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2014年10月

2014.10.29

■感想 ラース・フォン・トリアー『ニンフォマニアック vol.1』"Nymph()maniac"

Nymphomaniac Official Trailer from Zentropa on Vimeo
 ラース・フォン・トリアー『ニンフォマニアック』を伏見ミリオン座で観た。
 今回も痛切に素晴らしい映像物語。そしてメランコリックな、まさかのコメディ。
 主人公ジョーのエキセントリックだけど植物のように平常な感性と、ステラン・スカルスガルド演ずるセリグマンの会話の含蓄にヤられます。

Nympho

 vol.1における最高のシーンは、ユマ・サーマン演じるミセスHが、ジョーのアパートに3人の子供を連れて現れ演じられるシュールな痴話の直後、セリグマンに語る「オムレツを作るには卵を割らなきゃ」というジョーの傷付いた顔の表情と続いて映し出されるポーの本の稠密なイラストの映像と、かぶるセリグマンの幻想に関する独白。

 このシーンはトリアーの頭脳からしか生み出せ得ない、この世に彼だけが描き出せる奇想である。こういうところが、僕にとってのトリアーが全作百発百中な意味なんだろうと思ってしまう。ある意味、凄絶。

 冒頭の予告篇、コマーシャルとしてこうなるのは仕方ないけど、この映画の本質を全くとらえてないように感じるのは僕だけだろうか(^^)。

◆関連リンク
Rammstein - Führe mich - YouTube.
 『ニンフォマニアック』主題歌、劇場の大音響で痺れた。

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2014.10.27

■予告篇 ジャン=ピエール・ジュネ監督 初の3D映画『天才スピヴェット』"T.S. Spivet"


T.S. Spivet - Teaser Officiel (Jean-Pierre Jeunet) VOST - YouTube
『天才スピヴェット』予告篇 || 11月15日(土)公開(日本語版予告篇)

 ジャン=ピエール・ジュネ、『ミックマック』に続く4年ぶり、待望の新作。
 しかも今回は、ジュネ監督 初の3D! 彼のキッチュで奇想なあの世界が、立体映像で我々の前に迫ってくるということで、なんともワクワクするではないですか。

 そしてこの予告篇の素晴らしい出来。
 立体感もかなり考慮され、そして何よりジュネ監督らしい画面の気配。ストーリーもとても合ってそうで期待マックス。

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Gaumont T.S. Spivet メイキング.(フランス 公式HP)
 公式HPの雰囲気もとても良い。『ロストチルドレン』『アメリ』そして『ミックマック』なあの何とも愛らしい奇想の世界がそこに開陳されている気配。

◆関連リンク
ライフ・ラーセン, 佐々田雅子訳『T・S・スピヴェット君 傑作集』

" モンタナに住む十二歳の天才地図製作者、T・S・スピヴェット君のもとに、スミソニアン博物館から一本の電話が入った。それは、科学振興に尽力した人物に 与えられる由緒あるベアード賞受賞と授賞式への招待の知らせだった。過去にスミソニアンにイラストが採用された経緯はあるものの、少年はこの賞に応募した覚えはない。これは質の悪いいたずら? そもそもこの賞は大人に与えられるものでは?
 スピヴェット君は混乱し、一旦は受賞を辞退してしまう。だがやがて、彼は自分の研究に無関心な両親のもとを離れ、世界一の博物館で好きな研究に専念することを決意する。彼は放浪者のごとく貨物列車に飛び乗 り、ひとり東部を目指す。それは、現実を超越した奇妙な旅のはじまりだった。
 アメリカ大陸横断の大冒険を通じて、自らの家族のルーツと向き合う天才少年の成長と葛藤を、イラスト・図表満載で描き上げる、期待の新鋭による傑作長篇。"        

映画『天才スピヴェット』(公式Facebook)
ライフ・ラーセン, 佐々田雅子訳『L'Extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet - Edition collector 3D』
 すでに本国フランスでは昨年の公開のため、ブルーレイが発売され日本のAmazonにも輸入版があるようです。待ちきれない方は、リージョン等、確認をしてください。

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2014.10.22

■動画 3Dアーティスト 永井秀幸氏の3Dアート制作風景


▶ 3D Drawing Video - Speed Drawing (3Dアートの制作風景) - YouTube
NAGAI HIDEYUKI channel - YouTube
永井 秀幸 - Hide art(@hideyuki_nagai)さん | Twitter
NAGAI HIDEYUKI 永井 秀幸 NAGAI HIDEYUKI official site

 エッシャーなどに代表されるだまし絵の一種なのだけれど、Youtubeの画家自身のチャンネルでその制作過程が多数公開されており、興味深い。

 この絵の立体視の秘密は、スケッチブックを折り曲げているところであろう。人間の脳の立体視のメカニズムを、このスケッチブックのリアルな立体部分が誘発しているんだろう。

 僕がこの方を知ったのは、BS-TBS 「世界人」という番組だったが、そこではスケッチブックを超えて人が現実にそこに立てるような、大判の絵を描くシーンが紹介されていた。原寸大でリアルにそうしたものが登場すると、この錯視の現実感がどのように迫ってくるか、一度、観てみたいものです。

◆関連リンク
3D 永井秀幸 - Google 画像検索

永井秀幸編著『錯覚体験!! 3Dトリックアート(全3巻)』
「錯覚体験!! 3Dトリックアート(全3巻)」永井秀幸編著 | 株式会社汐文社(ちょうぶんしゃ)

"平面に描かれた絵が、見る方向や角度によって立体に見えてしまう現象=錯覚3Dアートを短いストーリー構成で、楽しく体験。代表的な錯覚アートの描き方も掲載した。
永井/秀幸
1991年2月7日生まれ。主に錯視をテーマとした作品の制作を行っている"


『アメイジングなスパイダーマン』を創るアーティストたち ~ 3D鉛筆アート篇 / 永井秀幸 ~ - YouTube
 

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2014.10.20

■情報 シディ・ラルビ・シェルカウィ演出『プルートゥ PLUTO』 浦沢直樹×手塚治虫原作

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森山未來主演『プルートゥ PLUTO』公式サイト|Bunkamura

"公演期間 2015/1/9(金) ~ 2015/2/11(水・祝)
シアターコクーン (東京都)
森ノ宮ピロティホール (大阪府)
[演出・振付]シディ・ラルビ・シェルカウイ
[出演]森山未來 / 永作博美 / 柄本明 / 吉見一豊 / 松重豊 / 寺脇康文 / 他

『PLUTO』世界初の舞台化が決定!!
他メディアでの展開自体が初めてという、まさに奇跡のコラボレーションが実現した。舞台・音楽・漫画…あらゆるカルチャーを愛するオーディエンスが熱望する舞台が始動する。

オリヴィエ賞を2度受賞、天才コレオグラファーであるシディ・ラルビ・シェルカウィ氏が演出を手掛けることも話題のひとつ。また、文化交流使の任務を終え帰国する森山未來をはじめ、個性豊かなキャストが集合!!"

 CG映画化のニュースが2010年に流れたが、まさか映像になる前に、舞台化とは誰も予測してなかったのでないか。これは驚き。
 冒頭に引用した左の画像が素晴らしい。
 芝居の俳優達と浦沢直樹描くプルートゥの共演。この画像のイメージが舞台にそのまま展開されるとしたら、なかなか期待できる。

 何故、映像の前に舞台化されることになったか、その秘密は(おおげさw)、下の画像にある。

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シディ・ラルビ・シェルカウィ演出「テ ヅカ TeZukA」

"手塚の作品をそのままダンス化するのではなく、作品から沸き起こる様々なイメージをコラージュのようにつなぎあわせ、膨大な情報量を伴っていた手塚の表現を総体として把握する。そして、善悪を描くのではなくこの世界が果てしないコミュニケーションの行き違いによって成り立つことを描き続けた手塚の世界に現代 社会を読み取る、シェルカウイ独自の解釈で再構築する。"

 今回の舞台を演出するのはフランスの振付師であるシディ・ラルビ・シェルカウィとのこと。彼は2012年に既にアトムを同じ森山で演出していた。
 ここを起点にして、今回の企画が決定したようだ。

 浦沢作品、まさかの舞台化。機会があれば、大阪で観てみたいものだ。

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2014.10.15

■感想 NHKプレミアム ハイビジョン特集『岡本太郎 全身で過去と未来を表現した男』

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NHKネットクラブ 番組詳細 プレミアムアーカイブス ハイビジョン特集▽シリーズNIPPONの巨人 岡本太郎

"「プレミアムアーカイブス ハイビジョン特集▽シリーズNIPPONの巨人 岡本太郎」
 岡本太郎(1911-96)の人生と彼の作品の全貌が「太陽の塔」や「明日の神話」の制作秘話、さらには、太郎自身の証言と関係者へのインタビューからよみがえる。
 さまざまな顔を持つ芸術家・岡本太郎(1911-96)の人生と彼の作品の全貌が、太郎自身の豊富な証言と関係者の証言からよみがえる。
 1970年大阪万博 のシンボル「太陽の塔」の制作秘話や30年以上もの間、行方不明となっていた幻の巨大壁画「明日の神話」の制作のねらいを解き明かしながら、岡本太郎が託した現代へのメッセージを読み解く。
 2006年の放送。
【出演】堺屋太一,小松左京,【朗読】上原多香子,筧利夫,【語り】奥田民義"

 岡本太郎「太陽の塔」の建造ドキュメント(2006年)。再放送、録画観。
 あの太陽の塔のデッサンが太郎の手で生み出されるシーンから、70cmの彫像が形作られ、そしてそれか70mの建築図面が描かれる。そうした岡本太郎の手から作品が生み出される瞬間から、建造工事の詳細映像まで、貴重な映像の記録。
 NHKプレミアム、とても良い仕事で大感謝。

 このドキュメントで初めて知ったのが、あの十数mに及ぶ、巨大な顔が強化プラスティックに硬質ウレタンを接着して表面をコンクリートに似せたものだということ。
 太郎がその強化プラスティックを削る映像とか、ダイナミック。そして塔の地下に集められた2000体の世界の神と仮面。

 見逃した方、10/17(金) 午前1:10〜 (10/16深夜)に再々放送がありますので、太陽の塔ファンは必見です! 僕は永久保存版にします(^^)。

◆関連リンク
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2014.10.13

■情報 『ツイン・ピークス』デイヴィッド・リンチ監督で復活 "A special TWIN PEAKS announcement"


A special TWIN PEAKS announcement - YouTube
David Lynch Twitter(2014.10/6)

"Dear Twitter Friends… it is happening again. http://s.sho.com/TwinPeaks  #damngoodcoffee "

『ツイン・ピークス』の新シリーズが2016年放送、監督はデヴィッド・リンチ - movieニュース : CINRA.NET.

"新シリーズは全9話で構成され、リンチとフロストが全話の脚本とプロデュースを担当。リンチが監督を務める。オリジナルシリーズを継承しながら現代に舞台を移し、「ファンたちが待ち望んでいた答えと、満足のいく結論」を示す内容になるという。"

 ついにデヴィッド・リンチの新作が動き出す。
 10/6のリンチ自身のツィートで明かされた『ツインピークス』の新作情報。2016年のテレビシリーズでの公開、リンチとマーク・フロストの脚本で、御代の演出、まさに待ちに待った布陣での続篇制作。(本当はリンチの純粋な新作が観たいのだけれど、贅沢は言えませんw)

カルトドラマ「ツイン・ピークス」復活?デヴィッド・リンチが意味深ツイート - シネマトゥデイ.

"ドラマのフィナーレで はローラ・パーマーがクーパー捜査官に「25年後に会いましょう」と告げていた。同ドラマでリーランド・パーマーを演じていたレイ・ワイズも今年1月のイ ンタビューで「ツイン・ピークス」復活について質問をされた際、「何かが起こるとしたら25年後だろうね」と答えている。2014年はちょうど25年目に あたり、ファンが再びデヴィッド・リンチ・ワールドに引き込まれる日も近いかもしれない。"

Here's What The Cast Of "Twin Peaks" Look Like Now
 『ツインピークス』、登場人物の過去と現在の顔比較。25年の時は残酷です。

◆関連リンク
New Twin Peaks By David Lynch And Mark Frost In 2016!(Welcome Twinpeaks)

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2014.10.08

■情報 『ブレードランナー』ナイト BLADE RUNNER NIGHT

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『ブレードランナー』ナイト|イベントのチケット予約(e+ : イープラス)

2019年まであと5年!

今年、英国雑誌「Time Out」が『2001年宇宙の旅』に次ぐ史上最高のSF映画に選んだ『ブレードランナー』。公開から32年、世界中にマニアを生み、多くのクリエイターを育て、今もなおキング・オブ・カルトとして君臨し続けるSF映画の至宝を、映画の設定である2019年が5年後に迫ったこの11月にとことん語り合う、日本で最初の『ブレードランナー』コンベンション!

【出演】高橋ヨシキ(デザイナー、映画評論家)、添野知生(映画評論家)、西修一(映像ディレクター、「ナカコ・ナイト」企画)、小野里徹(コレクター、「ナカコ・ナイト」企画)
【VTR出演】中子真治(SFX評論家、飛騨高山 留之助商店)、滝本誠とり・みき 他
【ゲスト】わかもと製薬
【司会】多田遠志(ライター)

・本来こうなるはずだった『ブレードランナー』を復元するプロジェクト。
・著名人が語る「わたしと『ブレードランナー』」。
・今、明かされる「強力わかもと秘話」。
・各国版の珍品ポスターでつづる初公開時の涙ぐましい努力。
・海賊盤サントラ一挙紹介。
・激論!デッカードはレプリカントか?

などなど、時間の許す限りディープに語りつくします!
前売り 14/10/1(水)12:00~14/10/31(金)18:00 一般発売"

 世界有数の『ブレードランナー』映像の研究家 西修一さんと「ナカコ・ナイト」の仕掛人 Postermanこと小野里徹さんによる『ブレードランナー』コンベンション。
 コンテンツもきっと世界有数の濃密さを誇ることになるでしょう。
 『ブレードランナー』ファンとしては薄い私は、今回、遠方のため残念ながら参加できませんが、東海の地からイベントの盛況を祈りたいと思います。

◆関連リンク
「ブレードランナー・ナイト」開催するよ!|シュウさんのブログ
「ブレードランナー・ナイト」続報|シュウさんのブログ
 「VTR出演」の収録時情報
ブレードランナー 究極最長版(個人編集)|シュウさんのブログ

 リドリー・スコットとシド・ミード、そしてダグラス・トランブルが『ブレードランナー』について語っています。後半、トランブルのところで街のミニチュアが出てきますが、こうしたシーンは初めて観ました。
 ファンの間では有名かもしれないですが、僕は初めて観たので御報告まで。

当Blog関連記事
■疑似レポート 中子真治氏トークショー「ナカコ・ナイト」第一回

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2014.10.06

■情報 玉置泰紀編集『太陽の塔Walker』 とヤノベケンジ「原始怪獣 対 太陽の塔」

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『太陽の塔Walker』

"史上初! 太陽の塔だけの本! 超合金40周年でロボ登場。豪華勢描き下ろし!

●史上初! 太陽の塔だけのビジュアル本!
●超合金40周年で登場のバンダイ「太陽の塔のロボ」! ジオラマ写真も多数。
●木野仁教授の巨大・太陽の塔のロボ・メカニズム分析。
●タナカカツキの太陽の塔特集。表紙も描きおろし。
●豪華アーティストが描き下ろす二次創作。
開田裕治描き下ろし・太陽の塔のロボ・ポスター。
SFイラストレーター・加藤直之描き下ろし。
現代アーティスト・ヤノベケンジ描き下ろし漫画。
あま絵で人気の漫画家・青木俊直描き下ろし漫画。
書家・川尾朋子、アーティスト・チアキコハラも参戦。
●EXPO70、大阪万博の太陽の塔グッズ大集合。
●海洋堂の太陽の塔フィギュア。
●太陽の塔が描かれた漫画や小説などすべてが勢揃い!
●太陽の塔の新展開スクープも続々! ! "

 これは嬉しい、太陽の塔だけを特集した本。さっそく購入しました。

 まず、ヤノベファンとしては、冒頭の漫画に注目。太陽の塔ロボと「原子力怪獣」と化した「ラッキードラゴン」の死闘。独特のデッサン風の絵でタッチの迫力はなかなかだけれど、ヤノベファンとして気になるのは、ヤノベ作品の「ラッキードラゴン」がその作品コンセプトを離れ、完全に悪として描かれていること。

 「吉本新喜劇×ヤノベケンジ」の感想でも書いたことだけれど、新喜劇では「アトムスーツ」がストーリーの都合で、全くコンセプトの違う物として描かれていた。今回も、短い紙数(4ページ)の制約があったとはいえ、単なるストーリーに合わせるために、第五福竜丸を表現したあの「ラッキードラゴン」が悪の象徴として描かれてしまうのは何だか割り切れない思い。

 御祭り企画の短い漫画作品に何を…と言われそうだけれど、扱う対象が現在の日本に重く横たわる放射能であるだけに、この表現には少し違和感を覚えてしまう。ファンだからこそ、こうした点は繊細に表現して欲しいと思うのは、僕だけだろうか。(ヤノベケンジ氏のTwitterをによると、もともと原題は「まるでゴジラ対太陽の塔」というものだったそうで、「ラッキードラゴン」でなくゴジラが描かれていたのかもしれないけれど、、、)

 と違和感から入ってしまったけれど、岡本太郎の「太陽の塔」満載のこの本、万博ファンの皆さんに御薦めです。バンダイの「太陽の塔ロポ」を冒頭から1/3ほど特集していますが、残りは岡本太郎「太陽の塔」の濃厚な特集。
 1970年の万博世代が受けた衝撃と、その余波によるいろいろな芸術作品、サブカル作品への影響。当時から出されていた「太陽の塔」グッズの数々。マニア必見のページが続きます。

 吹田の万博記念公園で、その巨大で抽象的な姿から、今も我々に衝撃を与え続ける「太陽の塔」とはいったい何なのか、これを炙り出そうとした本書は、素晴らしいアート本であると思います。今回これを企画し編集された玉置泰紀さんの着想と特集の充実した企画に、感謝です(^^)。

◆関連リンク
『超合金 太陽の塔のロボ』
『フィギュア王No.200 (ワールド・ムック1049)』

"特集 超合金 太陽の塔のロボ発売記念 超合金40周年
特別付録 [ダイキャスト製] 太陽の塔のロボ ミニフィギュア
1974年に超合金シリーズ第1号マジンガーZ発売。それから40年、超合金は憧憬とともに多くの人々に残っている。
そして2014年には最新アイテムとして超合金太陽の塔のロボが発売される。
昭和のヒーローに始まり、今またモニュメントを形作る超合金シリーズ。
その40年の歩みを数々の名アイテムとともに振り返りながら「超合金の過去、今、そして未来」を考察してみたい。"

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2014.10.01

■感想  ジェームズ・ガン監督『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Guardians of the Galaxy』

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(公式HP) アメリカの公式サイト
 陽性のスペースオペラ。
 最近、安心して楽しめるマーベルの映画だけれど、今作は特に陽気だ。
 冒頭、家族の重めの話でスタートしたが、それを吹き飛ばすのが主人公が肌身離さず持つウォークマンのカセット(Awesome Mix vol.1)に収録された70年代の音楽。
 映画のサントラにもなっているこれらのロックの曲が、軽快な映画のイメージをリードしている。(このカセットは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』碇シンジの持つDATの昭和40年代(1970年代)の音楽に共鳴する。あれは、ゲンドウかユイが作ったお気に入り編集テープだろう。)

 スペースオペラというと、まず『スターウォーズ』が想起されるけれど、僕がSFからイメージする良質なスペースオペラは、ハリイ・ハリスンステンレス・スティール・ラット』やサミュエル・R・ディレイニーエンパイアスター』(リンク先は米村秀雄氏による訳、全文PDF)。
 前者に対して、後者は軽やかに宇宙を股に駆ける陽性なイメージが強い。
 今作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、それらの血脈を受け継ぐ、楽しい軽快なタッチのスペースオペラである。

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 映像的には、詳しくは後述するが、クリス・フォスの70年代のSFイラストや、60年代SF映画のパルプ感覚溢れる未来都市と宇宙船と空がとても良い。物語の楽しさだけでなく、こうしたヴィジュアルのファンにはたまらないイメージの奔流。
 そしてそれが3Dで我々に迫ってくるのだ!
 3D、僕は今回REAL Dで観たのだけれど、かなり立体視を意識した映像演出がされており、素晴らしく堪能できる。
 宇宙船の戦闘シーンのスピーディな迫力(あれだけ敵味方入り乱れるのに、演出の手際が良く戦闘のメリハリがわかりやすい)、高空から見下ろした地上までの雲等の立体感、そして肉弾戦の奥行き(特にロケットの超兵器のパースが素晴らしい)。
 『アべンジャーズ』も3Dは良かったが、さらにその先をゆく映像になっていたかと思う。
 SFのイメージが、このように現在の巨大スクリーンに開花していく様は、まさに見事なものである。願わくば、今後、ハリウッドがコミックスからSF小説にも眼を向けて、サミュエル・ディレイニーの華麗な文章を、センス・オブ・ワンダーそのままに映像化してくれんことを(^^)。

 デテイルもくすぐるシーン、満載だけれど、僕は特にソ連のライカ犬wと樹木型ヒューマノイドのグルートが気に入った。あとシャイなヒーロー、アライグマの表情も最高ですね。

◆SFイメージの視覚分析(^^)
 と言いつつ、このコーナーはオリジナルでなく、以下の英文のサイト記事の引用ですが、、、。

James Gunn’s visual guide to Guardians of the Galaxy | Film Divider Google 翻訳 「ジェームズ·ガンの視覚ガイド」

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 ジェームズ・ガンが、本作のビジュアルについて、FILM DIVIDERのCharies Madisonに語った記事が掲載されている。ポイントをいくつか抜粋。詳細はリンク先を読んで欲しい。

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・『エイリアン』『ブレードランナー』といった映画は暗い色のトーンで描かれているが、私は50,60年代のパルプ誌の明るい色を映画に持ち込みたかった。
・70,80年代のSFイラストレーター クリス・フォスに宇宙船の幾つかをデザインを手伝ってもらった。
・ルネ・マグリットの「光の帝国」シリーズの絵を、制作のための文書に引用し、全体的な感触をガイドするようにして、異星の光景に影響した。
・ルネ・マグリット「偽りの鏡」(目玉の大写しの絵の中に、青空と雲が見える絵)

 上の引用画は、左がフォスのイラスト、右が今作のイメージ画。右がフォスのものかは確認とれず、その他、どの宇宙船がフォスデザインか、どなたか情報があれば、教示下さい。
 そして右図、これはマグリッドの「偽りの鏡」と今作の1カット。
 このカットの銀河がまた素晴らしいんですよね。マグリットも吃驚(^^)。

◆関連リンク
Kev Jenkins: Guardians of the Galaxy
 カフ・ジェンキンスによるイメージ画、多数。 
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー (映画) - Wikipedia
Chris Foss - Artist | The official website for Chris Foss artwork(クリス・フォスの公式ページ) ここには残念ながら、この映画のビジュアルは置かれていないようです。

Chris Foss Artist Page(クリス・フォスの公式?Facebookページ)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード』
Chris Foss, Rian Hughes『Hardware: The Definitive SF Works of Chris Foss』

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