■感想 園子温 監督『恋の罪』Guilty of Romance
(Web Magazine “Qetic”)
"言葉が無いところには何も無い。まあ、「言葉が最初にありき」って聖書にも言われるくらいなんで、言葉がモノを動かしていると思いますよね。 やっぱり僕は、言葉から創作を始め、詩を書いていたのでそういう意味では、言葉は凄く大事です。(略)
言葉が無いとここに何も存在しないんですよね。「愛」って言葉もそうですけど、それが導入される事によってその感情は「愛」と言う事になる。それでモノが動いていくんだと思います。"
園子音監督『恋の罪』DVDを観た。
前半〜詩のシーンまでがシリアスで今回はどこまで連れてってくれるのだろうと凄く期待…。あれ?
後半「きちっと堕ちてこい!」あたりから、もしかしてこれはアングラ演劇風爆笑衝撃作かと思いはじめ(^^;)、最後は少しだけシリアスに戻りつつも…やっぱ不思議な作品だった。
今のところ、僕は『愛のむきだし』>>>『恋の罪』>『冷たい熱帯魚』の順かなw。
それにしても富樫真の“帰途”の朗読シーンはドキドキした。冒頭に園監督のインタビューを引用したが、このシーンで頭の回路が神林長平の言語SFモードへ突入したかと…w。
そして出色の富樫、大方斐紗子、神楽坂恵の食卓シーンの超絶御茶の間描写。怖すぎる、史上最凶のホームドラマシーンかw。
山田太一は70年代に『岸辺のアルバム』で日本の主婦の憂鬱を見事にテレビドラマで描いていたのだけれど、これはまさに21世紀の『岸辺のアルバム』でもあると思う。それは若い刑事が語る主婦とゴミ袋のエピソードに顕著であると思う。
詩人でもある園監督、“帰途”の使い方も、あのプラハの作家の作品の使い方も鮮烈。
東電OL事件とは、かくも深淵を覗かせる不条理なものだったのですかね。どこがノンフィクションか…無性に知りたいw。
もうひとつ、うちのBlog的な感想を書くと…。
冒頭の円山町の殺害現場に到着した刑事の描写と、遺体と人形。
これはたぶん押井守監督『イノセンス』にインスパイアされた場面なのではないか。この類似はたぶん無視できない関係だと思う。
◆関連リンク
・恋の罪 - Wikipedia
・『恋の罪』完成披露記者会見 - YouTube
・『恋の罪』初日舞台挨拶 - YouTube
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