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2014年3月

2014.03.31

■感想 ジョゼ・パジーリャ監督『ロボコップ』José Padilha's Robocop(2014年)


RoboCop TRAILER 1 (2014) - Samuel L. Jackson, Abbie Cornish Movie HD - YouTube(予告篇)

ロボコップ (2014年の映画) - Wikipedia
ジョゼ・パジーリャ - Wikipedia

"2002年にドキュメンタリー映画『バス174』で監督デビューする。 2007年に『エリート・スクワッド』で初めて劇映画の監督を務め、ブラジルでは商業的に大成功をおさめた。また、第58回ベルリン国際映画祭では金熊賞を受賞した。"

 ポール・ヴァーホーベンのサイバーパンク『ロボコップ』のリブート作品。
 ブラジルのこの監督はwikiによれば素晴らしい作品歴があるようだけれど、残念ながら僕は未見。金熊賞の『エリート・スクワッド』はリオデジャネイロ州の軍警察 特殊警察作戦大隊を描いた作品とのことなので、そこから今回の起用があったのかもしれない。

 冒頭から異様なテンションで登場するニュースキャスター サミュエル・ジャクソンは、バーホーベンの『スターシップトゥルーパーズ』をも想い出させ、徹底した米国流軍産複合体誘導の様相を強烈に批判したシーンとなっている。このあたりはバーホーベン作の本質を踏襲しているようにみえる。
 それに続くテヘランのシーケンスは、バーホーベン作を超えたアメリカの世界的な覇権の汚物をみせるシーンとして映画に広がりを獲得している。

 MGMのライオンは米国覇権主義の象徴と考えることも出来、冒頭とラストの扱いは痛烈な批判精神に溢れ秀逸だと思う。

★★★★★★以下ネタバレ注意★★★★★★

◆フランシス・ベーコン「オレステイア トリプティック」

20140330_83349

 そして次に当Blogとしては、予告篇にも登場するフランシス・ベーコンの絵画シーンについて触れないわけにはいかないw。

Cum Lazaro: Robocop and the resistance of the natural.

"Add to this some subtle details -the villain's office is decorated with Francis Bacon's Oresteia trilogy (above) -images symbolic of the breakdown of the family (Orestes) and the body  (Bacon's usual butcher's eye view of the world)"

 軍事警察ロボットメーカ「オムニコープ」社長のレイモンド・セラーズの後ろに掲げられているのは、フランシス・ベーコン "Triptych Inspired by Oresteia of Aeschylus" <アイスキュロス『オレステイア』にインスパイアされたトリプティック>である。

Robocop_triptych_inspired_by_oreste

 特にその中央の絵は、この後に登場するロボコップの衝撃的な欠損映像に似ている。透明の球面容器に入れられた内臓の様なベーコンの人体変容絵画は、まさにアレクサンダー・マーフィーの異様な姿と通底する。
 後半、この絵画は抽象的なCGのような3つの絵(?)に置き換えられるが、その置き換わった作品がとても気にかかる。どなたか情報があれば教えてください。
※と書いていたら、キネ旬2014年4月上旬号の連載「セルロイドの画集」で、滝本誠師がベーコン作品と『ロボコップ』について書かれているようです。これは必読!

◆自由意思の幻想 としてのロボコップ
 デネット・ノートン博士がロボコップとなったマーティンの攻撃時の応答速度を上げるために、機械の体の判断と行動がマーティンの脳よりも早く反応するようにセット、意識はそれを自分が実行したと思い込むように手術するシーンがある。

"「彼は自分をコントロールできている思っているが、そうではない。彼は自由意思の幻想を見てるんだ」"

 そして、セラーズ社長は「自分をマーティンと思い込んでいるマシン」というような表現をする。

 ここで、伊藤計劃とも通じるビジョンが描かれるかと期待させる。ベーコンの絵とこの意識を巡る言説に、ワクワク。この後、どんな展開がこのアクションSFで実行されるのか。

 しかし残念ながら後半は家族の物語に終始し、このサイボーグの意識についての言説は、このシーン以上に展開されることはない。以下は、このシーンでワクワクした私という意識の妄想であるw。主に伊藤計劃の著作と『ロボコップ』の関係について述べ、もしかしたらリブートロボコップの次回作があるとしたら、そんなスリリングなテーマが語られるのかもしれない。

◆伊藤計劃とロボコップの関係

 「自由意思の幻想」について、伊藤計劃は短篇「From the Nothing, With Love」で以下のように語っている。少し長文になるが引用する。

"「ベンジャミン・リベットはアメリカの神経生理学者よ。リベットの実験というのは、こういうもの。被験者に関して測定されるポイントは三つ。体のどこでも良かったのだけれども、とにかくそこを動かそうと決定した時間。そのときは指だった。」
「二点目は」
「指を動かすために、脳が動作の準備に入るその電気的活動が発生した時間。準備電位と呼ばれるものよ。三点目は、実際に指の筋肉が動かされた時間。これらを測定した結果、世界をひっくり返すような事実が判明したの」
「少なくとも、まだ世界は裏返ってないようだが」
「誰も深刻に受け止めていないからよ。だって、被験者が指を動かそうと決意するよりも前に、脳はそのための準備を始めていたんですもの」
「……何だって」
「行ったとおりよ。」指を動かせと意識が命令して、指が動くのではないの。意識が指を動かそうと思うより前に、脳はその準備に入っているの」
「馬鹿馬鹿しい」
「いいえ、残念ながら七〇年代から八〇年代にかけ繰返し追試されてきて、最早動かしようのない科学的事実なのよ。この実験の解釈は様々にあるわ。人間の自 由意志を否定するもの。意識は後付で行動を追認または否定しているに過ぎないというもの。それから、それはごく狭い見方に過ぎず、実験は意志決定という巨 大なプロセスの全体を測定できていないのだというもの」
「意識は後付で行動を追認しているに過ぎない、とはどういう意味だ」
「たとえば、私が貴方あの頬をつねるとするわね。貴方は痛みを感じるでしょう。でも痛みというのはね、体の部位にもよるけれど、脳に到達するまでにだいた い〇・五秒もかかっているのでも、貴方はつねられた瞬間に痛みを感じているように錯覚する。つねられたと同時に痛さを感じているかのように『感じてい る』。でもそれはね、脳が刺激を受けた時間軸を編集しているからなの。〇・五秒遅れた世界を、〇・五秒戻してやってから意識に送り込むことで、擬似的なシ ンクロニシティを作り出しているからなのよ。今現在、なんてものは存在しない。視覚も、味覚も、触覚も痛覚も、その処理速度はばらばらよ。私っちが日々見 て、感じている世界の統合された瞬間瞬間を脳内に作り上げるには、コンピュータと同じでそれなりの処理時間が必要なの。それらばらばらな情報をまとめ上げ て、あたかも『今現在』とか『この瞬間』とかが存在するかのように錯覚させているのが、私たちが『意識』と呼んでいる機能の一部ってわけ」
「じゃあ、意識は肉体と無意識で出来た自動人形の見ている、単なる夢だっていうことなのか」
「もちろん違うわ。意識は判断し、行動を調整することが出来る。ただ、意識がなくとも出来ることというのは実は多いの。人間は何から何まで意識して体を動 かしているわけじゃないでしょう。キーボードをたたく指の一本一本、アスファルトを踏みしめる歩みの一歩一歩。そういうのは単純な例だけれども、でも音楽 演奏を初めとする、かなり広範囲の文化的創作行為が、実は意識の介在なしに行われているとする研究は存在するわ」"

 まさにここで語られているのは、『ロボコップ』のマーティンにノートン博士が施したのと同等の知覚,認識,行動のプロセスが、現実の人間をも支配しているという驚くべき実験結果についてである。

 このベンジャミン・リベットの実験を引用し、伊藤計劃はその作品で、行動を駆動する脳の非意識活動と意識の順番の転倒を示して、意識という近代の幻想の葬送を語ろうとしていた。
 その後の著作でも描かれているそのテーマについて、このBlogで僕が書いた以前の記事から関連部分を引用する。『ロボコップ』のあのセリフで、伊藤計劃をダイレクトに想起して、どんな物語が展開するかと期待した僕の脳内を少しでも再生して頂ければ幸いである(^^;)。

■感想 伊藤 計劃『ハーモニー』: ★究極映像研究所★.

" 健康テーマのユートピアもの、と単純にイメージしていたのですが、豈図らんや、伊藤計劃氏が追求していた「意識」テーマの本格SFでした。"

    "我々人類が獲得した意識なるこの奇妙な形質を、とりたてて有り難がり、神棚に祀る必要がどこにあろう" (P316)

■ネタバレ感想 伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』: The Empire of Corpses

" そしてさらにプロットで強く知りたいのは本格SFのテーマ部分。「意識」と「言葉」についての伊藤氏の構想である。
 円城版で「From the Nothing, With Love.」+「言葉」については触れられて総論としては見事に纏められているが…、僕の個人的な関心領域のこの部分は、残念ながら「From the Nothing, With Love.」の凄みのさらにその先としては、今ひとつと言わざるを得ない部分もある。
 「From the Nothing, With Love.」は語り手が「意識」であり、その彼が意識の葬送をしているところに凄みがあると書いた。
 そして将来的に書かれる物語としては、意識とテキストの関係、成り立ちに肉薄する予告がそこにあったと思う。
 ヴァン・ヘルシングのクライマックスでのXの認識は、「言葉」と語られているが、読者にはいささか唐突に感じられる。もしこの「意識」と「言葉」の繋が るメカニズムが深堀りされていたら、古今東西の物語を転倒させて「文学」をひっくり返すイメージが現出する凄みが出たのではないか、と個人的に夢想する。"

 いささか妄想暴走気味で申し訳ないですが、ゲイリー・オールドマン演じるノートン博士を軸にして、そんなSFへと『ロボコップ』の新しい物語が紡がれていくのを期待して、この文章を閉じたいと思う。
 『ロボコップ』、アクション映像も凄いけれど、SFとしても今後の展開に期待!!

◆関連リンク
キネ旬2014年4月上旬号 - KINENOTE.

"セルロイドの画集 シネマ・アート・ランダム 第94回 フランシス・ベーコン<アイスキュロス『オレステイア』にインスパイアされたトリプティック>×『ロボコップ』"

 滝本誠師がベーコン作品と『ロボコップ』について書かれているようです。これは必読!
オレステイア - Wikipedia.

"古代ギリシアの悲劇作家アイスキュロスの書いた悲劇作品三部作。唯一、三部作ともにしっかりした形で残された作品であり、『アガメムノーン』『供養する女たち』『慈しみの女神たち』の三つの悲劇から構成される。紀元前458年に上演された。"

ベンジャミン・リベット, 下條 信輔訳『マインド・タイム 脳と意識の時間』

▶ Elite Squad - Trailer 1 - YouTube
 『エリート・スクワッド』の予告篇。
Robocop (2014): Behind the Scenes (Broll) Part 3 of 3 - YouTube
 『ロボコップ』のメイキング映像。

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2014.03.26

■予告篇 スタニスワフ・レム原作(『泰平ヨンの未来学会議』) アリ・フォルマン監督『ザ・コングレス : 未来学会議』Ari Folman "THE CONGRESS"

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Home - The Congress(公式HP)

 スタニスワフ・レム『泰平ヨンの未来学会議』の映画化作品、アリ・フォルマン(Ari Folman)監督の『The Congress』予告篇の混沌が素晴らしい!
 予告篇の動画は、下で観てもらうとして、その前に、公式HPへ足を伸ばして欲しい。上の引用画像が各々のシーンで動く様子は、まさに映像のカオス。
 実写とアニメーションで描かれるレムのサイケな幻想物語、是非、一般公開して欲しいものです。

▶ THE CONGRESS by Ari Folman - Official Trailer HD - YouTube
 実写シーンとアニメがどういう関係になるかも、この予告からはわかりません。しかしあまり他で観たことの無い映像体験が期待できそうで、ワクワクします。

泰平ヨンの未来学会議 - futurecongress.pdf
 『泰平ヨンの未来学会議』はPDFがこちらでダウンロードできますね。深見弾訳の日本語版!

The Congress - The Match Factory
 映画のPress Kit PDFはここにあります。以下、そこから気に入った画像を引用します。トリップ感覚あふれる幻想的な映像ですね。

Congress01

Congress02

Congress03

◆関連リンク
The Congress (2013 film) - Wikipedia, the free encyclopedia
"Le Congrès" : "Un film qu'il faudrait voir sous substances"
 カンヌ映画祭の様子を伝えるニュース。フランス語です。
"コンペティション部門長編アニメーThe Congress / コングレス

"イスラエル=ドイツ=ポーランド=フランス=ベルギー=ルクセンブルグ 2013年 02:03:00 字幕あり(日本語/英語)
3/20 (thu) 16:00-18:15(監督挨拶未定) SCREEN 5"

 東京アニメアワードフェスティバル2014で上映されたとのことで、柳下毅一郎氏ほか絶賛のコメントがSNSで見受けられました。
ReadMe!Girls!の日記・雑記: スタニスワフ・レム「泰平ヨンの未来学会議」の映画化作品「The Congress」は実写とアニメのミックスな奇想世界.

"原作:スタニスワフ・レム「泰平ヨンの未来学会議」 監督:アリ・フォルマン(Ari Folman)13.7月にフランスで公開。"

The Congress (Ari Folman's Original Motion Picture Soundtrack): Max Richter
 本映画のサウンドトラックがAmazonで売られています。Max Richterによる音楽はここで視聴できます。

The Congress (Ari Folman's Original Motion Picture)
 まだ日本で取り扱いはないですが、AmazonフランスではDVDが販売されています。

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2014.03.24

■情報 ロンドンのギャラリー 「Guerrilla Zoo : ゲリラ動物園」

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Guerrilla Zoo - Home Art

 先日ご紹介したウィリアム・バロウズ生誕100周年祭が開かれた、かのロンドンのギャラリー 「Guerrilla Zoo : ゲリラ動物園」を紹介します。何ともパンクで怪し過ぎます(^^;)。夜な夜なテムズ川のほとりでこのような異界のパーティが開かれているかと思うと、心が騒ぎます。

Guerrilla Zoo
 Facebookのグループ、加入承認頂きましたw。

公式Youtube
 こちらでギャラリーの様子。数々の怪しい動画が観られます。

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 そして今年の11月には、ヤン・シュヴァンクマイエルの展覧会が開かれる模様(以下のシュヴァンクマイエル公式Facebookページより)。同類相まみえる(^^)。詳細はわかりしだい掲載したいと考えます。

"07-16/11/2014
London – Galerie Guerilla ZOO"

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2014.03.19

■動画と情報 ウィリアム・バロウズ生誕100年祭「インターゾーン」 Interzone - Celebrating 100 Years of William S Burroughs@Guerrilla Zoo

Interzone - Celebrating 100 Years of William S Burroughs from Guerrilla Zoo on Vimeo.

"Teaser from 'Interzone' - An event celebrating 100 years of William S Burroughs. Held on Fri 7th Feburary 2014. Filmed and edited by Gabriela Jones (gjonesphoto.co.uk). Additional footage by Florencia Caputo. Music by Rhodri Karim (www.uthermoads.co.uk) and Moby (mobygratis.com)"

 2014年2/7にロンドンのギャラリー GUERRILLA ZOO(ゲリラ動物園?)で開催された、ウィリアム・バロウズ生誕100年祭「インターゾーン : Interzone」。
 バロウズのナレーションが素敵な、予告篇動画がパンクです。

ウィリアム・S・バロウズ - Wikipedia

 バロウズの誕生日は1914年2月5日ということなので、この聖誕祭は、実際には2日遅れだったようです。

Photo

nterzone Celebrating 100 Years of William S Burroughs Gallery - Guerrilla Zoo(公式サイト)
 こちらに掲載されている写真集が素晴らしい、闇に息づく鈍い光。
 バロウズによる闇の文化が脈々とロンドンには生き続けているようです。

Interzone

◆関連リンク

▶ Interzone - Celebrating 100 Years of William S Burroughs - YouTube

 Vimeoの同じ動画。リンク切れのため冗長系として掲載しておきますw。

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2014.03.17

■動画と情報 ヤン・シュヴァンクマイエルの映画制作50周年記念の展示会 "Jan Svankmajer: The Inner Life of Objects : オブジェクトの内なる生活"


Inner Life of Objects Final Cut - YouTube

 ヤン・シュヴァンクマイエルの映画制作50周年記念の展示会 "Jan Svankmajer: The Inner Life of Objects" が昨年開催されていたのを最近知ったためw、後追いですが情報として整理します。

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Cine-City — Jan Švankmajer: The Inner Life Of Objects 2013(公式サイト)

"I don't actually animate objects, I corerce their inner life out of them." Jan Svankmajer

 イギリスのブライトン大学で2013.10/10〜12/2に開催された回顧展。
 上の動画で会場の様子を観ると、日本の展覧会で展示されていない、新作らしきオブジェも展示されてたようです。

 動画は、オブジェの細部がクリアに捉えられていて、素晴らしい!

"10 October - 2 December 2013; University of Brighton Gallery, Grand Parade BN2 0JY."
 写真と動画がこちらにもたくさんあります。
 最近、日本で話題の少ないシュヴァンクマイエルだが、この回顧展の巡回展等、また作品を見られる機会が得られることを切に望みます。
 映画の次回作『昆虫』もそろそろ完成ではないかと思うので、その上映に合わせてまた是非日本でもシュヴァンクマイエル展を開催して欲しいものです。

◆関連リンク
■ヤン・シュヴァンクマイエル:Jan Švankmajer監督 新作『昆虫:Hmyz(Insects)』
当Blog シュヴァンクマイエル関連記事 Google 検索

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2014.03.12

■情報 美術展「クリムトとウィーン:黄金と色彩の世紀(Klimt and Vienna, a century of gold and colors)」

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クリムトの名画を音と光で楽しむ展覧会、フランス(AFPBB News)

"【3月7日 AFP】南仏の街レ・ボー・ド・プロバンス(Les Baux-de-Provence)で6日、オーストリア人画家グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)の作品を集めた美術展「クリムトとウィーン:黄金と色彩の世紀(Klimt and Vienna, a century of gold and colors)」の内覧会が開催された。
 7日に開幕するこの展覧会は、クリムトや同世代の画家たち、さらにはクリムトの影響を受けた画家たちによって描かれた絵画を通じて、ウィーンの美術界の100年にわたる歩みを振り返るというもの。会期は来年の1月4日まで。"

Klimt and Vienna, a century of gold and colours | Klimt et Vienne, un siècle de couleurs
Klimt and Vienna | Carrières de Lumières - Site officiel (公式HP)

 開催期間 : 2014.3/7〜2015.1/4。

 元採石場が会場で、プロジェクタでアート展を実現。雄大なクリムトの世界が素晴らしいです。これは是非行ってみたいものですが、フランスでは絶対行けませんね。とりあえず、下に掲載した動画で楽しみますか(^^;)。
 実際は採石場の静謐な空間で体全体で体感しないと、この展覧会の新価は分からない様な気がします。

Carrières_de_Lumières(wiki) そのGoogle翻訳

 会場のCarrieres Lumieresは、白い石灰岩の採石場で、100のプロジェクタで6,000㎡以上の石壁に絵画の映像を投写しているようです。

 この会場は、以前、ゴッホの同様の展覧会を開催していたようです。

公式Facebookで公開されている会場の映像。
投稿
by Carrières de Lumières

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2014.03.10

■情報 デイヴィッド・リンチ演出 "KENZO 2014-15年秋冬コレクション : David Lynch's KENZO"

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ケンゾー(KENZO) 2014-15年秋冬コレクション - デヴィッド・リンチがショーを演出 | ニュース - ファッションプレス

"現代の鬼才でありカルト的人気を誇るリンチがセットデザインと音楽を担当した今回のショーは、まるで愛、復讐、奇妙さ、ミステリアスさを掘り下げたオムニバスの映像のようで、クリエーションの世界に引き込まれていくような、ひとつの完成された作品に。"

Kenzo FALL/WINTER 2014 Collection - Kenzo Collections(公式HP)
 何とついにパリコレにデビッド・リンチが登場。
 冒頭の引用写真は、Google画像検索("KENZO LYNCH")でネットからピックアップしたショーの画像集である。リンチによる巨大な彫像がひときわ異彩を放つ。


KENZO Women Fall-Winter 2014 Show - YouTube

David Lynch : "I really liked working with Humberto, Carol and the people at KENZO. I wanted to try to get a different feel for a runway show, having mystery and emotion swimming together."

"「ウンベルト、キャロル、そしてKENZOの人々と働くのは本当に楽しかった。ミステリーとエモーションが共存した、異質な感覚のランウェイにトライしたいと思った」
―――デヴィッド・リンチ"

 上はその公式プロモーション動画。異様な空間と音楽が素晴らしい。

David_lynch_colabora_con_kenzo_02

 ファッショナブルなランナウェイに紛れ込んだデヴィッド・リンチの造形物。
 この不気味でどこか闇の空洞を思わせる、茫洋とした異様な風貌の巨大彫刻が、空間を負の方向に歪ませ、そこにモデルたちの均衡のとれた体が精彩を放つ。
 音楽もリンチが担当したということだが、次は、是非、服のデザインもリンチに任せてみてもらいたいものです。そこからどんな異界が覗くか、興味津々w。

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2014.03.05

■予告篇 ドキュメンタリー ミシェル・ゴンドリー監督『Is The Man Who Is Tall Happy?』、ジョシュア・オッペンハイマー監督『アクト・オブ・キリング : Act of Killing』、マーク・レビンソン監督『Particle Fever : 素粒子フィーバー』


▶ Is The Man Who Is Tall Happy? Official Trailer #1 (2013) - Michel Gondry Documentary HD - YouTube

 何とミシェル・ゴンドリー監督が、言語学者ノーム・チョムスキーをドキュメンタリーアニメ化!詳細は以下引用を御覧ください。

ミシェル・ゴンドリー監督がアニメで描いた言語学者ノーム・チョムスキーの世界観とは? - シネマトゥデイ

" ミシェル・ゴンドリー監督 新作『イズ・ザ・マン・フー・イズ・トール・ハッピー?(原題) / Is The Man Who Is Tall Happy?』。
 同作は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授で、言語学者/思想家のノーム・チョムスキーにインタビューしたミシェル・ゴンドリーが、独自のアニメーションを駆使して、チョムスキーの教育、宗教、思想に迫ったドキュメンタリー"

コンペティション長編部門ファイナリスト5作品がついに決定! | 東京アニメアワードフェスティバル 2014

"『 Is the man who is tall happy?(原題)』 ミッシェル・ゴンドリ 88 分 アメリカ/フランス

このファイナリスト5作品は、東京アニメアワードフェスティバル2014の開催期間3月20日(木)~3月23日(日)に「TOHOシネマズ 日本橋」にて、一般の方へ向けた上映、および国際審査員による本審査を経て、3月22日(土)東京ビックサイトにて行われる授賞式にて受賞作品を発表いたします。

『 Is the man who is tall happy?(原題) 』

Is the man who is tall happy?監督:ミッシェル・ゴンドリ/製作国:アメリカ、フランス/上映時間:88 分

映像の魔術師ミシェル・ゴンドリが今回挑んだのは「ドキュアニメーション」。言論界の世界のトップ、ノーム・チョムスキーの明快にして難解な世界を、ゴンドリがインタビューと様々な手法のアニメーションで描き出す、彼らしさ溢れる真骨頂とも言える作品!

ベルリン映画祭正式出品作品

 3/20〜23に東京では限定的な上映が実施されるようです。
 これは機会があれば、是非見てみたいものです。それにしても思想家の哲学をアニメーション化するとは、なんと大胆な発想でしょう。
 ゴンドリのキッチュな映像で描かれる言語学! 楽しみです。

Is the Man Who Is Tall Happy ? | Michel Gondry(ミッシェル・ゴンドリー公式サイト)
映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』絶賛上映中!
 まだ公開中なのですね。名古屋では既に終了していて、見逃しました。はやくブルーレイが発売されんことを!

▶ The Act of Killing Official Trailer 1 (2013) - Documentary HD - YouTube
 "アクト・オブ・キリング : Act of Killing"(たまむすび火曜日2014-02-25 町山智浩 アメリカ流れ者) (Podcast)
 この町山氏による紹介によると、"凄まじいコメディ"虐殺劇ドキュメンタリー映画、 とのこと。下記リンクを読むと、インドネシアの「9.30事件」は、50万人とも300万人とも言われる凄絶な大量虐殺事件だったようである。
 現在も生きている当事者たちが、当時の自らの残虐な行為を演じ、それをドキュメンタリーとして撮った映画とのことでまさに凄絶。

The Act of Killing(公式サイト)
大量虐殺を加害者の視点からとらえた衝撃のドキュメンタリーが日本でも公開決定―1965年のインドネシアで何があった? | THE NEW CLASSIC.

"インドネシアの1965年「9.30事件」映画『アクト・オブ・キリング』は、日本では14年4月から東京・渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。"

9月30日事件 - Wikipedia

"20世紀最大の虐殺の一つとも言われ、50万人前後とも、最大推計では300万人とも言われるその数は今日でも正確には把握されていない"

CIA☆こちら映画中央情報局です: The Act of Killing

"The Act of Killing : 無数の人の命を容赦なく奪ったことで、国民的英雄に祭り上げられてる元 “ 死の部隊 ” の殺戮者らを監督に迎えて、あなたが国家のために行った大量虐殺を克明に映画で再現してくださいね!!とお願いしてみたブラックな実験のドキュメンタリー映画の衝撃作「ジ・アクト・オブ・キリング」の予告編!!"


▶ PARTICLE FEVER - Official Trailer (2014) HD - YouTube
 『ホーム・アローン』の監督 マーク・レビンソンによるドキュメンタリー『Particle Fever : 素粒子フィーバー』予告篇。

 CERNの粒子加速器のドキュメント映画。ドラマ監督による科学者たちの息づかいの聞こえるサイエンスドキュメンタリーに期待です。

Particle Fever « digitalfilms
Particle Fever | WITH ONE SWITCH, EVERYTHING CHANGES(公式サイト)
Particle Fever - Movie Trailers - iTunes

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2014.03.03

■予告篇集 『War of the Worlds Goliath : 宇宙戦争 ゴリアテ』『Dawn of the Planet of the Apes : 猿の惑星 新世紀』『AFTER THE DARK : アフター・ザ・ダーク』『グランド・ブダペスト・ホテル : The Grand Budapest』

 今週は、新作映画の予告篇から面白そうなものをいくつか御紹介。今日はフィクション、続いてドキュメンタリー映画の紹介です。

▶ Trailer War Of The Worlds GOLIATH - YouTube
 ジョー・ピアソン監督『War of the Worlds Goliath : 宇宙戦争 ゴリアテ』予告篇。

"火星人が最初に地球の侵略に失敗した後、十五年が経過。 1914年、第一次世界大戦の前夜に、火星は突然、より破壊的な第二の攻撃を開始。 小さな守備力 ARESは、地球の唯一の希望である。 巨大ARES戦闘三脚ゴリアテは戦争に呼び出され、その若い多国籍の乗組員は、エイリアンの侵略から人類を救うための闘いで恐怖に直面しなければならない"

 少し違うAppleのサイトの予告篇

 手描きのキャラクターアニメはアナクロですが、CGの歩行機械とか飛行船が良い感じ。ストーリー、粗筋を読むとベタな感じですが、CGによる1914年の未来世界は観てみたいw。歩行機械好きです。


▶ Dawn of the Planet of the Apes | Official Trailer | 20th Century FOX - YouTube
 マット・リーヴス監督『Dawn of the Planet of the Apes : 猿の惑星 新世紀』予告篇。
 シーザーの"反抗"の面構えがラディカル。人類が滅びてもいいというくらいに最高w。

Dawn of the Planet of the Apes | View Trailer | Official Movie Site | July 2014(公式サイト)
Appleのサイト


▶ After The Dark Official Trailer 1 (2014) - Sci-Fi Movie HD - YouTube.
 ジョン・ハドルス監督『AFTER THE DARK : アフター・ザ・ダーク』予告篇。

"間近に迫った核の黙示録。人類の再起動をはかるため、10の大学の学生たちが地下シェルターで…"

 核による週末のシミュレーションもの(?)。 
Appleのサイト
ジョン・ハドルス (John Huddles) 監督は、1997年に『誘惑の恋人たち』というディスカッションドラマを撮っているそうで、その核戦争版なのかも。


「グランド・ブダペスト・ホテル」予告編 - YouTube
ウェス・アンダーソン監督『グランド・ブダペスト・ホテル : The Grand Budapest』

グランド・ブダペスト・ホテル wikipedia

"1920年代、仮想の国ズブロッカ共和国が物語の舞台である。また、時間軸は1920年代と1960年代、現代の3つである。
ウェス・アンダーソン監督は1.33:1、1.85:1、2.35:1の3種類のアスペクト比を時間軸ごとに使い分けている。"

 ホテルのビジュアルとちょっとエキセントリックなキャラクターに惹かれます。
 舞台はチェコではないようですね。

・Appleのサイト
ウェス・アンダーソン最新作「グランド・ブダペスト・ホテル」6月全国ロードショー(日本版公式サイト)

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