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2013.03.29

■感想 倉本聰 原作・脚本、岡本喜八監督『ブルークリスマス』"Blood Type : Blue"

Blood_type_blue_2

ブルークリスマス - Wikipedia

"その過程として倉本は、放送メディアを利用した政治的プロパガンダを執拗に描く。こうした形でのメディア批判が行われた背景には、NHK大河ドラマ『勝海舟』におけるスタッフとの衝突などで倉本の中に芽生えたテレビ局不信がある。倉本はこの不信感を、テレビ局を舞台にしたテレビドラマ『6羽のかもめ』(1976年)にこめて既に描いており、『ブルークリスマス』はその路線を更に推し進めた作品となっている。

一般には仲代達矢主演の第一部が岡本タッチであり、第二部の勝野洋竹下景子のラブストーリーが倉本タッチと言われているが、むしろ後者の方に岡本タッチが如実に現われていると本人は語っている。"

 倉本聰 原作・脚本、岡本喜八監督のSF『ブルークリスマス』録画初見。
 これ、高校時代にキネ旬で先に発表された倉本の脚本「UFO ブルークリスマス」を読んで以来観たかったもので、やっと観られて感慨深い(^^;)。

 思った以上にリアルに描かれた迫真のポリティカルフィクション。特撮を排してこれだけのSFドラマを当時構築されていたのに、今更ながら感動です。

 特にシチュエーションと人物をテンポよく描く、冒頭のシーンが素晴らしい。
 飛躍が多いカット割りだけれど、スピーディな展開が気持ち良い。後半、TV局員の南から視点が移った後は、平均的な展開なのだけれど、南も絡ませて冒頭のテンポで突っ走っていたら凄い傑作!

 ただ、謀略の密度が言葉で説明されていて、国防庁特殊部隊員沖の最後の行動は説得力にかけるというか…。シンジくんの暗黒くらい追いつめて欲しかったな〜と鬼の様なことを考えてしまったw。

 そして燻し銀の、天本英世&岸田森の共演シーンが最高。
 天本英世、最高の芝居ですね。セリフはほとんどなく、立ち振る舞いだけで映画にあの雰囲気を立ち上げてしまう力量が素晴らしい。全篇でもっと活躍する役回りを振って欲しかったものです。岸田森との共演シーンは日本SF映像史に残るシーンですね(^^;)。

 それにしても戦後のムードを色濃く残した物語展開と映像の雰囲気。立ち上るこの感じには熱が出そうな重みがありますね。このムードとクリスマスの情景とヒューマノイドが歌う軽く上滑りしていく「ブルークリスマス」の楽曲。
 この融合が溜りませんw。

◆関連リンク
・主題歌 ブルークリスマス Char - YouTube
・サントラ Masaru Satō - BLUE CHRISTMAS (1978) - YouTube
 佐藤勝の音楽、懐かしくも素晴らしい。
うまくいってる? 『激動の昭和史 沖縄決戦』『ブルークリスマス』庵野秀明、樋口真嗣スペシャルトークショー

倉本聰 脚本『ブルークリスマス』  シナリオ本。現在、絶版。
岡本喜八監督 DVD『ブルークリスマス』

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