■感想 4DX アルフォンス・キュアロン監督『ゼロ・グラビティ: GRAVITY』
"4DX™とは、3Dのその先「体感型(4D)」を演出するための最新劇場上映システム。座席が作品中のシーンと完璧にリンクし、前後上下左右へ稼働。また、風、水 (ミスト)、香り、煙りなど、各種演出も体感できるアトラクション効果も搭載。また、4DX™専用作品ではなく一般公開されている映画作品で、4DX™の環境効果で体感できることも特徴。観客のあらゆる感覚を刺激する4DX™で、これまでに体験したことのない、映画の「新たな感動・すばらしさ」を体感してください。"
名古屋の中川コロナワールドにて、噂の新映画体験 4DXを体感してきたので、レポートします。映画は現時点最高の体感型映画『GRAVITY』。
現在、コロナシネマワールドで4DXを体験できるのは、名古屋と九州は小倉のみのようです。
◆さすがの臨場感
・冒頭の宇宙空間の浮遊シーンで体にかかる加速度がかなりリアルに再現されていて臨場感がなかなか。
・ソユーズのエアロックが開かれるシーンで空気が流出していくシーンで激しい気流の流れが表現され体に風が当たる、そしてその後の表現として、飛行士達の体は動いているのに映画館の椅子は静止し、無音の劇場で、さらにその真空の静寂が感じられた。
◆4DX演出の不備
・宇宙空間でソユーズのみを映し出しているシーンで、バーニアが吹かれた時に、観客に気流を吹き付ける表現。これはキュアロン監督が4DXの演出に関わっていたとしたら、決して風は吹いてこなかったでしょう。
・同様に人工衛星の破片が急襲するシーンでも破片に合わせて風が吹き付けます。
迫力を増す為の手段としては有なのですが、せっかく宇宙の真空空間を表現しているこの映画では本質的にまずい表現でしょう。徹底して物理的に正確に表現しようとしたあの映像に最大限の経緯を示した4DXであったなら、と残念でなりません。
・クルーニーが宇宙服のバーニアを吹かすシーンで、それによる加速度の表現が椅子に反映されていなかった。加速度を体感させることが得意な4DXなのに、ここで使用されていなかったのはとても惜しまれる。
この体感型映画だからこそ、演出はキュアロン監督自らの手で実施して欲しかったというのが正直なところ。(あの完璧主義のキューブリックならば、確実に自身で演出していただろう(^^;))。
◆その他メモ
・匂いは大気圏突入シーンで使われていた。本来、サンドラ・ブロックが地球でハッチを開けた時に使うべき演出だったのでは。
・全般的に体感の使い方が、登場人物の一人称、カメラの一人称、画面映像の表現と3つの視点が混在。混在していることで、せっかく一人称の体感映画を目指したはずが焦点がぼけている。これによる臨場感の減退は否めないだろう。
総論としては他では出来ない貴重な体験が出来たのは間違いない。
通常のテーマパークとか博覧会のアトラクションでは、これだけ質の高い映像で、長時間のライド感を味わう経験は不可能。
不満もいろいろとあったけれど、現時点で体感できる臨場感経験としては最高峰と言えるのではないだろうか。(ただ東京とか遠方から来るだけの価値があるかどうかは疑問。東海三県くらいの距離の方であれば、一験の価値ありと思いますが、、、(^^;))
◆関連リンク
・中川コロナで4DX初体感!!『オブリビオン』を勝手に!映画レビュー | KIC-factoryの映像なう!
4DXは韓国の CJ 4DPLEX※社が開発した体感型(4D)を演出するための最新劇場上映システムです。 2009年公開の「アバター」を4DX作品として初リリースしたのを皮切りに、中国・タイ・メキシコ・イスラエル、ブラジル、ハンガリー、ロシア、ペルー と世界に拡大、今後は台湾、ブルガリア、ポーランド、チェコなどにも導入が予定されています。(CJ 4DPLEX公式サイトより)
・映画ナビ最新ニュース : 映画業界に今世紀最大の革新が起こる!コロナワールド「4DX」日本初導入決定!!
"現在、数多くの洋画タイトルを4DXコンテンツ化し、メジャースタジオと協力関係を構築していおり、韓国では2010年から2012年までの間に60タイトルが4DXコンテンツとして上映されている。コロナは、初年度は年間12タイトルの上映を予定している。"
・Prime Focus World(公式HP)
本作の2D-3D変換を担当したプライム・フォーカス・ワールドのHP。
・『ゼロ・グラビティ』その3D技術とVFX① : Blog "Numa's Curiosity"
この映画は撮影するセットの関係で3Dカメラが大き過ぎて入らなかったため、2D-3D変換を手法として選択したとのこと。その辺りの経緯が丁寧に海外の記事を翻訳されてまとめられています。
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