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2014.02.04

■感想 彫刻家 名和晃平「KOHEI NAWA|SANDWITCH」展 @表参道 GYRE

Nawa_sandwitch

GYRE

"『KOHEI NAWA | SANDWICH』
会 期 : 2013年12月8日(日)- 2014年2月16日(日)
時 間 : 11:00 - 20:00
主催   GYRE 企画・制作 SANDWICH 協力   JTQInc.、HiRAO INC"

 東京出張の折に、名和晃平の個展を観てきました。
 コンパクトな展覧会でしたが、映像を多用し、密度の高い個展でした。

 作品としては、まず入り口に「Trans-Trophy(Flora)」(2013) 。紫の金属光沢で扁平の球体の集合体トロフィー(下右の写真)。この金属光沢が奥の深い風合いを持っていて、いつまでもいろんな角度で眺めていたくなる魅力的な作品。

Img_9608tile

 そして「PixCell-Deer #35」、鹿の剥製に無数のガラス球。
 こちらは、製作中のオブジェで、鹿の剥製が「映像の細胞」に置き換わる、まさにその過程を展示したもの。別のコーナーで観られる制作ドキュメント映像から、剥製の表面に接着剤でガラス球体が貼付けられる様子がわかる(この記事のトップに引用した写真がその作品)。
 以前も京都造形大ULTRA FACTORYでこの<PixCell>と名付けられたシリーズの別作品を観たことがあるのだけれど、何回観ても、ガラス球の奥の毛皮のテクスチャーがレンズ効果で拡大して観察でき、そして角度を変えると見え方が大きく変わっていく様は圧巻。ものの質感というものを(この場合触感か…)、視覚で認識させるというか。レンズで拡大された表面がディテイルの映像として様々な様子に眺められることで、視覚が触覚に変異しているような不思議な感覚が味わえる。
 会場は撮影禁止だったのだけれど、例によってw、3Dハンディカムでこの質感は持って帰りたいと思った。

 「PixCell-Serrow.eXe」(2011)
 こちらは<PixCell>シリーズの貍(?)。各ピクセルから覗く獣毛の質感はこちらも同等。

 「Manifold Model」(2013)
 あの韓国に建造された高さ13m 幅16m 奥行12mの巨大金属彫刻の1/30モデル。いずれ実物を眼にしたいのだけど、韓国は遠い。この巨大な不定形物体、ミニチュアで観ても迫力がある。実物はいかばかりのものであろうか。
 以下に制作過程の動画が公開されているので、ご興味のある方は是非フルスクリーンで御覧ください。

▶ Manifold by KOHEI NAWA - YouTube

ARTIST : Kohei Nawa (b.1975, Japan) TITLE : Manifold YEAR : Dec 2010 - June 2013 MEDIA : Paint on Aluminum SIZE : 13(h)x 15(w) x 12(d) m WEIGHT : 26.5 ton approx. PRODUCTION & CONSTRUCTION : Kohei NAWA | SANDWICH, FLAT ltd., SCAI THE BATHHOUSE DOCUMENTARY FILM : Aoki Kenji

 デジタルクレイツール "Geomagic Freeform"によって名和の頭の中のイメージが、まずデジタルデータとしてシリコンの仮想空間の中に描かれる。そして発泡スチロールで現実空間に実体化し、アルミ鋳造で巨大な金属彫刻が韓国の地に現出する。

 展示は、その他、名和が作品のテクスチャに使用している様様なテイストの物体群とか、小規模な作品が十数点。

 実体の作品に加えて、今までの名和の展覧会とその制作風景の映像が会場のスクリーンで上映されており、こちらも見どころたっぷり。
 愛知トリエンナーレの「Foam」以外、いずれも観たかったけれど行けなかった展覧会なので、制作風景等とても興味深く鑑賞した。動画で紹介された展覧会は以下。

 

 「名和晃平 ─ シンセシス 展:KOHEI NAWA - SYNTHESIS」
 「KOHEI NAWA - TRANS」(2012 韓国 ARAID GALLERY)
 「KOHEI NAWA - TRANS|SANDWITCH」(2012 阪急梅田ギャラリー)
 「Biota (Fauna/Flora)」(2013 犬島 家プロジェクトF邸)
 「Manifold」(2013 韓国 アラリオスカルプチャーガーデン)
 「Foam」(2013 あいちトリエンナーレ)

 特にもう観たくてたまらない巨大金属彫刻「Manifold Model」の(上の引用動画と別だったと思う)制作映像は圧巻。発泡スチロールから型を取り、鉄(アルミ??)で作られた16mの巨大な不定形の物体が溶接とグラインダで完成していく様のダイナミズムには映像だけでも息をのみます(^^)。

◆関連リンク
SANDWICH
 本個展のテーマにもなっている名和晃平のスタジオプロジェクトのページ。
『KOHEI NAWA-SANDWICH』
 こちらはプロジェクトの作品群を名和の文章で紹介した作品集。読み応え/見応えあります。ファン必見。

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