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2014.07.30

■感想 ギャレス・エドワーズ監督『ゴジラ』GODZILLA 2014


▶ GODZILLA 2014 ゴジラ予告編 最長版 - YouTube

 ギャレス・エドワーズ監督『ゴジラ』Real D 吹替版、観てきた。

 迫力の特技撮影映像wとスピーディーな物語を堪能。まさに日本の怪獣映画魂を見事に受け継ぎ、しかも映像的にパワーアップさせた作品で、素晴らしい大怪獣映画となっている。

 高層ビルの破壊、怪獣の出現により廃墟となった市街地等々、デザスタームービーとしても堂々たるもので、もちろん911, 311後の映像でもあるのだけれど、それ以上に巨大なものによる破壊が、自然の畏怖感を的確に表現していて、エドワーズ監督の映像表現が素晴らしい。


★★★ここからネタバレしますので、ご注意を!!! ★★★
★★★リンク先の予告篇も観ないで劇場へ向かうのを御薦めします★★★



 先日観た『ゴジラ』第一作と比べると、初代に込められていた科学技術への驚異といった側面が薄い。その部分を埋め合わせているのが、予告篇にある、「原始生態系の頂点に君臨する ー 言わば神」としての設定と、ゴジラのヒーロー性。

 ヒーロー性の獲得は、子供や被災者を、結果的に守る様な行動をとるシーンが貢献しているのだろう(特に金門橋のシーン)。全体のどこか爽快感がある、観終わった後の高揚は、まさにそこに由来するのだろう。
 畏怖すべき存在で人智を超えた存在であるが、どこか結果的にもたらされたヒーロー性は、もうひとつの日本怪獣映画作品を思い出させる。子供時代にどちらかというと、そちらが好きだった僕は、今回のゴジラのヒーロー性に快哉を上げていましたw。

 ゴジラの活躍の後のシーンで、薄く尺八の様な邦楽的な音が付いているシーンが複数あった。ここらから、ゴジラに侍の武士道的な匂いも追加されていて、ヒーロー性の一つの要因になっていたと思う。

 フランク・ダラボンが脚本に加わっているということだけれど、まさにダラボンが撮った怪獣映画の存在も思い出す。あのタッチが好きな人にもこの映画、お薦めです。

 映像的には細部まで巨大感の表現にこだわり、前半で溜めて、その巨大なものの痕跡を描く描写で観客の心の中の映像を作り上げる監督の手腕に拍手。他にも決定的なシーンをいくつか描かないで観客の想像にゆだねる様なシーンがあり、こうしたところもとてもうまい。

Godzillla_atomic_bomb

 あと印象的だったのが、冒頭のビキニ環礁らしきシーンの背びれの描写。
 水爆の映像とゴジラの背びれが連関して、映像のデジャビュ感を醸し出している様に見えたのは僕だけであろうか。南太平洋の澄んだ海の青、そこに沸き上がる水爆の禍々しい爆煙とゴジラの背びれの描写。

 背びれの効果的な使い方は、空母の下を通り過ぎていくシーンとかも含め、巨大生物のセンスオブワンダーを見事に表現して、観客に直撃してくる様な、魅せる映像になっている。

 先日のコミコンの記事で紹介した様に、次は東宝怪獣中、最も雄大な「宇宙の神」キングギドラが登場するという。次は是非、ギドラと超兵器の対決が観たい。

 本作の様にリアリティで東宝怪獣映画を現代に蘇らせた手腕によって、リアル金星人が操る迫真のキングギドラ怪光線が観たくて堪りません(^^)。

◆関連リンク
[鍋潤太郎のハリウッドVFX最前線]Vol.48 青木洋一郎氏に聞く、映画「GODZILLA ゴジラ」における2D-3D変換と、ハリウッドにおける最新動向 - PRONEWS

"――2D- 3D変換のマーケットは、ハリウッドではかなり大きいようですが、年間何本くらいの映画が2D-3D変換で処理されていますか?
 また、2D-3D変換を行 う専門のスタジオは何社くらいありますか?
 一般的に、ハリウッドのメジャー映画スタジオが、2D-3D変換に費やしている予算はどの位でしょうか?

青木氏:ステレオD以外で有名な2D-3D変換専門のスタジオは、Prime Focus、Legend3D、Gener8が大手になります。過去2年間で80本ほど3D映画が上映され、うち30本程が3Dコンバージョンでの公開に なっています。 ステレオDの担当作品は2013年では10作品ほど。2014年は6作品ほどでした。2D-3D変換市場の、全体の5割を担当した事になります。ショット 数など映画の規模にもよりますが、2時間の作品に対して$6million~$8million(6億円~8億円相当)ぐらいです。

――「GODZILLA ゴジラ」の2D-3D変換作業で、こだわった部分は?

青木氏:ゴジラの様な大きな対象物を3D化する場合、適切な立体演出をしないと、ゴジラがミニチュアの様に小さく感じてしまう事があります。そこをどうう まく仕上げるかが、この作品の大きな目標でした。ギャレス・エドワーズ監督のカメラアングルは主観的なものが多く、窓や建物など対象物をうまく配置してく れていたのでとても3D的にはいい空間表現が出来たと思います。 3Dというと“何かが飛び出す”という印象が強いですが、「GODZILLA ゴジラ」は奥行き、巨大感を3Dで楽しんで頂ける作品になったと思います。"

ステレオD社、日本人の青木洋一郎氏がステレオスーパーバイザーとして活躍されています。興味深いインタビューです。今回のヒットで、初代『ゴジラ』の3D化とかもし実現したら良いですね。観たい。

『GODZILLA ゴジラ』復活の立役者が語る製作の裏側! - ニュース - Yahoo!映画.

"ゴジラをよみがえらせた立役者は、ハリウッドで今、最も注目を浴びている製作会社レジェンダリー・ピクチャーズの創始者でCEO(最高経営責任者)のトーマ ス・タル。ファイナンス業界からプロデューサーに転身し、『ダークナイト』トリロジーや『インセプション』『マン・オブ・スティール』『パシフィック・リ ム』といった超大作から、『ハングオーバー!』や『300 <スリーハンドレッド>』シリーズ、伝記映画『42 ~世界を変えた男~』など、幅広いヒット作を連発する手腕は見事と言うしかない。子供のころから大のゴジラ好きだったタルにとって、今回の 『GODZILLA ゴジラ』には特別な思いがあったという。"

「GODZILLA」VFX徹底解明! ギャレス監督“着ぐるみ愛”を激白!! : 清水節のメディア・シンクタンク - 映画.com.

"「不思議なことに、最終的な判断はゴジラ自身が行ったんです。方向性としては、より人間らしく、何を感じているのかを想像できるようなゴジラに変わっていきました。動物的なゴジラから、人間的なゴジラに変わっていったわけです。通常のモンスター映画では、クリーチャーが野生的で動物的。でもゴジラの場合は、魂のこもった人間的な部分がある。感情さえ抱いているのではないかと思わせる存在を描くことが、ゴジラ映画です」"

「GODZILLA」VFX徹底解明! ギャレス監督“着ぐるみ愛”を激白!! : 清水節のメディア・シンクタンク - 映画.com.

"実を言うと、今回の『GODZILLA』も着ぐるみとミニチュアでやりたかったんです。でもそれでは、ワンテイクしか撮れないですよね。壊しちゃったらそれまでですから(笑)。それにキャメラアングルは固定され、演技も制限されてしまうのでCGにしました」"

池田憲章『ゴジラ99の真実: 怪獣博士の白熱講座』

"日本一の怪獣博士・池田憲章が、長年の取材テープとノートをもとに、裏の裏までナビゲートするゴジラについての白熱講座!! 本書は35年を越えるライター生活において、初めての書き下ろしの単著となる。

《目次の一部》 ●円谷英二が撮りたかった怪獣の姿とは?/●『ゴジラ』の企画はこうして始まる●鳴き声の陰に作曲・伊福部昭氏あり●『ゴジラ』俳優・宝田明の役割●『ゴジラ』と『ウルトラマン』の接点●『ゴジラ』と宮崎駿監督●『ゴジラ』のドラマのクライマックス●原作求めてプロデューサーは三千里●キングギドラの地走り光線の秘密とは!?●「ゴジラにシェーッをさせるぞ!!」●最後の怪獣映画をめざした『怪獣総進撃』●夢から重荷になっていくTVの仕事●『日本沈没』の大ヒットとメカゴジラ登場! 怪獣王国の真の住人は誰なのか!?"

 ゴジラと言えば、池田憲章の熱い文章でどれだけのセンスオブワンダーを体験させてもらっただろう。その池田氏の何と「初めての書き下ろしの単著」。今回のゴジラ出版フィーバーの中でも、これは一番の期待作です!

『別冊映画秘宝初代ゴジラ研究読本』
『Cinefex No.34 日本版 -GODZILLA ゴジラ-』

"SFXスーパーバイザーのジョエル・ウィストとアマルガメイティッド・ダイナミクス社のクルーがカナダとハワイのロケで実写エフェクトを演出。ゴジラや巨大な怪獣たち、さらに大規模破壊を作り上げるための視覚効果は、VFXスーパーバイザーのジム・ライジェルの指揮の下、MPCとダブル・ネガティブ社のアーティストたちのチームを中心に制作された。他にもザ・サード・フロアー社、スキャンラインVFX社、ハマーヘッド・プロダクションズ社、ピクセル・プレイグラウンド社な どが制作に参加している"

 STEREO D社の3Dメイキングも是非読みたいですね。発行は2014/9/27ということで暫く待ちですね。

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