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2014.07.21

■感想 ダグ・リーマン監督『オール・ユー・ニード・イズ・キル : All You Need Is Kill』


▶ Edge of Tomorrow (2014) Making of & Behind the Scenes - YouTube

 ミッドランドシネマ名古屋空港 XpanD方式 3D 吹替版で鑑賞。
 タイムリープの
スピーディな緊迫感とトリッキィな展開に満足。ゲームはほとんどやらないのだけれど、まさに主人公の経験値の上がり方はゲームそのもの、これが独特のユーモアと爽快感を形作っていて、とにかくグイグイと見せられる。

 僕が特にこの映画に惹かれたのは、
中盤位からのリタ・ヴラタスキ軍曹の諦めず前進する「意志」の映画の部分。まさにゲーム的という受け止め方も出来るけれど、リープし続けるウィリアム・ケイジ二等兵とは違って、既に死から逃れられなくなっている、リタの人類の勝利への希望の希求が、まさに映画の光になっている。
 それに引きずられる様にして戦闘力を上げていくケイジの描写も無駄がなく壮快。

 このネヴァーギブアップの兵士の意志は、ジェームス・キャメロン『ターミネーター』の再来的な輝きをこのSF映画にもたらしている。

 なので、前半に比べて批判も多い後半、ケイジとリタがタイムリープから解き放たれて自らの生命を真剣に掛けて敵を殲滅する部分も、僕は意志の完遂のシーンとして心地よく観た(^^)。

 さて映像として3D部分、冒頭の対異星人ノルマンディー作戦の緊迫感と後半の一人称でのルーブル攻略、このあたりでまさに3Dの臨場感が最大に発揮されて、なかなか素晴らしい映像だった。
 異星人ギタイ(これは音から"擬態"だと思い込んで観てたw)の3D描写もなかなかのもの。特にアルファの青白く光る顔の造形は秀逸。オールドファンは『禁断の惑星』イドの怪物を思い出した人もいるのではw、あの造形をリアルにして、しかも立体視できるわけで、SF異星人映像ファンにも一級品としてお薦めします(^^)。

Kev Jenkins: Edge of Tomorrow
 リンク先は、初期に作品に関わったらしい、コンセプトアーティスト ケヴィン・ジェンキンスのイメージスケッチ。これが立体視でスピーディに動く映像となっており、出色の出来(^^)。画像を引用したいけれど、ネタバレになるので止します。
 映画を既に観られた方は、素晴らしいコンセプト画を是非御覧あれ。

◆関連リンク
日本のSF小説がハリウッド映画に!評論家達から熱いレビューを集める『オール・ユー・ニード・イズ・キル』 - Togetterまとめ
 著名人のコメント(こちらは宣伝文句)と、一般ファンのつぶやき。
▶ 宇多丸が映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を語る - YouTube
 TBSラジオ 『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』「週刊映画時評 ムービーウォッチメン」。自身の独特のヒーロー像をうまくとらえて魅せるトム・クルーズの演技に5億点wが出ています。
桜坂 洋, 安倍 吉俊『All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)』

"「出撃なんて、実力試験みたいなもんじゃない?」敵弾が体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。トーキョーのはるか南方、コトイウシと呼ばれる島の激戦区。寄せ集め部隊は敗北必至の激戦を繰り返す。出撃。戦死。出撃。戦死―死すら日常になる毎日。ループが百五十八回を数えたとき、煙たなびく戦場でケイジはひとりの女性と再会する…。期待の新鋭が放つ、切なく不思議なSFアクション。はたして、絶望的な戦況を覆し、まだ見ぬ明日へ脱出することはできるのか。"

オール・ユー・ニード・イズ・キル - Wikipedia
Hiroshi Sakurazaka『All You Need Is Kill』洋書
 この映画、傑作なのに、残念ながらアメリカではヒットしていないらしい。
 これを機に日本SFが大量に映画化されることをファンは夢見ていたのだけれど、、、w。

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