■感想 ―片山令子 文による― 片山健 絵本原画展 @八ヶ岳 小さな絵本美術館
"八ケ岳 片山健 絵本原画展 -片山令子 文による―
会期:岡谷・八ケ岳館 7月20日(土)〜9月16日(月)生き生きとしたこどもの世界を長年にわたって書き続けてきた絵本作家・片山 健さんの絵本。今回は数々の作品の中から、片山令子さんの文による絵本『たのしいふゆごもり』『のうさぎさんのおはなしえほん』『もりのてがみ』『おつき さまこっちむいて』『とくんとくん』の原画を全点展示いたします。
9月8日(日)に片山健さん・片山令子さんによるギャラリートークを開催する予定です"
"片山 健・片山令子 ギャラリートーク 9月8日(日)14:00~
八ヶ岳小さな絵本美術館にて要予約・会費1,500円(飲み物付き)入館料割引。ご予約はイベントお申込フォームもしくはこちらまで TEL:(0266)75-3450 FAX:(0266)75-3460 E-MAIL:info@ba-ba.net"
ついにあこがれの片山健の原画を観た!!
傑作シュールレアリスティック絵本『やまのかいしゃ』を読んで以来、あこがれて十数年、ついにこの日がやってきた(^^;)。年に一度くらい、個展が開かれているのは知っていたけれど、いつも東京とか長野とか、しかも終わった頃に気づくという体たらく。
時々、思い出した様にネット検索していたのだが、今回、ついに会期中に知ることが出来た。しかも、場所は隣県である長野!! これは行くしかないと、片道3時間の自動車の旅。
まず美術館入り口を入ってすぐのところに大判の油絵。鮫とその下に横たわる子ども。
初めて観る片山健の絵は、オリジナルの油絵。
幻想的なあの画風、まぎれもない絵師 片山健のあのフォルムの作品に強いインパクトを受ける。
作品は、美術館の大きな二部屋の展示スペースに、100点以上(たぶん)が展示されている。絵本原画はその7割が水彩画。
まさに憧れていた薄い水彩とその輪郭の濃い線による独特の透明感。
そして朴訥で御洒落でユーモラスでシュールなフォルム。
透明感は、片山ファンであることを公言している大友克洋のカラーイラストにも強い影響を与えていると思うのは僕だけであろうか。
近作である『とくんとくん』の油絵も、不思議と水彩のその透明感がどこか表現されている。それに加えて、強固に塗られた絵の具による強靭なイメージが迫ってくる。水彩とはまた別の片山健の想像力の世界が観るものに伝わる、印象深い絵画である。
作品は全て片山令子の物語が、原画に合わせてパネルで紹介されていて、絵本を読むのと同じ様に鑑賞することが出来る。片山令子の物語は、幻想味は片山健の自作の絵本と異なり抑えられているが、その暖かく少し不思議で、子どもの視点で世の中を新鮮に観た世界が心地よく観る者の心に広がっていく。
これは絵本作品とは、まったく異なるアヴァンギャルドな作風で、片山健の新しい一面に触れることが出来る。
もうひとつ、絵本以外で展示されているのは、細い鉛筆の線で描かれた、水彩とは全く異なる繊細で荒々しいタッチの不思議な画。こちらは大判の絵画で、シュールレアリスティックな幻想味が強く、奇想絵画ファンの心を捉えて離さないものになっている。
トークショーには、残念ながら行けないけれど、生の片山作品を堪能できた展示会でした。
◆関連リンク
・信州八ヶ岳原村・小さな絵本美術館八ヶ岳館 企画展
"鉛筆によるシュールレアリスム的イメージの作品や油絵新作も展示します。 子どもたちに向けられたあたたかなまなざしから生まれた、片山 健さん、片山令子さんによる絵と詩の世界に迫ります。"
こちらに多数の展示作品写真(少し小さい)が掲載されている。
・スズキ コージ作, 片山 健イラスト『やまのかいしゃ』
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