■感想 『スズキコージ 魔法絵本原画展』@多治見 こども陶器博物館
"春の企画展「スズキコージ 魔法絵本原画展」
2013.3/23(土)~5/19(日)
※GW(4/29~5/5)は休まず開館パワフルでユーモアあふれる楽しいストーリーに、誰にも真似できないような色彩豊かで大胆な構図の絵。子どもから大人までをまるで魔法にかけるかのように魅了する絵本作家、スズキコージさんの、不思議で楽しい展覧会。"
「スズキコージ
魔法絵本原画展」が近所のこども陶器博物館で開催されていると知り、さっそく行ってきた。
絵本作家スズキコージ(当Blog関連記事)と言えば、僕がまず思い出すのは、シュールレアリスム絵本の傑作『やまのかいしゃ』(文:スズキコージ、絵:片山健)や天願大介監督の映画『世界で一番美しい夜』への絵師としての参加である。
いずれも破天荒としかいい様のない世界を描いていて、特に後者の絵の世界は、シュヴァンクマイエルの実写と絵を混合したシュール映画に並ぶ域に達している。
まさに「魔法」のような絵師、スズキコージの原画展に期待しない訳がない(^^;)。
そして原画展の感想。
まさにサイケデリックでシュール、圧巻の原画でした!
展示作品は『さんざんまたせてごめんなさい』(93)『サルビルサ』(96)『かさぶたってどんなぶた』(07)『ガブリシ』(08)の原画数十点。
スズキ氏独特の、幼児のプリミティブな原色の様な絵を、さらに強力にした様な作品群に感嘆。
特に展示会のポスターにも採用されている『ガブリシ』が素晴らしい。
ポーランドの詩人ユリアン・トゥーヴィムの詩を元にコラージュ、クレヨンと水彩、鉛筆等で描いた絵画だけど、原色の"魔法的"想像力が爆発した様な絵が素晴らしい。
キャラクタの形態、鮮烈で幻想的な色使い、貼られたロシア語のコラージュ、いずれをとっても"魔法的"な雰囲気を作るのに最大限の貢献をしていて、アヴァンギャルドな世界を作り上げている。
初期の作品から、現在の作品まで。
特に最近作はコラージュの多様もあり、チェコのシュールレアリストの異様な世界に勝るとも劣らない素敵な異界となっている。
御近くのシュールレアリスムファンは是非!
「スズキコージのビザールトーキョー 奇妙奇天烈東京展」@トムズボックス
"武蔵野市吉祥寺本町 13.5/1〜5/31。
麻薬的とも呪術的とも言えるインパクトある魅力に溢れた、新たなる迷作(?)の誕生"
ちょうどこの5月にこんな展示も。
東京の方はこちらをどうぞ。こちらもポスターから判断すると、とてもダイナミック!!
『スズキコージ 魔法絵本原画展』では図録が新たに用意されることはなかったようだが、この2007年にスズキ氏の故郷の静岡の、浜松市美術館と佐野美術館で開催された「スズキコージズキンの大魔法画展」で出版された作品集が、ショップに用意されていた。
これは、絵本の原画、絵画、立体造形からライブペインティングまで含めた絵師スズキコージの全貌にアプローチした素晴らしい作品集となっている。
それにしても、アンテナの低さからこんな展示があったことも今、知った次第。
『やまのかいしゃ』社員(ただのファンですが(^^;))としては、未だ原画を観たことのない片山健氏とともに、今後もその動向をキャッチして紹介したいものです。
◆関連リンク
・スズキコージ公認ホームページ ZUKING
造形作品含め、紹介されています。
・スズキコージズキンの大魔法画展へ行きました。の画像 - nanasukeのブログ - Yahoo!ブログ
"コージズキン、待望の描き下ろし創作絵本! 年齢・国籍不詳の不思議な主人公・ガブリシが繰り広げる、おかしなおかしなお話。 とことんバカバカしくも、そこはかとなく崇高な温かみを感じさせるスズキコージの世界。 この『ガブリシ』はそんな作者のまさに本領発揮といった作品です。 麻薬的とも呪術的とも言えるインパクトある魅力に溢れた、新たなる迷作(?)の誕生です。
内容(「BOOK」データベースより) ユリアン・トゥーヴィムの「ガブリシ」の詩をもとに、作者なりにふくらめて料理しました"
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