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2012.08.10

■感想「奇っ怪紳士!怪獣博士!大伴昌司の大図解 展 …一枚の絵は一万字にまさる…」

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奇っ怪紳士!怪獣博士! 大伴昌司の大図解 展
 ……一枚の絵は一万字にまさる……

(弥生美術館・竹久夢二美術館)

"会期: 2012年7月6日(金)~9月30日(日)
開館時間: 午前10時~午後5時(入館は4時30分までにお願いします)
休館日: 月曜日(ただし8/13(月)は臨時開館、7/16(月・海の日)開館、 翌7/17(火)休館、9/17(月・敬老の日)開館、翌9/18(火)休館)
料金: 一般900円/大・高生800円/中・小生400円
お知らせ ★9月8日(土)午後6時より、映画監督・河崎 実氏によるトークショーを開催いたします"

 先日の記事で詳細を御紹介した本展示会に、特撮博物館で東京に赴いた際に、我が研究所 東京支部wのshamonさんと青の零号さんともども行ってきた。遅まきながら、簡単なレポートを記す。

 弥生美術館は初めて訪れたのだけれど、様々な奇怪な研究が行われる(^^;)東大近くの閑静な住宅街にひっそりと佇む。個人の住宅を美術館に仕立てたというこで、3階建ての少し古びた建物の中に、まさに昭和の香りを残した大伴昌司氏の数々の記録が展示されていた。

 詳しくは、一般書籍として購入できる河出書房新社刊 堀江 あき子著(弥生美術館学芸員さん)『怪獣博士! 大伴昌司 「大図解」画報』を見ていただくとわかるが、今回の展示の中心は、まさに「大図解」である。大伴氏の多くの作品の中でも、特に少年マガジン等の図解の大伴によるアイディアスケッチと、それを画家たちが清書して描き、雑誌の巻頭を飾った図解の原画が数多く展示されている。

Photo

 上の引用図で示した大伴の代表的な仕事のひとつである、怪獣図解のスケッチが特に素晴らしい。僕たち60年代生まれが少年誌や単行本でワクワクした怪獣の図解の元となった大伴の描き込まれたスケッチが眼の前に存在するという感激(^^;)。

 ノートや原稿用紙の枠からはみ出んばかりに荒々しいタッチで奔放な想像力で描かれたスケッチたちが圧巻である。もちろん、イラストレーターたちによって描かれたカラーの綺麗な図解原画も素晴らしいのだけれども、僕はどちらかというと、鉛筆のタッチも生々しく大伴の軌跡が表現されているこれら原図の迫力に圧倒された。

 決して美しい絵ではない。それらは、怪獣博士 大伴昌司が自由奔放に自ら創造した怪獣の生体である。

 バルタン星人の「白色破壊光線エネルギぶくろ」「悪臭ぶくろ」。ギャンゴの「とかし岩臓」「テレパシー岩臓」曰く「ギャンゴの内部は全て岩だが、それぞれの岩が役割を持っている」(^^;)。
 「国際SFシンポジウム事務局長」をされた大伴氏。日本SFの中枢を司っていた大伴氏なのであるが、はっきり言って科学考証の凄まじさには息を飲む(^^;)。

 でもこのダイナミックさ。科学をはじめとして何ものにも縛られない想像力の無制限の解放感が素晴らしい。子供たちを驚かしてやろうという悪戯心と、そして原図からほとばしっていたのは、描いていてきっと御本人がまず楽しくて仕方がなかったのではないか…ドローイングハイになっていたのは確実と思える筆致に現れているのめり込み具合(^^)。

 主に図解部分は、僕と同じく「特撮とアニメとSFの子」いっしょに行った青の零号さんと図解に突っ込みを入れながら見ていたのだけれどw、彼が放った言葉が以下。

 「大伴さんの絵は、まるでアウトサイドアートのようだ!」

 怪獣という素晴らしい素材を眼の前にして、嬉々として子供のように想像力を無制限に解放して描かれた大伴氏のスケッチは、その純粋な稚気からまさにアウトサイダーアートを想いださせる。けだし名言である。

 そして僕ら大伴昌司大図解の子供たちは、首までその無限/夢幻の想像力で描かれた世界に今も囚われて、日々、こうして完全映画(トータルスコープ)ならぬ究極映像を追い求めているのである(^^;)。

◆関連リンク
堀江 あき子著『怪獣博士! 大伴昌司 「大図解」画報』
 会場では図録代わりの本書と、怪獣図解絵はがき等が購入できます。

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