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2013.08.18

■レポート ヤノベケンジ「サン・チャイルド」「太陽の結婚式」@あいちトリエンナーレ2013

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ヤノベケンジ | あいちトリエンナーレ2013公式

"東日本大震災後、希望のモニュメントとして、防護服のヘルメットを脱いだ6mの子ども立像《サン・チャイルド》を発表し、太陽の塔の広場や第五福竜丸展示館、モスクワやイスラエルなどの世界規模で巡回を続けている"

 8/10に始まったあいちトリエンナーレ、まず愛知芸術文化センターで、ヤノベケンジ「サン・チャイルド」「太陽の結婚式」を観てきたので、ヤノベファンとしてまずは写真中心のレポート(^^)。
 冒頭の写真は、地下鉄栄駅から愛知芸術文化センターへの入り口である地下2Fエントランスに展示された「サン・チャイルド」No.2。
 2011.11/23生まれw、「大阪カンヴァス推進事業2011特別展示」で大阪府咲洲庁舎で初展示され、モスクワとイスラエルを巡り、つい先日まで大原美術館で展示されていた個体が愛知へやってきた。

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 現在、三体ある「サン・チャイルド」のNo.2は、その手に持つ「太陽」は、チェルノブイリの保育園に描かれていた太陽の絵がモチーフになったものという。

 このつぶらな眼が、ロシアとイスラエルで何を見てきたか、しばし立ち止まって、その眼を観ながら想像してしまう…。

 以前、「サン・チャイルド」No.1を大阪万博会場で観た時と比較して、今回は立ち位置のすぐ下まで近づけるため、ヘルメットの内部から覗いたサン・チャイルドの顔が新しい視点で、その写真も掲載してみました(^^;)。
 No.1の「太陽」は初公開が「太陽の塔」の広場だったこともあり岡本太郎の太陽がモチーフ。このNo.2はやはりロシアで展示される事が前提となってチェルノブイリの太陽がモチーフなのでしょう。

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 そして「太陽の結婚式」会場に展示された新作「ウルトラ・サン・チャイルド」。銀色に輝く造形は、結婚式のハレの空間を演出するとともに、もともとのヤノベケンジのコンセプト"立ち上がる人々"(3.11震災直後のメッセージ) に通じる希望の光の表象なのだろう。
 そして手に持つ太陽は、地下2階に展示された「サン・チャイルド」のNo.2と共鳴するチェルノブイリの保育園に描かれた太陽のモチーフ。
 立体化されて、光をよりデフォルメされたその形態が、シルバーのボディとの対比で、より鮮明に我々の眼を射ってくる。

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 次に掲載した写真は、「太陽の結婚式」会場に飾られた作品群の一部。
 左上より「ウルトラ・サン・チャイルド」「チャペル」、ステンドグラス「Sun Child」、「クイーン・マンマ」。
 いずれも結婚式のコンセプトから集結したヤノベ作品。
 これらは下で紹介する「太陽の神殿」と名付けられた熊本の結婚式場建造という壮大なコンセプトからイメージが切り出されたもので、いずれこの世に現出するであろうw、壮大な「サン・チャイルド島」のイメージの一部が先行して愛知に現れたと考えるべき作品群。
 ヤノベファンは「太陽の神殿」の立体模型と、今回の「太陽の結婚式」の展示から、その壮大なコンセプトを頭の中の海に浮かべて、その美術作品としての巨大さに目眩を感じるだろうw。

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 そんな空想の目眩とは別に(^^;)、あいちトリエンナーレのヤノベケンジ作品の中で僕の一番のお気に入りになったのは、「太陽の結婚式」の入り口に展示された「幻燈夜会 有隣荘」というラッキードラゴンが硝子玉を抱いた作品(新作ではないが初見)。
 ドラゴンが抱える浮ぶ球体映像の眩惑に見惚れた(^^)。
 球体に映るはヤノベ作品映像とこのために作られたと思しきアトムスーツトらやんのコマ撮りアニメ(多分!w)。
 手作りの儚い浮遊映像と泡の浮く球体の立体感、幻の様な光に引き込まれる吸引力(^^)。3D映像に最適でした(3D動画はいずれアップ予定(^^;))。

13horz そしてこれが「太陽の神殿」プロジェクトの立体模型。
 詳細は以前の記事(レポート 愛知トリエンナーレスクール ヤノベケンジ「サン・チャイルドの誕生、そして結婚式」「太陽の結婚式」「太陽の神殿 《サンチャイルド島》」)を参考にして頂くとして、海の中に浮かぶモン・サンミッシェルの様な城とその地下への通路、そして地下のヤノベ作品群の巨大さに、模型を観てため息。
 今回、観客が一番写真を撮っていたのが、この模型の様に僕には見えたのだけれど、何故かネットに上がっている写真は少ない。
 ヤノベファンはともかくw、一般の観客にどうこのコンセプトがアピールしたか、興味深いところである。

 さて、続いて話は少しマニアックになって、会場で撮ってきた作品の立体映像についての感想w。

 3Dハンディカムで撮ってきたヤノベケンジ作品を、自分ちのプロジェクターで映して立体感を確認してみたのだけれど、大げさでなく凄まじい臨場感!(^^)。
 特にカメラを肉薄して撮った「太陽の神殿」ミニチュアと「幻燈夜会」のドラゴンと硝子球。そこに美術造形物が存在し触覚を錯覚するほどの臨場感w!

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 ある距離内にカメラを近づけ撮ると、投影空間にほぼ肉眼で見たのと同じ美術造形が立ち現れる。美術館関係者は20万円程度の予算を捻出し3Dハンディカム HDR-TD10と3D HDプロジェクタを揃え立体造形品を撮って100インチ程度のスクリーン投影を試してみて欲しい。彫刻等のアーカイブの革命になるはずw。

 と、大げさな物言いになったが、ハイビジョン3D映像の臨場感は肉眼で見てきた物の記憶を視覚的に100%近く再現出来ていると思う。
 現在、通常の3D映画は奥行き表現にシフトしているが、造形物をそこに存在として立ち上がらせるには飛び出し感が必須。
 美術館では、当然の規制で触れなかった物に、触る寸前までを体感できる映像の臨場感w。

 今、そこに飛び出して在る感覚は触覚を誘発する。
 立体映像を観てスクリーンから手前へ飛び出た物に対して子供が手を伸ばすアレ(^^)。3Dハイビジョンのそこにある艶かしさは、美術作品の輪郭をたどって触覚を確認する誘惑を持つw。

 「太陽の神殿」ミニチュアにレンズがズーミングして入る時、その空間への没入感は並でない。モン・サンミッシェルを模した城の地下へ伸びる割れた海の道を3Dでクローズアップしていくと、まるでその内部に潜入し、サン・チャイルド像を見上げているような感覚に陥る。
 確かに僕は、そこにある「ULTRA 黒い太陽」に僕は確かに触ったのだw。(この項、かなり電波が入っています(^^;))。

 電波ついでに主題からそれて妄想を進めるとw…。
 「触覚の芸術」を唱え、その解析を通して新しいシュールレアリスムの可能性を模索するプラハの作家 ヤン・シュヴァンクマイエル。彼に3Dハンディカムのこの臨場感を新しいオモチャとして渡したい(^^)。
 触覚を誘発し触れることを促す艶かしい映像で彼のシュール空間がどう歪むのか。造形への没入を観客にどう人形アニメ作家が提示するのか、物凄く興味深い。

Dsc00431tile 閑話休題。最後に「太陽の結婚式」での本物の結婚式について。
 8/10の一般公開初日に、ヤノベ氏の知人である増井辰一郎さん(ULTRA FACTORY御出身)と金澤韻さんとの結婚式がとりおこなわれた。

 あいちトリエンナーレのテーマ「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか: 場所、記憶、そして復活」。ヤノベケンジ「太陽の結婚式」で結婚された御二人&所縁の方々の幸せそうな御顔と、他作品の震災の刻印の対比が印象的だった。

 この「太陽の結婚式」と本物の結婚式のセットで、はじめて今回のヤノベ氏の作品が完成すると思うのだけれど、感想がまだちゃんと整理出来ない…。

 ストレートで幸せそうな結婚式はとても良かったのだけれど、臍曲がりな僕は新郎新婦がアトムスーツを着て入場、ウルトラ・サン・チャイルドの前でヘルメットを脱ぐような演出でも良かったのでないかとか邪念を想起している。

 例えば、入場音楽はガイガーカウンタの放射線検知音。腹話術のトらやん人形を持った神父姿のヤノベさんのお父さんが祝福するとガリガリという音が消え…ヘルメットを脱ぎ指輪を新婦の指にはめる為、防御手袋を外す二人…。

 これじゃ一般の方は申し込みませんねw。
 今回のヤノベ作品関係者の新郎新婦でもそのような奇をてらった様な結婚式は一生のものとして望まれることはないだろう。
 明日への復活をテーマにした今回の芸術祭では、この結婚式の形態がベストであったのかもしれない。ただ、ヤノベファンであり奇想アートのファンとしての僕は、結婚式の片隅に親族でも知人でもないのに参加して、ひとつの芸術作品として拝見させて頂きながらそんな妄想とも言えない何かを思っていたことだけ記しておきたいと思う。

Img_8002horz 最後に、会場に置かれていたビートたけしの新作 "ステンドグラスの為の版画「マリア」" の元絵と「太陽の結婚式」チャペルに飾られたステンドグラスを比較して掲載。
 結婚の神聖な場に飾られることは知っていながらの、ビートたけしのこの猥雑感はさすがだ(^^;)。黒いマリアと蟹は何を意味するのか!??
 これを見て「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」風と思ったのは僕だけだろうか(^^)?

◆関連リンク
ヤノベケンジ「太陽の結婚式」@あいちトリエンナーレ2013 - Togetter
 皆さんのtwitterでのつぶやきと写真を集めて紹介させて頂いてます。
 多視点での「太陽の結婚式」をこちらでご鑑賞下さい。
Interview: ヤノベケンジ、ステンドグラス「Sun Child」|イズムコンシェルジュ
 チャペルに飾られたヤノベ氏のステンドグラスに関するインタビュー。

・当Blog過去記事
 レポート 愛知トリエンナーレスクール ヤノベケンジ「サン・チャイルドの誕生、そして結婚式」「太陽の結婚式」「太陽の神殿 《サンチャイルド島》」
 写真レポート「ヤノベケンジ展 ようこそ! サン・チャイルド! 」@あいちトリエンナーレ2013 オフィシャルショップ

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