■フィリップ・K・ディック 山田和子訳『時は乱れて』: Philip K. Dick "Time Out of Joint"
"ディックの初期長篇、待望の復刊!
この町でその男の名を知らぬものはいなかった。レイグル・ガム。新聞の懸賞クイズ〈火星人はどこへ?〉に、2年間ずっと勝ち続けてきた全国チャンピオンだ。だが彼には時折、自分が他人に思えることがあった。ほんとうに自分はいったい誰なのか? ある日、同居する弟夫婦の子供が、近所の廃墟からひろってきた一冊の古雑誌が引き金となって、彼を驚くべき真実へと誘っていく……奇才ディックの名作、待望の復刊!"
フィリップ・K・ディック『時は乱れて』山田和子(改訳版)で初読。
傑作非SF『市に虎声あらん』の7年後に書かれた本作、前半は『市に虎声あらん』にとても似ている市民家庭の描写でスタート。
後半明らかになる真相は、鮮烈でスリリング。
のちに数多くある「作られた世界もの」SFは、ディックを(たぶん)本家に、映画等でもいろいろあるけれど、このサスペンスと作られた理由に主人公の精神的負担が関与するのは出色かもしれない。
そして世界への違和感と切迫感が鮮烈。
前半で自分の居所のなさを、主人公が言語に原因があるような思考をする。初期ディックにはこの視点があるが、神林長平が書いているほど、後年はこの思考は薄れて行く。
言語観点で、もう一度、ディックを読み直してみたいものです。
◆関連リンク
・Time out of Joint(The Philip K. Dick Bookshelf)
冒頭のブックカバー写真はこちらのHPのものを使わせて頂きました。日本語版は私の追加分です。こちらのHP、ディック著作のカバー絵がたっぷり観られて眼福です。
これだけある表紙絵、僕は上から二段目の真ん中、この怪しい小父さん顔のが好きかな(^^)。
・フィリップ・K・ディック 山田和子訳『時は乱れて』
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・フィリップ・K・ディック アンドロイド化プロジェクト
このディックのアンドロイドは、その後発見されたのだろうか。
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