、空にあがることでどのように変化したのでしょうか。 本展は、「空」と「飛行機」をモチーフとした様々な作品、資料をとおして、20世紀という時代の社会性や、現代に生きる我々人間の精神性を考察する文化史展です"

没後10年特集展示:成田亨 ほか | 青森県立美術館

"没後10年特集展示:成田亨 ほか 2012年7月14日(土) - 10月3日(水)"

 成田亨所蔵作品リスト | 青森県立美術館

"彫刻家・成田亨による「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」に登場するヒーローやメカ、怪獣、宇宙人のデザイン原画計189点を、平成11年度に一括して収集しました。 青森県出身のアーティストが手がけた仕事であることに加え、現代日本文化を代表するモチーフであること、さらにはそのデザインの理念に高い芸術性が読みとれることから、美術館のコレクションとしました"

 没後10年特集展示成田亨の展示作業も進んでいます♫ | 青森県立美術館Blog

"今回は、 青森県立美術館の成田亨コレクション、「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」に登場するヒーロー、怪獣、宇宙人のデザイン原画を、過去最 大規模で公開するとともに、油彩画、彫刻や、「突撃ヒューマン」の貴重な資料なども展示!これは見応えがあります!"

 特撮造形美術の成田亨さんの記念展と、「空」と「飛行機」の展示が合わせて開催されている青森県立美術館の御紹介。
 Blogに成田亨作品展示の写真掲載されていて、様子が少し伺えます。

 美術と特撮の関係を紐解くのに、成田亨さんの存在は欠かせないと思うので、そうした方面の関心がある方には、興味深い展示会なのではないかと考えます。

 僕は遠方で行けませんが、御近くの方は是非に。

◆関連リンク
当Blog関連記事
■感想 成田亨『特撮と怪獣 わが造形美術』『特撮美術論』

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2012.07.25

■感想(2) 「館長庵野秀明 特撮博物館」 ミニチュア特撮の未来

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館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(公式HP)

 先日のレポートの続きを、まずは巨神兵プロトン砲発射造形ヘッドを少し上のアングルから写した眼がかわいいオーマ風の写真からスタートしたい(^^)。

 今回はこの展覧会がタイトルとした「ミニチュア特撮」の未来について。

 図録等によると、特撮博物館のコンセプトはふたつある。
 ひとつは今までの日本映像界の財産であるミニチュア特撮の造形物の保護。もうひとつはその映像に込められた魂とそれを作り出した技術の伝承。

 いつものように結論から書くと、僕は郷愁からコンセプトの一つめの造形物の保護は賛成、加えて二つ目の日本特撮が育んで来た工夫する魂の伝承には大賛成なのだけれど、技術としての伝承/ミニチュアへのこだわりには実は反対だ。

 魂はCGによる特撮/SFX映像にも熱く伝承されるべきと思うのだけれど、技術は進化して行くものだから、ミニチュアにこだわらずにCGへ移行してもいいのではないか、と思う。映像に工夫とワンダーさえあればその手段は問わない(^^;)。これが今日、書きたいことの結論です。

◆命題 ミニチュア特撮の魂は数値海岸に存在するか?

飛浩隆(@Anna_Kaski)さん/2012年07月08日 - Twilog

"つ http://t.co/IfQCXbkw RT @BitingAngle トイ・ストーリー3を見てると、なんだか『グラン・ヴァカンス』を連想しちゃうんだよな。放棄されたおもちゃの存在意義と、彼らの自意識の問題とか。あと、遊びが基本的には残酷で無慈悲な行為で、子供はそれに躊躇がないところとか。 "

 特撮博物館の後、歩きながらBitingAngle:青の零号さんが話してくれたこの内容が本項のきっかけになっているので、引用してみました。

 この引用されている内容もとても興味深いのだけれど、この話をそのまま続けるのではなく、現在の特撮技術CGの数値情報/解析ロジックの中に特撮の魂と技術は伝承できるのか、ということを少し考えてみたいのだ。

 僕は日本のミニチュア特撮に感動したセンスオブワンダーの延長上で、現代の映画で多用されるCGの進化にワクワクし続けている。どちらも大好きで、特に近年では有り得ないような物量とスピード感と奇想なイメージがCGから登場しているため、手放し状態に近い。映像の最先端は、そうしたCGと日本の一部のアニメ(ヱヴァンゲリヲン新劇場版とかw)が切り拓いていると考える。

 ミニチュア特撮の何に人はひかれるのか。
 手作り感が大事ならば、手の触感をどうCGへ持ち込めるかを技術的に工夫するのが重要なのではないか。モデリングの技術として、VR:ヴァーチャルリアリティのテクを用いれば手の触感と数値世界のCGモデルのフィードバックを実施して、手作りの触感の再生は可能だろう。

 ミニチュアの持つチープ感と空気抵抗によるブレのなんとも言えないキッチュ感。そして火炎の渦巻くリアルな迫力。爆発によるビルの倒壊の偶発的な映像のダイナミズム。
 これも実はCGの物理シミュレーションの進化で、数値世界で早晩、再現は可能になるだろう。

 物の動きの解析は既に物理的な線形の計算で実現されている。ハリウッド等のCG作品でもその恩恵にあずかっているものは無数にある。
 工学と科学の世界で実施されている数値シミュレーションで最も難解なものが流体力学解析である。これもロジックの進化と計算機能力の向上でかなりリアルな世界に近づいていて、CGにも多用されて来ている。

 爆発や火炎の動きは、まさに物体の物理シミュレーションとまわりの空気の流体解析問題である。偶然性はランダムの生成で作り出せるし、もっと簡単に言えば、今回の「巨神兵東京に現わる」で新たに開発されたビルの破壊方法2種類は、数値空間の中で、そのままあのミニチュアをモデリングし、同じように動かせば、同等の映像は撮れるだろう。そしてデジタルデータとして生成された映像は、加工や他との合成も自由自在。

◆特撮魂の駆動体としてのCG

 工夫する熱い映像魂とそうした技術の伝承は、物理シミュレーションが可能になったCG空間へ導入することが出来るはずである。
 たとえば不要な部分のビルの中味をモデリングしないとか、超遠近法とか、そうしたものもCG空間へ取込んで自由自在に個性的に使いこなす映像クリエータが今後の特撮/SFXシーンの最先端を走るのではないだろうか。

 シミュレーションテクノロジーを描いた神林長平の『魂の駆動体』を想いだす。
 まさにミニチュア特撮魂の駆動体としてのCGエフェクト。


 むしろミニチュアかCGかなんてことよりも、そこに成田亨や高山良策、小松崎茂、井上泰幸といったアーティストの個性をどう活かしていくか、ということの方が重要だろう。
 CGなら、各アーティストのデザインセンスをロジック化して取りいれることも可能。よくここで書いているように、金田伊功のようなアニメータの感覚もロジック化さえできれば、もしかしたらそんな映像ツールが可能になるのかもしれない。

 ミニチュアへのノスタルジーから博物館を作るのはとても重要だと思う。
 しかし郷愁のあまり技術の進化に眼をつぶってミニチュアに拘りすぎると、ますますガラパゴス化して日本の映像界には暗い未来が待っているような気がする。

 と書いているけれど、庵野秀明監督も樋口真嗣監督も映像の戦端を切り拓いている方々なので、そんなことはとうに理解された上での特撮の見直しなのだろうと思う。(宮崎駿監督だけは手描きアニメへの偏執的な拘りからCGを敵視しているようだが…本来、今やるべきは日本手描きアニメの何がCGに比較した利点で、それをどうCGに取込むべきかの工夫だろうと思うのだけれど、これはまた別の話(^^;))

◆関連リンク
CUT7月19日発売号、表紙&ラインナップ! - Cut 編集部日記 | ブログ | RO69(アールオーロック) - ロッキング・オンの音楽情報サイト

"特集:庵野秀明、語る。――巨神兵、エヴァ ンゲリオン、そして自分。 原体験としての特撮、宮崎駿との邂逅をもたらした巨神兵、そして、エヴァンゲリオン――。展覧会『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』の開催を機に、そのクリエーションの本質を剥き出しにする20000字インタビューを敢行! そし て彼をよく知る人物らのインタビューにより、庵野秀明という“人間”を浮き彫りにする。
・樋口真嗣、なぜ特撮だったのか ・鈴木敏夫 「庵野秀明 欠席裁判」"

『Cut (カット) 2012年 08月号』

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2012.07.23

■感想 「館長庵野秀明 特撮博物館」 樋口真嗣監督「巨神兵東京に現わる」

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館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(公式HP)

 究極映像研 初オフ会ということで、東京分室のひねもすのたりの日々のshamonさんと、Biting Angleの青の零号さんの三人で行って来ました。究極映像研として東京へ赴いたのは、シュヴァンクマイエル氏が2007年に来日した際以来。

 今年の夏は外せません(^^)。「特撮博物館」は小中学生時代の自分、そして「巨神兵東京に現わる」はまさに現在の自分が希求して病まない(いや、止まない)イベントw。

 まずは「特撮博物館」から。既に分室の御二人を初め、多くの方々がレポートされているので、一般的な紹介は他を観ていただくとしてw、個人的な感想を中心に書きます。

 今回、企画展のタイトルは「ミニチュア」となっているけれども、絵コンテからイメージスケッチ、絵画までかなり幅広く奥深く特撮に関するアートが表現されている。成田亨、小松崎茂も原画は初見なので、その色やタッチをしっかりと味わうことができた。

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 特に僕が感激したのは、やはりその中核のミニチュアw。
 円谷プロの『マイティジャック』のMJ号と『ウルトラセブン』ウルトラホーク1号、そして東宝映画の『日本沈没』の深海潜水艇わだつみ。
 子供の頃に熱狂して好きだった空想科学映像を創り上げた、その映像素材が生の形で観られるのは、何にもまして感慨深い物が、、、。まさかこんな物を観ることが夢のように叶うとは子供の頃には思ったこともなかったわけで、あの頃の自分に「21世紀は君が思っているほど、未来感が溢れているわけではないけれど、こんな凄い企画も待っている、なかなか捨てたもんじゃない」と教えてやりたいものだw。
 
 特撮の技巧としては、超遠近法のマイティジャックの青焼き図面と、実際に何かの映画で使われた(?)山間部の高速道モデルが観られたのが大きな収穫だった。
 残念ながら写真は撮れなかったのだけれど、MJ号の等尺模型に対して、主題歌にあるドックで進水を待つシーンの超遠近法の写真を、展示室で見比べてその効果の絶大さが実感できたのは貴重な体験だった。

 そしてミニチュア撮影可能な特撮ステージでは、今回、SONYの3Dハンディカムで、特撮3Dカメラマンになりきり撮影できたので、血湧き肉踊る体験だった。
 その成果は、今週は編集が間に合わなかったけれど、来週にはYoutubeの3D動画としてアップしたいと思っている。

 ここから少し辛口で書くと、そうした郷愁を差し引いて、美術館のアート展として見ると、ミニチュアはなかなか厳しいものがあるw。
 郷愁を持たない世代や、海外の一般客がどう見たか、是非知りたいものだけれど、たぶん美術としての評価はそれほど高くはないだろう(人によっていろんな受け止め方はあるかと思うけれど、、、)。
 その視点で大変残念だったのは、成田享氏の怪獣デザイン画と高山良策氏の怪獣造形品の展示、特に『ウルトラQ』のあの奇想な怪獣の展示が一つもなかったこと。
 まさに「特撮美術館」でなく「博物館」という呼び方が正しいのかもしれない。
 今回の展示は、そういう意味で一般性はおそらく持ち得ない、ローカルな世代とマニアへの贈りものなのだと思う。

 自分の過去の空想科学史をたどるタイムトラベル的な楽しみ(^^)。

◆感想 樋口真嗣監督「巨神兵東京に現わる」


 まず特筆すべきは、その上映会場入り口に置かれた、映画のシーンにはない特別に作られたミニチュア造形の素晴らしさ。
 まさに崩壊した物の美しさを見事に表現した国会議事堂。超高層ビルの内蔵されたコード類と溶けた鉄骨が飛び出した造形。そして東京タワーの残骸。

 特に国会議事堂は、現在の日本人の精神の一部と、政治の崩壊感を風景として表現していて強く迫ってくる。(ここで提示された日本ミニチュア造形のひとつの到達点、非常に多くのミニチュアが漏れなく掲載されている充実した図録に、これらの作品が入っていないのは完成した時期の問題なのか、それとも意図的なのか?)
 同じく国会議事堂を崩壊(溶融)させた松林宗恵監督 円谷英二特技監督『世界大戦争』(絵コンテ:小松崎茂、うしおそうじ)に近いものがあり期待感を高める。

 これらを堪能して、上映会場へ入ると、舞城王太郎が書いた謎の言葉が冒頭で提示される。舞城が得意とする兄弟をその素材として描かれた言葉。東京の街の実写映像にかぶる林原めぐみによるナレーションと、空を舞う火の粉(?)の醸し出す不安感はなかなかのもの。

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 宮崎駿はまだこの映画を観ていないというが、この会場のレイアウトで表現されている崩壊感と、映画の冒頭を、無意識として/意識としてどう受け止めるか興味深い。ここで『風の谷のナウシカ』において宮崎が巨神兵にこめた想いの一部は確実に具現化されていたと思うのだけれど。

 その後の実際の巨神兵による迫力あるハルマゲドンの風景。
 一部残念だったのは、せっかくの巨神兵の造形が充分に映像として記録されていなかったこと。事前に素晴らしい発色で公開されている竹谷隆之氏の造形美が、映画の画面では、巨神兵の黒く茶色の艶かしいボディが、何故か光で白茶けたようなハイキーな映像になっていた。そして電飾も少し安っぽい作り物感が…。これは好みの問題かもしれないが、特撮の映像は、スチル写真より本来もっとイメージ喚起力があるはずである。樋口監督による映像は、いつもながら素晴らしいレイアウトとカット割りで感嘆したのだけれど、もう一歩、巨神兵そのものの色が元々の造形に極力近いものになっていたらと思わずにはいられなかった。
 
 そしてもうひとつは、何故か写真の書き割りの人物。本来、特撮は実在する風景に異界のものを合成する醍醐味があるはずなのに、冒頭で実写で表現した人々の住む街 東京が崩壊する前に(写真を切り抜いて立てた書き割りのペラペラな人以外いない)無人の街と化してしまっている描写はどうにもいただけなかった。本来逃げ惑う人々の動きと組合せた映像のダイナミズムがミニチュア特撮の醍醐味なのに。何故? 動かず携帯のカメラでシャカシャカ撮影を続けるのが現代の東京のリアルであるわけはないだろう。

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 あと期待した都市の崩壊シーン、コンクリートの高層ビル群が巨神兵のプロトン砲で裂かれて熱で溶融する『世界大戦争』のような地獄図が観られるかと期待したのだけれど、あのレベルまでは到達していなかったような…(もちろん予算や準備期間の課題は大きかったと思うけれど、純粋に映像のインパクトとして)。

 ということで、火の七日間の始まりの表現として巨神兵の群れの映像には感動したのだけれど、もっと特撮映像の可能性を表現できるはずの素材だっただけに、そうした部分が残念でならなかった。(やはり庵野秀明監督によるアニメ『風の谷のナウシカ漫画版』の3部作かTVシリーズを是非とも実現して欲しいものである。もちろん絵コンテは樋口真嗣監督も加わって!)

 映像表現としてのミニチュア特撮の未来については、次回!

◆関連リンク
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」(東京都現代美術館): ひねもすのたりの日々
東京都現代美術館「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」 - Biting Angle

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2012.07.20

■感想 京極 夏彦『百鬼夜行 陽』

京極 夏彦『百鬼夜行 陽』
 この本の装丁も京極の改行と同じくかっちりした読後感のイメージ生成に役立っていそう。京極のデザインマジックの一端であろうか。

 久々の京極読書だったが、相変らず構成がかっちりして小気味のいい短篇10作。
 榎木津礼二郎の視覚の謎を幼少期から描いた「目競」の奇想視点が白眉。でも、他も味わい深い妖怪達である。

京極夏彦作品人名事典 - 京極夏彦作品人名事典
 こちらの人名事典で読解が深まる。既に<百鬼夜行>シリーズも『姑獲鳥の夏』の1994年から20年近く経ち、最新作の『邪魅の雫』からも既に6年。随分と登場人物とかストーリーも忘れているが、この人名事典で追いかけるとまざまざと記憶が蘇る。それにしても凄い労作。感謝です。

◆関連リンク
作品紹介|京極 夏彦『定本 百鬼夜行 陰』『定本 百鬼夜行 陽』|文藝春秋|特設サイト
 京極夏彦による作品の朗読動画あり。

『定本 百鬼夜行 陽』 (京極夏彦 著) | 著者インタビュー 人の世の哀しみを妖怪に托して - 本の話WEB

"榎木津の一人称は書けないんです。内面のありようが常人とはかけ離れ過ぎていて、そのまま書いたらおそらく意味が分からないものにしかなりませんね。"

大沢オフィス-公式ホームページ- 大極宮

講談社:電子百鬼夜行シリーズ(京極夏彦)

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2012.07.18

■感想 スタジオジブリ小冊子『熱風』2012年7号 特集「館長 庵野秀明 特撮博物館」

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小冊子『熱風』2012年7号の特集は「館長 庵野秀明 特撮博物館」 - スタジオジブリ出版部

"昭和の時代から生き残った小道具たちを見てもらいたい (西村祐次(M1号代表。コレクター))

これだけすごいミニチュアを見られて、君たち幸せだろう (宮脇修一)

特撮作品で演じること (佐野史郎)"

"ルーツとしての特撮、原点としてのウルトラマン(庵野秀明)"

" 巨神兵は宮崎さんの中で一番特撮に近いキャラクターだと僕は思っています。今はなんだか否定しているそうですが、もともとは宮崎さんも特撮が好きだと思うんですよ。現在の特撮にはまるで興味ないと思いますけれども、最初の『ゴジラ』は見ていて、以前はそういう話もしてくれましたから。東宝だと最初の『ゴジラ』『ラドン』『モスラ』までは「映画館で見た」と言ってましたね。『ゴジラ』もすごく褒めてたし『ラドン』に出てくるお座敷怪獣を気に入っていて「それをラドンが食べるんだ。きちんと生態系も描いているし、あれを食べているところがいい」なんて話をした"

" 大学のときに僕がつくった自主映画の『ウルトラマン』は、すごく気に入ってくれてましたから。"

" 宮崎さんの中で実写はすごくハードルが高くて、昔「実写じゃ、自分の作りたいものはできない、だからアニメをやる」って言ってたことがありましたね。"

◆宮崎駿の特撮感
 ジブリ『熱風』 「特集 館長 庵野秀明 特撮博物館」入手。
 ネットで何度も観た巨神兵の写真だけど、印刷物として手にとると、やはりデジタルとは違う。本の表紙の写真物として、物としてそこにあるという現実感。これが記事でも述べられているミニチュアとCGの質感の違いに繋がるんだろうと思うw。

 冒頭の引用は、庵野氏が語る宮崎駿監督の特撮感。
 今までに、あまり表に出て来ていない宮崎の特撮評がこのように記述され、公にされるのはある意味とても貴重ではないだろうか。

 引用以外にも、息子の吾郎氏と観ていた『仮面ライダー』の宮崎さん評とか興味深い記述がいくつか。

◆他の記事
 西村祐次氏のコレクターとしての歴史がたいへん興味深い。
 子供時代のウルトラのスタッフが自分の家の旅館に泊まっていた様子とか、その後、古谷敏氏の会社で怪獣ショーの仕事にたずさわり氏から初代ウルトラマンの台本やヘルメット等を譲り受けるくだり。

 この方のような地道なコレクションがなければ、ほとんど残されていなかったであろう特撮の現場の品々。今回の特撮博物館における展示品の数々が、今に残されている経緯として貴重な記録である。

 そうした記事にも増して、僕にはこの表紙だけでも、ずっしりと重く嬉しい小冊子であった。

◆関連リンク
庵野監督作「マットアロー発進命令」
 引用にも出てくる庵野監督の自主映画、宮崎駿も賞賛したという『帰ってきたウルトラマン』の映像。久々に冒頭観たけれど、やっぱグっと来るw。
朝日新聞 庵野秀明インタビュー
 こちらのBlogで紹介されている、ミニチュアの中に佇む庵野ウルトラマンもとてもいいw。
庵野秀明の特撮博物館で「巨神兵東京に現わる」が上映 -AV Watch
 多くの記事の中で、この記事は写真も充実して読ませます。

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2012.07.16

■情報 ギレルモ・デル・トロ監督『パシフィック・リム』Guillermo del Toro "Pacific Rim"

Pacificrimhorzvert

Pacific Rim(Legendary Pictures Official)

"From acclaimed filmmaker Guillermo del Toro comes Warner Bros. Pictures' and Legendary Pictures' epic sci-fi action adventure "Pacific Rim."

When legions of monstrous creatures, known as Kaiju, started rising from the sea, a war began that would take millions of lives and consume humanity's resources for years on end.  To combat the giant Kaiju, a special type of weapon was devised: massive robots, called Jaegers, which are controlled simultaneously by two pilots whose minds are locked in a neural bridge.  But even the Jaegers are proving nearly defenseless in the face of the relentless Kaiju.  On the verge of defeat, the forces defending mankind have no choice but to turn to two unlikely heroes-a washed up former pilot (Charlie Hunnam) and an untested trainee (Rinko Kikuchi)-who are teamed to drive a legendary but seemingly obsolete Jaeger from the past.  Together, they stand as mankind's last hope against the mounting apocalypse.

Oscar® nominee Guillermo del Toro ("Pan's Labyrinth") is directing "Pacific Rim" from a script by Travis Beacham ("Clash of the Titans") and del Toro.  Thomas Tull, Jon Jashni and Mary Parent are producing, with Callum Greene serving as executive producer.

The film stars Charlie Hunnam (TV's "Sons of Anarchy"), Idris Elba ("Thor"), Rinko Kikuchi ("The Brothers Bloom"), Charlie Day ("Horrible Bosses"), and Ron Perlman (the "Hellboy" films).  The ensemble cast also includes Max Martini, Robert Kazinsky, Clifton Collins, Jr., Burn Gorman, Larry Joe Campbell, Diego Klattenhoff, and Brad William Henke. 

Del Toro's behind-the-scenes team includes Academy Award®-winning director of photography Guillermo Navarro, production designer Andrew Neskoromny, editor Peter Amundson, and costume designer Kate Hawley.

Slated for release in Summer 2013, "Pacific Rim" is a presentation of Warner Bros. Pictures and Legendary Pictures.  The film will be distributed by Warner Bros. Pictures, a Warner Bros. Entertainment Company.

(Google翻訳)怪獣と呼ばれる巨大な生き物の大群が海から上昇し始めたとき、戦争は何百万もの命を奪うと最後に長年人類の資源を消費することを始めました。巨大なロボット、Jaegersと呼ばれる、その精神神経ブリッジでロックされている2人のパイロットによって同時に制御されます。巨大な怪獣、武器の特殊なタイプを考案したと戦うために。しかし、たとえJaegersは、執拗な怪獣の顔のほぼ無防備立証されています。敗北の危機に瀕して、人類を守る力は選択肢はありませんが、2つのほとんどにオンにする英雄·元パイロットを洗浄し(チャーリーHunnam)とテストされていない研修生(菊地凛子)誰が伝説的な一見時代遅れのジャガーを駆動するためにチーム化されている過去から。一緒に、彼らは取り付け黙示録に対する人類の最後の希望として立っている。"

 公式HPのSynopsis。
 「Kaiju」という表記が素晴らしい(^^;)。やはりここは「Monster」では駄目ですね。ということでエンドロールのスタッフリストは「Special Effects」ではなく「Tokusatu」にしてほしいもの。

 ロボットの名 Jaegerは「猟師, 狙撃兵」の意。ポスターのイメージからすると、わりとかっちりした真面目な人型ロボットのようだ。『ヘル・ボーイ』でみせたまるでベクシンスキーのようなあのデザイン感覚で描かれた暗黒のロボットも観てみたいものw。

 『ノルウェイの森』の菊地凛子が出ているのも少し期待。やはり怪獣と巨大ロボットには日本人が似合うw。(でもオタクのイメージは決して菊地凛子ではないと思うww)
 ヘル・ボーイに続くロン・パールマンの出演も期待である。

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2012.07.13

■予告篇 Sam Fell, Chris Butler監督 "ParaNorman" (スタジオライカ)

Photo

ParaNorman - Movie Trailers - iTunes

 『コララインとボタンの魔女』のスタジオLaikaが制作するストップモーションアニメの第二弾。
 『コラライン』でストーリーボードを担当したChris Butlerと、Sam Fellが共同監督。

 2012年8月アメリカ公開。
 
 ゾンビに包囲されている小さな町その町に暮らす死者と話すことができる唯一の少年ノーマンの超常的な活動を描いた映画とのこと。

 このノーマン少年のパペットの制作風景をこまどりしたメイキングが、リンク先のAppleのサイトに掲載されている。

20120708_74836

 この映像がなかなか楽しく、興味深いので、御薦めです(右引用写真)。

◆関連リンク
sam fell | Tumblr
 監督のサム・フェールのTumblr。
■感想 ヘンリー・セレック監督『コララインとボタンの魔女』: ★究極映像研究所★

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2012.07.11

■感想 園子温 監督『恋の罪』Guilty of Romance

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園子温 監督へインタビュー! 衝撃傑作『恋の罪』が遂に公開!
(Web Magazine “Qetic”
)

"言葉が無いところには何も無い。まあ、「言葉が最初にありき」って聖書にも言われるくらいなんで、言葉がモノを動かしていると思いますよね。 やっぱり僕は、言葉から創作を始め、詩を書いていたのでそういう意味では、言葉は凄く大事です。(略)
言葉が無いとここに何も存在しないんですよね。「愛」って言葉もそうですけど、それが導入される事によってその感情は「愛」と言う事になる。それでモノが動いていくんだと思います。"

 園子音監督『恋の罪』DVDを観た。
 前半〜詩のシーンまでがシリアスで今回はどこまで連れてってくれるのだろうと凄く期待…。あれ?
 後半「きちっと堕ちてこい!」あたりから、もしかしてこれはアングラ演劇風爆笑衝撃作かと思いはじめ(^^;)、最後は少しだけシリアスに戻りつつも…やっぱ不思議な作品だった。

 今のところ、僕は『愛のむきだし』>>>『恋の罪』>『冷たい熱帯魚』の順かなw。

 それにしても富樫真の“帰途”の朗読シーンはドキドキした。冒頭に園監督のインタビューを引用したが、このシーンで頭の回路が神林長平の言語SFモードへ突入したかと…w。
 そして出色の富樫、大方斐紗子、神楽坂恵の食卓シーンの超絶御茶の間描写。怖すぎる、史上最凶のホームドラマシーンかw。

 山田太一は70年代に『岸辺のアルバム』で日本の主婦の憂鬱を見事にテレビドラマで描いていたのだけれど、これはまさに21世紀の『岸辺のアルバム』でもあると思う。それは若い刑事が語る主婦とゴミ袋のエピソードに顕著であると思う。

 詩人でもある園監督、“帰途”の使い方も、あのプラハの作家の作品の使い方も鮮烈。
 東電OL事件とは、かくも深淵を覗かせる不条理なものだったのですかね。どこがノンフィクションか…無性に知りたいw。

 もうひとつ、うちのBlog的な感想を書くと…。
 冒頭の円山町の殺害現場に到着した刑事の描写と、遺体と人形。
 これはたぶん押井守監督『イノセンス』にインスパイアされた場面なのではないか。この類似はたぶん無視できない関係だと思う。

◆関連リンク
恋の罪 - Wikipedia
『恋の罪』完成披露記者会見 - YouTube
『恋の罪』初日舞台挨拶 - YouTube

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2012.07.09

■情報 「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」CM他

Cm

「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」特集
 CM と 記者会見動画 [テレビドガッチ]

"空想空間の創造、それを具現化する繊細かつ大胆な技術。特撮で何を見せたいか、何を伝えたいか、何を残したいのか。東京都現代美術館に再構築されるミニチュア特撮の魅力『館長庵野秀明 特撮博物館』…最新特撮短篇映画を上映"

 7/10からいよいよ一般公開となる『特撮博物館』CM、これは必見です!
 ナレーションは庵野作品常連の重鎮 清川元夢氏。氏が雰囲気を出して語られるナレーションの言葉が上の引用。まるで昭和の怪獣映画の映画館で上映された次の作品の予告篇のような映像と音の佇まい。

 まさに昭和の香り! 『帰ってきたウルトラマン』放映時、昭和46年の金曜夜7時前にタイムスリップして、テレビの前でワクワクして待ってる気分がしてくる。
 

 というわけで、この「博物館」は60年代生まれ、特に幼児期に『ウルトラQ』('66)から入って、『ウルトラマン』('66)、『ウルトラセブン』('67)、『マイティジャック』('68)、『怪奇大作戦』('68)という順番で観てきた庵野秀明氏ら世代の魂を直撃する展覧会である(僕も同世代w)。

 特にこの円谷特撮TVシリーズ、その最初が『ウルトラQ』であったのが、彼らの魂に強烈な刻印を残しているのではないか。僕の印象は、やはり『ウルトラQ』が子どもには背伸びしたような大人の話であり、むしろその後の『ウルトラマン』は、どこか子供っぽい、やはり通は『ウルトラQ』だぜっ(^^;)みたいな感想を生意気に持っていたような気がする。もちろんマンもセブンも大好きだったけれど、、、。
 そしてとどめは万能戦艦マイティ号の1〜13話、大人のムードを持ったハードな物語による徹底的な刻印である。

 今回、リンク先の記者会見の動画で、庵野秀明監督、樋口真嗣監督の後ろにある巨大なMJ号の勇姿を見て、あのマイティ号がこの場にあることの感動をひしひしと感じた僕は、魂の刻印の導きに応じて(^^;)、東京へ行くことを決めた。

 この展示が大成功を収めて、国かジブリで本物の博物館が建造されることになるのを切に祈りたい。

◆1万人事前招待会
 参加された方によるレポート等へのリンクです。
紫の豚さん(@purplepig01)/2012年07月06日 - Twilog

"スタジオジブリ特撮短編映画『巨神兵東京に現わる』(上映時間:9分03秒)
言葉:舞城王太郎、脚本:庵野秀明、絵コンテ:樋口真嗣、
(巨神兵プロトンビーム)光学作画: 庵野秀明。
特撮技術の粋・破壊の美学が詰まった短編。テロップで「火の七日間」が(『旧約聖書』「天地創造」風に)語られる"

 なんとあの舞城王太郎が「言葉」を!
 是非、あの文体で『巨神兵東京に現わる』ノベライズを書いてもらいたいものですw。宮崎駿が激怒しそう。
「館長庵野秀明 特撮博物館」展の先行公開にいった人まとめ(写真ありのみ) - Togetter

"本日行われた「館長庵野秀明 特撮博物館」展の先行公開に参加した人のつぶやき(写真あり)をまとめてみました"

 たいへん充実した写真を集めたツイートのまとめ。
 会場に設置された『巨神兵東京に現わる』のミニチュアセット(撮影可)の写真が素晴らしいです。早く3Dハンディカムで撮りたい。
 (7/9現在「特撮博物館」で動画検索してもミニチュアを撮った動画はネットにないみたい。あれ?)

◆関連リンク
Tokusatsu Pop-Up Museum at Museum of Contemporary Art Tokyo | Spoon & Tamago
 日本のアートを英語で紹介するサイト。
 それにしても、本特撮展のミニチュアステージのイメージ画等の内部資料が、何故か日本語サイトにはないのに、ここには掲載されている。もしかして海外向けプレスキットには含まれていたのだろうか。謎だ。イメージ画は稲村正人氏。
巨神兵 東京に現わる - Wikipedia スタッフリストが挙げられている。
東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO

主 催  公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 / 日本テレビ放送網 / マンマユート団
企画制作協力  スタジオジブリ / 三鷹の森ジブリ美術館
館 長  庵野秀明   副館長  樋口真嗣
展示コーディネート 原口智生 / 西村祐次
後 援  文化庁 / 読売新聞社 / TOKYO FM / tvk
協 賛  KDDI株式会社 / EPSON
展示協賛  ア・ファクトリー
特別協力  東宝 / 円谷プロダクション / 角川書店 / ピー・プロダクション / 宣弘社 / 手塚プロダクション
協 力  特撮研究所 / 早稲田大学芸術科学センター 安藤紘平研究室 / ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン / グッドスマイルカンパニー / 楽天トラベル / 原口智生コレクション / M1号 / カラー

早稲田大学総合研究機構 プロジェクト研究所 安藤紘平所長
マイティジャック オープニング13連発 - YouTube
庵野秀明氏監修、「円谷特殊技術研究所」DVD-BOX、<館長庵野秀明 特撮博物館>にて発売決定! | 円谷ステーション
エヴァンゲリオン : 原宿エヴァストアで「特撮博物館」との連動企画 7月10日から | RBB TODAY

" 原宿・EVANGELION STORE TOKYO-01では10日より、「特撮博物館」連動企画として、庵野秀明総監督と特撮の関係を探るアイテムを紹介する。
期間:7月10日〜8月末日
場所:EVANGELION STORE TOKYO-01(東京・原宿) 1階展示スペース、2階ギャラリースペース
企画内容
●新劇場版「序」と「破」から、総監督庵野秀明自身の描いたレイアウトや設定(複製)を展示
●庵野秀明総監督秘蔵の品(実写作品の衣装・美術素材など立体物)や、ヱヴァンゲリヲンで使用された作画参考用模型など実物展示
●特撮展の特製グッズの販売"

・当Blog関連記事
 ■情報 庵野秀明館長『特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』『特撮展 (仮) 』@東京都現代美術館 Tokusatsu Museum

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2012.07.05

■感想 監督・脚本・撮影・編集・音楽・主演:原將人×マオリ『MI・TA・RI!』

Nara_mitari

原 將人監督の作品 通販 (公式サイト)

"『MI・TA・RI!』☆商品番号:MSP-0006(フランクフルト国際映画祭 受賞ヴァージョン 90min DVD)1本 5,000円(税/送料込み)30本在庫あり。
☆商品番号:MSP-0007(ライブラリー版 付録付き)100,000円(税/送料込み)予約受付中。
☆商品番号:MSP-0006(MI・TA・RI!公開記念 奈良祥智画 限定ポスター) 1枚 30,000円(税/送料込み)10枚在庫あり"

 3週間続けている私的原將人映画祭、その3。原監督の自主映画長篇3作目、2002年の『MI・TA・RI!』を鑑賞。
 本当は間に、作品の順番通り『20世紀ノスタルジア』を再見したのだけれど、これは別の機会に改めて書くとして、この作品についてまず記す。
 引用した奈良美智氏のポスターは、氏が『20世紀ノスタルジア』の熱心なファンであることから、実現したものとのことである。

ライブ・ムービー『MI・TA・RI!』2003年1月17日(金)会場:愛知県芸術劇場小ホール .

"ライブ・ムービー『MI・TA・RI!』 監督・脚本・撮影・編集・音楽・主演:原將人×マオリ 8mm(シングル8)
ビデオ/三面複合スクリーン/シネマスコープサイズ/上演時間81分/2002年
著作・製作:RABBIT COMPANY PRODUCTION イメージ・ペインティング:奈良美智 第1回フランクフルト国際映画祭観客賞受賞作品"

MAORI(アーティスト)

1973年1月1日生まれ。大分県出身。O型。洋画モデル、フリーアナウンサーなどを経て原將人に見出される。2001年初監督作品『原発通信創刊号』はイタリア「ぺサロ映画祭」に正式出品され幅広いファン層を獲得。2002年原將人との共同監督作品『MI・TA・RI!』で「第1回フランクフルト国際映画祭」に正式招待され、同映画祭において「最も美しく叙情的でポエスティックな作品」と絶大な支持を得て、観客賞を受賞した。"

 原監督の奥さんで本作品の共同監督であるMAORI(マオリ)さんの歌と雰囲気/佇まいが素晴らしい。
 冒頭で登場する夢幻に誘うような茫洋とした歌声にまずは感嘆。8mm映像の質感と彼女のヴォーカルが醸し出す独特の世界が素晴らしい。

Mitari_screen

 マルチスクリーン、左右の8mmの映像と中央のビデオプロジェクタの映像とフランクフルト映画祭会場での原監督とMAORI(マオリ)さんの歌とナレーション。そしてそれを記録したDVD。
 おそらくその映像は、マルチスクリーンを8mmフィルムとビデオカメラで撮影したものなのだろう。
 特に会場の8mm映写機のカタカタいう音と、フィルムの解像度の低い映像が独特の雰囲気を醸し出している。

 学生時代に自主映画を学園祭やその他上映会で観た時の、新鮮な瑞々しい感覚を想起させる。

 映し出されるのは、京都と広島と大分と沖縄。日本の歴史を辿る旅。
 そしてそこにかぶさる原監督とマオリさんと息子の鼓卯(こぼう)くんのロードムービーの映像。歴史は背景となり、僕にはこの家族三人の茫洋とした幸せの光景がとても心地いい映画になっていた。
 広島や沖縄といった歴史的な土地が示す問題定義は、ここでは映像のトーンの背景でしかない。それは沖縄で監督自身が語る「何故、われわれは沖縄へきてしまったのだろう」という言葉に現れている。
 それよりもやはり前面に出て来ているのは、原監督の映像や音楽への想いに、本作で強く影響して来ている沖縄独特の土地柄と音楽である。

 僕はいまだこの南国を訪れたことがないのだけれど、この映画ほど、沖縄に行ってみたいという気持にさせる映像には出会ったことがなかった。

 願わくば、この映画の家族のように、彷徨うように一度、自分の家族と沖縄へ行ってみたいものである。

 

 この映画は他の二作と同様に、私的なロードムービーなのだけれど、あきらかに『初国知所之天皇(はつくにしらすめらみこと)』『百代の過客』とは大きく何かが違う。

 それが『20世紀ノスタルジア』で、映画を撮ることについての原の物語がある意味、(20世紀版として)完結したからなのか、それとも新しい家族の誕生によるものなのか、それは作品からだけではわかるものではない。
 ひょっとしたら最新作にして劇場用劇映画第二作である『Soar あなたにゐてほしい』を観たら、何かわかるのかもしれない。
 公開が待ち遠しくてならない。

◆関連リンク
MI・TA・RI!(サイト映画の誘惑より)

"なぜ奈良美智なのかとも思ったが、奈良はアメリカに住んでるとき広末涼子主演の『20世紀ノスタルジア』を100回ぐらい見てシナリオをぜんぶ覚えているぐらいの原将人ファンなのだそうだ。"

映画「MI・TA・RI!」 ポスター - ヒヤシンス ハウス.

"「Missing in Action」が映画のポスターに。 2002年7月7日。 新宿の映画館で上映前に、監督で主演の原さんと奈良さんの対談があった。
このポスターの原画が、今年アメリカのオークションで1億円で落札された。"

 もともとはこの映画のための絵ではない、ということのようです。
マルチ・スクリーンによる映画のライヴ演奏=上映 加藤幹郎

"原のキャメラは、自分自身や自分の家族をとらえ(自分の視点で世界を見つめ)ながら、徹底してナルシシズムを拒絶する。彼は自分(や自分の観念)や家族を鏡 に映すためにキャメラを向けているのではない。そこが凡百のアマチュア映画作家と日本を代表する個人映画作家原將人との違いである。家族をもつ以前の『初 国知所之天皇』(一九七三)から、高校生の息子と「奥の細道」をたどる『百代の過客』(一九九四)をへて、新しい家族とともに思い出の地を旅する最新作 『MI・TA・RI!』(二〇〇二)まで、原はつねに人生という旅を生きながら、家族や友人とともに何者かを探し求めている。"

H.V.S通信54号

"この映画 はわれわれを内省へと導くための映画というよりもむしろ、われわれが純粋な感受性でもって体験するための映画なのである。幹線道路を走る車窓からの風景 と、それに折り重なる8ミリのフィルムの映像、そして歌と音楽のハーモ ニーは、母体の中にいるかのような安堵と陶酔とをもたらす。"

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2012.07.04

■情報 Matthieu FAPPANI : マシュー・ファッパーニの人体変容画

Matthieu_fappani

Dernières productions - Matthieu FAPPANI(イラスト)
VIDEO - Matthieu FAPPANI      (制作風景動画)

 なぜかtwitterでフォローいただいたフランスのアーティスト Matthieu FAPPANIさんのイラストを紹介する。

 人体の変容をCGIを使って描写した作品がなかなか素晴らしい。

 同じフランスのアーティストで以前紹介した泥を用いた衝撃の人体変容パフォーマンスのアーティスト オリビエ・デ・サガザンの強い影響を受けているようにも見えます。

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■情報 京極 夏彦『百鬼夜行 陽』

京極 夏彦『百鬼夜行 陽』
 ひさびさに本屋へ行ってみたら、こんな本が三月に出ていた(^^;)。
 いったい何やってんだ、ということですが、これは記事にしなきゃとファンには今更ですが纏めました。
 この本、装丁がなかなか興味深い。(でも寝転んで読むとちょっと重くて、ノベルスほど読みやすくはないw)
 
作品紹介|京極 夏彦『定本 百鬼夜行 陰』『定本 百鬼夜行 陽』|文藝春秋|特設サイト
 京極夏彦による作品の朗読動画あり。

『定本 百鬼夜行 陽』 (京極夏彦 著) | 著者インタビュー 人の世の哀しみを妖怪に托して - 本の話WEB

"榎木津の一人称は書けないんです。内面のありようが常人とはかけ離れ過ぎていて、そのまま書いたらおそらく意味が分からないものにしかなりませんね。"

 榎木津の一人称小説! これは読みたい!
 どんな異様な奇想小説になるのか。あの奇人の観る時世が崩れた世界は、想像するだけでクラクラする。まずはこの本では三人称でしか書かれていないようだが、楽しんでみたいと思う。

◆関連リンク
大沢オフィス-公式ホームページ- 大極宮

"シリーズの次作に予定されております『鵺の碑』は、講談社ノベルスからではなく、他の出版社から、別な形で刊行されることになります。  また、雑誌での新企画の発動により、連作短編『百鬼夜行 陽』も同じく版元を移すことになります。  これを受けまして、講談社ノベルスの既刊13点も、そっくり版元をお引っ越しさせていただくことになりました。  そんなわけですから、講談社ノベルス版「百鬼夜行シリーズ」13タイトルは、現在の在庫分をもって打ち止めとなります(増刷を中止していただいた、ということです)。"

 なんと講談社から文藝春秋へ移行するんですね。これはある意味、吃驚。
講談社:電子百鬼夜行シリーズ(京極夏彦)

"「百鬼夜行シリーズ」が待望の電子書籍化いたしました。電子書籍はまだ発展途上のメディアです。編集部も京極氏も、現在の「電子百鬼夜行シリーズ」が完成形だとは考えておりません。ここを スタートとして、電子書籍に革命を起こすプロジェクトが、「プロジェクト・アマテラス」というサイトにて進行中です。"

プロジェクト『百鬼夜行 Next generation』 第一期:感想戦開催 京極堂には、係累がいた…… 平成の世に、京極堂が甦る!?  [プロジェクト・アマテラス]
京極夏彦、「鵺の碑」の次は「網剪の益」(あみきりのえき)|RAIONnoIE ―ライオンの家―

"「網剪の益」 あらすじ 己の傷は探せば探すほどに泉の如く溢れ出す。己の欠点に縛られる男、須田舜太郎。復員した男ばかりを狙う切り裂き事件。絶対に裕福になれるという“上島光 悦陣”。これらに接点はあるのか?一方薔薇十字探偵の一味益田を襲う怪は関口を巻き込み肥大化していく・・・シリーズ第十弾。"

 果たして真相は、リンク先の文章を最後まで御読み下さい。信じちゃあ駄目ですよw。

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2012.07.03

■情報 神風動画作品デモ2012 -7分版-


神風動画作品デモ2012 -7分版- - YouTube

"神風動画の作品デモリール、2012年版の7分バージョンです。 昨年「長いのはみんな観ないだろう」と思っていたら長いバージョンのほうが再生回数が断然多かったので、今度はさらに長い7分30秒で用意してみました。"

 神風動画の作品をダイジェストで紹介したPV、2012年版。

Maruhan

 いずれもシャープで粋な動きが快感だけれど、特に「MARUHAN 渋谷街頭ビジョン」(1'10"〜1'20")と『FREEDOM』OP(5'51"〜5'59")の両バイクシーンが圧巻!
 これらを観ていると大友克洋の漫画が持つ先進性を、シャープな動きとスクリーントーンの質感と飛び出るロゴで、本家映画版『AKIRA』を超えて見事に映像化しているのではないかと思えてくる(^^)!
 漫画ほど先進的ではなく、どちらかというと映像としてとてもオーソドックスな大友のアニメーションに対して、グッと先進的で、大友漫画のスピリットを忠実にそして刺激的に映像化しているのが、これらの動画ではないだろうか。

 『AKIRA』リメイクがあるとしたら、是非、神風動画でやってほしいものである。

◆関連リンク
神風式02~作画と3DCGを活用したアニメーションメイキング~(終了)

"前回ご好評いただいた「神風式01」ではベーシックツールでどのようにセルアニメーションを表現するかをご紹介しましたが、第2弾となる今回は神風動画流のCGアニメーション制作手法をご紹介します"

当Blog関連記事
森田修平監督 片山一良絵コンテ・演出 『FREEDOM 1』オープニング by 神風動画 あ、前もほとんど同じことを書いていますね。二番煎じですみません。

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2012.07.02

■情報 リドリー・スコット監督『プロメテウス』:Prometheus

Prometheuspost7318x471

Prometheus Movie Film News, Trailers and More(公式HP)
Prometheus - Movie Trailers - iTunes(Apple予告篇)
Prometheus(公式Facebook)
Project Prometheus
Prometheus: An IMAX 3D Experience Movie(IMAX 3D公式)

 今更なのですが、やはりリドリー・スコット監督『プロメテウス』については、一度公開前にまとめておかないといけないと思い、関連情報リンクを整理。

 僕は『エイリアン』はそのホラー風味ショッカーとしての側面よりも、冒頭のギーガーデザインを最大限に活かした異界描写に一番痺れたので、その異界の謎に挑むかのような今回のプリクエルには大きく期待している。

 ネタばれは極力観たくないので、リンク先もあまり探索していないが、8月の公開後、ここから異星人探索に乗り出したいと思う(^^;)。

 リドリー・スコットが『ブラックホーク・ダウン』等で見せたリアル映像描写のスキルで『エイリアン』や『ブレードランナー』のようなSF世界がどの程度、深化しているか、興味深く見守りたい。

◆関連リンク
DJ Food | Prometheus poster overload
 『プロメテウス』の各種ポスターを掲載したサイト。冒頭のSF的な画像もここから引用。
Prometheus(cinefix Data base)

James Clarke『Ridley Scott』

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