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2013年9月

2013.09.30

■ネタバレ感想 荒木哲郎監督『進撃の巨人 : Attack on Titan』 横山彰利、田中洋之演出 第24話「慈 悲 〜ストヘス区急襲2〜 」

冒頭からネタバレです。未見の方は読まないで下さい(^^;)。

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第24話 | TVアニメ「進撃の巨人」公式サイト

"第24話「慈 悲 〜ストヘス区急襲2〜 」
脚本:小林靖子 / 絵コンテ:横山彰利 /
演出:横山彰利、田中洋之
作画監督:千葉崇明、手塚響平、山田 歩
アルミンの立案した作戦に沿って、アニを地下通路への入口まで誘い出すことに成功したエレン、ミカサ、アルミン。しかし、アルミンの真意に気づいたアニは巨人化し、エレンを死にもの狂いで捕えようとしていた。地下通路内に逃れたエレンたちを狙う女型の巨人・アニ。ミカサ、アルミンを守るためエレンも巨人化を試みるが……。"

 いよいよTVアニメ版も残すところ、この一本と最終話のみ。
 今回、本シリーズのまさにクライマックスと言えるのではないだろうか。

 上に引用した画像を観て欲しい。この気迫の作画。
 諫山 創の漫画の異様な迫力とはまた違うが、日本アニメの最良の凶悪画をリブートしたような原画の迫力に息を飲んだ。

 自閉的なルックスの巨人(まさにオタク)に意味なく喰われる若者達を描き続けてきたこのシリーズが終わる。残酷な世界で行き先もわからない中、全力を尽くして現実を打開しようと戦う若者達。
 日本の若者の、これがある意味、まさに現実かもしれない。
 ぬるま湯の様な平和な日常に潜む、退屈という狂気が、ヒトを内側へ向かわせる陰湿な暴力。それがデフォルメされた『進撃の巨人』の"現実"。

 友人すら凶暴な暴力の主体になる現実に直面し、内なる巨人を発動できずに瀕死をおうエレン・イエガーが、残酷な世界に最も直面し続けてきた冷徹な戦士ミカサの言葉で覚醒するこのシーンは、果たしてこのデフォルメされた"現実"をどう喰い破るのか。最終話をこころして待ちたい。そしていつか再開されるこの先の残酷な世界を…。

◆関連リンク
進撃の巨人 第12巻

 第12巻ではオリジナルアニメーションDVD付き限定版を発売。
 限定版に付属するOADには調査兵団の前日譚、そして特別編「イルゼの手帳」を収録。

 リヴァイ、エルヴィンら調査兵団が壁外調査で発見した古びた手帳。
そこに記されていた事実に、ハンジが起こした行動とは…!?

▼スタッフ
監督:荒木哲郎 シリーズ構成:小林靖子
アニメーション制作:WIT STUDIO
◎発売予定:2013年12月9日(月) ◎予価:2,980円(税込)
※この商品は限定生産品です。確実に入手されたい方は事前のご予約をお願い致します。
申し込み締め切り:2013年10月4日(金)"

 予約は以下のAmazonサイトでも出来る様です。僕はこの第24話のインパクトで、さっそく注文。荒木哲郎監督はじめこのスタッフの仕事から眼が外せません。
諫山 創『DVD付き 進撃の巨人(12)限定版』(Amazon)」
・当Blog 進撃の巨人 関連記事 Google 検索

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2013.09.25

■感想 森山威男ジャズナイト2013 : Jazznight 2013

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森山威男ジャズナイト2013

"公演日時:2013年9月21日(土曜日)

飛び散る汗、激しい駆け引き、これはまるでBOXING♪

毎年9月の恒例となっているジャズナイト。
今年も国内トップレベルのプレイヤー達を招き、ド迫力の一夜をお届けします。

【出演者】森山威男(ds) 岡崎好朗(tp) 中路英明(tb) 渡辺ファイアー(as) 川嶋哲郎(ts) 田中邦和(bs) 佐藤芳明(acc) 田中信正(p) 加藤真一(b)"

 毎年恒例(^^)、森山威男ジャズナイト2013に行ってきた。
 今回、特に凄かったのが、何度か聴いているオリジナル曲"FOREST MODE"。

 舞台の両翼、森山威男、田中信正のドラムとピアノが超エキサイティング!
 腕と指の過激な動きに、視覚と聴覚がひっくり返って喜んでいた(^^)。どのような身体の活動があんな超絶な動作を創り出すのだろう。まさに人体の宇宙の不思議w ! 音響のとても良い、このホールでの音と映像に浸る時間は、今回、まさにこの曲とクライマックスに何かが降り立った様な感覚が感じられた(^^;)。

 演奏楽曲は、以下(Twitter / SHIN1090takさんのツィートより)。

"Bolero
Forest Mode
東雲 (しののめ村の消防団イメージw)
It don't mean a thing スイングしなけりゃ意味ないし
Danny Boy
Lamentation
Gratitude
Sunrise
Hash A Bye
Good Bye"

 激しくアヴァンギャルドな曲と静かなバラード(ただしいずれも途中で楽器が暴れ回るw)が交差して演奏される場は、田舎町のコンサートとして地元住民観客の満足を得ながら、最大限の実験を試みているスリリングな場だと言えよう(^^;)。
 クライマックスの畳み掛ける様な、アヴァンギャルドとバラードのハイブリッド感覚な破壊力は相当のものと思います。素晴らしい。

熟練ドラム奏者の最速リズム運動制御機構( Abstract ). Author(s). 藤井, 進也. Citation. Kyoto University (京都大学), 2010-03-23. Issue Date 2010-03-23 (PDF)

"第6章では,世界最速ドラム奏者の片手最速リズム運動パフォーマンスと前腕筋表面筋電図活動について検討し,世界最速ドラム奏者のタップ速度が左右手とも10Hzであり,その速い動作においても安定した時間間隔でタップしていることを明らかにした.さらに,世界最速ドラム奏者は,39ミリ秒というヒトの神経信号処理速度として極めて短い時間間隔で主働筋・拮抗筋を相互収縮させており,また主働筋・拮抗筋の共収縮水準が低いことを明らかにした.この研究成果は,ヒトの身体運動制御能力の限界について新たな知見を加えた点でオリジナリティが高く,その成果はNeuroscience Letters(2009)に掲載されている"

 森山威男のドラムと田中信正のピアノの手の動きが頭から離れなくなったw。
 あれだけ高速で繊細な人体運動ってオリンピックの競技にもないのではないか…とか思って研究がどんな状況か調べてみた。
 まだ少なくとも日本では、こうした研究は始まったところみたい。引用の文献は京都大学 藤井進也氏の博士論文のようです。

 森山威男のドラムは感覚的に10Hzくらいはあったように見えた。
 どのようなメカニズムであの超絶な技巧が駆動されているのか、ものすごく興味が沸いてきてる。

マーク・チャンギージー『<脳と文明>の暗号 言語・音楽・サルからヒトへ』

"言語と音楽の起源とは? 何がヒトとサルを分けるのか? 自然界に隠された驚くべき暗号を最新認知科学が読み解く! 定説をうちくだき、まったく新しい視点から「人間とは何か?」に迫る、かつてない知的興奮の書。
 最新認知科学が明かす言語と音楽の起源。そして見えてくるわたしたち人間の正体とは?かつてない知的興奮の書。『New Scientist』誌が選ぶ「2011年の科学書ベスト10」!"

 脳にとっての音楽の起源を解き明かしているらしい。
 ドラムとピアノにおける超絶技巧奏者の運動制御の知見もあるかな? そこから進化して10Hzの運動速度を獲得した人類の脳と体のメカニズムについて、激しく知りたいw。

◆関連リンク
・森山威男と田中信正の手の動きがよく見える動画が見つからないがいくつか。
 www.youtube.com/watch?v=sMfzbH
 例えば3:30辺りの田中の指の動きと4:30辺りの森山のスティック。
 www.youtube.com/watch?v=_kCGAR
 5:18辺りとか。昨日の動きの方が凄かった記憶だけど…
HORI AKIRA:マッドサイエンティストの手帳

" いずれも森山追っかけ歴40年を超える顔ぶれである。
 おなじみの曲だが、メンバーが最高の充実期にあって、たまらんなあ。
 「スイングしなけりゃ……」は初めて演奏されたが、川嶋哲郎さんの編曲、これはオーケストレーションの面白さと個性的なソロ回しを並立させた見事なアレンジと思う。"

 今年も堀晃さんはいらっしゃっていたそうです。ドラムの運動工学の観点で、ハードSF的に何か語って頂きたいものです。
Neurophysiological and Dynamical Control Principles Underlying Variable and Stereotyped Movement Patterns During Motor Skill Acquisition
Shinya Fujii - Publications
 藤井進也氏のNeuroscience誌に発表された研究リスト。
J-GLOBAL | 「ドラム奏者」についての研究論文 検索結果
J-GLOBAL | 「ピアノ奏者」についての研究論文 検索結果
マーク・チャンギージー『<脳と文明>の暗号 言語・音楽・サルからヒトへ』
マーク・チャンギージー『ひとの目、驚異の進化: 4つの凄い視覚能力があるわけ』
 同じ著者の視覚研究。究極映像研究には、欠かせない書籍かもw。読んでみます。

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2013.09.22

■立体視動画レポート "モンスターズ アンド ミスフィッツ展 : Monsters & Misfits III 怪物と不適応者たちIII展" 3D Movie

Monsters and Misfits III : モンスターズ・アンド・ミスフィッツ 怪物と不適応者たち展III - YouTube

怪物と不適応者たち 3 : 飛騨高山 留之助商店 店主のブログ

" Circus Posterusのアーティストを招き、飛騨高山の国指定重要文化財日下部民芸館を会場に開催する恒例のMonsters & Misfits展。
 期間は9月13日〜9月26日の2週間。

 Brandt Peters(ブラント・ピータース)、Kathie Olivas(キャシー・オリヴァス)、Chris Ryniak(クリス・ライニャック)、Amanda Louise Spayd(アマンダ・ルイーズ・スペード)に加え、Doktor A(ドクター・A)とAndrew Bell(アンドリュー・ベル)、Carisa Swenson(カリーサ・スウェンソン)、Ragnar(ラグナー)、Stan Manoukian(スタン・マヌキアン)らがオリジナル作品を提供、会場も前回の1.5倍以上に拡張"

 中子真治さんの飛騨高山 留之助商店 本店とサーカス・ポスタラス・スタジオ提供 "Monsters & Misfits III" 怪物と不適応者たちIII展の立体映像を御届けします(^^)。
 Youtubeの調子が悪く、設定はしたはずなのに、僕のところでは3D動画として観られないのですが、いかがでしょう。もしやはり観れないようなら、画面の設定を2D(3Dオフ)にして観て下さい。

 詳細記事は先週の写真レポートを参考にして下さい。

 今回も音楽は、例によってYoutubeの動画アップロード時に編集画面で用意される楽曲から選択しました。数万曲(?)から長さがこの動画に合うものをまず選定、その中からいくつか試してこのOuthouse "Illumination"という曲に決定しました。
 候補でどちらにするか、凄く悩んだのが、Hui Chang Yan "Yellow River"という曲。凄くヘンテコでMisfitsな感覚は抜群だったけれど、悩んだ末、あまりに変則なのでこちらのものにしました。
 この曲選定が動画アップロードの時に大きな楽しみになっています。
 自分が撮ってきた動画と海外のどなたかが作った音楽の取り合わせの妙味、いくつか試していると自分の動画が自分のものでない様な、初めて観る不思議なものに変容している様にも見えてw、なかなか楽しいのです。

 動画は能がなくて、またいつものカメラアングルなのですが、今回、この楽曲とのミスマッチがどう映像に幅を持たせてくれたか、それだけが稚拙な映像のアップロードの際に心の支えです(^^;)。そんなところを楽しんで頂ければ、幸いです。

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 全開のレポートで紹介できなかった展示会カタログ。
 今回の図録は、オールカラー64ページで今までよりもボリュームアップしさらに充実しています。
 大判の写真で、あの怪物達に出会えるので、是非ファンは一冊手元に置きたいものです。

◆関連リンク
Monsters & Misfits III、展覧会図録、ギリギリ入稿 : 飛騨高山 留之助商店 店主のブログ

"前回の図録よりひと回り大きい天地250mm×左右165mm、ページ数も20ページ増の盛りだくさんなオールカラー68ページ、やっと入稿完了。"

・■写真レポート "モンスターズ アンド ミスフィッツ展 : Monsters & Misfits III 怪物と不適応者たちIII展" 飛騨高山 留之助商店 本店とサーカス・ポスタラス・スタジオ提供

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2013.09.18

■情報 ヤノベケンジ 第2作品集『ULTRA』刊行、風と土の芸術祭出品 他

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“ヤノベケンジ ULTRA” 9月下旬発売予定 | 青幻舎 SEIGENSHA Art Publishing, Inc.

“9月下旬発売予定
「この男は時代と戦っている」―ビートたけし
 90年代、チェルノブイリへ自作の放射能防護服を着て訪問するプロジェクトを行うなど、実社会と関わりの深い作品を発表し、美術を通して社会と関わり続け るアーティスト・ヤノベケンジ。本書では、2008年よりヤノベが総合ディレクターを務める「ウルトラファクトリー」を舞台に、ヤノベ自身が学生たちと共同制作を行った最新作含む、全プロジェクトを収載する。 ウルトラファクトリー 2008年に京都造形芸術大学に創設された工房。学生たちが、第一線アーティストのプロジェクトに関わり、技術や創作プロセスを吸収できる実践的な授業が 行う。
※限定30冊 予約フォームよりサイン本希望とご記入ください"

Ultra

Twitter / yanobeAP: ヤノベケンジ作品集『ULTRA』青幻舎の表紙意メージ

"ヤノベケンジ作品集『ULTRA』青幻舎の表紙イメージです。表紙はキラキラ光るPP加工になっています。2008年から2013年まで学生とともに作った10大プロジェクトを一挙公開。汗と涙の結晶です!!(スタッフM)"

 ついにウルトラファクトリーの記録が一冊の本にまとまる。ヤノベケンジアーカイブとそして京都造形大ULTRA FACTORYの皆さん、本当に御疲れ様です。
 ファンとして、一冊にまとまった皆さんの活動と写真家の方の素晴らしい写真を楽しみにしています。

参加アーティスト / 第4回 風と土の芸術祭

"ヤノベケンジ ≪クビド≫"

Cupid  写真は、「ヤノベケンジ展 ようこそ! サン・チャイルド! 」@あいちトリエンナーレ2013 オフィシャルショップで撮ってきた写真。

 開催概要 / 第4回 風と土の芸術祭

"第4回 風と土の芸術祭 Artown(アートタウン) in Misato 2013 — 過去・現在・未来 —

 「風と土の芸術祭」は、400年の歴史を持つ「会津本郷焼」で知られている伝統的な陶磁器の里で開催される芸術の祭典です。
 「風と土の芸術祭」は今年、福島の東日本大震災を迎えた後、はじめての開催となります。地域住民と学校関係者、芸術家とのネットワークが形成され、さらには町民が一体となり、観光振興への意識の高揚も図られることで、福島の「風評被害」を払拭し、将来の町づくりへの基盤が形成されることを期待しています。
主催
風と土の芸術祭実行委員会(実行委員会組織図)
実施期間
平成25年9月14日(土)~9月23日(月) 計10日間"

ヤノベケンジ オンエア情報 (ULTRA FACTORY)

"あいち編では、ヤノベプ ロジェクトの《太陽の結婚式》だけでなく、名和さん率いるULTRA SANDWICH PROJECTが参加した納屋橋会場の様子も放映される予定。
==========
◎2013年9月15日(日)9:00 ~10:00 NHK 『日曜美術館』アートシーン あいちトリエンナーレ2013
◎2013年9月15日(日)12:00 ~13:59(再放送) NHK BSプレミアム『たけし アート☆ビート スペシャル』~楽しくなけれ ばやっぱりアートじゃない~
◎2013年9月22日(日)23:00 ~ 23:59(予定) NHK BSプレミアム『たけし アート☆ビート スペシャル』~アートで日本を元気にする! 小豆島編~
◎2013年9月23日(月) 27:00~ 27:59(予定) NHK ワールドプレミアム『たけし アート☆ビート スペシャル』~アートで 日本を元気にする! 小豆島編~ ※小豆島編が海外にも配信されます。 ◎2013年9月29日(日)23:00 ~ 23:59(予定) NHK BSプレミアム『たけし アート☆ビート スペシャル』~アートで日本を元気にする! 愛知編~
◎2013年9月30日(月) 27:00~ 27:59(予定) NHK ワールドプレミアム『たけし アート☆ビート スペシャル』~アートで 日本を元気にする! 愛知編~ ※愛知編が海外にも配信されます"

 ビートたけしとのコラボレーションによって、こうした副次効果が出て、ゾクゾクとテレビドキュメンタリーとして映像がまとめられ、ファンとして嬉しい限り。録画予約をお忘れなく(^^;)。


Twitter / yanobekenji: 本日、サンチャイルドの図柄が入ったトリエンナーレ宝くじが発売 ....

サンチャイルドの図柄が入ったトリエンナーレ宝くじが発売になったそうです。9月24日までの発売、1等は3000万円!中部・関東・東北エリアでの販売だそうです。買いに行くべきか・・。

◆関連リンク
ヤノベケンジ『ULTRA』(Amazon)

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2013.09.16

■写真レポート "モンスターズ アンド ミスフィッツ展 : Monsters & Misfits III 怪物と不適応者たちIII展" 飛騨高山 留之助商店 本店とサーカス・ポスタラス・スタジオ提供

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百鬼夜行(本展示会パンフレットより中子真治氏の言葉)

" 夜の帳が下りるころ、異世界のイタズラな怪物や小悪魔たちが日下部民藝館から抜け出して、飛騨高山の古い町筋を練り歩く。
  キュレーターも務めるアーティスト夫妻ブラント・ピータースとキャシー・オリヴァスが、今年で3回目を迎える『モンスターズ アンド ミスフィッツ=怪物と不適応者たち』展の参加アーティストに託した創作のテーマが "百鬼夜行" (Hyakki Yagyo = Night Parade of One Hundred Deamons) だと聞いて、奇妙で可笑しな光景を想像してしまいました。"

怪物と不適応者たち 3 : 飛騨高山 留之助商店 店主のブログ

" Circus Posterusのアーティストを招き、飛騨高山の国指定重要文化財日下部民芸館を会場に開催する恒例のMonsters & Misfits展も年々スケールアップしながら今年で3回目を迎える。
 期間は9月13日〜9月26日の2週間。

 Brandt Peters(ブラント・ピータース)、Kathie Olivas(キャシー・オリヴァス)、Chris Ryniak(クリス・ライニャック)、Amanda Louise Spayd(アマンダ・ルイーズ・スペード)に加え、Doktor A(ドクター・A)とAndrew Bell(アンドリュー・ベル)、Carisa Swenson(カリーサ・スウェンソン)、Ragnar(ラグナー)、Stan Manoukian(スタン・マヌキアン)らがオリジナル作品を提供、会場も前回の1.5倍以上に拡張"

 中子真治さんの飛騨高山 留之助商店 本店とサーカス・ポスタラス・スタジオ提供 "Monsters & Misfits III" 怪物と不適応者たちIII展が、開幕しました!

 初の秋開催となる2013年。僕が行った9/14(土)は、なんと高山も30℃超えの真夏日で、今までの春開催とは異なる熱い鑑賞となった(^^)。
 そして作品も新しい作家を加え、テーマ"百鬼夜行"の設定で、日本の妖怪的なテイストも加わり、可愛さに加えて、日本的な禍々しいイメージも付与され、日下部民藝館の雰囲気とさらに相乗効果が増している様に感じられました。

高山で「モンスター&ミスフィッツ3」-「百鬼夜行」テーマに、幻想アート作品100点超 - 飛騨経済新聞

" 今回のテーマは「百鬼夜行」。出品数は過去最多となる108点で、全て同展のために製作したオリジナル作品。異世界の怪物や小悪魔・妖怪など空想の生き物たちを表現した絵画、彫刻、ぬいぐるみなどが並ぶ。展示作品は販売も行う。

 留之助商店店主の中子真治さんは「新しい芸術の形を模索したいと思い企画した当展覧会も3回目を迎え、海外のアートコレクターの間でも話題に上るほど評判の展覧会に育った。この企画を通じて、こんなアートやおもちゃの世界もあるんだなという体験を味わって頂ければ」と来場を呼び掛ける。"

 108点の中から、自分の気に入った作品を中心に写真レポートです。

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Kathie Olivas(キャシー・オリヴァス)
 本展示のキュレータでもあるというキャシー・オリヴァス作品は、今回も安定感のある奇想を体感させてくれる。今年もこの少し皮肉を湛えたつぶらな瞳と再会できて、私は幸せである。

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Amanda Louise Spayd(アマンダ・ルイーズ・スペード)
 今回、黒を基調にした作品で、とても強い印象を残したのが、アマンダ・ルイーズ・スペードのこの写真の下の3点。
 陶器(? 硬い土の様に見える材料)と布の柔らかなテイストが独特の作品の表情を醸し出す作品に、黒の基調で、さらに鋭さが増していると感じるのは僕だけであろうか。特に左右二点の背の高い(70cmくらい)の作品が素晴らしい。できるものなら僕も購入したいが、値段から手が出ないのとw、既に初日(9/13(金曜日))に売約済みになっていました。

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Doktor A(ドクター・A)
 昨年に引き続き参加となるドクター・Aの作品は、"百鬼夜行"から選んだ素材は骸骨。ドクター・Aのパンクなロボットのイメージと、禍々しいスケルトンが相乗効果を発揮して、新たなホラーチックなパンク世界が描かれていた。
 僕は写真ではなかなか表現しきれないロボットの眼の多層的な光にしばし見入られてしまいました。特に写真左下の目玉のグリグリ感は最高でした。まだ売れていなかったけれども30万円ごえでは到底手が出ません。

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Carisa Swenson(カリーサ・スウェンソン)左上。
Andrew Bell(アンドリュー・ベル)他の3点。
 この四点にも何故か強く魅かれたので、写真掲載。
 特にアンドリュー・ベルの作品は、日本の妖怪のイメージをもっとも見事に取り入れていると思う。恐怖と独特のユーモアの融合が素晴らしい作品。

 Andrew Bell(アンドリュー・ベル)のブログ記事から留之助商店店主さんが翻訳されているので、以下のリンク先でじっくり御読み下さい。

Monsters & Misfits III、Andrew Bellのブログから : 飛騨高山 留之助商店 店主のブログ

"今年の展覧会のコンセプトは百鬼 夜行です。これは文字通り100匹の鬼の夜中の行進という意味で、悪霊、幽霊、妖怪などが、誘拐したり死を広めながら夏の夜中に通りを徘徊します。この テーマに沿って、今年はアーティストたちの多くの作品がダイナミックなポーズや車輪、荷車、明かりなどを取り上げています。"

◆関連リンク
・Art Event Calendar: MONSTERS & MISFITS III (TAKAYAMA, JAPAN) | Circus Posterus

サーカス・ポスタラス・スタジオ:Circus Posterus Studio公式HP
 サーカス・ポスタラス・スタジオのHPにも、上の様な告知が出ていました。
Twitter / 検索 - #MMIII
 アーティストとサーカス・ポスタラス・スタジオのツィートで、出展作品の制作風景がいくつか写真公開されています。ハッシュタグは「#MMIII」にてリンク先で検索できます。ノイズもありますが、御楽しみ下さい(^^)。

Facebook 究極映像研 写真アルバム
 

・当Blog記事 過去2回の感想と動画は以下です。
 ■感想と写真 "Monsters and Misfits" Japan Exhibition
 ■感想と写真『Monsters and Misfits II : モンスターズ・アンド・ミスフィッツ2 怪物と不適応者たち II 展』Japan Exhibition

 ■動画 "Monsters and Misfits展"
 ■3D動画 『Monsters and Misfits II : モンスターズ・アンド・ミスフィッツ2 怪物と不適応者たち II 展』 Japan Exhibition 3D movie
 その他関連
 "Monsters and Misfits" Japan Exhibition - BP UFIL - Picasa Web Albums
 参考まで。2011年の第一回の写真
 Monsters & Misfits site:bp.cocolog-nifty.com - Google 検索

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2013.09.13

■感想 フィリップ・K・ディック著, 阿部 重夫訳『市に虎声あらん』"Voices from the Street"

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今日の平凡社: ついに邦訳! ディック幻の処女作『市に虎声あらん』.

" 黙示録的な雰囲気の漂うサンフランシスコを舞台に、 不安と妄想に引き裂かれる自我の怪物――。
 1963年、『高い城の男』でヒューゴー賞を受賞し、 SF界に天才として迎えられた、フィリップ・K・ディック。 もともとは純文学作家を目指していたディックが、1952年、弱冠25歳で書いた長編小説は、そのあまりの過激さゆえ、彼の死後四半世紀を経てようやく日の目をみた問題作でもありました。
 その幻の処女作が、ついに初邦訳!
 『市(まち)に虎声(こせい)あらん』 フィリップ・K・ディック 著/阿部重夫 訳 定価:2,520円(税込) 四六判   552ページ"

フィリップ・K・ディック - Wikipedia

"市に虎声あらん"Voices from the Street" (1950年)- 処女作であるが、出版は2007年。平凡社による日本語版は2013年"

 フィリップ・K・ディック25歳の時の非SF長篇『市に虎声あらん』読了。
 ほぼ主人公視点、時勢もリアルタイム、ワンテーマでストレートに重厚な現実を500ページ(解説以外)で描ききった傑作!

 あったかもしれない幻の自分と現実の自分の間で引き裂かれる主人公。
 現実を突き崩すために、存在するある境界に突進する姿が、この後のディックSFで変容し描かれて続けているように感じられる。
 
 主人公の意識も/作家の描写も、焦燥感の理由を直接描かない。
 周囲で起きた事象から演繹的に追い込まれた主人公の無意識の感覚を読者の中にじわじわと生起させ、読者の記憶の中、誰にでもある(たぶん)言われのない焦燥と破壊衝動を鳴動させる。

 後年のSFは、現実が多重に変容したりガジェットで空想世界へ逃避できたりシミュラクラの存在により読者が主人公からズレたり、自身の記憶を鳴動されて追い詰められる様な焦操感が薄まるのだが、確固たる外界の現実にがんじがらめにされている『市に虎声あらん』では逃げ場のない重圧がかかる…。

 がんじがらめの現実は、自らの破壊衝動により周囲を攻撃することでしか、逃げ場を設けられない。『市に虎声あらん』で象徴的に描かれたクライマックスの主人公とガラスのオブジェの痛々しい姿は紛れもない芸術(^^;)。

 そしてそんなディックの濃厚な原液たる『市に虎声あらん』を訳す阿部重夫氏の重厚な訳文が素晴らしい。読めないようなw、タイトルとともに漢語/古語的な漢字を当てて表現された日本語が、レイシズムや愚昧、高慢が積層し行き場のなくなった日常の焦操を見事に描き出している。


 もし本書がディックの若き日に出版され、純文学作家として認められ、そのままSFを書かなかったとしたら、どんな作家となっていただろう。

 アメリカの主流文学をよく知らないので、わずかな読書経験からレイモンド・カーヴァーを思い出すのだけれど…。『市に虎声あらん』から想像するに、カーヴァーの市井の憂鬱を描き続けたあの作品群を、もっと先鋭にそして攻撃的にした様な小説を、ディックは深く追求して描き世界的な作家になっていたかもしれない。

 もちろんそうなった場合、SFファンとしての一抹の寂しさはあるけれど、きっとディックにとってはその方があるべき自分だったのかもしれない。
 現実のディックは、本書の主人公の様に、SFを書く自分と、あるべき姿の狭間でストレスを積み上げていたのではないだろうか。


◆関連リンク
フィリップ・K・ディック, 阿部 重夫『市に虎声あらん』
・当Blog記事
 ディック 関連記事 Google 検索 あ、ほとんど小説の感想がないw。
 カーヴァー 関連記事 Google 検索
 

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2013.09.11

■感想 名和晃平&ULTRA SANDWICH PROJECT「フォーム」"Foam" @あいちトリエンナーレ 納屋橋会場

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 名和晃平と京都造形芸術大ウルトラファクトリーのULTRA SANDWICH PROJECTによる"FOAM"を、あいちトリエンナーレ納屋橋会場で観てきた。

 圧巻のインスタレーション!
 暗闇の会場に入って行くと、約12m×15m 高さ4mあまりの巨大な不定形に蠢く光る物体が眼に飛び込んでくる。

 この正体は、会場に置かれた5つ程の発生器による泡。
 会場の係の方に尋ねると、中心の発生器は高く設置され、他は床に置かれているらしい。その高低と会場に微妙に吹くエアコンの風によってこの形状が自然に作られているという。作家による形状の修正等はされているか質問してみたが、それは初期の設定だけで、それ以外はないようである。

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 まるで常闇の雲海の中に浮遊している様な感覚に導かれるまま、広大な作品の周りを歩き続けた…。この巨大感と不定形だけれど自然の物理現象(重力とか気流とか)が働いて形作られた形状の訴えてくる宇宙の摂理(^^)、凄いです。

 写真は一杯撮ってきたけど、動画禁止だったので3D映像が撮れなかったのが残念でならない…w。本当はこの作品、手前と奥の立体感ある泡の形状が作品のコアであると言っても過言でないので、立体映像での記録が最適と思うのだけれど、、、。
 というか、巨大感とともにこの奇想を味わうには現場へ行くしかないでしょう。
 皆さんもできれば、10月までにこの会場へ是非、足を御運び下さいw。

 ではここから後は、写真レポート。

Img_8669tile 会場は、ボウリング場だったところ。
 廃墟感もそこはかとなく漂いながら、巨大な空間を利用した会場が美術展としてとても映える。僕は愛知芸術文化センターの展示より、こちらの方がずっと刺激的で好きでした。

Img_8637horz iPhoneのパノラマ写真。

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Img_8658tile これは、HDR写真。人間の眼のダイナミックレンジはもっと広いので、これより鮮明に明暗が観られます。

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 最後の一枚(下段)は泡のクローズアップと、発生装置が少し観えていたので、舞台裏(^^;)。

◆関連リンク
神戸新聞NEXT|文化|震災後の世界を問う 名古屋などで「あいちトリエンナーレ」

"納屋橋会場(名古屋市中区)では、大阪府出身の名和晃平がインスタレーション(空間芸術)「フォーム」を展示。暗闇の中に、惑星や生命が誕生した原初の時代を思わせる異世界を創出した。広大な空間に白い泡を発生させ、巨大な山や谷を形成。微動する小さな泡の粒子一つ一つが生命を思わせ、壮大な時空間を想起 させる傑作だ。"

【オープンしました!】あいちトリエンナーレ2013 | 京都造形芸術大学ULTRA FACTORY

"彫刻家・名和晃平率いる「ULTRA SANDWICH PROJECT」は納屋橋会場にて「泡」のインスタレーションを展開。"

・Kohei Nawa(公式HP) 本作品の記述は今のところありません。

・あいちトリエンナーレ開幕、建築好きはここを見逃すな|日経BP社 ケンプラッツ

「フォーム」(名和晃平)。真っ暗な大空間に泡が広がって、地形のようなランドスケープが生まれている

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2013.09.08

■情報 宮崎駿監督引退会見 と 作画枚数の推移


▶ 【スタジオジブリ】 宮崎駿監督引退記者会見 【2013/09/06】 - YouTube

宮崎駿 長編映画引退会見 « スタジオジブリ非公式情報サイト【ジブリのせかい】

"テレビ局が70社、新聞・雑誌・ウェブメディアが200媒体。総勢605名の人たちが集まったそうです。"

 リンク先に引退会見の全体 1時間36分31秒が動画とテキスト書き起こしで掲載されている。これについて、長年の宮崎ファンとして、感想はいろいろあるけれど書いていると長くなるので、今回は宮崎駿関連の二つの情報をまとめてみた。

◆宮崎駿を初めてとりあげたアニメ誌 FILM 1/24
 宮崎駿報道が凄い量。初監督『未来少年コナン』の78年当時、引退会見がワイドショーで放映されることを想像した人は皆無でしょう(^^;)。
 当時はアニドウのFILM 1/24が彼のことを伝える唯一の媒体だったw。

 以下が、1977年の宮崎初インタビュー(と思われるもの、未確認ではありますが、たぶん間違いないでしょう)。
 僕は、この後くらいにFILM 1/24の定期購読をはじめたので、この号を残念ながら持っていません。なので初インタビューも未読。読みたいものです。

20130908_172808_2

アニドウ出版史 « ANIDO official website

"アニメ狂戦誌 FILM1/24 No.13&14
1977年 (昭和52年3月1日)
特集:母をたずねて三千里 (絶版)
内容
「三千里各話の略筋」富沢洋子
「インタビュー 1 小田部洋一&奥山玲子」
「インタビュー 2 高畑勲」
「インタビュー 3 宮崎駿」
「テキサス・アヴェリー」訳:望月信夫"

 宮崎がひとりで全シーンの画面設計(レイアウト)を描いた『母をたずねて三千里』の特集。あの驚異的な仕事をどのようにインタビューで聴き込まれているのか、是非、読んでみたいものです(^^)。

 アニドウの宮崎駿記事、僕が持っているのはFILM1/24別冊『未来少年コナン』(79年)。

Anidou_konan

アニドウ出版史 « ANIDO official website

"未来少年コナン 1979(昭和54年)
副題:アニメーション狂専誌FILM1/24別冊
英題:Conan,The Boy in Future
編集:なみきたかし 発行:富沢洋子
体裁:A4変形版 328ページ並製本
協力:宮崎駿、大塚康生、山本二三
発売:アニドウ (絶版)
12月1日発行
主要スタッフへのインタビュー集
内容 最初の放送が終了した段階でこの初監督作品を記録に残そうと企画された特集本。"

グッズ紹介:アニメーション狂専誌FILM1/24別冊『未来少年コナン』

 凄いボリュームと緻密な記事に驚愕した、正に"アニメーション狂専誌"w。
 編集:なみきたかし、発行:富沢洋子の両氏の宮崎駿引退インタビューが読みたいのは僕だけでしょうか。

[mixi] 猫柳さん | 「風立ちぬ」
 アニドウのFILM 1/24を編集/発行されていた五味洋子(旧姓 富沢)さん @tominekoyouko による最新の宮崎駿記事。アニメーションの作画に触れた感想を感慨深く拝読させていただきました。

◆総作画枚数の推移
 
以前の記事、感想 叶精二『宮崎駿全書』にて同書に記載された貴重なデータから、宮崎作品のポイントである作画について、その作画枚数に着目して、監督作の過去から現在までの推移を分析したのだが、『ポニョ』と『風立ちぬ』を加えて、ここでまとめておく。

20130908_193049

 

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20130908_193056

 ここでわかるように、最新作にして、長篇最後の作品である宮崎駿監督『風立ちぬ』は、時間あたりの作画枚数が『カリオストロの城』から2.8倍 『ハウルの動く城』とほぼ同等で、前作『崖の上のポニョ』からは25%ダウン。

 もちろん作画枚数だけで作品の質を云々はできないが、宮崎作品の作画枚数の推移はグラフで見ていて、作品の映像イメージとの相関が何らかないか、今後考える上で定量的な参考になるかと思う。
(最初にアップしたグラフは、ネット情報から『風立ちぬ』が27万枚とした。それに対して、紫の豚さんより『ジ・アート・オブ 風立ちぬ』 『風立ちぬビジュアルガイド』に作画161,545枚という情報があることを教示頂きましたので、訂正しました。)

◆関連リンク
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2013.09.06

■感想 ギレルモ・デル・トロ監督『パシフィック・リム』ロン・パールマンのハンニバル・チャウ

20130831_215623 ギレルモ・デル・トロ『パシフィック・リム』、IMAX 3D(吹替)で堪能!
 まごうことなき大怪獣&巨大ロボット映画で、デルトロ印の黒い幻想映画でもある迫力作となっている!
 特に幻想映画部分が、しっかり怪獣物の新規点にもなっていて、『ブレードランナー』中華パンクファンの心臓も撃たれるw。総論するとロン・パールマンファン必見w!(<<ってそこかぃ!)
 デルトロ印、そして今回もしっかり地下と深層下にはベクシンスキーが眠ってました、クトゥルー説もありますが…(^^)。

 IMAXによる臨場感で特に素晴らしかったのは、イェーガーの歩行シーン。
 パイロットがロボット内部で歩行すると、それがイェーガーの巨大な動きに還元される。その時の巨体の歩行運動が、IMAXの巨大な臨場感で伝わってくる。

 そんなIMAX 3D、流石に大迫力だったけど、映像よりかむしろ劇場の音響が凄く効果的だったようにも思う。
 あの立体サウンド大爆音で聴く怪獣の咆哮とロボットの金属音は癖になるほどの快感(^^)!僕らに流れる本多猪四郎の血がDNAレベルで揺すぶられる(^^)!

798539362

 『パシフィック・リム』イェガーとかその他(書けないけどw)『進撃の巨人』とも共鳴してる。その肉弾戦は最新の進撃11巻の迫力を想起させる…(^^)。
 そんなことを思って映画館から駅まで歩いていたら『進撃の巨人』トレーラーに遭遇w。

 しかし『進撃の巨人』11巻の巨人肉弾戦は凄かったw。
 デル・トロやILMも舌をまく諫山創の作画力。あの情念で歪んだ肉体は、プラグマティックなハリウッドCGには、まだまだ真似できませんね(^^;) …と日本オタクとして『パシフィック・リム』のSFXに負け惜しみw。

 ひとつだけ、ネタバレではなく単なるチップスなので書いてしまおうw。
 『パシフィック・リム』ロン・パールマンのいかす役名「ハンニバル・チャウ」は、どうやら『ブレード・ランナー』の「ハンニバル・チュウ」に由来するらしい(推定w) 。

パシフィック・リム (映画) - Wikipedia

"ハンニバル・チャウ     俳優:ロン・パールマン
 香港を拠点に怪獣の臓器を万能薬として売りさばく闇商人のボス。本名は不明であり、現在の名は好きな歴史上の人物と贔屓にしている中華レストランの名前から取ったことを劇中で公言している。"

ブレードランナー - Wikipedia

"ハンニバル・チュウ ジェームズ・ホン"

 以下はネタばれ注意!
 映画未見の方は見ちゃあ駄目w!ロン・パールマン特別CM(Kaiju Remedies)。


▶ 映画『パシフィック・リム』ハンニバル・チャウ特別CM(Kaiju Remedies) YouTube
 マッドな科学者二人も良かったけれどw、やはりロン・パールマンの怪獣死体商人が最高すぎw。怪獣の死体を用いるアイディアは、遠く『スターログ』で大友克洋がゴジラの死体を描いたことがあったけれど、秀逸だと思う。
 これに着目し、ロン・パールマンを持ってきたところ、まさにデル・トロの面目躍如の新視点だとおもう。今回は彼方此方で述べられているだろう怪獣、ロボット戦闘に着目するのでなく、ハンニバル・チュウの怪演技に着目してみました。

"Ron Perlman Interview  Pacific Rim"
 最後に、こちらはハンニバル・チュウについてのロン・パールマンインタビューw。

◆関連リンク
Metagame and Comic Books!! • tumblethroughthekaleidoscope: Pacific Rim x...
 冒頭の写真は、黒いハンニバル・チャウのイメージに魅かれ、こちらのページから引用させて頂きました。

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2013.09.04

■感想 ザック・スナイダー監督『マン・オブ・スティール』と『鉄腕バーディー DECODE:02』りょーちも作画について


Man of Steel - Superman vs Zod HD - YouTube
スーパーマンとゾッド将軍のバトルシーン

 ザック・スナイダー監督『マン・オブ・スティール』観た。
 『ブラック・ホーク・ダウン』風ファーストコンタクトSFな素晴らしい出来(^^;)。手持ちカメラによる一人称視点の映像のキレとスーパーマンの憂鬱、そしてテラフォーミングな "ワールドエンジン" が秀逸。
 異星人(クリプトン人)と人類のリアルな遭遇描写がいいw。
 
 3Dは、レジェンド3Dの2D-3D変換とのことなのだけれど、動きが速くカメラが手持ち風でブレるため、あまり前で観ると酔います(^^;)。
 特に『ブラック・ホーク・ダウン』的なリアリスティックでシャープな映像、戦闘機とのバトルシーンの3Dの臨場感は凄い。その場に居合わせる感覚。
 あっこだけでももう一度観たいと思わせる。

 映像の先端としてもうひとつ特筆すべきは、クリプトンの超人能力描写。
 チラシコピーに「これが10年先の映画だ」とあるがまんざら誇張でない。臨場感のあるカメラと超絶な動きの格闘戦。この映像のシャープさは比類がないかも(^^;)。

 大友克洋が『AKIRA』『童夢』でやった革新をさらに超える実写映像と言ったら、大げさであろうか。
 悪役の善の視点も描けてるし(コミック風悪役演技を徹底して排していたらダークヒーローとして良かったのにと思うけれどw)、ザック・スナイダー映画ではベスト1かと。都市の破壊描写も「何人、死んだかな…」と銭形風wにスーパーマンに言いたいくらいで、アメコミ映画随一(臨場感では『アべンジャーズ』を超えているかも)。

「バトルはドラゴンボールというより鉄腕バーディー」『マン・オブ・スティール』ザック・スナイダー監督インタビュー(2/2) | アニメ!アニメ!.

"アニメの映像で、大都市のビルがたくさん破壊されるシーンなんだ。 そういうシーンは日本のアニメのバトルシーンはよくあるけど…確かテレビシリーズのアニメだったんだけど、ちょっと待って……(スタッフに電話をかける)。アメリカでは『Birdy the Mighty』というタイトルのようだね。"

 この@animeanimeさんのインタビューが海外のサイトでも引用され、『マン・オブ・スティール』への『鉄腕バーディー』の影響について、熱い議論がこちらで展開(^^)→ m.neogaf.com/showthread.php


▶ 有田VS神明 HD - YouTube.

 その海外サイトで紹介された『鉄腕バーディー』DECODE:02 ep12 戦闘シーンがまさに『マン・オブ・スティール』みたい(^^)。冒頭の戦闘シーンと、この動画を比較して観てみると分かるが、ビルの構造を使ったバトルと、映像のスピード感がとても似ている。

 このバトルシーンは、『鉄腕バーディーDECODE:02』ep12のシーンで以下がその全体。▶ 鉄腕バーディーDECODE:02 ep12 戦闘シーン - YouTube

鉄腕バーディー DECODE - Wikipediaによるとスタッフは以下。

"第2期 第12話 "Before Long" 絵コンテ:赤根和樹,松本憲生、演出:赤根和樹、作画監督:りょーちも,林勇雄,田中裕介"

 絵コンテに松本憲生、作画監督にりょーちもが入っているのがポイントだろう。作画@wiki - りょーちもによるとこの12話は原画も担当しているということなのでこのシーンの可能性は高いのではないか。


▶ Ryo Chimo Noein Animation Process [Genga] - YouTube
 りょーちもの有名な『ノエイン』での超絶バトルシーン。
 『マン・オブ・スティール』を観終わった時に、まず思い出したのが、この映像のスピード感とタメのシャープさ。
 ザック・スナイダーがどのようにして、『Birdy the Mighty』の映像を観たのか、興味があるところだけれど、もしかするとこのネット時代、アメリカの作画マニアが紹介したこれらYoutubeの映像が日米で共鳴し合って、新たな映像表現が生み出されているとしたら、素晴らしい。
 『パシィフィック・リム』のエンドタイトルクレジットじゃないけれど、このザック・スナイダー監督『マン・オブ・スティール』で、最後にスペシュルサンクスとして「りょーちも」の名前がクレジットされていたら、日米の作画オタクは喝采を叫んでいたことでしょう(^^)!

◆関連リンク
コミックナタリー - [Power Push] 新しいスーパーマン描く映画「マン・オブ・スティール」特集、ゆうきまさみが「鉄腕バーディー」への影響を語るインタビュー

"「これ『バーディー』読んで作っただろう」みたいな既視感があるところ、ありました"

 ゆうきまさみが『スーパーマン』の『鉄腕バーディー』への影響と、さらにそれが『マン・オブ・スティール』へ影響してるのではないか、と語るインタビュー(ややこしいw) 。
夜桜四重奏 -ハナノウタ- 公式サイト
 そのりょーちもが監督,キャラクターデザインを務める新作。このサイトの下の方にあるPV2の動画がなかなか(^^)。
【ぷらちな】アニメ新表現宣言!新世代が魅せる未来のアクション『鉄腕バーディー DECODE』赤根和樹監督+りょーちも
 スピーディなアクションについては残念ながらあまり述べられていない。

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2013.09.02

■感想 ―片山令子 文による― 片山健 絵本原画展 @八ヶ岳 小さな絵本美術館

Photo

展示(企画展)のご案内 - 小さな絵本美術館

"八ケ岳 片山健 絵本原画展 -片山令子 文による―
会期:岡谷・八ケ岳館 7月20日(土)〜9月16日(月)

生き生きとしたこどもの世界を長年にわたって書き続けてきた絵本作家・片山 健さんの絵本。今回は数々の作品の中から、片山令子さんの文による絵本『たのしいふゆごもり』『のうさぎさんのおはなしえほん』『もりのてがみ』『おつき さまこっちむいて』『とくんとくん』の原画を全点展示いたします。 

9月8日(日)に片山健さん・片山令子さんによるギャラリートークを開催する予定です"

イベントのご案内 - 小さな絵本美術館

"片山 健・片山令子 ギャラリートーク 9月8日(日)14:00~
 八ヶ岳小さな絵本美術館にて要予約・会費1,500円(飲み物付き)入館料割引。ご予約はイベントお申込フォームもしくはこちらまで TEL:(0266)75-3450 FAX:(0266)75-3460 E-MAIL:info@ba-ba.net"

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 ついにあこがれの片山健の原画を観た!!

 傑作シュールレアリスティック絵本『やまのかいしゃ』を読んで以来、あこがれて十数年、ついにこの日がやってきた(^^;)。年に一度くらい、個展が開かれているのは知っていたけれど、いつも東京とか長野とか、しかも終わった頃に気づくという体たらく。
 時々、思い出した様にネット検索していたのだが、今回、ついに会期中に知ることが出来た。しかも、場所は隣県である長野!! これは行くしかないと、片道3時間の自動車の旅。

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 白樺の中の絵本の中に描かれた様な洋館の美術館。
 まず美術館入り口を入ってすぐのところに大判の油絵。鮫とその下に横たわる子ども。
 初めて観る片山健の絵は、オリジナルの油絵。
 幻想的なあの画風、まぎれもない絵師 片山健のあのフォルムの作品に強いインパクトを受ける。

 作品は、美術館の大きな二部屋の展示スペースに、100点以上(たぶん)が展示されている。絵本原画はその7割が水彩画。
 まさに憧れていた薄い水彩とその輪郭の濃い線による独特の透明感。
 そして朴訥で御洒落でユーモラスでシュールなフォルム。
 透明感は、片山ファンであることを公言している大友克洋のカラーイラストにも強い影響を与えていると思うのは僕だけであろうか。

 近作である『とくんとくん』の油絵も、不思議と水彩のその透明感がどこか表現されている。それに加えて、強固に塗られた絵の具による強靭なイメージが迫ってくる。水彩とはまた別の片山健の想像力の世界が観るものに伝わる、印象深い絵画である。
 作品は全て片山令子の物語が、原画に合わせてパネルで紹介されていて、絵本を読むのと同じ様に鑑賞することが出来る。片山令子の物語は、幻想味は片山健の自作の絵本と異なり抑えられているが、その暖かく少し不思議で、子どもの視点で世の中を新鮮に観た世界が心地よく観る者の心に広がっていく。

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 絵本原画以外では、厚紙を切って箱の様な形を作り、そこに写真等の印刷物をコラージュした立体作品も10点程展示されていた。
 これは絵本作品とは、まったく異なるアヴァンギャルドな作風で、片山健の新しい一面に触れることが出来る。

 もうひとつ、絵本以外で展示されているのは、細い鉛筆の線で描かれた、水彩とは全く異なる繊細で荒々しいタッチの不思議な画。こちらは大判の絵画で、シュールレアリスティックな幻想味が強く、奇想絵画ファンの心を捉えて離さないものになっている。

 トークショーには、残念ながら行けないけれど、生の片山作品を堪能できた展示会でした。

◆関連リンク
信州八ヶ岳原村・小さな絵本美術館八ヶ岳館 企画展

"鉛筆によるシュールレアリスム的イメージの作品や油絵新作も展示します。 子どもたちに向けられたあたたかなまなざしから生まれた、片山 健さん、片山令子さんによる絵と詩の世界に迫ります。"

 こちらに多数の展示作品写真(少し小さい)が掲載されている。
スズキ コージ作, 片山 健イラスト『やまのかいしゃ』

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