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2012年9月

2012.09.28

■感想 ジョス・ウィードン監督『アベンジャーズ』 Avengers


映画『アベンジャーズ』 - 最新予告編 (日本語字幕) - YouTube

 ヒューゴ賞受賞監督ジョス・ウィードン監督『アベンジャーズ』練られた脚本と物量作戦の映像、まさにお腹いっぱい。制御が効かないハルクの描写が面白い。死をたたえた様な憂鬱な役者の顔と演技。そして暴走。あれはSFですねw。

 巨大飛行空母の光学迷彩とか…ディーテイルもみせる。
 物量のCGには批判もあるかもしれないけれど、昔からマットペインティングで架空の画面を描いてたことを考えれば、絵筆が変わっただけでその進化は特筆して良いと想う。

 それにしてもこの映像の物量シャワーは人の映像処理能力を超えているな(^^)。飛行機のわずか5インチの機内モニタでも情報を処理しきれない w。
 今後、宇宙での抑止力となったアベンジャーズの活躍楽しみに。

 そして破壊されたレストランでの無言のシーンのエスプリも素晴らしい(^^)

◆関連リンク
ジョス・ウィードン - Wikipedia

"2005年、彼は『セレニティー』の監督・脚本を務め、2006年のヒューゴー賞 Best Dramatic Presentation, Long Formを受賞した。"

ジョス・ウィードン監督・脚本『セレニティー』

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2012.09.26

■感想 岩井俊二監督『ヴァンパイア』Vampire

 

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岩井俊二 小説『ヴァンパイア』 幻冬舎

"惹かれあう孤独な魂たち。この世の果ての恋物語ーー。鬼才・岩井俊二が脚本・監督・音楽・撮影・編集・プロデュースを務める映画の原作!

「死ぬなら君の血をくれないか」
「僕はヴァンパイアなんだよ」"

 『ヴァンパイア』@TOHOシネマズ名古屋ベイシティ初日 11:00~。
   岩井俊二監督 舞台挨拶
に行ってきた。

 『ヴァンパイア』とても静謐な映画だった。劇中で使われた死の方法と同じように静かに死が沁み入ってくるような…。

 物語よりも複雑な何かを描いた映画。エンドタイトルで何かが背筋をじわりと走って行くのだけれどそれは言語化できない。60兆の細胞と8%の血液が私に話しかけるざわめき…劇中のキーワードを使って述べると、こういったところだろうか。

 精神へのゴシックな物語の大量投与が生んだ吸血症:ヘマトフィリア。
 それと現代的な死の問題との掛け算で発生した北米の片隅の物語。映画は静かにその光景を追い、やがて行きつく美しい…。
 作品全体に、フラクタルに死が潜んでいるような…。
 一つ一つのセリフがじわりと背中を震わせる感覚…。

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 主演のふたり、ケヴィン・ゼガーズ:Kevin Zegersアデレイド・クレメンス:Adelaide Clemensが凄く良かった。
 前者の茫洋とした奇妙な存在感、後者の背負ったものの重さを底にたたえ、なお少女的な空気感。
 地下室の青空が象徴的な二人の関係が素晴らしい。しかしそこに容赦のない、監督のシニカルな展開。悲しすぎますね。

 こう綴ってきても多分映画の魅力の8%も語れてない。
 傑作『スワロウテイル』は物語がその中心を占めていたが、その後は個々のエピソードと情景が映画を占有して一本の作品としてのダイナミズムが落ちていたような…。今回はその延長上だけれど、大きな潮流が生み出されている。
 それは前述したフラクタルの効果によるのかもしれない。

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 余韻を鑑賞したかったので、映画のあとに監督の語りは聞きたくない…って気分だった(^^)。とは言えその風貌が主人公ケヴィン・ゼガーズにどことなく似ていて、湛えるものを重く感じながら拝聴するw。映画監督って、自分に似た人を配役する場合と、逆があるけれど、今回は舞台挨拶でまさに岩井監督が前者であることが明確に。

 挨拶ではこの映画の誕生と英語ネイティブへの苦労が語られた。
 興味深かったのは、映画のタイトルが重複しないように申請するが、このタイトルは1940年頃のスパイ映画があったきりとか。まさに新しいヴァンパイア映画でこのタイトルしかない気がしてくる。
 閑話休題 IMDbで調べてみると、このスパイ映画はたどり着けませんでした…。あれ、ジョン・カーペンターの"Vampires "(1998) そうかこれは複数形の"s"が…。

 今回の映画は岩井監督が英語のみで生活し、ネイティブの感覚をできるだけ取り入れたものだということ。ダイアローグにこだわる、氏らしいアプローチだと思った。
 その結果は、まさに洋画然として、それでいて岩井監督の作品以外ではあり得ない映像として結実していた。これでハリウッドでの岩井監督の認知度は確実にあがったのではないか。素晴らしい監督であることが英語圏の映画人に明確にアピールできていると思う。
 岩井監督のこのハリウッドアプローチは、間違いなくビッグバジェットの大作企画があるからに違いない。いずれ登場するその映画を今は夢想したい。

 最後に蛇足。
 パンフは買わない方が良かった。樋口尚文氏と中森明夫氏のエッセイが何とも…。特に前者。通りのいい解釈だが、映画でしか描け ないあの映像と音楽とダイアローグによる繊細な独特の構築物に迫れていない。代わりに岩井俊二による小説を買えば良かった…。

 今回は、プレミアムスクリーン2という会場だっけれど素晴らしい環境だった。
 この劇場、シート個々に肘掛けが付きリクライニングできて通常より2割程幅広で最高(^^)!

◆関連リンク
vampire(公式サイト)
side by cide(公式Blog)

"ある調査によれば、血を飲む趣味のあるヘマトフィリアの人は アメリカだけでも5万人はいると言われているそうだ。(略)

血液には吐き気をもよおさせる作用がある(略)
理由はよくわかっていないらしくて、
でも少なくとも精神的な問題ではないらしい。"

 なかなか興味深い。こんな映画が出てきていなかったのが不思議という事か。
 ヘマトフィリア:haematophilia - Google 検索すると日本にもそれなりにいるようです。(もちろん、これらの書き込みが本当かどうかは不明ですが…)。あ〜胸が悪くなる。個人的には一生触れたくない世界だ。
・岩井俊二監督の新作、全編英語作「ヴァンパイア」公開日決定

"同作は、岩井監督がカナダを舞台に全編英語で撮り下ろした“吸血鬼映画”。自ら演出・脚本・音楽・撮影・編集・プロデュースと1人6役を務めるなど、“岩井ワールド”が炸裂した作品だ"

・Vampire movie trailer - YouTube
 予告篇。
@sindyeye 岩井俊二監督 Twitter 

岩井俊二,奈良美智,蒼井優,斎藤環,清水康之『ユリイカ2012年9月号 特集=岩井俊二 』〜『Love Letter』『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』から『ヴァンパイア』へ、未知なる映像を求めて

当Blog関連記事
■感想 岩井俊二監督の小説『番犬は庭を守る』
■岩井俊二監督 『花とアリス』
岩井俊二関連記事 - Google 検索

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2012.09.24

■情報 デイヴィッド・リンチ展 〜暴力と静寂に棲むカオス@ラフォーレミュージアム原宿

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デヴィッド・リンチの大規模展覧会 ラフォーレ原宿で開催 | Fashionsnap.com

"会期:2012年11月10日(土)〜12月2日(日)
 David Lynch(デヴィッド・リンチ)の大規模展覧会「ヴィッド・リンチ展 〜暴力と静寂に棲むカオス」が、11月10日よりラフォーレミュージアム原宿で開催される。新作絵画やドローイング、写真などのアート作品と実験的な短編映画、全80点を展示・上映。"鬼才"と呼ばれるDavid Lynchの表現世界の本質に迫る。

 本人のサポートのもと開催される「ヴィッド・リンチ展 〜暴力と静寂に棲むカオス」では、絵画32点、ドローイング9点、写真34点、計75点のアート作品のうち72点が日本初公開。また映像作品においても、 5本の短編映画のうち、1本が日本初上映となる。会場は、絵画作品の展示スペースと仮設のシアターを入れ子構造に組み入れた迷宮のような構成。絵画と映画という既成の枠組みを取り払い、David Lynchが一貫して描き続けている"深層心理の潜在的ヴィジョン"にアプローチする。"

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デヴィッド・リンチが描く深層心理の潜在的ビジョンに迫る展覧会、短編映画も上映 -art-designニュース:CINRA.NET

"フランスのカルティエ現代美術財団やドイツのマックス・エルンスト美術館で大型の個展を開催したほか、2010年には今までの長年にわたる創作活動の業績を称 えられ、美術界において権威ある『Goslar Kaiserring award for 2010』にも輝いている。"

 これは期待の美術展!

 デイヴィッド・リンチのラフォーレの展示会、作品数75点とのこと。
 2007年パリのカルティエ財団美術館の『The air is on fire』展が約300点の回顧展だったので約1/4の規模!(当Blog記事 The air is on fire展情報 )

 おそらく日本でのリンチ最大の美術展。楽しみでなりません。
 下記の当Blog関連記事リンクにある数々の海外回顧展の作品がいよいよ纏めた量、日本で観られるのである。最近、映画からアートへ活動の場を転換しているデイヴィッド・リンチの日本での評価が進むのを期待したい。

<引用画像>
『I HAVE A GUN』2012年 oil+mixed media on canvas 60.96cm×60.96cm
『BOB’S SECOND DREAM』2011年 mixed media on cardboard 182.88cm×274.32cm

◆関連リンク
David Lynch: Paintings & Sculptures - YouTube
 引用した下の絵『BOB’S SECOND DREAM』はWilliam Griffin Gallery in Santa Monica, CA.で展示されたもの。その展示の様子。
David Lynch at TILTON GALLERY - YouTube
 2012年のNew York TILTON GALLERYのデイヴィッド・リンチ展にて、絵画をいろいろな方向に周り込んで拡大して撮った動画。油絵の具に塗込まれた歯とかのマテリアル感がびんびん伝わってくる。リンチの偏執的な筆致!


David Lynch erhält den Kaiserring 2010 in Goslar - YouTube
 『Goslar Kaiserring award for 2010』授賞式の様子。
週刊 『フクダデスガ』:David Lynch "DARKENED ROOM"at "Six" Comme des Garcons: Beyond darkness or No room to run

当Blogデイヴィッド・リンチ アート展関連記事
■デヴィット・リンチ絵画展@パリ ジ・エアー・イズ・オン・ファイアー展  David Lynch "the air is on fire"
■感想1 デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six
■感想2 映画 「デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six
■情報 ディヴィッド・リンチ個展@ニューヨーク David Lynch’s "Bob's Second Dream"@NY
■情報 ディヴィッド・リンチ個展 二題。David Lynch "Bob's Second Dream" @ NY Tilton Gallery, "Man Waking from Dream"
■デイヴィッド・リンチ ギャラリー・ラフェイエット展示  David Lynch Machines Abstraction and Women Exhibition Paris
■デイヴィッド・リンチ AFI Fest 2010映像 & リトグラフ展 "David Lynch Lithos 2007-2009"
■情報 『ツイン・ピークス20周年記念 アート展』"Twin Peaks; Fire Walk with Me" group art exhibition

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2012.09.21

■感想 杉井ギザブロー監督『グスコーブドリの伝記』

『グスコーブドリの伝記』予告編 - YouTube

 蒸気機関の飛行船の飛ぶスチームパンクな、過ぎ去った未来の都市 イーハトーヴ。加えて重なり合った幻想の都市の描写とか素晴らしかった。
 そしてテラフォーミングで、地熱発電な国書刊行会SF(謎)。
 杉井『銀河鉄道の夜』に思い入れのない僕は期待してなかったけれど、この映画、凄く良かったw。

グスコーブドリの伝記 - Wikipedia
 原作に結構、忠実なんですね(宮沢賢治版も読んでいないという…)。
 でもネリの物語とか潮汐発電とか杉井ギザブロー版でのアレンジがあるみたい。賢治版読んでみようかと(今頃!)。

◆関連リンク
宮澤 賢治『グスコーブドリの伝記』
ますむら・ひろし宮沢賢治選集 1 『グスコーブドリの伝記』

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2012.09.19

■感想 バリー・ソネンフェルド監督『メン・イン・ブラック3』

映画『メン・イン・ブラック3』公式サイト 10.26 on Blu-ray & DVD

 3泊5日の海外出張の飛行機の中で観た映画について、いくつか紹介していきます。まずはその中で最高だった『MIB3』。

 今回、往復で『MIB3』『アベンジャーズ』『グスコーブドリの伝記』『宇宙兄弟』『ザ・パイレーツ! バンド・オブ・ミスフィッツ』(アードマンスタジオの新作人形アニメ)『メリダとおそろしの森』と六本。
 いずれも初見。わずか5インチの液晶モニタで勿体ないと思いつつ、ジェット・ラグ対策も兼ねて観まくりました(^^;)。

 そして良かった順に上記書き記しました。『MIB3』最高ですw。

 『MIB3』前作までおふざけ過ぎて嫌いだったけど、機内で観た中、最高点に(^^)。
 ウォーホールネタとかコニーアイランドに60年代SF映画の 宇宙人が歩いてるだけでメロメロ(^^)。特にグリフィンという未来の可能性を垣間見るプレコグ、性格とファッションが正にフィリップ・K・ディックの世界。

 そしてアポロに一輪バイク、エンパイアのアールデコ。
 レトロな未来感含め、これだけP・K・ディック世界のキッチュ感を表現した作品を僕は他に知らない。
 まさかMIB3 が、と驚く!
 監督のバリー・ソネンフェルドは前2作と同じなので、さらに吃驚。プロダクションデザイナーとか脚本の影響なのか。とにかく一押し(^^)。

 調べてみると、『MIB3』脚本のデヴィッド・コープジェフ・ナサンソンイータン・コーエン、マイケル・ソッチョは、前2作を手がけてない。
 なかでも筆頭の二人は、スピルバーグ作品の常連ライターの様で、キッチュなSF感は彼らの功績なのかも。

 グリフィン、もう一度言うけど、ディックファンにはたまりませんw!
 3Dの劇場で観てみたかったと後悔。

◆関連リンク
『メン・イン・ブラック3 スチールブック仕様3D&2D』 (3,000セット限定生産) [Blu-ray] 3D版も出るんですね。12.10/26発売。

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2012.09.17

■情報 日本アニメーション文化財団 – Japan Cultural Foundation for Animation

 twitterで高畑勲・宮崎駿作品研究所叶精二さんと御話しさせていただいている中で、アニメの原画等の保存についての話題になった際に調べて、遅まきながら詳細を知った日本アニメーション文化財団のミュージアム構想について、まとめてみました。ほとんどリンク集です。御興味のある方は、是非、リンク先で詳細をご覧下さい。

設立趣旨 « 日本アニメーション文化財団 – Japan Cultural Foundation for Animation

"アニメーション創造のキーパーソンであるアニメーターの育成、生活環境の改善、貴重な制作資料の保存など次代を作る基本要素をないがしろにしたままでは、この芸術に未来はありません。 急速にデジタル化が進む変革の時期である今、私たちは広範囲な活動を通じて、アニメーション文化を学び、保存し、交流し、新しい世代に提供していく運動を進めることを決意しました。"

 2012年5月に設立された日本アニメーション文化財団、設立時の理事・評議員は小田部羊一、古川 タク、森 淳(森やすじ氏の御子息)、野村辰寿、金子由郎、なみきたかしの各氏。
 これは元々アニドウで進められていた構想を、新しく財団という形で、再スタートされたという事のようです。 

ミュージアム設立運動 « ANIDO official website

"本計画は2012年5月に設立された「一般財団法人日本アニメーション文化財団」の事業に統合されます。このページの情報も順次、財団のホームページに移管されます。したがって記述の内容は、新しいページのものに改訂されます。"

完成構想図 « ANIDO official website.

"構想に基づいて企画書、完成予想図 (パース)を2点制作しました。ちょっとスケールが大きすぎてしまい、後ほど作り直します。そして企画パンフレット制作し、各自治体などに働きかけ、製作 準備委員会(完成後は<仮称>日本漫画映画文化財団)を設立いたします。完成目標を2020年に設定しています。"

 地上5F、地下2Fの壮大な構想が素晴らしいです。
 原画や絵コンテという、アニメーションのコアに当たる、アニメータの芸術性の神髄が示されている貴重な資料のアーカイブと展示が構想されている。
 資金が集まって、本当にこうした企画が実現してほしいものです。

アーカイブ « 日本アニメーション文化財団 – Japan Cultural Foundation for Animation.

"雑誌のバックナンバー、セル、背景、アフレコ台本、原画、動画、ポスター、ビデオ、おもちゃ、などなんでも収蔵いたします。
ただし、既に収蔵のものと重複する場合はご遠慮願う場合があります。
お手持ちの資料が場所ふさぎだなあ、と思われましたら、ぜひ当財団にご寄贈ください。"

 ということで、散逸してしまう前に、このアーカイブで収蔵される事を望みます。個人的には、宮崎駿のアニメータとしての原点である初期の原画、東映長篇漫画映画やTVなどの作品。金田伊功の原画等を是非とも収蔵いただきたいと思います。

◆関連リンク

Galerie

・ギャラリー « 日本アニメーション文化財団 – Japan Cultural Foundation for Animation

"収蔵された資料などは公開されなければなりません。出版、複製や展示、上映会などで多くの人の眼に触れることで資料は初めて生きてきます。海外の映画祭への資料提供や財団自体の 出版を積極的に行います。また、事務所に展示スペース「ギャラリィ・ゴーシュ」を併設し、連続した展示企画で収蔵物を公開します"

海外の展示 « ANIDO official website

"1937年のパリ万国博覧会のために作られたシャイヨー宮にある映画博物館(Musse du Cinema)は、伝説的なコレクター、アンリ・ラングロアが設立したシネマテーク・フランセーズと映像機器のコレクションが基になっています。

 中でも感心したものがフランスのアンリ・ラングロア記念映画博物館とイギリスの映像博物館MOMIです。

  一方、リサーチと建設に30億円をかけて1988年にオープンしたロンドンのMOMI映像博物館(Museum Of Moving Image)は映画だけでなくテレビをも範疇に入れ、映像の歴史を網羅したミュージアムです。マジック・ランタンやリュミエールやメリエスなどの古典もありますが、ハリウッドの誕生やスターの衣装、SF映画などの展示も多く、近代的な部分も強調しています。ミュージアム・グッズも充実していて立派なストアになっていますし、ガイドブックも日本語を含め各国語が揃っていました。

ここのアニメーション・コーナーは充実しています。クェイ兄弟の「ストリート・オブ・クロコダイル」とトルンカの「悪魔の水車小屋」のセットが並んでいた り、チャック・ジョーンズの原画、カナダのキャロライン・リーフ監督の砂アニメーションの原物とか、興味深い現代の物があります。"

 海外のフィルム関連アーカイブの情報。
 さすがに映像文化発祥の欧米では、既にこうした素晴らしい構想が実現してきているようです。

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2012.09.14

■必読(^^) 「誰でもなれる、シュヴァンクガール入門」

Alicesvank

誰でもなれる、シュヴァンクガール入門
 twitterの以下のつぶやきで初めて眼にした「シュヴァンクガール」。
 山ガール、森ガールなる言葉が存在するのは知っていたが何とついに登場したチェコシュルレアリスム系ガール用語(^^;)。

 ヤン・シュヴァンクマイエル好きというだけでなく、なんと「アングラ好きの性的誇大妄想患者」のことらしいw。

RT @yumeironapkin

"1998年。椎名林檎がデビューし、シュヴァンクマイエルが『アリス』を発表しました。黒澤明とhideが亡くなり、同じ頃、ヴィジュアル系というものが認知され始めます。この年の漢字は、「毒」でした。現代のシュヴァンクガール誕生の年です"

 夢色ナプキンさんの素晴らしい言葉で定義され、そして実践篇が着々と今も書き次がれているので、今回、ご紹介。
 引用が多くなりますが、是非とも、リンク先で原文の素晴らしさに当たって下さい。

誰でもなれる、シュヴァンクガール入門 初級編

"シュヴァンクガールは教養がないので、ヤン・シュヴァンクマイエルの作品を24%ほどしか理解していないといわれていますが、それでも彼女たちはシュヴァンクマイエル好きを公言するのです"

"全く知らないグロテスクな映画を見たり、成人指定の演劇を見に行ったり、もしくは勇気があればストリップを見にいくのもいいでしょう…アンダーグラウン ドを究める必要はないのです。永遠にアングラにかぶれていることが、シュヴァンクガールの鉄則なのです"

"シュヴァンクガールがもともと心理学用語で、性倒錯者のある特徴を持つ人達を指す言葉でした。近年、心理学会では様々な間違いが改善され、多くのシュヴァンクガールに関する論文が発表されています"

シュヴァンクガールになろう!実践編01

"精神医学では彼女たちは「演技性パーソナリティ障害」とよばれます…それらの中でサブカル、アングラ、といった間違った仮面を被ってしまった大根役者のことをシュヴァンクガールとよぶのです"

実践編02

"「アマゾネスの尺度」という未開度をあらわす概念でいうところの「最底辺」…人間関係の阿片戦争をふせぐために…あなたが必ず守らなければならないことは…"

 心理学的になってきましたw! この語り口がたまりません!

実践編03

サブカルという便利な道具があるのです。相手が知らないアーティストや作品名や専門用語を適当に使いまわしながら、共感から全力で逃げましょう。

 夢色ナプキンさんのコンテンツ力にただただ感心するばかり(^^)。
 そして当Blogにも当てはまるようなことばにドキドキw。
 誰か「シュヴァンクボーイ入門」を書いて下さい(^^;)。

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2012.09.12

■予告篇 ラナ・ウォシャウスキー, トム・ティクヴァ, アンディ・ウォシャウスキー監督『Cloud Atlas:クラウド・アトラス』

Cloud Atlas - Movie Trailers - iTunes
 ウォシャウスキー姉弟監督(なぜか兄弟がいつの間にか姉弟にw)"Cloud Atlas"予告篇。

クラウド アトラス - Wikipedia

"『クラウド アトラス』(原題:Cloud Atlas) は、2012年のアメリカ合衆国のSFドラマ映画。2004年に発表されたデイヴィッド・ミッチェルの長編SF小説『Cloud Atlas』を原作としている。映画は19世紀から文明崩壊後までの異なる時代に舞台を置いた6つの物語を描き…"

 今回、ドイツの映画会社Xフィルム・クリエイティブ・プール他の製作で、撮影も大部分、ドイツで行われたようだ。
 そして物語は、デイヴィッド・ミッチェルの同名のSFが原作。
 デイヴィッド・ミッチェル - Wikipediaによると、ボルヘスにカルヴィーノ…影響受けた作家のラインナップが面白い。

"彼はウラジーミル・ナボコフホルヘ・ルイス・ボルヘスイタロ・カルヴィーノミハイル・ブルガーコフリチャード・ライトミュリエル・スパークジョン・バンヴィルドン・デリーロアーシュラ・K・ル=グウィン村上春樹ポール・オースターから影響を受けたと語っている"

 そして予告篇を観る限り、スリップストリームな映画としか言いようのない奇妙な肌触りの作品が出来上がったようだ。
 アメリカでの公開は2012.10/26。日本公開は2013年春とのこと(映画『クラウド アトラス』公式日本語サイト)。『マッハGoGoGo』があんなんだったwので…早く観たいものだ。

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2012.09.10

■情報 チェコシュルレアリストグループの大規模展"JINY VZDUCH"(Other Air:異なる空気展)

Jiný Vzduch from Jan Strnad on Vimeo

 チェコシュルレアリストグループの大規模展"JINY VZDUCH"(Other Air:異なる空気展)。リンクした、展示会の様子を写したプロモーションビデオが素晴らしい。
 開催期間は 2012.2/10〜4/4、場所はプラハ。

 "JINY VZDUCH"(Other Air:異なる空気展)公式HP
 シュヴァンクマイエル親子他、総勢71名!プラハをはじめ、ストックホルム、パリ、ブカレスト、アテネ、サン・フランシスコからも出展。

◆関連リンク
・ヤン・シュヴァンクマイエルの息子であり、チェコの新鋭シュルレアリスト、ヴァーツラフ・シュヴァンクマイエルのサイトを久しぶりにチェック。 URLも変更、リニューアルされているが最新作掲載は09年で止まっている。エヴァに近い赤の表現が素晴らしい。
časopis ANALOGON(Facebook)
 チェコのシュルレアリスムの機関誌「ANALOGON」のFacebookにいろいろと興味深い情報。画家Drakatit Premysl Martinecの展覧会の様子がとても良い。

 

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2012.09.07

■情報 名和晃平 韓国初個展『Kohei Nawa - TRANS』開催

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名和晃平 韓国初個展『Kohei Nawa - TRANS』開催

"会期は2012年9月6日(木)から11月4日(日)
アラリオギャラリー チョナン
時間 : 10:30 - 19:00
休廊日 : 月曜日
URL : http://www.arariogallery.co.kr/

本展が初公開となる "Trans" シリーズでは、三次元デジタルモデリング技術を用い、流動性のある三次局面で出来上がった造形に、現実に存在するモチーフの面影がリアルに感じられると同時に、まるでこの世界とパラレルに進行する「向こう側」の姿を目撃するようです。"

 名和晃平氏の三次元モデリングを用いた奇妙な造形作品。
 まるで円谷プロ『ウルトラセブン』の宇宙人のような造形という表現は安直だろうかw。

 残念ながら、この"Trans" シリーズの写真は、Google画像検索でもわずかしか見つからない。

名和晃平 x 原雄司 彫刻と3Dデジタル技術の融合から広がる世界.

"《Manifold_Model(1/30)》2011 mixed media courtesy of Arario Gallery, Cheonan, South Korea and SCAI THE BATHHOUSE 撮影:豊永政史(SANDWICH GRAPHIC) 韓国のチョナンに設置予定の大型彫刻の、1/30スケールの模型。"

 こちらで以前に紹介した《Manifold》について紹介されている。
 この作品から今回への進化は、写真から判断するしかないのだが、表面のフラクタルな形状と人形であること、そして着色だろうか。
 写真からわき上がるイメージは、この人形であるところと、表面の陰影の素晴らしく奇妙なゾクゾク感なので、これは是非とも実物を観たい。

 韓国から日本への凱旋公開が期待される。

◆関連リンク
・当Blog記事
 ■情報 名和 晃平『MANIFOLD : マニフォルド』+大友克洋『AKIRA』

名和晃平 - 当Blog記事 Google 検索

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2012.09.05

■情報 ルディー・ラッカー『チューリングとバロウズ』Rudy Rucker "TURING & BURROUGHS"

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TURING & BURROUGHS, Beatnik SF Novel, Coming Late September | Rudy's Blog Google 翻訳
 (T. Hashimoto(@biotit)/2012年08月26日 - Twilog経由)

"ルーディ・ラッカー先生の新作長篇(9月に自身で電子書籍として発表予定)『チューリング&バロウズ』では、自筆イラストの通り、バナナナメクジっぽい生き物が世界に大変化をもたらすらしいよ。 http://t.co/pnyfcBiw

 ラッカーの草案によれば《バナナナメクジ》は人工臓器として生み出されたが、実際は人造人間の素みたいなもので(1)人間が好きに体・外形を変える
ため転用可能。(2)応用により、子供にもなれる(クローン、ホムンクルス的な?)=異性愛者でなくとも子が持てるようになる。

 バロウズ、チューリングといえば……。/ロスアラモス研究所の核実験やコンピュータ開発も絡み、タイムトラベルも関わってくるらしい。ラッカーは本書のために作った、書籍1冊分に及ぶ調査資料の集積や設定集を公開している。(※PDF注意)" 

Turingcover

 2002年の『フリーウェア』以降、日本語翻訳が出版されていないラッカーの英語での新作。電子出版ということだけれど、アメリカでもラッカーの本の出版は難しくなっているのだろうか、それとも著者の志向なのか。

 物語はいかにもラッカーw。
 自身のイラストがいつものタッチでとても良い(^^;)。ビートニクということで、バロウズはもちろんウィリアム・バロウズの事なのだろうけれど、チューリングを絡めているところから、その祖父William Seward Burroughs:ウィリアム・シュワード・バロウズ1世 (Wikipedia)と彼が起こしたコンピュータ会社バロース加算機社Wikipedia)アラン・チューリング(Wikipedia)が関係する話なのかな、とか創造が広がる。(チューリングとこのバロウズ1世は年代的にズレている)
 

"チューリングとSkugs" 不変タイムラインモデル。 ルディさんのブログ
 ラッカー自身によるブックカバーのイラスト、元タイトルは『チューリングとスカッグ』と呼ばれていたようだ。
 そのスカッグという不思議な名前は、ラッカーの3歳になる孫娘がナメクジ(slug)を呼んだ言葉から来ているらしい。ファンキーなおじいちゃん、ラッカーも孫娘は可愛くてたまらない様子で微笑ましい。

◆関連リンク
ルーディ・ラッカー - Wikipedia
Rudy Rucker's Videos - YouTube
ルディー・ラッカー - 当Blog記事 Google 検索

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2012.09.03

■動画 デイヴィッド・リンチ&クリスタ・ベル アルバム"This Train"PV Chrysta Bell and David Lynch


Chrysta Bell and David Lynch - 'Bird of Flames' - official music video - YouTube

"Director - Chel White
Executive Producers - Dutch Rall, Tsui Ling Toomer, Chel White
Director of Photography - Kevin Fletcher

'Bird of Flames' written by David Lynch and Dean Hurley performed by Chrysta Bell and David Lynch"

 デイヴィッド・リンチプロデュースによる女性シンガー クリスタ・ベルのアルバム"This Train"に収録された'Bird of Flames'という曲のPV。リンチも音楽とヴォーカルを担当。幻想的に揺れ動くいつものリンチサウンドにクリスタ・ベルの透明感あるヴォーカルが彩りを添えている。

 PVの監督はChel White:チェル・ホワイト、リンチの映像ではないが、映像もとてもいい。リンチの闇の中から語りかけるようなヴォーカルとクリスタ・ベルのコマ撮りアニメのような動きがとても心地いい。

Chrysta Bell 'This Train' David Lynch - Official Music Video - YouTube

"Director, Editor, Photographer - Dutch Rall
Photographer - David Lynch

'This Train'
Written by David Lynch, John Neff and Chrysta Bell
Vocals: Chrysta Bell
Guitar: David Lynch
Synth: John Neff
Drums: David Lynch and John Neff
Engineering: John Neff
Mixed by David Lynch and John Neff"

 こちらは同アルバムのタイトル曲'This Train'PV。
 音楽のクレジットには、リンチとそのパートナージョン・ネフの名前がある。
 そしてPVの監督はDutch Rall。ダッチ・ロール(綴りが違うw)って冗談みたいな名前だと思ったらエミー賞3回の受賞のトップ監督とのこと! →ダッチ・ロール監督Vimeo

 他にもYoutubeには、ダッチ・ラル監督のPVが多数掲載されているので、気に入られた方は、リンチのサウンドとともにその夢幻空間に酔って下さい(^^)。

◆関連リンク
Chrysta Bell This Train David Lynch - Making of - YouTube
 アルバム『This Train』のメイキングムービー。
Chrysta Bell – Tickets – Bootleg Theater – Los Angeles, CA – August 2nd, 2012 « Ticketfly.

"David Lynch hosts an evening with: Chrysta Bell Thu, August 2, 2012 Doors: 8:00 pm / Show: 9:00 pm Bootleg Theater Los Angeles, CA $10.00"

 既に終了しているが、2012.8/2にロスアンゼルスのBootleg Theaterで開催されたコンサート
Chrysta Bell performs Angel Star @ Bootleg Theater 08-02-12 - YouTube
 そのコンサートの映像。リンチの曲は、スタジオでの作り込みが命なところもあり、ライブ音響は今ひとつの感もいなめない。

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"This Train" Produced By David Lynch: Chrysta Bell: MP3ダウンロード(Amazon)
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